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深い疵
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深い疵の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.11pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 21~28 2/2ページ
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ストーリーはかなり良く練られています。 元ナチの老人たちへの連続殺人・現場に残された犯人からのメッセージ・ 複雑な人間模様・誰もが犯人となり得るミスリードなどなど・・・ ミステリーに要求されるものが、高い質でまとめられています。 いわゆる本格ミステリーのトリックものではないので その辺りを期待する方はやめたほうがよいでしょう。 現在と過去の事件がリンクしていくのは、ミステリーの定石ですが、 そこにナチスが絡んでくることで、より一層の深みが増しています。 また登場人物も多いのですが、人物描写・心理描写がしっかりしているので 感情移入しやすいでしょう。 マイナス1点の理由 これは仕方のないことですが、登場人物が多い上に、覚えにくい名前が多いので 読むのに苦労します。人によっては投げ出したくなるかもしれません。 原文ではファーストネームとラストネームの使い分けがされているかもしれませんが 翻訳ではファーストネームに統一してもらえると読みやすくなるのになあと思います。 また、60年前の事件や、ナチスが絡んでくるわりには 重要な人物が狭い範囲にかたまりすぎているように感じました。 とはいえ、これほど重厚なストーリーは久々ですので 興味のある方はぜひ読んでみてください。 | ||||
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期待はずれの内容だった。教訓は誰でも同じ感想ではないということだった。これから気を付けようと思う。 | ||||
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2007年4月、92歳のゴルトベルク氏が射殺体で発見される。現場には「16145」という謎の数字が残されていた。氏はアメリカ大統領顧問まで務めた高名なユダヤ人だったが、司法解剖の結果わかったのは、彼が実はナチスの親衛隊員だったということ。そしてさらに第2、第3の殺人が続き、いずれも高齢のドイツ人が犠牲となった。やがてすべての被害者がヴェーラ・カルテンゼーという実業家老婦人につながっていることが判明する…。 ドイツで大ベストセラーとなった、ボーデンシュタイン主席警部とピア警部の二人が活躍するホームハイム刑事警察署シリーズの第3弾です。日本ではこの第3弾と第4弾が最初に翻訳されることになったとの由。 被害者と重要参考人の数が膨大な上、警察署に勤める人々の関係も多岐にわたるため、壮大な群像劇となっています。最初の百ページは、巻頭の家系図と登場人物一覧とを頻繁に参照しながらページを繰る必要があるでしょう。それでも、人物相関図が頭に刻み込めればしめたもの。あとはこの500頁を超える大部の作品も一気呵成に読むことができます。 ゴルトベルク氏は本当にユダヤ人に偽装していた元親衛隊員なのか。2人目、3人目の犠牲者も同じく元ナチなのか。さらに続く殺人事件の背景には何があるのか。そしてヴェーラ・カルテンゼーという女性は一体何を隠しているのか。 最後に見えてくるのは、なんとも悲しくも深い疵の跡です。 戦後60年以上が過ぎ去ろうという時代にあっても、ナチスの亡霊はしきりとドイツの人々に深い疵を負わせずにはいられないようです。謎が謎を呼ぶ、息をつく暇もあたえない展開が心地よいと同時にほろ苦い読書体験を与えてくれます。 そしてなんといっても酒寄進一氏の円熟の翻訳には今回もうならされました。ドイツ語から日本語へと移し変える氏の見事な翻訳手腕は、すでにフェルディナント・フォン・シーラッハの二つの犯罪小説『犯罪』と『罪悪』で証明済み。『犯罪』は2012年に本屋大賞の翻訳小説部門を受賞していて、氏の活躍は広く知られています。今回もその技量をいかんなく発揮して、実に見事な翻訳ミステリーを私たちに届けてくれました。 訳者あとがきによれば、ホームハイム刑事警察署シリーズの第4弾『白雪姫には死んでもらう』の翻訳は氏によってすでに完了しているとのこと。それほど日を置かずに手に取ることができることでしょう。その日が待ち遠しく感じられます。 | ||||
