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ベンスン殺人事件
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【この小説が収録されている参考書籍】
ベンスン殺人事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全34件 1~20 1/2ページ
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推理小説古典のヴァン・ダインの原点なので読んでみました。事件は非常にシンプルだが探偵ヴァンスの初登場はまぁとにかく匂わせ匂わせで長々とまどろっこしい。散々アッチの人コッチの人と寄り道させられるのが後半は癖になってきました。これからグリーン家や僧正を読むつもりならまずこれを読んでおくのも悪くないと思います。 | ||||
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ヴァン・ダインの第一作目。探してました!中古ですが、書き込みとか汚れとか不快になるような傷みはひとつもなく、匂いも問題ありませんでした。快適に読めました。作品自体の素晴らしさはもう言うまでもありません。 | ||||
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ヴァン・ダインの名はつねづね聞いていましたが、これが最初の読書です。 本書では、明らかにシャーロック・ホームズを思わせながら、それとは 根本的に違う気質の名探偵ファイロ・ヴァンスと、その親友で地方検事の マーカムがワトソン博士役になっています。 面白いのはヴァンスの友人で記述役のヴァン・ダインが、本来なら ワトソン博士であるべきところを、徹底的に黒子(舞台の「居ない」脇役) に徹し、著者本人も実は仮名の人物であるところ。この二重に設置した 架空性があたかも舞台劇を観るような感覚に陥らせます。 ヴァンスの推理は一部偏見としか思えないような部分もありますが、 物的証拠のみで有罪・無罪を決める物証主義というのか、捜査側の 盲点を突いた独自の視点がユニーク。今では普通に受け入れられる 考えだと思いますが、その当時は斬新な発想だったんだろうなと。 ヴァンスが美術愛好家で教養が高いこともあって、時に冗長過ぎる 引用や、当時は常識だったフランス語などの常套句が随所に挟まって いるため、かなり読みにくいです。それらを削除すると実にシンプル なお話なのですが、ではこれらを全部取ればいいのかというと、 そこはヴァンスの人となりや、1920年代のアメリカの空気感までも 損なわれてしまうので、読者としては受け入れるしかないような 気がします。その点、紙の本よりもkindle版の註釈は閲覧しやすくて、 いくらか読みにくさが軽減されました。 あとがきも充実していて、翻訳の問題やファイロ・ヴァンスならびに ヴァン・ダインの解説がある程度詳しく解説されていて(ちなみに wikipediaの日本語版よりも現時点では正確)参考になりました。 これを基に他の推理小説へも手を伸ばしたいと思います。 ヴァンスの皮肉っぽさにちょっと辟易しましたが、「僧正殺人事件」 くらいは読みたいと思っています。 | ||||
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先にグリーン家殺人事件と僧正殺人事件を読んでいたため、犯人の予想はつきました。ファイロヴァンスも「最初から犯人はわかっていた」と言っています。マーカム検事が容疑者を逮捕しようとする度に正義感あふれるヴァンスが「その人は無実だ」と言ってひっくり返します。けれどなかなか犯人の名前を言ってくれないから、読者はマーカムと一緒になって絶えず翻弄されてしまいます。終盤近くのある登場人物がある人と実は親子でしたというくだりには、騙されました。 | ||||
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昔、当たるを幸いと何でも読んでいたころに読んだ記憶がある。で、最近「本格推理」なるものを読み直してみようと思って買ったもの。昔は町の小さな古本屋に汚い古本でも売っていたから、こういったものは手軽に安価で買えたけど、最近は古本チェーンがメインだから、汚い古本は駆逐されて、案外こういったものは手軽に読めなくなってる。 内容だけど、けっこう古い感じはする。アメリカで「本格推理物」という小説が確立される時期のものなので、説明が過多だし、今となっては当時の時事ネタにも(注)がつく。昔読んだときはエラリー・クイーンの原型の論理的思考による推理のように思ってたけど、再読してそうではないんだあ~と気付くうつけな読者なので、偉そうなことは言えないけど、犯罪のかたちから犯罪者を類推する方法なのに今さらながらにビックリした。確か「ドラゴン」とか「ケンネル」あたりまでは面白かったような気がするので、その辺までは読んでみようと思ってる。 | ||||
