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半島を出よ



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半島を出よの評価: 4.00/5点 レビュー 322件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全322件 101~120 6/17ページ
No.222:
(3pt)

特技が発する 一瞬の輝き

物語が小分けにされているので読みやすい。
平和ボケしているようなら読んでおいたほうが吉。
イザという時、パニックが軽減される。

それに、何かを犠牲にして
何かを守らなければならない状況になった時、
慌てずに済むかもしれない。

各章のタイトルはあえて見ないこと。
ドキドキが薄れてもったいない。

物語内の状況は、執筆時より現在の方が近くなっていて、
貧乏で捻くれて、危なっかしい日本が舞台。

様々な組織単位が出てくるが、
多くの資料や取材を積み重ねたのだろう、
物事は現実に沿って進んでいく。

物流の重要性、政治家や官僚の態度、死との遭遇・・・
対立という環境を通し、最優先事項を決定する大切さも提示される。

作品を通して、ビジネス面や普段の生活で取捨択一する時に
役に立ちそうな教訓も語られている。

平時でも緊急時でも、いつでも教訓は、
少ない情報、些細な兆候を見逃さない。
ということであり。

いつ、どのタイミングでリスクを取って、犠牲を出すのか思案することが
その後の命運を分けていく。

何かを選ぶコトと、何かを捨てるコトの差は同じかもしれないし、
そもそも、この"何か"が決まっているのかいないのか、
そのことが柱になってくる。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.221:
(3pt)

特技が発する 一瞬の輝き

『13歳のハローワーク』の直後に執筆されたというのもあり、
「オマエら・・・ 好きなコトやってていいんだよ」
という村上龍さんの声が聞こえてきそうだ。

"経験していない"という恐怖が見え隠れしつつ、
突飛な登場人物は、限りなく突飛していて、
魅力的なキャラに仕上がっている。 (若干、登場人物が多過ぎるが・・・)

子どものように自由な世界と、
大人のリアルな現実が入り混じりながら話は展開してゆく。

『AKIRA』や『グーニーズ』『ぼくらの七日間戦争』『バトル・ロワイアル』
のように、笑い、涙、暴力、権力、恋愛、青春、戦争。
キラキラとドロドロが混ざったごった煮感覚を味わいたい方にお薦め。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
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No.220:
(5pt)

最上の出だし

まだ上巻の途中までしか読んでいないが、最高の出だしだった。その点は「希望の国のエクソダス」と同様だと思った。北朝鮮は最悪である、という前提を持っている日本人は多いと思うのだが、本書を読むとイメージが変わる。そして北朝鮮のコマンド達と、今後一戦交えることになる日本人のチーム(マイノリティー)との戦い、という展開は面白すぎて、先を待たずにはいられない。村上龍さんにしか書くことができない小説であると思った。映画化のはなしは流れたのかもしれないが、実写版も個人的には見てみたかった。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.219:
(5pt)

村上龍がこれでもかと見せつける圧倒的な世界

ずいぶん前に出版されていて、気にはなっていたものの、まとまった時間で一気に読んだ。

経済が没落し、失業率が10%を越え、アメリカからは見放され、国内には閉塞感が漂い、
その出口を核武装も辞さない軍拡主義に見出した日本に、
北朝鮮の「反乱軍」を名乗る精鋭部隊が侵入し、福岡を「占領」、
その独立と、12日後、12万人の「反乱軍」が日本に入国することを日本国政府に要望する。
一方、イシハラというカリスマ的人物の周りに集まった少年たちが、
その「反乱軍」に対して、ある計画を実行する、というストーリーである。

荒唐無稽なようで、上巻は、圧倒的な情報量で、非常に緻密に描かれている。
日本の政治家が「最優先事項を決められない」ということ、
北朝鮮の内情、兵士の訓練の様子、人間性の記述、冷徹さ、脆さ、
イシハラグループの少年たちの生い立ち、心の傷、心理描写、
あまりにもリアルであり、巨大な作戦が少しずつ動いていく様子に、まったく無理がない。
下巻の計画実行のくだりは、さすがにリアリティーに欠けるように思えたものの、
構築されている世界はすさまじい。

