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火刑法廷
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火刑法廷の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.92pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全52件 41~52 3/3ページ
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法廷ものではありませんが、題名にのっとり、第一部起訴状に始まり、証拠−論証−要約−第五部評決(エピローグ)へと続きます。 相変わらず、クモの巣のように張り巡らされた仕掛けですが(それでも本作は控えめ)、第四部の途中まで辛抱強く読み進めれば、あとには極上の結末が用意されています。 17世紀のフランスに、毒殺魔で悪名の高い、侯爵夫人がおりました。名はマリーと言います。 侯爵夫人に毒薬の使い方を教えたのが、愛人でもあったゴーダン・サント・クロワ大尉でした。 大尉は後に、移り気な侯爵夫人により毒殺されてしまいます。 その後、デプレという密偵の裏切りにより、侯爵夫人は捕らえられ、断頭台にかけられた後、火刑に処せられました。 時代は変わって、現代。 編集者のエドワードは、100年前の毒殺魔が、自身の妻マリーに生き写しであることにショックを受けます。 一方、デスパード家の相続人マークは、おじの死はヒ素による殺人であるとの疑念を抱き、密かに検死を行うため、墓をあばきますが、証拠となるおじの遺体は棺の中から消失していたのでありました。 この、デスパード家は、密偵デプレ家の末裔であります。 さらに、犯罪研究家で、文章家でもあるゴーダン・クロス氏なる人物が、探偵役を担うことになるのですが・・・。 第四部までの本格推理から、第五部(エピローグ)が加わったことにより、「奇妙な味」とも言うべき作品に変化します。 | ||||
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カーを一冊挙げるなら、「皇帝のかぎ煙草入れ」か本書かどちらかを挙げる人が多いのではないかと思う、作者の代表的傑作。 作品中にあふれるオカルティズムはカー作品中髄一で、これは本当に推理作品としてのエンディングを迎えられるのだろうかと期待と心配とを交えながら読んだが、一応推理作品的な解決を示しながら、さらに結末を反転させるという超荒技をやってのけている。 こんなのミステリーじゃないという人もいるし、私も実はそう思っているが、ミステリーという枠にさえ捉われなければ、本書こそカーの最高傑作と言えよう。 ジャンルなんか無視して楽しんで読めばいいと思う。 | ||||
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不可能犯罪ミステリの巨匠カーの代表作のひとつとして 題名は知っていたものの、 読んだことのなかった本書をこのたび読み終えました。 <婦人毒殺魔が流行のように輩出した 十七世紀と現代が妖しく交錯し、 カー独特の世界を創出した第一級の怪奇ミステリ> という作品紹介が裏表紙にあります。 そう、この作品こそ、 ミステリとホラーの融合が果たされた 元祖というべき作品なのです。 作品の中核をなすのは、死体消失のトリックです。 胃腸炎で死亡した老人に毒殺の疑いが生じ、 墓を暴くことになったのですが、 確かに埋葬されたはずの死体が 棺から消え失せていたのです。 一体誰が、どうやって死体を持ち去ったのか、 その鮮やかなトリックは 作品後半で明かされることとなります。 しかし、これで終わってしまっては、 本書はカーの代表作とはなり得なかったでしょう。 本書の醍醐味は、謎解きが終わったあとの 「エピローグ」にあります。 ミステリ的解決とは違った、 ホラー的解決が待っているのです。 このラスト、カーに続くミステリ作家達の小説を 数多く読んでいる現代の読者としては、 衝撃と呼べるほどのものではなくなっていると思います。 しかし、これが元祖ということで読む価値はあり、 と感じました。 その趣向は現代の作家達に引き継がれていて、 全く色褪せてはいません。 「火刑法廷」という題名も、 読み終えてみると作品の趣向を如実に表していて、 とても印象深いものとなっています。 | ||||
