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シャム双生児の謎



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シャム双生児の謎の評価: 3.88/5点 レビュー 25件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.88pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全19件 1~19 1/1ページ
No.19:
(5pt)

高度でいぶし銀などんでん返しとダイイングメッセージとクローズドサークル

クローズドサークルながら、関係者全員が死の危険に瀕しつつ事件が進行するというスリリングな展開。

人が大量に死ぬでもないのに、飽きさせないストーリー。

こういうトリックなのではないかと匂わせつつ、そんなことは全くない作者の見事な欺し方。

常々、クィーンの国名シリーズはトリック一本で長編一冊を書いているのではないかという疑いを持っていたが、この作品に関してはトリック一本でも十分に読ませるものがあり、その点でシリーズ内では最高傑作かもしれない。

クィーンを読む際の最初の一冊としては別の作品を薦めるかもしれないが、二冊目・三冊目としては確実に薦められるものだとおもう。
シャム双子の秘密 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャム双子の秘密 (角川文庫)より
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No.18:
(5pt)

射殺された博士の右手には、半分に千切られたトランプのスペードの6のカードが

本格推理小説の傑作とされる『シャム双子の秘密』(エラリー・クイーン著、越前敏弥・北田絵里子訳、角川文庫)は、特異な状況下で物語が展開していきます。

探偵エラリー・クイーンと、その父クイーン警視は、山火事に遭遇し、山頂近くの屋敷に逃げ込みます。その大きな屋敷の主、著名な外科医ゼイヴィア博士の好意で、クイーン父子は泊まれたのだが、翌朝、博士の射殺体が書斎で発見されます。博士の右手には、半分に千切られたトランプのスペードの6のカードが固く握られているではありませんか。これは犯人の名を告げようとしたダイイング・メッセージと考えたエラリーとクイーン警視の捜査が始まります。山火事で逃げ道を塞がれた屋敷には博士の妻、弟、実験助手、使用人たち、客人たちがいるが、いったい、誰が犯人なのでしょうか。

一気に読み終えた時、3つのことを感じました。

第1は、名探偵にも拘らず、エラリーの推理が指し示す犯人が、次々と覆り、最後に至って、意外な犯人が明かになるという、相次ぐどんでん返しの見事さです。期待を裏切らぬ傑作でした。

第2は、頭脳明晰な探偵エラリーと共に事件解決に取り組む、エラリーの父で頭脳明晰とは言い難いクイーン警視が、実にいい味を醸し出していることです。この名脇役が作品に膨らみを与えています。

第3は、何か悩み事や心配事があっても、一流の推理小説を読んでいる間は、それらを一切忘れることができるということです。このことを裏付けるかのように、本作品の最終部分に、迫りくる山火事に恐れおののく人々(この中には、犯人も含まれている)にエラリーが最後の謎解きを説明する場面が用意されています。エラリーは人々に焼き尽くされる恐怖を忘れさせようとしたのです。
シャム双子の秘密 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャム双子の秘密 (角川文庫)より
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No.17:
(4pt)

国名シリーズ中の異端児だが、本格ミステリ風味の冒険活劇として出色の出来

読者への挑戦状が登場しない国名シリーズ中の異端児的作品。本格ミステリの中でもリアリティを欠く分野である「ダイイングメッセージ」に取り組んでいるが、それが霞むほど山火事で一同生命の危機にさらされる中での、クイーン父子渾身の奮闘が印象的。

 さらにシャム双生児と言う、まずミステリに登場する事のない存在をあえて取り上げたことも、本作の異端児ぶりに拍車を掛け、ミスリードだらけでじっくり推理しようと言う気になれず、読者への挑戦状のないのにも納得。

 が、本格ミステリとしての評価はいざ知らず、エンタメ作としては非常に面白く、本格ミステリ風味の冒険活劇としては出色の出来なのではなかろうか。「国名シリーズ」=本格ミステリと言う先入観を捨てて楽しむべき作品。
シャム双子の秘密 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャム双子の秘密 (角川文庫)より
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No.16:
(4pt)