北朝鮮兵士の日本人からは想像しがたい精神構造、退廃を発見する瞬間、
北朝鮮兵士とアナウンサーとの恋、それを打ち消す職務への邁進、
西日本新聞記者の北朝鮮兵士への問いかけ、
「国家というものは必ず少数派を犠牲にして多数派を守るものだ」という問題意識、
処刑式を阻止しようと走る老医、
少年たちの、それぞれの物事への狂気的なこだわり、愛情の欠落、何かの欠落、
自分を刺した母親を許した少年など、
映画のシーンが思い浮かぶような印象的な場面、
強烈なイメージを残す思考の跡が随所にある。

著者は、
「コインロッカーベイビーズ」で、人間と人間のつながりは何か、本性は何か、ということを問いかけた。
また、「五分後の世界」、「希望の国のエクソダス」は、
「日本は有史以来、日本固有の領土を侵略された経験を持っていない」という問題意識が貫かれ、
日本の現状を根底から問うていた。
本作は、その両方の問いが、さらに激烈な形で、現れているように思う。

グロテスクな描写もあり、非常に好き嫌いが分かれる作品だとは思うが、
現在の日本へのアンチテーゼ、心の傷とその快復を、圧倒的な情報量と迫力で描ききった、傑作だと思う。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.218:
(5pt)

村上龍がこれでもかと見せつける圧倒的な世界(上巻と同内容)

ずいぶん前に出版されていて、気にはなっていたものの、まとまった時間で一気に読んだ。

経済が没落し、失業率が10%を越え、アメリカからは見放され、国内には閉塞感が漂い、
その出口を核武装も辞さない軍拡主義に見出した日本に、
北朝鮮の「反乱軍」を名乗る精鋭部隊が侵入し、福岡を「占領」、
その独立と、12日後、12万人の「反乱軍」が日本に入国することを日本国政府に要望する。
一方、イシハラというカリスマ的人物の周りに集まった少年たちが、
その「反乱軍」に対して、ある計画を実行する、というストーリーである。

荒唐無稽なようで、上巻は、圧倒的な情報量で、非常に緻密に描かれている。
日本の政治家が「最優先事項を決められない」ということ、
北朝鮮の内情、兵士の訓練の様子、人間性の記述、冷徹さ、脆さ、
イシハラグループの少年たちの生い立ち、心の傷、心理描写、
あまりにもリアルであり、巨大な作戦が少しずつ動いていく様子に、まったく無理がない。
下巻の計画実行のくだりは、さすがにリアリティーに欠けるように思えたものの、
構築されている世界はすさまじい。

北朝鮮兵士の日本人からは想像しがたい精神構造、退廃を発見する瞬間、
北朝鮮兵士とアナウンサーとの恋、それを打ち消す職務への邁進、
西日本新聞記者の北朝鮮兵士への問いかけ、
「国家というものは必ず少数派を犠牲にして多数派を守るものだ」という問題意識、
処刑式を阻止しようと走る老医、
少年たちの、それぞれの物事への狂気的なこだわり、愛情の欠落、何かの欠落、
自分を刺した母親を許した少年など、
映画のシーンが思い浮かぶような印象的な場面、
強烈なイメージを残す思考の跡が随所にある。

著者は、
「コインロッカーベイビーズ」で、人間と人間のつながりは何か、本性は何か、ということを問いかけた。
また、「五分後の世界」、「希望の国のエクソダス」は、
「日本は有史以来、日本固有の領土を侵略された経験を持っていない」という問題意識が貫かれ、
日本の現状を根底から問うていた。
本作は、その両方の問いが、さらに激烈な形で、現れているように思う。

グロテスクな描写もあり、非常に好き嫌いが分かれる作品だとは思うが、
現在の日本へのアンチテーゼ、心の傷とその快復を、圧倒的な情報量と迫力で描ききった、傑作だと思う。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.217:
(5pt)

リアルすぎる

「情熱大陸」で、本の装丁作家の方が取り上げられた時に、この本も彼が手がけている本の一つということで紹介され、翌日すぐに本屋に走った。普段、文庫派の私だが、この本はどうしても文庫まで待てない気持ちにさせる吸引力があった。

福岡市周辺の住民は、めちゃくちゃリアルに体感してしまうような内容だと思う。
主な地名や商業施設、地理的描写など容易に想像がつくほど、ほぼほぼ実名で脚色無しに
書かれているので、読んだ当初は本当に北朝鮮軍が攻めてきそうで怖かった。
そして読んだ直後に友人の結婚式で文中に登場するホテルシーホークに行った時は「このチャペルで。。。」などと、一人で想像していたら、列席する友人が真緑のドレスを着てきたので一人で可笑しくてしょうがなかった。
なぜ、可笑しいかは下巻を読んだらわかる。