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自分の妻であるマリーが、過去の毒殺魔と瓜二つなことを 知ったエドワードは、奇怪な事件の渦に巻き込まれていく。 密室状態の納骨所からの死体消失、 被害者の部屋の壁を通り抜けていく毒殺侯爵夫人と似た扮装をしている女、 そして、揺り椅子に座って手招きをする死んだはずの老人……。 頻発する怪現象を巻き起こす犯人は誰なのか? そして、果たしてマリーは、不死の毒殺魔ブランヴィリエ侯爵夫人なのか? いかにもカーらしい、不可能興味と怪奇趣味満点な道具立てやトリックが、 全編に組み込まれていますが、これらの謎はすべて合理的に解決されます。 しかし本作は、そうした探偵役による〈解決篇〉の後のエピローグで 物語の底が抜け、ミステリからホラーへと反転する構成が採られます。 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」といったミステリ的解決の後、 もう一度、「幽霊」が現れる、というわけです。 ただ、結果的に、ホラー(むしろリドル・ストーリーかも)として着地する本作ですが、 一旦、謎が合理的に解かれる、という段取りを踏まえていることから《多重解決》の 味わいもあり、決して安易な超自然現象の導入ではないことは、強調したいです。 ミステリとホラーの奇跡的な調和を実現した本作は、 カーの最高傑作であると同時に、ミステリ史上でも、 不朽の名作といえます。 | ||||
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自分の妻であるマリーが、過去の毒殺魔と瓜二つなことを 知ったエドワードは、奇怪な事件の渦に巻き込まれていく。 密室状態の納骨所からの死体消失、 被害者の部屋の壁を通り抜けていく毒殺侯爵夫人と似た扮装をしている女、 そして、揺り椅子に座って手招きをする死んだはずの老人……。 頻発する怪現象を巻き起こす犯人は誰なのか? そして、果たしてマリーは、不死の毒殺魔ブランヴィリエ侯爵夫人なのか? いかにもカーらしい、不可能興味や怪奇趣味満点な道具立てやトリックが、 全編に組み込まれていますが、これらの謎はすべて合理的に解決されます。 しかし本作は、そうした探偵役による〈解決篇〉の後のエピローグで 物語の底が抜け、ミステリからホラーへと反転する構成が採られます。 「幽霊の正体見たり枯れ尾花」といったミステリ的解決の後、 もう一度、「幽霊」が現れる、というわけです。 ただ、結果的に、ホラー(むしろリドル・ストーリーかも)として着地する本作ですが、 一旦、謎が合理的に解かれる、という段取りを踏まえていることから《多重解決》の 味わいもあり、決して安易な超自然現象の導入ではないことは、強調したいです。 ミステリとホラーの奇跡的な調和を実現した本作は、 カーの最高傑作であると同時に、ミステリ史上でも、 不朽の名作といえます。 | ||||
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…だと思うんですが,一般的知名度は皆無の作品。その一方で,作者のライバルたるクリスティーの代表作「そして誰もいなくなった」は、巷間比類無きミステリの最高傑作として祭りあげられています。…カーキチでアンチクリスティーの自分には、非常に腹に据えかねる事実です。作家を並べてみるに、ストーリーテリング・キャラクターの造形・サービス精神・ユーモアセンス等々どれをとっても彼女とカーでは比較にならないでしょうに。有名無名問わずカー作品の多くが,馬鹿馬鹿しいと不等な評価を受ける理由の一つに,翻訳の下手くそさ、が考えられます。もう一つは,マニアックなカーキチ達が密室に拘るあまり,カーのその他の魅力を一切流布しようとしない,その偏執狂ぶりに起因するのではないか(それは早川を筆頭に出版社自身も叩かれて然るべきだが)。しかしこの「火刑法廷」…上記のマイナスポイントを差し引いても、とにかく素晴らしいです!カー以外の他の誰にもこんなミステリは絶対に書けません。古典なぞと言う言葉ではひとからげに出来ないカーの代表作にして唯一無比の傑作…未読の方は是非ともこの作品で、稀代のエンターテイナーにしてイリュージョニスト、ジョン・ディクスン・カーを堪能してみて下さいね。 | ||||