クイーン親子が事件を攪乱

クイーン親子が車で移動中に山火事に遭遇し、逃げ込んだ山上の一軒家。山火事で道が閉鎖されたクローズドサークルで起きた殺人事件。クイーン警視は地元警察から捜索を委任されるが、混迷を深めていき、さらに一人が殺される。
正直、二人目はクイーン親子の度重なるミスによって殺されたようなものだ。
国名シリーズでお約束の「読者への挑戦状」はなく、犯人特定の決め手となったものもロジックではなく、犯人の性情による致命的ミス。
国名シリーズでは異色の内容だが、様々な工夫が盛り込まれているところは評価できる。トランプのカードを使ったダイイングメッセージ、偽の手掛かり、探偵役が何度も間違いをして謎を深めていること、皮肉な真犯人等。
「トランプのカードを保管していたキャビネットをいじくった人物」に関するロジックは秀逸。
また、作者は別の作品でも利き腕のことを犯人特定のロジックに使っているが、本作品でも利き腕に関するロジックを使っている。確率的には高くても必然性はないので、利き腕をロジックに使うのはいかがなものだろうか。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
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No.15:
(4pt)

「国名シリーズ」であることが最大のトリックです

(ネタバレの可能性があるため、念のため、未読の方はご注意を。)

もしもこの作品が、名もない作家によって書かれた、名もない探偵を主人公とするものだったとしたら・・・ おそらく、大多数の読者が、この作品を凡作と評価することでしょう。犯人を当てる人も、多かろうと思います。

実は、当方、途中で犯人が判りました。作家クイーン、探偵クイーンに対し格別の思い入れがないため、物語を素直に読むことができたからだと思います。

結局、作者が仕掛けた最大のトリックは、「この作品を『エラリー・クイーンの国名シリーズ』の一作としたこと」でしょう。(具体的な方向性は違いますが)同じモチーフの作品として、高木彬光の短編「○○の×」を上げることができます。
シャム双子の秘密 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャム双子の秘密 (角川文庫)より
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No.14:
(4pt)

再読して真価を知るに至った

国名シリーズの新訳版も、いよいよ第7弾。
じつは、10代の若き頃、一度読んだことがある作品で、再読ということになります。
しかし、クイーン父子が、山火事の起きた山頂の屋敷に閉じ込められ、その屋敷の主人が殺されるというシチュエーションと、シャム双生児が登場すること以外、全く記憶から欠落していました。

──とは言っても、本作品が凡作であると思っているわけではありません。
むしろ、本格ミステリの一ジャンルである「ダイイング・メッセージ」に真正面から取り組んだ小説であり、真相に向けたエラリーの推理が二転三転する(なかなか真相に辿り着けない)傑作と呼んで差支えないと感じています。
こんな傑作のことをあまり覚えていないなんて、過去の自分はどういう感覚の持ち主だったのか…。

それはさて置き、この新訳シリーズのレビューで必ず書いていることなのですが、本書でも、「巻末解説」が充実しています。
この巻末解説、未読の読者用の前半と既読の読者用の後半に分かれているのですが、やはり大いに納得してしまうのは、後半の既読の読者向けの部分でしょう。
この国名シリーズがどれほど緻密に構成されているか、再認識させられるものとなっています。

特に、今回は、直木賞受賞者でもあるミステリ作家、北村薫の説に従い、本編のある部分の訳に工夫が凝らされていることが述べられています。
この説、真偽のほどは著者が亡くなっているので、霧の中とは言え、信憑性があると思われます。

国名シリーズは、全部で9冊なので、あと2冊を残すのみとなりました。
ここで要望なのですが、せっかくなので、日本だけで国名シリーズと認知されている、「あの一冊」も是非新訳で刊行してもらいたいものです。
シャム双子の秘密 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャム双子の秘密 (角川文庫)より
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No.13:
(5pt)

なぜか大好きな『シャム双子』

クイーンファン30年の私は、今回の角川による新訳刊行が毎回楽しみで仕方ありません。
この「国名シリーズ」は、第一作目から丁寧に読むと、クイーンが作を追うごとに〈新たな挑戦〉
を試みていることがよくわかります。

エラリー、というよりクイーン親子の「親子鷹」デビューだった第一作目『ローマ帽子』
多くの手掛かりを元に、大推理大会が展開される第二作目『フランス白粉』
犯人が推理出来そうで出来ないぎりぎりラインを狙い、読者を飽きさせない第三作目『オランダ靴』
名探偵を超える頭脳を持つ「メタ犯人」を登場させ、新米探偵の失敗と成長を描く第四作目『ギリシャ棺』
3つも首なし死体が登場する派手な展開と、緻密な推理が同居するエンターテイメント第五作目『エジプト十字架』
ミステリー史上最多の2万人の容疑者の中から、たった一人の犯人を推理する第六作目『アメリカ銃』

そして、この第七作目『シャム双子』。
名作揃いの国名シリーズの中で、これがなぜか一番好き、という人はけっこういらっしゃるのでは?
二転三転するダイイングメッセージの謎、徐々に明らかになる登場人物たちの謎、そして迫りくる山火事。
そのすべてが、スリリングの一言。そして、あの印象的なラストシーン。