ちなみに、ハードカバーのカバーを見たら、福岡市周辺の人間は絶対「我が家はどこだ?」と探してしまうはず。。。。
とにかく福岡県民には、特に読んでほしい本。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.216:
(3pt)

作者の頭脳に感心

日本あるいは世界の枠組みを正確に理解していなければ、こんなストーリーは描けないだろう。作者自身がじつによく勉強されていることが伝わるような文体、内容となっております。インフォメーションを精査した上での村上龍独自のインテリジェンスがこの一冊に込められている。日本のことをこれだけ真剣に考えている作家ってそんなには多くないと思います。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.215:
(5pt)

カネシロ チェ・ヒョイル シノハラ リ・キヒ

話の流れや情報量のすごさに最初圧倒されましたが、なにより登場人物がかっこ良過ぎます。
カネシロ 年齢と過去は不詳。テロへの強い憧れをもつ。両手首に無数のリストカットの痕。
シノハラ 18歳。カエルやクモや毒ムカデを大量に飼育している。
チェ・ヒョイル 32歳。特殊第八軍団九〇七部隊出身。射撃・撃術など傑対外破壊工作指導者でビルマ・ラグーン爆破事件の立案者。
リ・キヒ 28歳。国家安全保衛部偵察局出身。高等学校を最優秀で卒業後、人民保安省から金正日政治軍事大学に進み、電子通信技術と破壊工作を学ぶ。女性士官。高麗遠征軍電子情報班。
個性派ぞろいです。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.214:
(3pt)

冗長で散漫なのが欠点

北朝鮮のテロリストが突如福岡を制圧、日本の構造問題が多数噴出するが、異能のはぐれ者の少年達の人知れぬ奮闘と犠牲によって解決される、というお話。作者の現代社会に対する問題意識が全編に盛り込まれており、それを鋭い、興味深い、新しいと思うか、浅い、説教くさい、古くさいと思うかどうかでこの作品の評価は別れるだろう。

荒唐無稽な物語ではあるが、筋立ての魅力と作者の筆力によって娯楽として成立している。一方で、リアリティー創出のための細かい薀蓄(うんちく)と登場人物の掘り下げが行き過ぎており、冗長で散漫なのは顕著な欠点。

白眉(はくび)は、少年達がビルに侵入してテロリストと戦闘を繰り広げるクライマックス。凝縮された時間の中での無常な大量死を描く手腕は見事。丁寧に魂を吹きこまれてきた登場人物が、次々とあっけなく死んでいく様は圧巻。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.213:
(5pt)

おもしろかった 

上巻同様、北朝鮮側の面々、日本政府の面々、そしてホームレスの人々の生い立ち、キャリア、視点などが詳細に描かれ、物語の背景も細かく作り込まれている。ただ、登場人物が武器の説明を延々としたかと思うと、あっと言う間に死んでしまったり、スピード感は上巻よりも損なわれているような気もする。ボリュームの多い大著ですが、読後感は爽快。
半島を出よ (下)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (下)より
4344007603
No.212:
(3pt)

「目的」と「目標」を設定することの大切さ

村上龍の経済関係やサッカーのエッセイが好きです。小説はほとんど読んだこ
とがなかったのですが、今回初めて読んでみました。何かのエッセイで村上氏は
箱根の別荘に籠ってこの本を書き上げたと書いていました。その時は、
北朝鮮の特殊部隊や兵器、ヤドクガエル、化学関係の書籍を大量に購入
して、お薦め商品のリストがその手の本ばかりになって、びっくりした(警察が
みたら捕まるんじゃないか)と書かれていました。毎日、執筆に没頭して時々下
界のスーパーに買い物に行った時は、ものすごい外観だったようです。

 また、他のレビュアーの方の指摘によると、実際の福岡の街がリアルに書かれ
ているようです。書物での調査や現地に滞在して、取り憑かれるようにして書き
続けたことが良く分かります。

 日本国政府の対応として、「目的」と「目標」を最初に明確に設定せず。目先
のことにとらわれて場当たり的に対応したと書かれています。確かに、人間は大
きな問題にぶつかるとその問題を直視せずに、周りの細かいことや急ぎのことか
ら手を付けてしまい、大きな問題の存在から目を背けることがあると思います。
本当のリーダーシップとはこのような危機的な状況に発揮されると思うのですが、
現実の世界で起こっても同じような対応だろうと思い、悲しい気持ちになります。

