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半島を出よ



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半島を出よの評価: 4.00/5点 レビュー 322件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全322件 81~100 5/17ページ
No.242:
(2pt)

緻密で壮大だけど、ヒーローが極悪人だから素直に応援できない

少数の北朝鮮軍が福岡ドームを占拠するという斬新な設定に惹かれて読んだけど、とにかく説明が細かすぎて、全部読んでると話がなかなか前に進まない。
例えば新たにある人物が登場したら、その生い立ちやら逸話やらやり出して話の腰折りまくり。
説明はもっと簡略化して欲しかった。
それから唐突にシーンが変わる。
舞台が変わってるのにその説明がないからしばらく分からない。
最後に根本的な批判だけど、このストーリーのヒーロー的な
存在のグループが、一般人を殺したがってる極悪人たちだってこと。
設定は面白いし、最後の北朝鮮軍を倒す作戦も
緻密で壮大だけど、ヒーローが善人じゃないから
素直に応援できない。
これが一番大きいかなぁ。 
映画化するなら人物設定変えないと一般ウケしないだろうな。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.241:
(4pt)

スリリングな本、緊張感が最後まで持続する。

この本は北朝鮮が日本でテロを起こす事がメインで描かれている。
非常に緻密な情報収集を行った上での、ある種のシミュレーションを読んでいる気分になった。
設定が現在の日本の状況にマッチしていて、現実感のある緊張に満ち溢れている。
身近な話なので恐怖を覚える。

様々な人々の目線より作品が展開されていくところも面白い。
政治家、一般市民、北朝鮮の兵士、マスメディア、社会からはみ出したものなどなど。
それぞれの価値観の違いがあり、優先するべきものも違う。
その中でほんの少しの認識のズレが、様々な問題を引き起こし、事態はどんどん悪化していく事になる。

決して、読んで飽きがこない、いや、むしろ緊張感が最後まで途切れないスリリングな本。
おすすめです。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.240:
(4pt)

日本の抱える問題を浮き彫りにしつつ、エンタテインメント性をもった良作

北朝鮮の一部の軍部が策略で、北朝鮮反乱軍を名乗り、福岡を占拠。日本の反乱分子とも言える若者たちが立ち向かっていく話である。このように書くと、とてもありえない話のように思えるが、村上龍の綿密な取材と描写により、起こってもおかしくないことだと知らされる。日本の抱える問題を浮き彫りにしつつ、エンタテインメント性をもった良作だ。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.239:
(3pt)

村上龍らしく、でも新しい

まず勘違いしてはいけないのが、村上龍の作品は、麻生幾のようにドキュメンタリー性の強い作品でもなければ福井晴敏のような軍事的サスペンスでもない(ヒュウガウイルスはこの要素も強いけど)。基本的には群像劇がその持ち味だ。
その群像劇としてだけなら素晴らしい作品だろう。彼にしか出せない独特の雰囲気を十分に堪能できる。最後にもう一度当事者達の詳細な心理描写を見たかったが、これはこれで完成されており、消化不良な感じはしない。以下はそれ以外の分野について。
政治の分野では、さすがに現実の政治家はここまでバカじゃないと思いたいが、今の民主党政権ならやりかねんと不安になる…。そういった意味ではリアリティも…。
北朝鮮側の描写についても、かなりの取材をしたのだろうと思わせる深い描写が見られる。
経済や軍事的な分野は、ちょっとお粗末。福岡周辺や警察、自衛隊への取材は表面だけではないかと疑いたくなるほど簡単な間違いが多く、せっかく物語にのめり込んでも一気に冷めてしまう。
群像劇としては是非読んでほしい作品だが、特殊部隊とのドンパチを見たい人にはオススメできない。
最後に、北朝鮮の船団が接近するなか、対 空 戦 闘 機 のF-15は 滑 走 路 の な い 春日基地で何に対して厳戒態勢をとっていたんだろう(笑)
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.238:
(5pt)