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今更改めて言うまでもなく、ヴァン・ダインの処女作であり、歴史上、最初の本格推理小説である。 ※ヴァン・ダインは、本国アメリカでは 忘れ去られており、むしろ 日本で人気を維持しているそうである。 | ||||
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最初から犯人がイメーシ゛出来る。そこに至る展開も面白くない。 | ||||
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冒頭に足跡の手掛かりについてヴァンスとマーカムの議論があり物的証拠を重視する事への疑問が提示される。前作のベンスン殺人事件でもヴァンスは人間心理に基づいた推理方法の重要性を主張していたわけだが本作ではそれがさらに強調された形になっている。終盤のポーカー・ゲームにより人間心理のみに基づいて犯人が特定されその後にその物的証拠が発見されるというユニーク展開は作者(=ヴァンス)のその主張を正当化しようという試みと思われる。 ただそのためか容疑者の尋問や捜査陣の議論の部分が多く事件の進展が遅い。ポーカー・ゲームによる推理も平凡なものでありこの程度のものであればもっと早く行って犯人を割り出してもよかったのではなかろうか。これを終盤に持ってきたというのは読者の興味を最後まで持続させるための小細工といったわざとらしさを感じてしまう。結果としては後半からはあまり緊迫感がなく読後は冗長感や興ざめのような疲れが残った。 前半までは密室の不可能性や臨場感あふれる尋問場面など緊迫感にあふれ超一流の完成度と思った。人物描写も現実感にあふれ、元役人の道楽者のクリーヴァ、堅実な製造業者のスポッツウード、たたき上げの毛皮輸入商のマニックス、情緒不安定な精神科医のリンドクィスト、伊達男の常習窃盗犯スキールと各人の個性が見事に浮かび上がり男の持つ迫力も十分に見せてくれる。ただ、魅力的な女優のアリス・ラ・フォスは純真でやや偶像的であろうか。ヴァンスの態度も騎士道精神を見せようと自意識過剰で男性陣への態度とあまりにも違っており苦笑せざるを得なかった。 密室トリックも前半は不可思議な雰囲気を生み出してヒース部長刑事をイライラさせる展開は読み応えがあったが終盤まで明かされないために途中からは軽視されてしまったかのようでかえって冗長感が増してしまったように思われる。中盤で明らかにしてスピード感を高めた方が完成度は高かったのではなかろうか。なお、裏口の扉の閂がどうやって閉められたかについては別解もあり得ると思われる。また最後に発見される証拠も通常は初期捜査で見つかるはずのものであり、これが心理的推理の成果というのは強引すぎて滑稽ではなかろうか。 | ||||
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素人探偵ヴァンスと地方検事マーカムの掛け合いの中で現実感のある証人尋問を中心に重厚で緻密な推理劇が進み最後まで一気に読めた。ミステリとしての格調の高さはこの作者の右に出る者はいないのではないか。ただヴァンスがマーカムを愚弄するシーンが多すぎてやや興ざめであった。このへんは物的証拠を重視する従来の捜査手法への批判を意図しているのであろうがヴァンスの語る心理的手法は発想としてはユニークであるが実際問題としてどの程度有効かは疑問である。 芸術作品と犯罪とを同等に扱うというが、芸術作品はごく限られた天才によるものだけが現代に生き残っているわけで、犯罪はごく普通の人間によるものが大多数である以上両者を同等に扱うのは無理がある。また手掛かりにしてもどこまでが意図せず残されたものかは捜査側の主観によるわけで、ヴァンスが述べるような絶対に確かな方法というのは強すぎる。しかもそれを理由にあれほどに従来の捜査手法を批判するというのは作者の力み過ぎではなかろうか。 事件自体としては割と平凡なものであり、地道に関係者のアリバイや動機をたどっていけば普通に解決できたと思われる。