 明確な「目的」と「目標」(上層部のみで末端には知らされていないのだろうが)
を持った、北朝鮮特殊部隊と状況に流されてしまう日本政府との対比が明確に書
かれています。

 上巻では北朝鮮特殊部隊の独壇場ですが、下巻でどのような反撃がイシハラグ
ループからあるのか楽しみです。


半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.211:
(5pt)

平和という名のモラトリアム

たった9人の北朝鮮の武装ゲリラが福岡ドームを占拠したら、、そんな奇抜なアイディアにこの物語は現実をシミュレートする。
そのディティールは緻密でリアリティに満ちている。しかし村上龍は「日本国がウロタエる」だけの、ただそのリアリティだけを追及する程度の作家ではない。『昭和歌謡大全集』で生き残ったイシハラをはじめ、社会非適格者である者(多くは少年)たちが、偏向した知識・傑出した感性を用いて無謀にも熟練された兵士相手に立ち向かう姿を希望を込めて描く。
作中、記者や医師からアナウンサーや市職員、更には驚いた事に北朝鮮の兵士まで、あらゆる立場の人間の対応を彼等のバックグラウンドを下敷きに描きながら、感覚的に我々読者に「平和というモラトリアムの中で生きている」事を実感させてくれる。
そして後半、第11章へ突入した時、村上龍が描きたかった総てがまるで汚物のように吐き出される。この章の為にこの小説は書かれたものだとすら思う。この時代を生き抜く、そのヒントがそこにある。
作中の言葉を借りるなら、この本を読むか否か「それはお前の自由だ。」
この作品はフィクションだが、これを読む貴方の心のドキュメントを感じて欲しい一作。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.210:
(5pt)

リアル

日本の経済が縮小していく過程とそれに対する対策、北朝鮮の福岡占領とそれに対する日本政府の対応等々、いかにもあり得そうなリアルな展開。北朝鮮側の面々、日本政府の面々、そしてホームレスの人々の生い立ち、キャリア、視点などが詳細に描かれ、物語の背景も細かく作り込まれている。それでいて物語全体のスピード感が損なわれていないのはがすごいところ。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.209:
(5pt)

リアルなシミュレーションと壮大な物語

この「半島を出よ」という作品は、上巻と下巻で少しスタイルが違っていて、上巻が徹底的にリアルな想像を元に執筆された話であり、下巻はエンターテイメント性を重視した物語へと展開される。それ故、若干上巻・下巻で読者として戸惑ってしまう部分はあったが、全体的にとても楽しむ事が出来た。話のボリュームは多いけれど、作品通してスリリングな展開が広がり、飽きずに読ませてしまうのはやはり流石だと感じた。

この上巻は北朝鮮が日本でテロを起こす事がメインで描かれているが、これに関しては非常に緻密な情報収集を行った上での、一種のシミュレーションといった感じで、前述したように、話が現在の日本の状況に即していて、とてもリアルな緊張感に満ち溢れている。村上龍の戦争小説として、「愛と幻想のファシズム」や「五分後の世界」といったものは、ある条件を最初に設定しておく事で、物語を構成していた故に、読んでいて現実感というものがとても遠くにあった気がするのだが、この小説はとてもタイムリーな話題ゆえ、僕自身、身の毛のよだつような、恐怖を感じる事が出来た。

特筆されるべき点は、様々な人々の目線より作品が構成されていく所だろうと思う。政治家、一般市民、北朝鮮の兵士、マスメディア、社会からはみ出したもの達等、それぞれの価値観の違いがあり、優先するべきものも違う。そういった中で発生する、ほんの少しの認識のズレが、様々な問題を引き起こし、事態はどんどん悪化していく事になる。実際僕がこの人だったら、どういう行動を取ったのだろう?そういった想像をしながら読んでいくと、やはりこの小説に出てくる人々と同じ行動を取らざるを得なかったのではないか?そんな風にも感じさせられる。本当に取らなくてはならない行動を示されていても、それぞれの立場でモノを考えると、とてもややこしい問題が数多く存在し、正しい行動に繋がっていかないように思う。そういう意味で色々と僕自身も考えさせられる事となった。

多くの情報量を含み、読者に飽きさせない緊張感を作品中に張り巡らせた、村上龍の渾身の作品であるように思う。読んで決して損は無い小説だと思う。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.208:
(4pt)