堕落しきった日本人への警告書

社畜のサラリーマンは疲れきっており、何も考えることができない。
朝鮮人に占領されても、へらへらと笑みを浮かべるだけで、現実を認めようとしない日本人。
経済は崩壊し、日本は世界的地位を失った。
誰も助けてはくれない。
日本の価値など金だけでしかなかったのだ。

この本を読了した直後、私はとてつもなく悲しい気分になった。
強くなりたいと思った。もっと勉強したいと思った。

村上龍は、「立ち上がれ!日本人」と我々に呼びかけているのかもしれない。
私の胸にはしっかりとその思いは届いた。

とても良い本です。
ぜひ読んでください。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.237:
(5pt)

個人の多様性と、想像力の欠如

北朝鮮を怖れる全ての日本国民に読んでほしい。

 国家的な不気味さばかりが強調されるが、国家は当然個人の集まりで成立している。
その個人の思想を統制しようとしている点が、かの国の真に怖れるべきところであるが、
日本に侵入し、自由に考える余裕ができた事で、その統制に乱れが生じる。皮肉だが実に有り得る話だ。
 昔、共産圏から米国への亡命者を、まずディズニーランドに連れて行くという話を読んだ記憶がある。
娯楽に巨万の富を投入する資本主義を見せつける事で亡命者の常識を覆すのが狙いだろうが、これも一種の洗脳ではある。
都市伝説の一種とは思うが、忘れられない。

 作品中で、北朝鮮(反乱)軍に対し、政府や国民は何の対策も講じる事が出来ない。
リアクションを起こしたのは僅かに、26歳の女性アナウンサー、83歳の老医師、10代の反社会的とされる少年グループのみ。
所謂、戦時における「非戦闘員」ばかりだ。そこに政治や経済を担っているはずの壮年男性の姿はない。
武器を持つ相手に「恭順」以外の反応が出来たのは、自ら考え、無謀とも言える行動に出た者だけだ。
その方法はそれぞれ違ったが、日本人の国民性を一括りで想定していた北朝鮮人には衝撃を与える。
そう、個人の思想や行動にズレが生じるのは全くもって当たり前の事なのだ。
そしてそれは、北朝鮮においても、どの国においても、同じである筈だ。

 現代日本の中に燻り続けるアジア蔑視。ネットに溢れる中国・韓国・北朝鮮への誹謗中傷。
私は88年に修学旅行で韓国を、08年に北京五輪観戦で中国を訪れたが、そこで知り合えた人々に不快な思いをさせられた事はなかった。
 韓国の博物館では、子供を引率した老人に「私は日本の植民地時代に日本語を覚えました」と話し掛けられたが、
物腰も言葉もとても穏やかで、「歓迎します。我が国の歴史を学んで下さい」と優しく微笑まれた。
 中国の五輪会場では、日の丸の鉢巻きと扇子、ポンチョを身に付けた私は、中国人を含む多くの外国人から記念撮影を求められた。
日の丸を不快に感じる人がいるかも知れない、という懸念は旅行前からあったが、日本人として日本人を応援する際に、他に適当なものは思いつかなかった。
 中韓どちらも観光客に対するただの拝金主義である、とする日本人はいるだろうが、そんな人にこそ聞いてみたい。
「あなたは現地で個人と接触した事があるのか? メディアで見聞きした情報だけで判断していないか?」と。

 イタリアを訪れた際も、スキンヘッドの若者から、片言の英語で「ここのタクシー待合所の表示は古い」と教わり、正しい場所に案内してもらった。
わずか3国で外国を知ったように語るのは憚られるが、結局どの国にも「絶対の国民性」などないと思う。
日本だって、「安全な国、勤勉な国民性」という評価が既に古いではないか。