本作ではマーカムがプロとは思えないような安易な方策を取るためヴァンスから批判を受けるがある意味当然でありこのへんも名探偵創造のために作り過ぎているという感がある。 登場人物は現実感があり読みやすい。特に被害者ベンスンの親友ファイフィーやその女友達ポーラの尋問場面は臨場感にあふれている。またベンスンの家政婦プラッツ夫人の証言が重要だったわけであるが、最初のマーカムによる尋問では口を開かなかったが、その後ヴァンスが尋問するという展開は興味をそそった。ただその尋問ぶりはやや強引でもう少し変化球がほしいところである。また、プラッツ夫人が口を割らなかった理由は終盤で明らかになるがこれもあまり納得できなかった。 全体的には緊密な構成で各登場人物がその役割や証言で何らかの手掛かりを与えておりそれらが丹念に紐解かれいく展開は見事で格調が高い。この作品が推理小説の質を格段に向上させた記念作と言うのは納得できる。 | ||||
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主人公と検事のマーカムは深い友情で結ばれている。文中で執拗にその様に書かれている。 なぜそれが執拗に書かれているのか? 序盤から終盤にかけて終始、徹底的にマーカムが小馬鹿にされているからだ。 これでもか、これでもか、これでもか・・・もしかしてSとMの関係なの?と思うくらいだ。 もし自分がマーカムならぶん殴っているだろう。 でも・・・根底に友情ありき、なので主人公の態度は許されるのだ。 しかし読んでるこちらはイライラしてしまう。もったいぶるな、芸術の話、料理の話要らん。 とっとと犯人言えよ、と(笑) そこに忍耐が必要だった。その全てを楽しめればより味わい深い探偵小説となるでしょう。 基本的には好きな本。 | ||||
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実はヴァンダインを読むのは初めてです。探偵小説黄金時代の作品は大抵読んでいましたが、何故かヴァンスものだけは敬遠してました。日付と曜日とエルウェル事件(1920年)から判断すると1918年6月の事件ですが、文章の気分が戦後な感じ。そしてブラックマンデー前のイケイケなUSAの雰囲気です。ファイロのネチネチした皮肉っぽい物言い(美術関係の発言も薄っぺらく聞こえます)にイライラしますが、探偵小説としては王道の内容で楽しめる作品でした。次作以降のシリーズがとても楽しみ。でもEQは探偵の設定に関して何故あからさまなパクリをしたのでしょう。たった数年後ですよ。若さゆえ?ローマ帽の新訳も読まなくちゃ… 銃は表紙にカッコ良く描かれているコルトM1911(原文U. S. Government Colt—and not the ordinary Colt automatic)が登場。グリップが真珠細工(原文pearl handle)のS&W38口径リボルバーも出てました。でもp354のM1911分解描写はめちゃくちゃ、原文からわけがわかりません。He opened the plates of the stock, and drawing back the sear, took out the firing-pin. He removed the slide, unscrewed the link, and extracted the recoil spring. 著者が知らない用語(シアとかファイアリングピンとか)を振り回したのでしょう。正しい分解手順に基づき用語を訂正すると「スライドオープンにして、撃鉄を後退させてから、スライドストップを引き抜いた。スライドを外し、バレルブッシングを回して外し、リコイルスプリングを取り出した。」これで銃身がスライドから抜き出せますので、じっくりとライフリングを観察できます。ところで弾丸の線状痕から発射した銃が特定出来る、というは1925年4月にゴダードらが比較顕微鏡を開発してからのようです。 | ||||
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子供のころ一度読んだが、再読して改めて、本格ミステリが好きになった。 | ||||
