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ナイン・テイラーズ
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ナイン・テイラーズの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全26件 1~20 1/2ページ
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とにかく冗長で退屈な部分が多く、読了には多大な忍耐を要した。23%過ぎたところで、やっと事件が起きる。教会の鐘の説明とか、水門の様子とかに多くのページが割かれる(最後のオチに関連はしているが、とにかく長すぎる)。地域の地形とか建物の配置などの記述も長く、飽き飽きする。312頁(英語版)あるが、150頁にまとめて欲しかった。最後の5%の洪水の様子の記述に耐え抜くと、最後の2ページのオチでつじつまを合わせていることが解る。田舎なまりか、無教養なまりか、会話はサーット流せない部分も多い(I goes, I sees等々)。鐘に関する記述は無意味な文字の羅列が多く、退屈!私の鑑賞能力を超えた作品。 | ||||
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※ネタバレ "ナイン·テイラーズ"とは、"9人の仕立て屋"という意味ではなく、"九告鐘"と言って、死者を弔うために9つの鐘で鳴らす鐘の音のことでした。"テイラー"はテラー(teller)がなまったものだとP37の8行目に書いてあります。 オックスフォード大卒の才媛であるドロシー·L·セイヤーズが、イギリスの教会の鐘についての知識を延々と述べていますが、小説の中の犯罪に関して、鐘は大して重要な役割を果たしてはいないみたいです。……無理やり犯罪に鐘を結びつけた感じがします。……っていうか、鐘がなってる時に鐘部屋にいたら死ぬというなら、鐘部屋にいた男が死んだと分かった時に、最初にその可能性を考えなきゃだめなんじゃないかと思います。 ディーコンが、脱獄したあと生きていて、隠した宝石を取り戻すために、フェンチャーチに帰ってきたのは、半分くらい読んだところで分かったけど、その他のことは、全部予想が外れた。……でも、自分が考えた筋書きのほうが、面白いんじゃないかってちょっと思いました。 ただ、これだけ退屈な話を沢山挿入しても、なんとか最後まで読む気になるのは、人に読ませる文章を書く才能は、少しはあるからかなと思いました。……登場人物も無駄に多くて、いちいち覚えるのがめんどくさい。 | ||||
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先日、英国ミステリ作家ジム・ケリーによる「水時計」という本を読みました。その小説はドロシー・セイヤーズ「ナイン・テイラーズ」に啓発されて書かれたものだそうで、イングランドのケンブリッジシャーという地方が舞台になっているのも同じということでした。それで、次はこの「ナイン・テイラーズ」を読んでみようと思い立ったわけです。 ところが、確か「ピーター卿の事件簿」だけは読んだはず・・と思って本棚を見れば、「ナイン・テイラーズ」もすでに持っているではありませんか。つまり読んでいたのにすっかり忘れていたわけです。最後まで読んでもまったく内容を思い出すことができず・・(汗)。 ぼんやりした記憶では「ピーター卿の事件簿」はイマイチだな・・と思い、でもとりあえず代表作ということだから「ナイン・テイラーズ」くらいは・・と思って読んてみたのでは、と。結果どちらもイマイチで、現在に至るまで他の作品を手に取ることもなく何十年が経過したようです。 まだ20歳前後だったと思いますが、今から思うと、この渋い作品を理解するにはまだ若かったような気がします。正直言うと今回も、6割あたりまではかなり退屈で何度も途中で寝落ちしかけました。それでもがんばって読んでいたら、後半になってからじわじわと味がわかってきたというか、楽しくなってきました。 主題になっている鳴鐘術というものに初めて出会ったのは、コニー・ウィリス作「ドゥームズディ・ブック」でした。鳴鐘術のチームというのが登場するのですが、教会の鐘といえば1人がカラーンコローンと鳴らすだけのものだと思っていたので、へえとびっくりしました。次はイーデン・フィルポッツの「だれがコマドリを殺したのか」で、主人公が一目惚れする令嬢の父親が、鳴鐘術のことなら話し始めたら止まらないほどはまっている聖職者という設定でした。よって漠然とした知識があったので、この小説でも、牧師さんや村人たちがチームを組んで熱心に取り組んでいる様子がすんなりと入ってきました。 