 最近起きたハイチ地震に対するリアクションとして、折り鶴を送る運動が日本の一部で広がっているという。
ここに致命的な「想像力の欠如」を感じる。暴動が起きるほど飢えた人々に一般市民ができる範囲の支援なら、募金の方が絶対に有効だ。
「自分がしたいことではなく、相手がしてほしいことをする」という、基本的な事が理解されていない。
村上龍氏が描き出した「考えない日本人」、または「考えているふりをする日本人」
―占領下にある福岡市民の為にと、キャンドルを持って祈るような―に通じるものを感じて、なんとも言えない暗い気持ちになった。
 しかし、2010年の冬季五輪前に韓国で行われたフィギュアスケートの大会のニュースで、少し救われた。
日本人選手の演技への妨害を煽るようなネット上の書き込みに反して、観客からは演技に対する拍手が送られたそうだ。
真のスポーツファンなら当然の事で、両国の対立を深めているのは、結局現場に行かない人々なのではないだろうか。

 一部の国民の卑劣な行為に激昂し、その国をまるごと批判してしまうのは、愚かな事だ。
日本人、日本国も諸外国からそう見られる危険性がある事を、常に認識しておくべきだと思う。

 村上龍氏は北朝鮮と日本ではなく、個人を描いた。小説とはもともと、個人を描くものだ。
左手に残る未読ページが少なくなる事を惜しく思った、素晴らしい作品だった。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.236:
(5pt)

考えろ

村上龍氏が発するメッセージは、とてもシンプルだ。

 考えろ。考えるために、情報を集めろ。
疑え。その情報は操作されてないか?操られるな。
恐れるな。恐怖は判断を鈍らせる。恐れを冷静に分析しろ。
成功するためではない。成功なんて幻想だ。金も名誉も一瞬で消える。
ただ生き延びるために、考えろ。そういう時代なんだ。

 日本の敗戦を振り返れば「五分後の世界」を書き、
疫病が流行すれば「ヒュウガ・ウィルス」を書く。
前の世代が妄信していたものに疑問を持ち、人が目を背けるものに焦点を当て、
自分なりの結論が出るまで追求する。

 日本にとって北朝鮮とは何なのか。
恐怖か?軽蔑か?それは何を理由に生まれた感情なのか?
浅はかな感情を振り切り、現実だけを見詰めろ。
冷静に、最悪の事態に備えろ。

 多くの小説や音楽が、ここ一週間程のスパンの恋愛しか語らない。
あるいは「昔は良かった」的な懐古主義、感傷的な内容だ。
それではこの時代を生き抜けない。

 常にエッジに立ち続ける村上龍氏の危機感は、一読に、いや何読にも値する。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.235:
(5pt)

面白かった!気持ち悪いけど。

長い本なので俺読めるかな?と思いましたがサラサラ読むことができました。

最近虫がいる!!みたいなことをコリョの兵士が言った時に「シノハラだっ!!!」っと鳥肌が立ちました。

屈強で鍛え抜かれたコリョの兵士達が、いや、だからこそかもしれないが、日本のユルイ空気の中で統率力や団結力が薄れていく過程も私は楽しめました。

気持のよい本ではないですが面白かったです。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.234:
(3pt)

ファンとしてやや失望

上巻のレビューでも書いたとおり、村上龍は私にとって特別の作家である。下巻でこそ往年の村上龍の圧倒的な文章が読めると期待していたのだが、結果としてやや失望してしまった。単なる読み物として本書を読めばかなり楽しいのは間違いないのだが、かつて村上龍の作品の洗礼を受けた人間は、それ以上のものを本書に対して要求するだろう。創造と破壊、システムへの反抗、といった村上龍の往年のテーマが下巻では随所で垣間見られ、中にはかなり気に入ったフレーズもいくつかあった。しかしながら、全編にわたって詰め込まれた無駄に詳しい情報の山がこれら文学的テーマを覆ってしまっている。ストーリーテリング能力の欠如を取材等で得た膨大な情報量でカバーしようとした作家としてはかつて三島由紀夫がいた。晩年の三島の小説には初期のようなキレが失われたとは皆が指摘することだが、作品が情報を詰め込んだ「マッチョ」なものになってしまったのも一因であろう。村上龍の本書は、三島の晩年の小説よりもさらに「マッチョ」であり、かつてのキレは皆無である。結末、特に生き残った北朝鮮兵士の顛末などは完全に通俗小説のレベルに堕してしまっている。往年の名作のような村上龍の新作を読むことはもうできないのだろうか。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.233:
(3pt)