恐ろしい未来も考えさせられる

昔、テレビでやってた村上龍さんが司会をしていたトーク番組がありまして、その番組が好きでよく見ていて、その頃にトレンディーっぽい小説を読んだ事があるのですが、こんな社会派でしかもエンターテイメント性のある小説も書かれるとは・・・多才な方だと改めて思いました。

舞台の始まりは2010年。
今より荒廃し貧富の差が激しい感じのする日本から始まります。
そして2011年、9人の武装コマンドが北朝鮮『反乱軍』と名乗り福岡ドームを占拠し、その後援軍などにより福岡を占拠する。
彼らの目的に惑わされた日本側は福岡を閉鎖し、作戦を練るもうまくいかない。
しかし政府とは全く関係なく動き出すグループがあった・・・。

北朝鮮、日本政府、イシハラグループの主に3つの視点から描かれています。
特に北朝鮮の軍での様々な描写が生生しくて気持ち悪いくらいなんだけど、実際のニュースなどで知る北朝鮮の情報を見ると誇張してるようにも見えなくて怖かったです。

最後はどんどん畳み掛けるように進んでいってホントにこんなことが出来るのか?とも思ったけど、北朝鮮でこんな事件というか民衆による革命が起こればいいのにとも思う。
そうなると金日成がなにをしでかすか・・・日本も壊滅するかもしれませんね(-_-;)

そんな恐ろしい未来も考えさせられる小説でした。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.207:
(5pt)

コツを教えましょう

上巻の途中から一気に読み終えた。
上巻のレビューでは、この奇妙な若者たちにちょうど武器とであるところだったから、
てっきり彼らが単純に北朝鮮からの「敵」に立ち向かうんだと思った。ゲリラ的にね。
ま、おおよそとしてそれは当たってなくもなかったが、しかし、その中身ははるかに
緻密でもっともっと物語性に富むもんだった。
いやぁ、堪能した。面白かった。

ただし、私がこの下巻を(いくら読むのが速いとは言え)一日ですきっと読んでしまっ
たにはわけがある。
それはですね、超読み飛ばしです(すんません、村上さん)。
どうもレビュアの皆さんによると、この物量、この活字量などなどにかなり悪戦苦闘
されたよう。
でもどうでしょう。もちろん物語としての伏線を読み飛ばしてしまう恐れはあります。
とは言え、たった10日程度で起った出来事なんです。
一気呵成にこの大きな政治的、社会的流れに乗るのは細部にこだわっててもしょうが
ない。

北朝鮮の兵士達の名がカタカナで出てきます。立ち向かう若者たちも皆カタカナの名
です。覚えられません(漢字でないとなんと記憶に残らないことか!)。
いいんです、もう、少々区別がつかなくとも。
色男のTVに出るようになった兵士。恐ろしい威圧感の偉いさん。
その程度の区別で、もうどんどん読み飛ばしましょう。
過去のいきさつ。人格形成、家族との確執。これも、何と言うかどんどん読み飛ばし
ましょう。ばくっと、あぁ、いろいろ問題抱えてここまで来たのね、でいいのです。
大事なことは、前に進むこと。それも駆け足で。物語の時間の流れのように。
きっと、読み終えた後、あぁ、と満足感を覚える。
で、きっときっと、また読み返したくなる。

初めて歩いた道は長かったのに、帰りは、あれっ?!って近いはず。
そう、この作品もそうです。上下で1200ページなんてそんな大部でもない。
それを多い、すごく長い、と感じるのはこのカタカナ名のせい、が大きい。
そして、それぞれの人物の今を語るのに、その人物の過去をフラッシュバックのよう
に入れる点が大きい。
作者にゃ悪いが、一回目の読みでは、これらの部分を適当に(ゴメン)読み飛ばそう。
そして一気にクライマックスまでいってしまおう。

あぁ、なんて面白い作品なんだ。
ささ、2回目、今度は「道の長さ」を知っているから、安心して読むぞ読むぞ。
半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:半島を出よ〈下〉 (幻冬舎文庫)より
4344410017
No.206:
(5pt)

怖い怖い、これは怖い

実はまだ上巻を読んだところです。
でも、まずここまでのところでも感想を書いておかないと。

経済、政治様々な分野で疲弊してしまった近未来(と言っても時代的にはもう今になっているが)の、仮想日本国はが舞台です。
何もこういうだらしない、国際的に孤立してしまった仮想の我が国ではなくとも、十分に私達はこの国の政治を筆頭とする、社会の仕組みにいい加減うんざりしているのではないだろうか。
その、うんざりかげんが特級に進んでしまった、その日本に、対局ともいえる北朝鮮と言う国の、徹底的に訓練を受け、また彼らの思いの中で大きな希望を持っている兵士達が、この国(福岡)に侵略し、これを統治してしまう。
国の実務的に機能しないシステムを突いて、あっと言ううちに、ごく少数の兵士達に、ものの見事に侵略される。
この為す術もない状況。そして、そうだろうなぁ、と実感できる自分。

