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カブト虫殺人事件



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【この小説が収録されている参考書籍】
カブト虫殺人事件 (創元推理文庫 103-5)

カブト虫殺人事件の評価: 3.78/5点 レビュー 9件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.78pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(2pt)

作品自体も翻訳も感覚が古く、あまり楽しめませんでした

アマゾン側の設定ミスなのか?ここに出ているレビューの中でこの「カブト虫殺人事件」に関するものは、2020年10月現在で20個中9つだけですね。他の2つの作品のレビューがごちゃ混ぜになっています。半数以上のレビュアーさんが投稿作品を間違えたとは思えないので、何かで各作品のレビューが一緒になってしまったのでしょうか。

ヴァン・ダインは10代の頃に「僧正」と「グリーン家」だけ読んだことがありました。内容はあまりおぼえていないのですが、おもしろかった、名作だったという印象は残っていました。というわけで、期待大でこの「カブト虫殺人事件」を久しぶりに読んでみたのですが、古い作品のせいか、そして翻訳ももう感覚が古くなってしまったためなのか、あれこれ目につくところが多くて正直あまり楽しめませんでした。

まず、探偵役のファイロ・ヴァンスに好意が持てなかったことは致命的でした。相手にはまず理解できないであろう外国語やラテン語を会話にちらほらはさむところが嫌味でキザで鼻につきました。また、「掘り出された美術品に一考の価値のあるものはめったにない。真の古代美術品は中国のものだけだ」と言い放ったりして、とても独善的です。
自分は一民間人に過ぎないのに真相が見えていると主張、けれどそれがどうしてなのかは何も説明もせず、まわりを見下した態度でだんまりを通し、捜査に指示を出したり逮捕を止めたりします。探偵が真相を明かさないというのは探偵小説の常道とは言え、もうちょっと捜査仲間である検事や刑事を公平に扱って、きちんと説明すべきではないのか?などと思ってしまいました。

また、エジプト学がテーマになっていますが、エジプトやエジプト人に対する蔑視の匂いがして読んでいて気分が悪いです。この作品を書くに当たって、作者は古代エジプト文明についてかなり下調べしているとあとがきにありましたが、エジプトについての知識も決して正確とは言えず、たとえば、エジプト人の登場人物にメリイト・アメンという古代風の名前をつけて、そちらの血筋を引いているということにしていますが、現在、コプト教徒(キリスト教の一派)やイスラム教徒の一神教であるエジプト人にこんな名前はありえないです。古代エジプトの宗教は偶像崇拝の迷信とみなされますから。これはただ作品のエキゾチックな雰囲気を盛り上げるためだったのでしょうか。

エジプト観光は日本でもとても人気があるので、今は古代エジプトについて知識豊富な人も多いと思います。この作品が翻訳された1960年当時はそうではなかったのか、翻訳の誤解や発音表記違いが目立ちます。皆さんも気がついておられると思いますが、まずタイトルのカブト虫ですが、作品中に出てくるのはカブト虫ではなくフンころがしのスカラベのことなので、現在なら「スカラベ殺人事件」の方が誤解がなくていいと思います。
スケラブ=スカラベ、諸王の墓の谷=王家の谷、プトレメオス=プトレマイオス、カデシ=カデシュ、アムン=アメン、オジリス=オシリス、ジゼのピラミッド=ギザのピラミッド、サフメット女神=セクメト女神 パピラス=パピルスなどなど数え上げたらきりがないですが、現在一般的に通用している名と異なるものがあまりにも多く、いちいち気になってしまいました。こういうことがあるので、やはり時代にあわせた新訳が必要なんだろうと思います。

アガサ・クリスティのエジプトものは、ひっかかるところもなくすっと入ってきたのですが・・・この作品はいろんな点で楽しめなくて残念でした。
カブト虫殺人事件 (創元推理文庫 103-5)Amazon書評・レビュー:カブト虫殺人事件 (創元推理文庫 103-5)より
4488103057
No.8:
(5pt)

スカラベ殺人事件

翻訳当初は「スカラベ」という単語が日本で馴染みがなかったためのタイトルなのでしょうか。個人的には、カブト虫殺人事件というタイトルでやや損をしている気がします。ストーリーは古典的よさに溢れていて、期待を裏切らない展開です。細かなアリバイや容疑者の行動の意味を一つ一つ解明していく過程は、現代のDNA鑑定などの科学捜査ものにはない味わいがあります。
カブト虫殺人事件 (創元推理文庫 103-5)Amazon書評・レビュー:カブト虫殺人事件 (創元推理文庫 103-5)より
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No.7:
(3pt)