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本書は、カーの特長である怪奇趣味と不可能トリックの融合が存分に楽しめる作品で、個人的には「☆5つ」としたいところである。 冒頭はやたら説明調の文章が続きわずらわしさを感じるが、地下の納骨所を掘り返してみると、マイルズ老人の棺の中が空だったというあたりから俄然面白くなり、そこから先はもう途中でやめられなくなる徹夜本である。ではなぜ「☆5つ」でないかというと、推理作品としてみた本書のメインは、密室状況の納骨所から消えた死体の謎と、ヘンダーソン夫人が見た、開くはずのないドアに消えた「ブランヴィリエ侯爵夫人」の衣裳を着た女の謎にあるが、それらの解決がしっくりこないからである。 まず、地下納骨所を掘り返して、棺の中が空だったというところまでの退屈な作業については詳細に記しているのに、肝心の他の棺を片っ端から調べる作業についてはかなり端折られているため、そこに記されていることはまったく印象に残らない。 そのため後から説明を受けても「そうだったかな?」という感じで、トリックそのものは秀逸であるのに、残念ながら「ああ、成程」と感銘を受けるには至らない。 次に、開くはずのないドアの謎について、その「偶発的な」トリックを支える小道具である、書きもの机の上の「あるもの」については、それまでそういうものが部屋の中にあるということがどこにも記されていないため、「ああ、成程」と感銘を受けるには至らず、むしろフェアさに欠けるようにすら感じる。 それに、ヘンダーソン夫人が「女の首はぴったり体にくっついていなかった」と言っていたことについては未解決のままである。 以上、怪奇サスペンスとしては非常に面白い本書だが、推理作品としては画竜点睛を欠いており、「☆5つ」までは進呈できない。 私のストライクゾーンど真ん中の作品なだけに実に残念である。 | ||||
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この小説は 推理小説としてのオチ?も理論立てしてあるし、違う もう一つの終わり方にしても納得がいける。 一冊で2通り楽しめるお得な小説です。 | ||||
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カーの不可能味とオカルティズムが融合した奇跡的傑作。 主人公が通勤電車の中で見た数百年前の女性毒殺魔の写真の顔が、妻にソックリな点に興味を覚えた時点から物語は始まる。この後、主人公の周りでは不可思議な事件が続くのだが...。 カーの多くの作品に見られる竜頭蛇尾の感じは全くない。その逆で、計算し尽くされた精緻な構成・人物配置・伏線の張り方は驚嘆の的。カーとしては分量は少ない方だが、その中に自身の作風に加え、E.クィーンの論理性とH.マクロイの味をプラスしている想像を絶する出来栄え。再読すると、初読の際に気付かなかった細部の技巧に気付き、驚きは増すだろう。 カー・マニアは勿論、一般のミステリ・ファンにも絶対お勧めの一作。 | ||||
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傑作の誉れ高いカーの代表作。途中無駄な描写などで退屈する部分もありますが、それが最後の謎解きに利いていきます。特にそのストーリーテリングは絶品で、章の最後にちょっとした(とても大きな)サプライズがあるので読むのをやめられません。ラストについては、語るのをやめましょう。こんな古い作品でも、いまだに新鮮な驚きがあります。 | ||||
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ゴシックホラーだと思って読めば随所に怖がらせの効いた、良質のホラーミステリと思えばきちんと伏線のはってある、典型的本格もの光の当てる方向によって作品の内容が変わってくる技巧の極致といえる作品です | ||||
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私はこの本を読み終えた後、何か妙な脱力感を覚えた。この脱力感はいったいなんと表現すれば良いのか分からない。 この本のストーリーは、中世において行われた「魔女狩り」という儀式を下敷きにしている。そして物語は進むにつれ、現代の事件が、時系列を飛び越え、過去の事件と関連性のあることを如実に示していく。このあたりは、奇怪小説を得意とする、ディクスン・カーのテクニックの面目躍如というところなのだが、実におどろおどろしい。そして、ラスト、全ての糸はほずれひとつの結論を私達に示す。カーには奇をてらうばかりに、そのストーリーに一貫性がなくなる傾向があるのだが、この作品においては、それは微塵もない。そのため私は、不可能が可能になってしまった現実を前にして、ただただ脱力感を覚えるしかなかった。 | ||||
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