ヨーロッパの教会では、鐘がひとつだけでなく複数あって、どの鐘をどういう順番で鳴らすかやその強弱などにマニアックなこだわりがあるようです。この小説では、鐘になにやら神秘的なものを感じる人々が多く、各鐘には名前までついていますし、ひょっとして人格を持つのではないか?と言う人まで出てきます。巨大な鐘が並ぶ教会のてっぺんの部屋で、次々に鐘が鳴る様を見、音を聞く機会があれば、怖いようなその雰囲気が感じられるのかもしれません。ただし、大音響で耳がおかしくなってしまうかもしれませんが・・。 ミステリではありますが、犯罪捜査とその真相をストレートに楽しみたい方には、じれったくて、はっきり言ってつまらないと思います。そこかしこにちりばめられた英国的ユーモアもわかりにくくて、ただ退屈でしょうし、どこかとぼけた味の探偵役、貴族のピーター卿もなんだかたよりなさげです。 私が思い浮かべたのは、たとえばオクスフォードの学寮なんかで、学者の先生が忙しい講義の息抜きに、暖炉の前でこの本を読みながらリラックスしてクスっと笑っている姿です。さまざまな古典や聖書からの引用、しゃれた警句などは、広い教養がなければくすっと笑うことさえできません。 このあたりは訳者の浅羽莢子さんが細やかに注釈をつけてくださっているので、その場で出所や意味を理解することができます。この方は「死者の書」をはじめとするジョナサン・キャロル作品のすばらしい翻訳で出会って以来、敬服しています。この作品に登場する田舎の農民たちの方言も、味があってとてもよく雰囲気が出ていると思います。人物ごとの言葉の使い分けも見事で、それがまたこの作品を味わい深いものにしています。 ラスト、水害で堤防が決壊し人々が教会に避難、村が水に沈んでゆく圧巻のシーンは、先に読んでいた「水時計」と同じでした。いや、「水時計」が「ナイン・テイラーズ」をまねたのですね。この作品を読んでいると、教会は村の中心であり、人々の心の支えであり、人生の通過点での数々の行事に関わり、いかに大切な存在かがよくわかります。昔の日本のお寺もこんな感じだったのでしょうか。1930年代の英国の村落や人々の生活もわかって興味深いです。 肝心の犯罪ですが、いったい殺されたのは誰なのか?なんのために?殺したのは誰か、は最後まで明らかにされません。真相は賛否両論あるかと思いますが、個人的にはとても良い終わり方だと感じました。 セイヤーズを楽しむにはまだまだ修行が足りない気がしますが(笑)年を重ねて昔よりは少しわかるようになったかもしれません。確かに忍耐がいりますが、今回はこれきりにせず他の作品も読んでみたいと思いました。 | ||||
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今回購入したのは三冊目です。 厚みがあるので落丁がひどい。 好きな作家でよみなおすので買いました。 | ||||
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クリスティと並ぶイギリスの女流推理作家、セイヤーズの最大傑作ということで期待して読んだが、前半はあまりの冗長さに忍耐の連続であった。後半から緊迫感が出て来るが推理小説という面だけで考えると全体の半分以下の頁数で十分な内容である。教会の鐘を鳴らす技術(鳴鐘術)や教会内部の建築、イギリスの小さな村の住民たちの生活や自然との関わり等がきめ細かく描かれる。また会話がピンポンのようなやりとりではなく一方的に喋りまくるというパターンが多く読みにくい。ただ、最後の3頁まで来ると今まで冗長と思われたものが壮大な建築物のようなものを生み出すといったスケールの大きさを実感できた。 全体は四つの巻から構成されている。巻の一はプロローグといえる内容で貴族探偵ピーター卿が大晦日の夜に鐘を鳴らすメンバーの一人となることや十年前に発生した宝石盗難事件が述べられる。巻の二は事件編といえる内容で、病で死亡した人を埋葬しようとして墓を掘り返した所見知らぬ人の死体が埋められていたという殺人事件がテーマとなる。捜査を開始したピーター卿と地元の警察署長は十年前に起きた宝石盗難事件が関係している事に気づく。巻の三は解決編といえる内容で、容疑者たちの証言で真相がほぼ明らかになる。巻の四はエピローグといえる内容で、最後の3頁で全てが明らかになる。 このエピローグは人間の本来持つ善意といった一つの理想的な姿が描かれており、それまで饒舌と思われた内容が説得力を持ちうまく生かされているように思う。 全体的におとぎ話のような雰囲気があり現実感という点では物足りない。登場人物は女性陣は上手く描き分けられているが男性陣は類型的で現実感がなく魅力に乏しい。また比喩や引用が多く訳注が無ければもっと読みにくかったと思う。原文の誤り等も指摘されており訳者に敬意を表したい。 | ||||