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「ベンスン殺人事件」はファイロ・ヴァンス初登場作ということもあって、全12作の中ではヴァンスが事件に関わっていく過程がだいぶ違っています。ヴァンスはマーカムが指揮する犯罪捜査の素人随行者という立場で、マーカムやヒースと同じものを見聞きします。しかし一方、彼のスタンスはあくまで傍観者であり、第一義にはマーカムが誤認逮捕などの不祥事に問われ政治生命を絶たれたりしなければいいが、という程度の関わり方に控えていました。それが、回りくどいほのめかしではマーカムの捜査の行方は危ないと感じた彼は、やっと最後になってしぶしぶ探偵として前面に出て来るのです。そこで彼は、まずは様々な矛盾点を突いてマーカムの理論を木っ端みじんにします。次に、自分の得意な美術鑑定の方法を犯罪捜査に応用し、犯行の全体像と特徴からその背後に浮かび上がる犯人像を形成していきます。いかにも素人っぽい付け焼刃の理論ではあったし、作者自身それを信じていたかどうかも疑わしくはあるものの、いわばプロファイリングの先駆けをやろうとしたのですね。 このようにヴァンスはそもそも名探偵になるつもりなどありませんでした。12作を通じて、ヴァンスはあくまでもマーカムを誤った結論から救うために活動しました。現代の作家なら上下巻800ページを費やして友情の機微を事細かく描いて説得力を出すところでしょうが、ミステリを所詮一時の慰みものと認識していたヴァン・ダインは、そこまでの労力をかける気などさらさらなかったということでしょう。 すべてを肯定的にとらえ、星5つ、満点です。 | ||||
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このまえに僧正殺人事件を読んで、この本を読みたくなりました。 | ||||
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ヴァン・ダインは本名をWillard Huntinghton Wrightといい、アメリカのヴァージニア州生れ。美術評論家として名をなした後、ノイローゼにかかり、療養中にミステリの古典を読みふけったのがきっかけで、高級な読者を対象とした探偵小説を書いてみようと思い立つ。本書はヴァン・ダインの筆名で書かれた最初の長編ミステリ『The Benson Murder Case』(1926) 。日本では昭和25年に延原謙が初めて翻訳している。 本書はエラリー・クインのベスト10(1948年)、レックス・スタウトのベスト10(1956年)にあげられ、本格ミステリの古典といえる。探偵役のフィロ・ヴァンスは裕福な資産家で地方検事の友人という資格で、事件の解決を手伝う。小説の語り手は作者の分身でヴァンスの顧問弁護士でもある。ヴァンスの方法は、ホームズやブラウン神父とはひと味ちがう。物的証拠や状況証拠(動機)に重きをおかず、犯人の心理や個性を推測し真相に迫るという、美術作品を鑑賞するのに似た方法を用いる。地方検事と警官が誰かを容疑者として逮捕しようとすると、ヴァンスがその推理に物言いをつける、といった悠長な感じで捜査は進んでいく。 謎やトリックにはもはや新味はないが、ヴァンスがその教養をひけらかすおしゃべりを読んでいると当時ニューヨークで何が流行していたか、話題になっていたか、どんな犯罪理論がふまえられているか、がわかって面白かった。それぞれの章に付けられた原注は超然としていて人を食っている。訳注のなかには「不明」とされていたり、古くなった情報がまじっていたりするが、自分で調べ直すのも案外楽しい。 | ||||
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ヴァン・ダインは本名をWillard Huntinghton Wrightといい、アメリカのヴァージニア州生れ。美術評論家として名をなした後、ノイローゼにかかり、療養中にミステリの古典を読みふけったのがきっかけで、高級な読者を対象とした探偵小説を書いてみようと思い立つ。本書はヴァン・ダインの筆名で書かれた最初の長編ミステリ『The Benson Murder Case』(1926) 。日本では昭和25年に延原謙が初めて翻訳している。 本書はエラリー・クインのベスト10(1948年)、レックス・スタウトのベスト10(1956年)にあげられ、本格ミステリの古典といえる。探偵役のフィロ・ヴァンスは裕福な資産家で地方検事の友人という資格で、事件の解決を手伝う。小説の語り手は作者の分身でヴァンスの顧問弁護士でもある。ヴァンスの方法は、ホームズやブラウン神父とはひと味ちがう。物的証拠や状況証拠(動機)に重きをおかず、犯人の心理や個性を推測し真相に迫るという、美術作品を鑑賞するのに似た方法を用いる。地方検事と警官が誰かを容疑者として逮捕しようとすると、ヴァンスがその推理に物言いをつける、といった悠長な感じで捜査は進んでいく。 謎やトリックにはもはや新味はないが、ヴァンスがその教養をひけらかすおしゃべりを読んでいると当時ニューヨークで何が流行していたか、話題になっていたか、どんな犯罪理論がふまえられているか、がわかって面白かった。それぞれの章に付けられた原注は超然としていて人を食っている。訳注のなかには「不明」とされていたり、古くなった情報がまじっていたりするが、自分で調べ直すのも案外楽しい。この全集の装幀は、花森安治が担当しているのを発見したことも。 | ||||