いやぁ、怖い。実に怖い。いつあってもおかしくないと思える現実があります。
いったいこの状況はどうなって行くのか。この打開の鍵が、どうやら世の中のはみ出者の若者たち。
国民皆番号制からもはじかれてしまった(「正常」な世の中からは)どうしようもないと思われた若者たち。
ここにキーがあるらしい予感を抱かせつつ、後半に入っていった。

ううう、これは読まずにはおれない。
でも、怖い。ほんと怖いなぁ、これは。
どこか、「希望の国のエクソダス」にも通じる、自分の立つこの国と言うものの危うさを感じる怖い小説です。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.205:
(3pt)

挫折してしまった、、、、、完読できず

本書が単行本で出た当時は、時期も時期であったことから大きな注目を浴び、図書館では驚くべき予約の数が入っていたことを思い出す。

文庫本で出版ということだが、とにかく分厚い(しかも上下の2巻)。

期待をもって読み始めたのだが、、、、、、、、、挫折してしまいました。
あまりに長編すぎて、途中で耐えられなくなってしまった。
何とも、ストーリーが重く(特に日本側の登場人物が、難解)こちらの心がもたなくなってしまった。

ただ、作者の想定している近未来の東アジア、日本の情勢というのは非常に興味深い。このようなことにならぬよう、われわれひとりひとりが日々努力をしていくしかないのであろう。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.204:
(5pt)

本当に読みにくいけれど、とにかく読んで!

特に、物語最初のホームレスの件は、
この物語の中で、
これらの人がどういう位置づけになるのかが全く見えず、
本当に退屈。

何度も、途中で放りだそうと思った。

けれど、我が妹が、
「福岡市民なら、絶対読むべき」

と強くいうもんだから、
とにかく読んでみた。

文字数多いし、一章一章の話が長い。

だけど、読み進むにつれ、
全体が見えてくると、
どんどんと物語に引き込まれていく。

しかも、もの凄い取材力!
それに驚いてしまった。

物語は、福岡ドーム(現YAHOOドーム)近辺
を中心に進んでいく。

私は、ホークスタウン
(福岡ドーム・シーホークホテル・ホークスタウンモール)で、
以前仕事に従事していたことがあるが、

村上氏は、このホークスタウンの裏導線まで、
熟知し、物語の中に網羅している。

従業員しか知りえない情報も。

しかも、福岡市内も巻き込んで話が進んでいくので、
福岡在住・福岡出身者には、
物語をリアルに感じていただけると思う。

たまに、博多弁の使い方を間違っているところは、
ちと気になるが(笑。

そして、福岡市民のみなさん、
この物語にあるように、
北朝鮮に制圧されてしまうかも、
または、ミサイルを打ち込まれたりするかも・・・
というこういった危機意識・危機管理能力・・・

この物語を読んで、
考えて欲しいと思います。

この書を教えてくれた妹よ、
ありがとう。

本当に、読み進むの大変で、
時間がかかったけれど、

とても面白い物語です。
半島を出よ (上)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (上)より
434400759X
No.203:
(5pt)

生き延びろ。

この小説は私が今まで読んだ本の中で最も感動したものの一つであるが、だからこそ読み終わった時点は、書評を書くとかそういうレベルのことができない。これは、村上龍氏の小説を読んだ直後に感じる共通の事象だ。いま、かなり長い時間を経てこの小説のことを不意に思い出し”あの、鮮明に印象に残っている文章をもう一度読みたい。”と本棚からこの本を取り出しページをめくり、線を引いた多くの箇所をたどった。その部分は、下巻142ページと159ページに記載されている、スリョン中尉の父親の言葉だった。「スリョン、よい詩を書くことができる人間になりなさい、読む人の側に立った詩を書くんだよ。」村上龍氏の小説には、暗闇の中に細く力強い一筋の光がさす部分がある。その部分に救われたマイノリティーに属する人間の数は、少なくないはずだ。
半島を出よ (下)Amazon書評・レビュー:半島を出よ (下)より
4344007603

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