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教会の鐘がこんな物語を産むなんて作者はすごいです。鐘の詳しい説明ははっきりいって全くわかりませんでした。でも世界観、イギリスの田舎の寒さ、人物の描き方、しゃべり方、充分伝わってきました。住民のしゃべる方言は日本だとどこなんだろうと思って読みました。ミステリーとはいえ読後感が文学小説のようでした。解説が詳しいともっと良いと思います。翻訳者の浅羽さんの力量とご苦労が偲ばれます。 | ||||
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鐘を理解するのが面倒臭い 読みづらい文字の羅列と訳 イマイチこの世界観に馴染めなかった | ||||
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亡くなった女性を夫と同じ墓に埋葬しようとしたら、出てきた身元不明のもう一つの死体の謎。それに、以前に起こったエメラルド盗難事件をめぐる謎、行方をくらました自称自動車修理工の謎、暗号の謎など、様々な謎が絡みあって、ややこしく、わかりにくい話。翻訳作品特有の読みにくさも相まって、読み進めていくのが大変で、なかなかページが進まなかった。真相につながる情報が小出しで出てくるので、読者が謎解きできるような話ではないし、暗号の謎やエメラルドの隠し場所の謎の真相もぼんやりとしかわからない。最後から2ページ目まで読み進めて、ようやく、こういう話だったのかと納得。まさしく、神の裁きであり、ナイン・テイラーズというこの作品のタイトルにうってつけの真相。 | ||||
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460ページの文庫本で、100ページを過ぎても何も事件が始まらない。 うんざりして一度やめてしまったが、方々でミステリーの傑作に挙げられていたので気を取り直してもう一度読んでみました。 読み終わってみると、なる程の一言。 全ては意味があったのですねえ。 | ||||
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英国においてはセイヤーズの評価が高い(著名なミステリ評論書であるヘイクラフト「娯楽としての殺人」においてもクリスティより多くの頁が割かれている)のは知っていたが、実作を読むのは初めてだった。表紙の裏の紹介に、「堅牢無比な物語と謎解きの妙が渾然となった傑作」とあるが、それとは程遠い出来。確かに、伝統的な英国(田園)小説の香りがし、舞台となる村の風情や人間模様は良く描かれているが、物語の進行と共に謎は自然に解けてしまい、ミステリとしての妙味は非常に薄い。 扱っている謎にしても、旧態依然とした物で、全体としてルコック物の回想部分やドイル「バスカヴィル家の犬」に時代が逆行したかの様。ミステリと言うよりは、英国(田園)小説にほんの少しミステリ的味わいを加えた、という趣き。セイヤーズを評価している向きは、こうした伝統的英国小説の愛好家なのだと思う。また、本作を読むためには、英国の「鳴鐘術」に付き合わなければならない(「ナイン・テイラーズ」は九告鐘の意)。乱歩が本作を激賞した事は良く知られているが、本作には「鳴鐘術」を利用した暗号が登場する。乱歩の「二銭銅貨」が本作にヒントを得ていたら、と想像するとチョット面白い。 | ||||
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とにかく評価がどんどん独り歩きしてしまって、 読む前から「これは手ごわいぞ」と思わせる小説がある。 本書もそんな1冊ではないだろうか。 しかし「案ずるより産むがやすし」で、 読んでしまえば「こんなものか」というようなところがある。 本書をミステリとして鑑賞する場合、 「まあ、そういうこともあるかもしれないね」という真相なのだが、 伝説化ならしめている理由はそこではあるまい。 鳴鐘術のペダンティズムであり、エピソードこそが、 本書を「手ごわい」といわしめている理由だろう。 確かにそれによって厚みというか、物語に奥行きが生まれている。 現代のライト級のミステリばかり読んでいる日本の読者には、 この「こってり感」は少々つらいかもしれない。 「もっとあっさり味がいいな」と思わないでもない。 しかし、フランス料理のフルコースを食べたような達成感はある。 探偵役のピーター・ウィムジィ卿は、 ちょっと気取っていて面倒くさいところもあるけれど、 こういうキャラクターは嫌いじゃないです。 | ||||