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ファイロヴィンスものが気に入り第一作を、かつ実在のエルウェル事件がモデルとのことで期待して読みました。 あっさりしすきて物足りなさもありますが、個人的にはカナリア殺人事件より好きです。 | ||||
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アメリカで証券会社の社長が殺され・・・というお話。 ファイロ・ヴァンスが初登場する記念すべき第一作ですが、恥ずかしながら、今まで読んでいませんでした。今回は新訳ということで前よりは字組み等を含めて読み易くなっていると期待して読みましたが、やはり読み易くて良かったです。 内容の方はオーソドックスな推理小説で、今の視点で読むと物足りない部分があるのは否めませんが、この時代に書かれた物としては出色の出来だったであろうと思います。 江戸川乱歩と小林秀雄の対談によると、乱歩はこのヴァン・ダインに関して推理小説に心理的な物を取り入れようとしたけれど、裁判では証拠として使えないので失敗したと述べておりますが、本書を読むと確かにそういう感じがしないでもないと思いました(因みに小林秀雄はポーやドイルが一流とすればヴァン・ダインは五流と述べております)。 それと、著者のヴァン・ダインは本職は美術の評論家だったそうで、作中に高名な絵画や美術品に関する言及や、ファイロ・ヴァンスの推理の仕方が評論家風なのが、そのせいなのかと思いました。 個人的にはヴァン・ダインの功績は解説でも指摘されている通り、後続の作家特にエラリー・クィーンに影響を与えたところにあると思いますが、どうでしょうか。 という訳で作品自体は☆4つですが、歴史的意義を鑑み☆1つおまけにしておきました。ちょっと甘いかも。 推理小説の歴史的には非常に重要な作品。是非ご一読を。 | ||||
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シンプルに犯人捜しを楽しむことができます。 連続殺人ではないため構成もシンプルです。 もし、ファイロ・ヴァンスの薀蓄と焦らし?がなかったら、 もっとあっさり解決してしまっているでしょう。 そのヴァンスの態度を楽しめるかどうかで評価も違ってくると思います。 | ||||
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作者ヴァン・ダインが研究したニイチェの「超人」を具現化したような名探偵ファイロ・ヴァンス。第1作「ベンスン殺人事件」は、この稀代のスーパーマン探偵の小手調べとして、短編ネタで長編を書いたと言えるシロモノです。「物語」を作ろうとしていないのがいい。全編が尋問、推理合戦。 でも、心理分析を用いずとも、鬘が出てきた瞬間に下手人がわかりました。 さて、ヴァン・ダインの功績と私が考えるものを以下に列記します。調査不足による間違いがなければいいですが・・・ 1パズラーの舞台を(私が知る限り)初めて大都会に持ってきた。よって、近代警察の組織的捜査を描くことができるようになった。 2プロファイリングの原型を試みた。 3見立て殺人を発明した。 4異様な雰囲気の大屋敷での連続殺人という形式を発明した。 5各作品に流行テーマ(エジプト学、中国美術、競馬、宝石、ドラゴン伝説)を盛り込む作法を発明した。 6推理小説20則を作った。(『筋に無関係の恋愛は持ち込むべきでない』は個人的に大賛成) 7「アクロイド殺害事件」のトリックをペテンと断じた。(完全に賛同ではないが、意味をなさないトリックであるとは思う) 8博識で毒舌で皮肉屋でかっこいい名探偵を発明した。名探偵は変人でなくちゃ。 9面白おかしい捏造履歴を発明した。(息子の似顔絵に一喜一憂する母のくだりは傑作) 1012作という素晴らしくきりのよい数でシリーズをまとめた。 | ||||
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