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カブト虫殺人事件
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カブト虫殺人事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.78pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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アマゾン側の設定ミスなのか?ここに出ているレビューの中でこの「カブト虫殺人事件」に関するものは、2020年10月現在で20個中9つだけですね。他の2つの作品のレビューがごちゃ混ぜになっています。半数以上のレビュアーさんが投稿作品を間違えたとは思えないので、何かで各作品のレビューが一緒になってしまったのでしょうか。 ヴァン・ダインは10代の頃に「僧正」と「グリーン家」だけ読んだことがありました。内容はあまりおぼえていないのですが、おもしろかった、名作だったという印象は残っていました。というわけで、期待大でこの「カブト虫殺人事件」を久しぶりに読んでみたのですが、古い作品のせいか、そして翻訳ももう感覚が古くなってしまったためなのか、あれこれ目につくところが多くて正直あまり楽しめませんでした。 まず、探偵役のファイロ・ヴァンスに好意が持てなかったことは致命的でした。相手にはまず理解できないであろう外国語やラテン語を会話にちらほらはさむところが嫌味でキザで鼻につきました。また、「掘り出された美術品に一考の価値のあるものはめったにない。真の古代美術品は中国のものだけだ」と言い放ったりして、とても独善的です。 自分は一民間人に過ぎないのに真相が見えていると主張、けれどそれがどうしてなのかは何も説明もせず、まわりを見下した態度でだんまりを通し、捜査に指示を出したり逮捕を止めたりします。探偵が真相を明かさないというのは探偵小説の常道とは言え、もうちょっと捜査仲間である検事や刑事を公平に扱って、きちんと説明すべきではないのか?などと思ってしまいました。 また、エジプト学がテーマになっていますが、エジプトやエジプト人に対する蔑視の匂いがして読んでいて気分が悪いです。この作品を書くに当たって、作者は古代エジプト文明についてかなり下調べしているとあとがきにありましたが、エジプトについての知識も決して正確とは言えず、たとえば、エジプト人の登場人物にメリイト・アメンという古代風の名前をつけて、そちらの血筋を引いているということにしていますが、現在、コプト教徒(キリスト教の一派)やイスラム教徒の一神教であるエジプト人にこんな名前はありえないです。古代エジプトの宗教は偶像崇拝の迷信とみなされますから。これはただ作品のエキゾチックな雰囲気を盛り上げるためだったのでしょうか。 エジプト観光は日本でもとても人気があるので、今は古代エジプトについて知識豊富な人も多いと思います。この作品が翻訳された1960年当時はそうではなかったのか、翻訳の誤解や発音表記違いが目立ちます。皆さんも気がついておられると思いますが、まずタイトルのカブト虫ですが、作品中に出てくるのはカブト虫ではなくフンころがしのスカラベのことなので、現在なら「スカラベ殺人事件」の方が誤解がなくていいと思います。 スケラブ=スカラベ、諸王の墓の谷=王家の谷、プトレメオス=プトレマイオス、カデシ=カデシュ、アムン=アメン、オジリス=オシリス、ジゼのピラミッド=ギザのピラミッド、サフメット女神=セクメト女神 パピラス=パピルスなどなど数え上げたらきりがないですが、現在一般的に通用している名と異なるものがあまりにも多く、いちいち気になってしまいました。こういうことがあるので、やはり時代にあわせた新訳が必要なんだろうと思います。 アガサ・クリスティのエジプトものは、ひっかかるところもなくすっと入ってきたのですが・・・この作品はいろんな点で楽しめなくて残念でした。 | ||||
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