もちろん、訳が良いのは言うまでもありません。
旧訳で何度も読んでいるにもかかわらず、今回が一番楽しめました。
訳者に感謝!
シャム双子の秘密 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャム双子の秘密 (角川文庫)より
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No.12:
(5pt)

「国名シリーズ」のなかでも印象深い一冊

既訳で「国名シリーズ」を読んだとき、この「シャム双生児」が一番印象深いモノだった。今回新訳を読んでみても、相変わらずその印象は否めない。山火事という閉じ込められた世界での「密室殺人」であること、クイーンものには珍しい、というかはじめてのダイイング・メッセージであること、ニューヨーク市警が登場しない、つまりクイーン父子だけで事件を解決しなければならない状況におかれてしまったこと、で、その父子が、犯人ともども、「死」に直面するということ・・・・・どれをとっても超一級のミステリである。で、お決まりの意外な犯人・・・・・だけど、そこに至る恒例の「読者への挑戦」がないっていうこともこの作品の特徴だろう。

 オリジナルがリリースされたのが1933年という年。2014年の今読んでも決して古くはない・・・・・・・

シャム双子の秘密 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:シャム双子の秘密 (角川文庫)より
4041014557
No.11:
(5pt)

大好きなクイーンもの

エラリー・クイーンはドルリー・レーンを主人公にしているものと、エラリー・クイーンを主人公にしているものがある。
エラリー・クイーンを主人公にしているものではチャイナ橙の謎とか、エジプト十字架の謎をトップに挙げる人は多いが
好きなものでは、この本が好きです。
クイーンとクイーンパパとが山火事にあい、そして可愛いシャム双子を助けるという最後まで。

雨が降っている・・・・という最後の最後のせりふ。一生忘れられない終わりです。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
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No.10:
(4pt)

敷き詰められたフェーズに踏み込まない均整の歪曲 すでに予感させ始めていた

1933年作 まあ常に自由度を維持し、風変わりさを保っている
休暇 帰り道 クイーン父子 古いインディアン集落 山火事→下山する道は閉ざされた 山頂の山荘を舞台にした陸の孤島もの
研究 実験室 そんな場所を確保する方法 暗く暗たんたる雰囲気 そんなSFゴシックホラー仕立てで、逆パノプティコンの正しい有機的構成
として常に生き得るパニックサスペンスで、クローズドサークルな本格ロジックの実験に必要な開放された場所。
トランプのカードをこねくりまわして右左、こねくりまわして左右(笑)ダイイングメッセージの最高潮使用感(笑)しかしこれが最悪の要素
にもなっていて、もはや作り出し得ない全体において、定常的に繰り返し扱われる位置的必然性としてのピロティの付け替え(笑)
さて今回もヒントを Katy Bの「Witches Brew」のビデオの中にあるよ
パニック ロジック 同時進行 この状況設定によって、空白感さえない熱望、そんなエラリーの捨て身的に内省する性癖が一番出てるのかも
しれないなあ おやじさんとの心的相互作用も好きなんだねやっぱ(笑)この常識人あってのエラリーなんであって(笑)
つまりその方外さ、言い換えれば芸術さ、それが時として行き止まりの平面から解き放つ方法。それを無意味と瀰漫するにはあまりに不思議。
結局最終的で結論的な形式化を目的とした虞犯性なんであって、だので哀れなマンネリズムとしての発作的静止
うん醸しながら貢献すべきなんであって、ただの盛り上げ主義に堕さない疑問にすることを拒否しない完備された説得性としての客観情勢。
たとえば一つの中心的視点としてのナショナリズム。そもそもそれが右だという奇特な発想の置き直しから当たり前にすぎないという識別の
必要性へと、小学生でも分かるんだから(笑)だからこその溝を埋める役割として教えた上で反響し合うのが普通で、断ち切って臭い物に蓋じゃ
常に直面することを拒否し続ける総括・反省。
だので蒔いた種としての島国の珍現象は教えることがないという原理から価値判定する基準なしに説かれる平和の嘘と、こう解釈
結局、非常に近接した中国のその言うならばわがままニートぶりは明確な紛争現象の抱えこみ、わきあがるものがむろんありうるところで何も
できないひきこもり。
だからまあニートとひきこもりが喧嘩してるわけだから第三者の目線から見れば、IQの低いインスタレーション〈馬鹿の比較展示〉ってな
もんで(笑)
あれだな、内を見る見方を変化させるべきで、本当に左だったらそれこそ解釈を許す今の9条では平和を守れないわけだからツァイトガイスト
近づき得るように現実具体的根拠として集団的自衛権を認めない旨でも明記すると主張すべきであって、成就である定義が平和なのか9条なのか。
とはいえ、開き直りと言われても現時点で9条はアメリカのいいなりにならない為の立ち回る手段なんだから。
環境があるがゆえのひきこもり、離れてゆく負担・覚悟・案出・適合 同時進行でいかに議論を詰めてゆくか、いかにそれぞれが本気になるか
ということで、エコだエコだと言いながら全然エコできない歯痒さ(笑)そんなことを書いてみたよ
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
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No.9:
(4pt)