重厚でサスペンスも満点だが解決が今一つか…

私設エジプト博物館内で起きた殺人事件。その現場に残る証拠は全て博物館長であり有名なエジプト学者であるブリス博士を指し示していた。早速逮捕しようとするヒース部長刑事たちに対しヴァンスは待ったをかける。地方検事マーカムはヒース部長とヴァンスの間で揺れ動く。そして第2、第3の事件が…

関係者からの証言を丹念に引き出して真相へと進む展開はいつもながら重厚でサスペンスも十分にありグイグイ引き込まれていく。しかし全体的に納得感が今一つであった。犯人側から見た時ここまでやるかという非現実感がある。犯人像もぼやけており読後感としては興ざめであった。
カブト虫殺人事件 (創元推理文庫 103-5)Amazon書評・レビュー:カブト虫殺人事件 (創元推理文庫 103-5)より
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No.6:
(4pt)

「業界ミステリ」のハシリ?

現代でも特にTVのミステリ番組では「業界ミステリ」がはやりですが、本作がその嚆矢ではないかと考えます。本作では「エジプト学」という「準業界」ですね。この後ヴァン・ダインは、「中国美術&スコッチテリア」「ドラゴン伝説」「カジノ」「競馬」「宝石」「香水」「スケート」と、業界もしくはテーマ別ミステリを開拓していきます。そのときどきの流行をテーマにするという手法で、ジャーナリスト出身作家らしい。
 全12作を全部読んだあとで、気に入った順番に順位をつけたら、「カブト虫殺人事件」は、「グリーン家」「ガーデン」に続く3位となりました。
 今、ヴァン・ダイン新訳が開始されて(遅々として進まないが)いますが、ここらでタイトルを語呂よく「スカラベ殺人事件」にしてくれないかなー。
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No.5:
(5pt)

古きよき・・・

ミステリー好きの方は是非1度読んで欲しいですね。アンティークな雰囲気がとても好きです。
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No.4:
(4pt)

懲りすぎた趣向

シリーズ5作目。今回は古代エジプト学に対するヴァンスの饒舌をタップリ聞かされる。
本作での犯人像は、前作の「僧正」を継承する形で、精神的に歪んだものに設定されている。それが、本作での逆説的な犯行計画を産み出しているのだが、「僧正」と比べて計画が地味な分、損をしていると思う。犯人の精神的"揺らぎ"が感じられて、個人的には気にいっているのだが...。また、現場に残された証拠が、犯人がウッカリ残したものか、それとも意図的に残したものかという問題を提示していて、これを突き詰めると"心理的証拠"に逆戻りしそうな...。
犯人の意図を察し、それを随所で挫き、また結末に至って重要な役目を果たすエジプト人の使用人を登場させたのは作者の手柄。本作が書かれた時代を考えると、彼を知識人として描いた点に作者の見識の高さが感じられる。
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No.3:
(3pt)

エジブト風味

シリーズ第5作目。『あまりにもあからさまに犯人を示している証拠をどう解釈するか?』というお話です。犯人捜し自体は仕掛けられた「ワナ」に惑わされずに、「どういった行動が必要か?」ということを考えていけばそれほど難しくはないでしょう。しかし、一番の注目はヴァンスの「解決」方法。冷静に考えると凄いことをしています。所謂ディレッタントな作風がこの作家の特徴ですが、本作は前4作に比べていささか過剰気味な印象を受けました。夥しい証拠品と相俟って、やりすぎの嫌いがあるのが欠点でしょうか。
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4488103057
No.2:
(4pt)

スカラベ

エジプト趣味に溢れる作品事件が起きるが犯人を指し示す五万という証拠が現場に溢れておりすぐに解決するかに思えたがそれにヴァンスが異を唱え・・・
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4488103057
No.1:
(4pt)

ヴァン・ダイン健在,中期の傑作

第3作「グリーン家殺人事件」と第4作「僧正殺人事件」が有名なヴァン・ダインですが,その手腕は5作目の本作においても健在です。注意深く読めば,割と早い段階で犯人の目星が付くかもしれませんが,事件解明に至るまでのプロセスは十二分に読者を楽しませてくれます。ヴァン・ダインならではのペダントリーに満ちた重厚な文体も健在。なるべくなら,第1作から順番に読む方が,登場人物の人間関係がわかって楽しめると思います(推理の部分には関係ありませんが)。
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4488103057

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