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図書館にて、乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10に入っていたので読みました。 そして、読破後即購入。 今までこんな素敵な作家を知らなかったとは…! 作者のセイヤーズは「ナルニア」の作者と交流があり、また、 「指輪物語」の作者はウィムジイ卿シリーズの愛読者だったといいいます。 普通の推理小説とはひと味違います。 まったりと時間が流れ、「楽しい川辺」等の古き良きイギリスの児童文学を思い起こさせるような、イギリスの田舎の人々と探偵のやりとり。 純粋に謎解きの面白さを追求したい方にはこれらの描写は退屈に感じられるかも知れません。 個人的には、推理小説ファンよりもむしろ、イギリスの文学や児童文学が好きな人にお勧めしたいです。 セイヤーズが日本では「推理小説好きの間で知る人ぞ知る」的な扱いなのはとても残念です。 ピーター卿の個性がいいですね。引き際を心得た軽妙な皮肉とユーモア。 いかにも英国紳士らしい、抑えた大人の魅力です。 なかなか女性作家の書いた男性主人公にははまらないんですが、彼にははまってしまいました。(笑) 謎を解いてよかったのかと、思い悩む人の善さが凄くいい。全シリーズ読んでみたいです。 ラノベ全盛、軽快なミステリーが好まれるご時世に真っ向から反逆するような作品ですが、それでももっと多くの人にこの作品を知って欲しいと思いました。 すばらしい出会い、江戸川乱歩に感謝です。 | ||||
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教会の鐘をテーマにした作品で、鐘を鳴らす複雑な技術を細かく書かれているが、教会の鐘にあまり馴染みのない日本人にはこの作品の良さを100%理解出来ないかもしれない | ||||
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推理小説史上最も意外なトリック・犯人といっても過言にならない作品でしょう。セイヤーズはクリスティと並んでミステリの女王と称されたり しますが、クリスティが多分に論理にアバウトで柔軟且つ革新的なトリックを創案してったのに対して、どちらかというと筋道に重きが置かれて いて(つまり過程が愉しい)、パッとしない所もあるセイヤーズだが、本作品に関してだけは別で脅威の夢幻的アクロバットを用意しているので すね。。 でも、それは意図的に作風をチェンジしたというより、論理に徹しすぎて逆に論理から乖離・遊離しちゃった感なんですね。だので、この作品は 本当に二面性を感じます。現実すぎるけど決して覚めない夢のようなね。いきなり絶頂ともいうべく魅力的すぎる導入部あれば間延び感ありーの 舞台となる田舎の芳醇さに愚鈍さ、それが人工的に侵略される利便さに寂しさ、、、 そしてその中心部にそそりたつ教会の不気味なほどの静謐さ胡散臭さとね。でも何よりは最初に記した通りで、どこまでも事件と推理の枝は伸び て分かれるのに衝撃の真相は幹にあるというね...おっとくどいなぁーいけないいけない(笑)。 まあ総合すると、よく崩壊せずに成り立ったなぁ〜って作品ですね。俺は謎解きには自信があるぞ(!)って玄人の自信を瓦解させる事請け合い の一冊であります。 | ||||
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1934年の作品。乱歩による評価は正当だと思います。 | ||||
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重厚な筆致で読み応えは満点かもしれないが、 本格推理物とは違うようだ。風物、建築物等 の異様なまでに細かい描写も本筋にはなんら 寄与しない。登場人物が多く、各々の思惑が 複雑に錯綜するのは結構だが、この作品の場合 それも無益と言える。英国産の最高傑作と 謳われるがこれを冒険小説とするなら 理解できる。 日本語訳は良好と思うが田舎なまりが多くて ちょっと読みにくい。 他のセイヤーズ作品を読んでみようと思います。 | ||||