迫り来る猛火、極限状況におけるギリギリの推理

「エジプト十字架」以後、「アメリカ銃」と本書、その後の「チャイナ橙」「スペイン岬」と奇抜な設定の作品が続くが、本書はその中でも最も変り種といえるだろう。
まず形式的には国名シリーズ唯一の「クローズド・サークル」ものにして、唯一「読者への挑戦状」を欠いている。
さらに、シャム双生児や「骸骨」というあだ名の召し使いの登場、舞台の山荘にも怪奇なイメージがつきまとい、極めつけは山火事に四方を囲まれるという極限状況にある。

本書ではそのような状況において、警察や科学捜査の手を借りられない中、エラリーは唯一の手がかりである被害者が持っていた「スペードの6」のカードから、純粋推理で犯人探しを試みる。
しかし、その推理は解釈の仕方によりどうとでも取れるものであり、本書に限って「読者への挑戦状」が付されていないのも、おそらく推理に隙があるのを作者も承知していたからだろうと思う。

本書の魅力は中途半端な推理よりもむしろ迫り来る猛火による極限状況の中のギリギリのサスペンスにこそあり、そういう点で国名シリーズの中で最も面白い作品といえよう。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
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No.8:
(4pt)

意外に緻密な推理が堪能できる作品

 謎の提出と解明についてだけだと評判の悪い本作だが、ダイイング・メッセージについては、SIXだけでも短編を書けるのではないだろうか。さらにそれをを地道な推理の積み重ねで次々ひっくり返していくのだから、やはりすばらしいと思う。ただ、最終的に真犯人を示す手がかりは弱く、せいぜいその可能性が最も高い、という程度にしか思えない。その意味では「読者への挑戦」を入れていないのも納得できる。それでも後になって考えてみればなるほど、そういうわけで…というところはあって、それはエラリー自身が説明してくれるのだが。
小説としてのおもしろさということで言えば、他の人も書いているとおり国名シリーズ中でもベストの1つだろう。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
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No.7:
(5pt)

《ダイイング・メッセージ》が導く迷走劇

山火事が迫る山荘という《クローズド・サークル》を
舞台にした《ダイイング・メッセージ》テーマの作品。

死体の右手が握っていた、半分にちぎられた
トランプのカードという《ダイイング・メッセージ》――。

この解読を巡り、エラリイの推理はしだいに錯綜していきます。

カードの図案(「スペードの6」、「ダイヤのJ」)に託されたメッセージとは何か、
半分にちぎられていたのはなぜか、そしてカードが被害者の利き手にあった意味とは……。

以上のような謎を解明すべく展開されるエラリイの推理は、なかなか真相を捉えられません。
しかしそれは、なにも奸智に長けた犯人の策略の結果というわけではないのです。

犯人の無分別な行動が、巧まずして探偵の失敗を誘発させたためだといえます。

したがって本作においては、事件全体を見渡すことのできる特権的な人物などは存在せず、
それぞれの錯覚や勘違いによって謎が勝手につくられ、自動的に事態が紛糾していきます。

犯人が判明した際、読者によっては拍子抜けに感じる人もいるかもしれません。

「結局、こいつだったのか」と。

しかし、本作の醍醐味は犯人の意外性といったところにあるのではなく、一種の《多重解決》の
興味と、鋭い人間洞察に基づく三谷幸喜のコメディのような「すれ違い」の作劇の妙にこそあると
思います。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
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No.6:
(4pt)

一番興味深い

エラリー・クイーン"国名シリーズ"の中では私が一番好きな作品である。
 作中、最もミステリアスな場面として記憶しているのは、双子が夜中、クイーンの前に始めて姿を見せる場面である。
「カニのような生き物が、横切るのが見えた・・・・」ということは、一体どういうことなのか。

 悲しいかな、まさしくあのシャム双生児がクイーンの視界を横切ったということなのだが・・・・・

 時を経て何度か読むに値する名作の一つには違いない。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
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No.5:
(4pt)