リアルさに若干欠けるが盛り上がる活劇もの

上巻は全体的に動きが遅いので少しイラつくが、下巻になり展開が早くなり、よりエンタテイメント性が強くなって読みやすい。上巻は多すぎる登場人物達が物語に対し均等にかかわるため、一生懸命登場人物を覚えるはめになり、結局誰にもいれ込めないが、下巻の後半では活躍する人物が絞られてきて感情移入もしやすくなる。但し主役級の人物が場合によっては殺人まで犯している犯罪者とその仲間達で、感情移入するには通常は倫理観が邪魔をする・・。戦闘シーンはスリル満点で圧巻!手に汗握るとはまさにこの事!
ラスト近辺で生き残り組が妙にさわやかな風を吹かしているが、彼らは北朝鮮軍との戦いを喜び、そのために周りで誰が犠牲になって死のうとも全く意に返さない一般的には異常者で、もともとは犯罪者だったはずですけど・・・。北朝鮮軍を撃退した際に多くの日本人も死んでいるが、「死者が少ないと外国が評価している」というくだりは平和ボケ日本への作者からの皮肉だろうか・・・。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
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No.232:
(4pt)

これは小説か。。。?

加筆完全版宣戦布告を読み、それならと薦められた本作品。
時代背景や生活が大変緻密に書かれており、リアリティあふれる作品となっていた。
近未来の設定であるが、おそらくその近未来まで、
小説の中と現在のの諸問題は今のところ解決されそうにない。
日本の行く末を考えさせられる本作品であった。

読み終わって完結する物語は多いが、今後の自分を考えさせられる本作品は稀有な物語である。
ご一読、お薦めします。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.231:
(3pt)

良くも悪くも「読み物」

村上龍の作品を読んだのは約7年ぶり、『共生虫』『希望の国のエクソダス』以来だった。私にとって村上龍は特別の作家である。というのも、私が読書を始めたのは村上龍の往年の名作『愛と幻想のファシズム』を読んだのがきっかけだったからである。その後、『コインロッカーベイビーズ』を読み、この作家の能力に圧倒されたものである。

 本書は村上龍のこれまでの作品の中では私の好きな『愛と幻想のファシズム』に近いと思う。近未来の日本を舞台とした仮想現実的な世界が描かれているという点においてである。村上龍が『愛と幻想のファシズム』の執筆時以来、政治経済の勉強を始め、これらの分野での発言するようになったのは周知のとおりであろう。これまでの「勉強」により村上龍は相当の知識を蓄積しており、本書には『愛と幻想のファシズム』よりもさらに多くの情報が盛り込まれていて、リアリティが追求されているように思われる。おかげで、物語についつい引き込まれてしまう。この意味で、本書はよき読み物である。

 しかしながら、上巻を読んだ限りだと、単なる読み物にとどまっていて、文学的な深みに欠けるという印象を禁じ得ない。村上龍の往年の名作は、創造と破壊、システムへの反抗、といった明確なモチーフがあり、これらのモチーフが村上龍独特の、読み手の臓腑を貫くようなグロテスクな表現によって描かれていた。上巻を読んだ限りでは、モチーフが曖昧だし、表現力もやや平凡である。「勉強」のし過ぎで、村上龍は作家として肝心の表現力を失いつつあるのではないかと感じた(実は、これはかなり以前から思っていたことではある)。

 物語がどのように展開するか、そして村上龍ならではの文章を読むことができるのか。下巻を読むのが今から楽しみである。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.230:
(3pt)