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江戸川乱歩が黄金時代のベスト・テンの中に選んだことから、 傑作の誉れ高い作品です。 ある年の瀬、ピーター卿がフェンチャーチ・セント・ポール村に迷い込みます。 ここで転座鳴鐘の人員を欠いた急場を救うために、 卿自ら鐘の1つを担当し、9時間の間、鐘綱を握ります。 そして春が訪れた頃、村の赤屋敷当主が亡くなり、 亡き妻と同じ墓に葬るため掘り返したところ、 もう一体見知らぬ死体が発見されるのでした。 教区長の招きで、 ピーター卿が事件の真相を探ることになるのですが・・・。 ナイン・テイラーズとは、九告鐘と訳され、 死者を送る鐘のことで、本作品の主人公は鐘。 転座鳴鐘術という日本人には馴染みの薄い演奏術を駆使した描写が全編を彩り、 巻末には、訳者による用語辞典まで掲載されている念の入れようです。 ミステリとしての彩りも多彩です。 見知らぬ死体は誰で、死因は一体何だったのか? 昔発生したエメラルド盗難事件の犯人は誰で、 エメラルドは今、どこにあるのか? 鐘部屋で見つかった暗号文の意味するものは? 七番鐘バティ・トーマスの不吉な過去とは? などなど、様々な謎が提起され、物語を盛り上げていきます。 これだけハイテンションな要素が揃った作品でありながら、 ★3つにしたのは理由があります。 それは、いくつもの謎が最後に収束するカタルシスを 味わいたかったのですが、あまり感じられなかったことが一つ。 もう一つは、巻末の解説によるところの 「あるかなり奇抜なトリック」が使われている点について、 それほどの衝撃がなかったことです。 この作品は、トリックうんぬんより、 鐘にまつわる荘厳かつ不気味な雰囲気を重視し、 楽しむべきものなのでしょう。 そういう意味で、私の嗜好にはあまり合わなかったようです。 | ||||
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古典推理小説の名作という事でいつかは読まねばとずっと心の片隅に引っかかっていた作品。 推理についてはこれといったトリックがある訳ではなく、 プロットの複雑さで読者を混乱させるたぐいのもの。 誰もが指摘しているように鐘の演奏法についての記述が分かりにくく、 いい加減な理解のまま読み進めてしまったが、 このあたりは妙な事にこだわりを持つ英国人のマニアックな面が垣間見えて面白かった。 | ||||
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本書は江戸川乱歩が名作推理ベスト10の10位に推した作品で、いわゆる「古典的」名作である。 またその文章は文学作品を思わせる格調の高さであり、「文学的」ミステリーと呼ぶにふさわしい作品でもある。 しかしながら、では本書から「古典的」とか「文学的」というような肩書きを排して、純粋にミステリー作品として本書を評価すると、正直別にどうという作品でもないように思う。 私は別に文学作品を読みたかった訳ではなく、ミステリー作品として面白い作品を読みたかっただけなので、こんなに分厚い500ページ近い本を読む時間があったなら、他にも面白そうな本を2冊は読めたのにと思う。 よく同時代に活躍した女流作家同士ということで、著者とクリスティーが比較され、「ミステリーの女王」などと一般的にもてはやされているクリスティーよりも著者の方が優れていると評価する意見もあるが、本書を読む限り(本書は著者の代表作である)、それはミステリー作家としての評価ではなく、著者の格調高い文章を評価しているだけのこと、評価基準の違いの問題ではないかと思う。 もちろん、いわゆる「通」の人は、こういう「古典的」名作も一度は読んでおかなければ「通」とは言えないので、そういう人にとっては本書は「必読の書」ではあるが、そうではなく純粋にミステリー作品を楽しみたいだけのファンは、あえて本書のような分厚い本を読む必要はないと思う。 | ||||
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この作品は’本格ミステリ/探偵(推理)小説’などという区分には分類し難いが、話自体の面白さでは傑作の類に値すると思う。それぞれの人物描写が素晴らしく、読み進むうちに彼らに対して愛着を感じざるにはいられない。また他でもたびたび言われていることだが、事物描写も大変魅力的かつ印象的である。ミステリー+[プラス]良き古き(しかし恵まれない)イングランドの田舎とその人々・教会又はその鐘などの雰囲気を好む方にはおあつらえ向きの一冊だろう。少しだけ不満を言えば、Lord Peter Wimseyはもっと早くに例の男の身元・死因に気付くべきだと思う。せめて読者より先に。私はHarcourt版と創元推理文庫版を両方読んだが創元の翻訳の巧さにはとても感心した。但し二・三箇所訳し漏らされていたが。派手なお話ではないけれど最後まで興味をそがれない一編だ。一読の価値あり!!! | ||||
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