クイーン作品にしては面白いストーリー。

本書はクイーン父子が山火事に巻き込まれた中で起きた殺人を、火の手が迫り救出が絶望的な状況の中、犯人を追い込むという極限状況のスリルとサスペンスが存分に堪能でき、クイーン作品にしては珍しく読み物として面白い作品である。
しかし本書について、横溝正史は『探偵小説50年』(講談社)の中で次のように記している。
「これは題に国の名を入れたエラリー・クイーンの諸作のなかでは、いちばんつまらないものだが、それにしてもあまりにもつまらないのに驚いた。」
確かにこの作品は、いわゆる本格推理作品としての評価項目(トリックの独自性、謎解きの論理、驚愕度、等々)において、一定水準をクリアしておらず、横溝の記載は半面においては正しい。
しかし「推理作品」としては水準以下であっても、小説として、つまり読み物としては面白いという作品は数多く、私はそういった作品については、読み物としての面白さ、魅力を評価することにしている。
例えば『Xの悲劇』ハヤカワミステリ文庫版の新保博久の解説の中で横溝正史の『八つ墓村』がB級作品と評されており、本格推理としては実際そのとおりだと思うが、それでも私はストーリーの面白さを評価して「☆5つ」としている。本書の「☆4つ」は、そういうストーリーの面白さを評価してのものである。
それにしても横溝の上述の評価はクイーンに対して手厳しすぎるように感じるが、あるいは『オランダ靴の謎』以来クイーンをひいきにしてきたという横溝だからこそ、本格物の傑作を期待した結果、期待はずれであったという感想だったのかも知れない。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
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No.4:
(4pt)

事件は良かった

この辺りの時代のクイーンは最高に読み応えが遭って好きです。今回は、シャム兄弟を始めとした癖のある面子、山火事に囲まれた別荘といい、舞台装置がすこぶる本格のムードを出してて良かったです。事件もいい。トランプのダイイングメッセもエラリイが論理的に解釈してて、とても心地いいです。これですよね、このロジカルに説明されるトリックの解釈が溜まりませねっ!
嫌だったのが、他の作品でもシバイバ感じますけど、エラリイの態度かな。とくに親父との会話が癇に障る。なんか実の父親に向かっての言葉とは思えない。偉そうで「やめたまえ」とか言ってる日にゃ、お前は何様だ〜〜?って思っちゃいます。頭いいのは分かるけど、もうちょい謙虚な姿勢も持って欲しいですね。人様の家で、親父が警視だからってそれに便乗して偉そうに住民に接してるし、見下したような笑いを漏らすし、なんか態度がいやです。この父子構成をそのまま真似てる法月のも大嫌いです。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
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No.3:
(5pt)

「世界が5分後に滅るとしても、推理を続けてやる」

迫り来る山火事の脅威・死の恐怖の中で、(犯人自身も含め?)登場人物の殆どが、殺人事件なんてどうでも良くなっているのに、懸命に(性懲りも無く?)推理を続けるエラリー。「世界が5分後に滅びるとしても、謎を追い続ける」と言う、決意表明と見た。

ただ、やはり山火事は気になるのか、推理は難航。そのせいで、(余り反省している様子もないが)出さなくて良い犠牲者を出してしまう。この辺のカッコ悪さが、また味わいになっている。

「マニア向きの、変化球的作品」という評価が多いと聞くが、全然そんなことは無いと思う。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
4488104118
No.2:
(5pt)

優れたプロット、発想卓抜

クイーンの中でも異色の作品。山火事に追われながら、異色の登場人物が次々と現れる。国名シリーズで最もストーリーを綿密に積み上げた上で書かれた作品だと思う。シャム双子に対する法的解釈もなかなか感心させられる。いろいろ感心してしまう作品です。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
4488104118
No.1:
(4pt)

作者の愛が昂じて?

休暇に出かけたクイーン父子は、一夜の宿を借りた邸宅で山火事に囲まれ、進退窮まる。おまけにその家ではヘンな研究が進んでいるわシャム双生児はいるわで、ただならぬ雰囲気。そして殺人。トランプの札を使ったダイイングメッセージもの。また、事件の進行と山火事の恐怖が平行し、閉じ込められた人々をおいつめる。クイーン作品における、探偵エラリーに対する作者の視点は何故か非常に執拗、あるいは女性的だと思う。何故、男が書いている男の探偵の話で、その探偵の着替えやら水泳シーンやら(『エジプト十字架の謎』)全裸やらが丁寧に書かれるのか!非常に気になっている。問題の全裸シーンありがこの作品(この作品だけだが)。とても不思議だ。
シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)Amazon書評・レビュー:シャム双子の謎 (創元推理文庫 104-11)より
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