ありえないけど楽しめる冒険活劇ドラマ

経済的に没落し、世界からも孤立している近未来日本の福岡を北朝鮮が狡知な戦略で占領する。
その窮地を救うのが、世の鼻つまみ者・犯罪すら自己解放とある意味開き直った各自過酷な過去を持つ問題児達(児ではないけど)。
北朝鮮の福岡占領の目的がいまいち曖昧な事と、日本がここまで経済的破綻を起こし孤立状態になっていく過程が荒く雑でふにおちないが、「とりあえずそれが前提!」と納得して読めば活劇物としてとても楽しめる。
最初は日本のふがいなさに腹が立ち、そのうち北朝鮮軍のズルくかつ日本をなめた好き放題な言動に腹立ちが移行し、最後には「誰か奴らをスカっと追い出してくれ!」と解決してくれそうな世のはなつまみ者達に期待が膨らむ。後半に進むに従って、とにかく先に読み進みたくてたまらなくなる。
但し、おそらく多くの読者はあまり興味ないと思われる事にも書き込み過ぎなところと、登場人物がやたら多いところが、読んでいて時々つらくなる。それを乗り越えたところにこの小説のそう快感があります。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.229:
(4pt)

胡麻菓子がキライになります。

隣接する国の危うさを通して日本の危うさも浮かび上がらせる作品。
国境、道徳、法律など人が描いた物全てはその立場に置いて、ある時意味を成さなくなる。

過酷な環境に身を置き研ぎすまされる隣国人と甘やかされ自我すら保てなくなっている日本人が
拷問と痺れる程の甘さをもたらす胡麻の菓子にオーバーラップしてきます。

世界有数の富める国、知的水準も高く、平和な国そんな誤摩化しで支えられた日本。
足下広がる湖面の薄氷のように今にも陥りそうな危機を透かしているようです。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.228:
(4pt)

龍先生の授業

個人的には面白かったです。 しかし、人物の背景や内面以外の説明が多く細かいのが今作の特徴の一つで、その為全編に渡りスピード感が無く、登場人物(イシハラ達)が余り動かない事もあり感情移入出来ませんでした。 僕は興味の無い箇所はスカッと流す感じ読んだんですが、それでも所々でめんどくさい感じがしました。 近い作品を挙げるなら麻生幾の(ZERO)みたいな感じでしょうか?
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.227:
(5pt)

いわゆる「文学」ではありません

上下巻を2日で読み切ってしまいました。他のレビューアーも書いているように、字数が圧倒的に多いです。丁寧に読むと、特にカタカナの名前の人物が誰が誰やらわからなくなり、いちいち確認していると、イライラします。でも、そんな必要は全然ない物語です。これを「文学」と思って読んで文句を言っている人は、現実がわかってない人です。北朝鮮の兵士については、知識がないのでわかりませんが、政府内の状況、病院の状況、東京と福岡の市民の感情など、どれもこれもまさに今の日本ではありませんか。この小説の後で本当にドルが暴落し、日本の経済状態が悪化し、オバマ大統領が任命した駐日大使は「ジャパンパッシングの現れか」と新聞にかかれ・・・村上龍が書いたこの小説の書き出しにあまりに似ていませんか? 確かにグロいです。活字が多すぎます。誰に感情移入していいかわかりません。下巻は突然ものすごいスピードで話が進んでしまうし、ラストはちょっときれいすぎ。でも、それがなんだというのでしょうか。これは、文学ではなく、近未来シミュレーション小説というべきでしょう。村上龍は、日本の現状を官僚よりも政治家よりも銀行家よりも企業家よりもまじめに本質を理解して憂えているのでしょう。よくこんな小説を書いたものです。読むこっちもヘトヘトになるのですから、村上さんは、さぞや疲労困憊なさったことでしょう。しかし、これ以上こんな小説を書かれては、ファンは困りますので、当分はのんびり休養にあてて適当なエッセイでも書いていてほしいです。しかし、この小説の中で、一番説得力がある場面は、赤坂のバーでした。これが村上さんの一番親密な世界なんでしょうねえ・・・
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.226:
(3pt)

設定は抜群、でも構成が...

