■スポンサードリンク


シャム双生児の謎



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

シャム双生児の謎の評価: 6.00/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(5pt)

あまり面白くなかった

訳がくどかった。

わたろう
0BCEGGR4
No.2:
(4pt)

怪奇趣味とタイムリミットと、と色んな趣向が盛り込まれているが…

国名シリーズ7作目の本作は今までとは違う怪奇趣味を押し出した異色作だ。
カナダへの休暇旅行からの帰り道で出くわした山火事のため、山の頂上に聳え立つ屋敷に泊まらざるを得なくなるクイーン親子。そしてそこにはなんだか怪しげな雰囲気を身にまとう住人たち。そしてクイーン警視自らも巨大な蟹のような化け物の幻想を見るという、今までにない不思議な導入である。

もっとも特徴的なのは山火事で周囲から隔離された《矢の根荘》で起きた殺人事件にクイーン親子たった2人で事件に挑まなければならないという「雪の山荘物」だということだ。こういういつもとは違う状況のためか、エラリーはいつもより饒舌で、自らの推理が確固たる物になる前から推理を披瀝し、悉く間違えを犯すという一面を見せている。
さらにもう1つの大きな特徴は“読者への挑戦状”が挿入されていないということだ。事件は密室でもなく、館にいる誰もが成しえるような状況であったが、2つ起きる殺人事件のいずれの死体の手には半分に切り裂かれたトランプが握られており、本作のメインの謎がこのダイイング・メッセージにあるに違いないと思われ、それに関して推理を巡らす事もできるので、私はなぜ挑戦状が入っていないのか不思議に思っていた。





▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

世界初のクローズドサークル本格ミステリは、なぜ『そして誰もいなくなった』にはなれなかったか

自動車で旅行中、山火事に巻き込まれ下山不可能となったクイーン親子は、山頂付近の大きな山荘へと身を寄せる。
しかしその山荘に集まった人々の中で殺人事件が発生し、他に鑑識も指紋係も一切いない中、クイーン親子は二人だけの事件捜査を余儀なくされることとなった。
そしてその間も山火事は鎮火するどころか強まり続ける一方で、火の手は徐々に山荘へと迫ってくるのだった……
そんなクイーン作品の中では珍しいクローズドサークル作品です。

国内ミステリでクローズドサークル作品の定番シリーズである『学生アリスシリーズ』の第一作目である『月光ゲーム』でも今作が紹介されています。
山で自然災害に巻き込まれたことで下山できなくなった上に、その状況下で殺人が起こり、連続殺人と自然災害の二重の脅威にさらされる。そしてやがて殺人犯人まで運命共同体となり、推理と平行してサバイバル展開が描かれるというプロットは、この作品をオマージュとして『月光ゲーム』が書かれたと考えていいでしょう(ちなみにクローズドサークルという言葉自体を日本で定着させたのがこの『月光ゲーム』であるという説もありますね)

外部からは入れない、外部へは出られない。
限定された空間と人物のみで構成された舞台で殺人事件が発生する”クローズドサークル”というジャンルのミステリーの代表的作品は、何といってもクリスティの『そして誰もいなくなった』
そして、しばしば世界初のクローズドサークルミステリとして扱われるのが同じくクリスティの『オリエント急行殺人事件』ですが、実際はこの作品の方が一年早く発表されており、おそらく世界初のクローズドサークルミステリ作品と言えるでしょう。
(探せばこれより先にもある可能性は否定できません。また、ミステリの定義次第ではそれこそギリシャ神話にある、ミノタウロスの迷宮の話などもクローズドサークルミステリと言えなくもないですね)

ではなぜこの作品はクリスティのその二作ほどの地位を得られなかったのかと考えると、身も蓋もないことを言えばその二作があまりにも名作すぎたからなのですが、他にも理由を考えてみますと、まず、シャム双生児という奇形を題材に扱ったことが一般向けではなかったというのがあると思います。
(もっともこの作品は決してシャム双生児という異形の怪異や悲劇性を押し出している話ではないのですが)

また、作者のクイーンの考えるこの作品の特異性は、あくまで外部からの科学捜査の介入の一切の排除であったようで、この作品は後のクローズドサークル作品では定番となる、殺人犯と一緒の空間に閉じ込められている恐怖や危機感というものが殆ど描写されません。
殺人犯以上に山火事の方が脅威だからという理由もありますが、この点においてはせっかくのクローズドサークルの魅力を、草分け的存在の作品ゆえに作者も理解できていなかったのかもしれません。

単純に作品の出来としてはクリスティの二作や、同作者によってこれの前年発表された名作4作などには及ばないとは思いますが、他の作品にはない物理的な危機に追い詰められるクイーン親子という展開が緊迫感があり面白かったことと、クローズドサークルファンとしては、世界初のクローズドサークル本格ミステリ作品に敬意を評したいということで、贔屓目の点をつけちゃいます。

▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

マリオネットK
UIU36MHZ

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!