一言で言うと、物語の設定は、時代感覚によく合っていて、興味をそそる内容だけども、話の構成として難が多いといった感じの作品だった。
作者としては、多数の視点から物語を語り、深みをだそうとして新しい小説の構成に挑戦しているのかもしれないが、不必要な部分ばかりが詳細に書かれており、読んでも全然話が進まずイライラする本だった。
作者は、経済や軍事、政治などの多様な視点から物語を語ることで、リアリティを出そうとしているのかもしれないが、村上龍の語る経済は用語ばかりは経済っぽい用語が出てくるが、経済の因果関係に関する考察が稚拙で、よけいにリアリティが失われている感じがする。つまり、作者は物語の背景には、このような経済と政治の背景があって、それらがこんな感じで関係しているから、物語はこうなっているんだということを語りたいようなんだが、どうもうまくいっていない気がする。この点は、愛と幻想のファシズムでも同じだった。
リアリティという点では、物語の中で最も気になる部分であるテロリストの戦いに関して特に前半が曖昧で、かなり現実性に欠けている。それを、作者は奇跡と表現しているようだ。
そのくせ、特にストーリーとは関係のない武器などに関する解説は妙に詳細であり、無駄な気がする。文中で、軍隊オタクが揃えた武器に対して「趣味的だ」という場面があるが、文末に大量の引用リストがある作者の知識こそ趣味的でこの小説には不要のものと思える。
こういった難点がありながらも、展開が気になって途中でやめることのできない小説であり、これも単に物語の設定の良さかなと思う。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
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No.225:
(5pt)

傑作。全く飽きさせない驚愕のリアルさ。下巻への興味は尽きない。

謎の国、北朝鮮を扱った作品であるため、その真偽は別としても、
圧倒的な情報量とリアルさに驚かされる。

北の反乱軍が福岡を武力制圧するという、一見荒唐無稽なストーリーが、
ディテール描写により肉付けされ、瞬く間に現実感を帯びながら、
読者の前に起立している。

このレビューは下巻の読後に書いているのだが、
上巻を読み終わった時点では、結末は何となく予想できたものの、
一体どんな過程で結末に持っていくのか、そのプロセスは見当がつかなかった。

長い、重い、読み難い、とのレビューがあるが、
活字に慣れていれば全くそんなことはない。普通の本。

乞う映画化。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.224:
(5pt)

傑作。全4巻でもいける。もっと描いてもいい。それほど面白い。

内容については、他のレヴュアーが書いているので、割愛。

上巻とはかなり趣が異なり、イシハラグループの最終的な破壊工作に至るまでの
各人、各方面が描写されている。

ただし、上巻で描かれた内閣官房や危機管理に関わる政府要人たちの動向は、
パラレルにはほとんど書かれておらず、そこが残念。
同じ九州内の他県の動向や市井の福岡市民を登場させてもよかった。
もっと描けたし、描いて欲しかった。

これだけのスケールの大きな物語なので、
切り口は豊富にあるし、上下2巻は確かに相当なボリュームだが、
その倍あっても濃密な心理・情景描写があれば、退屈しないはず。

それにしても傑作、一気に読めた。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.223:
(2pt)

もったいない

この作家は初期の作品から不条理な暴力を扱ったりしていて、好感が持てる。
ただ、ときどき集中力が途切れてしまうのか、それとも忙しいのか、突然安っぽい展開になってしまうのが惜しい。

また、自分自身の問題を普遍的な問題と混乱してしまう癖のようなものがあるらしく(その表現がまた押し付けがましい)、主語に違和感を感じるときが多い。だからキャラクター作りが甘くなる。そうなるとコントラストも美しくないので、めんどくさい女と一緒にいる時のようなうっとうしさを感じるときがある。

作者は怒るかもしれないが、無闇にせっかちな性格を直さないと一流の小説は書けないだろう。実際のところは、この人、ものを書くのがあまり好きではないのかもしれない。

なんていうか、もったいないなぁと思います。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017

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