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著者のネレ・ノイハウスは1967年生まれ、ドイツの女性作家。 2007年、本格的にデビューし今までに5作のミステリーを刊行。 本作『深い疵』は第3作目です。登場人物の多さとドイツ名の複雑さに 最初はとまどうものの、それに慣れてからは重厚かつスピード感の あるストーリーに圧倒されながら、最後まで一気に読んでしまいました。 主人公は貴族出身の主席警部オリヴァーと40歳前の女性ピア・キルヒホフ警部 (二人は恋愛関係にあるわけではなく、あくまで上司と部下です)。 ピアの前夫で監察医のヘニングを含む個性的なメンバーが 奇怪な連続殺人の謎に挑みます。 誉れ高いドイツの大実業家一族の抱える闇がそのまま 第二次世界大戦さなかのナチスの悪行につながる面白さ。 ドイツにいまだ残るナチスの爪跡の深さ、敵国と地続きである故の 戦争の惨禍の描写に慄然としつつも、 後半の怒涛のような展開にはページを繰る手ももどかしいほどでした。 娯楽性が高く、しかもドイツの歴史・文化をしっかり踏まえた本作が 本国で大ベストセラーになったというのもうなずけます。 ドイツではいまだに帝政時代の貴族階級が存在するというのも 新しい発見でした。 シリーズ第4作『白雪姫には死んでもらう』の刊行も予定され、 最新刊『風に種を蒔く者』には風力発電などの環境問題も登場するそうです。、 力量あふれる作家ノイハウスの今後の邦訳を読むのが実に楽しみです。 | ||||
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ドイツで大ブレイクしているミステリ作家の 本邦初訳だそうで、大変楽しみにしておりました。 場面のカットも短く、テンポはいいのですが、 その分、登場人物の多さと相まってなかなか 人物把握に戸惑いました。 事件は次々に起きます。 謎も早々に提示されます。 ですから、興味は尽きないのですが、 いかんせん、世界に入っていくのに時間が かかってしまいました。 このあたりはシリーズものの第三作(だったかな?)を 最初に紹介された、という点も影響しているのかも 知れませんね。 でも、登場人物が頭に入り、主人公の刑事2名と 親しくなってくると、どんどんドライブがかかり、 後半は一気読みしました。 ナチスの絡みなので、歴史的背景なども詳しく 知っていればよりおぞましいところも味わえるの かもしれませんが、そうでなくても常識レベルで 十分にミステリとして楽しめました。 ドイツ風の控えめなユーモアの他にも 家族の愛憎、ロマンス、同僚間の協調と反目など かなり全部盛り感のある作品で、次回の紹介作品も かならず読もうと思いました。 | ||||
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登場人物の多さ・それぞれが抱える背景を把握するのが少し大変でした。(シリーズの3作目が初の邦訳ということがあるからでしょうか)読み始めは数行読むたびに人物紹介をチェック。なので、なかなか前に進めない。でも、それを過ぎるとノンストップで読み終えてしまいました。 ドイツでは『ハリー・ポッター』シリーズを抜いた、というのもうなずけます。タイトルの『深い疵』という言葉は作品の終盤・ある人物のセリフに入っているのですが、ナチスという負の遺産を背負っているドイツが抱える歴史も表しているのでしょうか。 読み始めた時期は、ロンドンオリンピックの真っ最中。ネオナチとの交際を報じられた、ドイツ代表のボート選手の帰国という出来事もあって色々考えさせられる内容でした。 | ||||
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ドイツという国が現在でも消し去ることが出来ない忌まわしき過去の遺産。それが現在でも影響を与え続けている実情。この類を題材とした映画も多くある。 本作品は、ナチスの大量殺戮を何とか生き延び、米国で大統領顧問まで務めた92歳のユダヤ人が処刑のような格好で殺されるところから始まる。凶器は第二次世界大戦時代の拳銃、さらに遺体の司法解剖の結果から老人は、なんと元ナチスの武装親衛隊員であったことが判明する。ここまで読んでくると、この先の展開が浮かんでくるようになる〜。矢張り、第二、第三の被害者が出て、彼らもナチスとの深い関係をひた隠しに生きてきたのだ。このままだとツマラン!ということになるのだが、作者は“登場人物の多さ”、“煩雑とも思える、場面転換”を上手くさばき、見事にドイツ人の複雑かつデリケートさを背景にしながら、現代ドイツの縮図を描き切ったと思う。 これが、警察小説か〜! | ||||
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本国ドイツで2009年のデビュー作から著作3作が連続のベストセラーとなる大人気で早くも「ドイツミステリーの女王」と呼ばれる新鋭ノイハウス女史の本邦初紹介作です。近年海外ミステリーの世界ではヨーロッパ勢がとても元気で新鮮な魅力に溢れておりまして、今回評価が上々の著者の第3作である本書を読んだ印象としては、日本版の帯に書かれた「どんなに信じ難くともこれが、真実」という宣伝文は些かオーバー気味かなとは思いましたが、それでも随所に著者の実力の片鱗がうかがえて今後に大いに期待を抱かせる内容だと感じました。 2007年4月ドイツである朝老人の射殺死体が発見される。ホーフハイム刑事警察署のオリヴァー首席警部とピア警部の名コンビが早速捜査を開始し、凶器が第2次世界大戦期の拳銃で、現場に残された血文字による謎のメッセージ「16145」といった手掛かりが明らかになる。しかも被害者の元アメリカ大統領顧問のユダヤ人の老人ゴルトベルクが検死の結果、実はナチス武装親衛隊員だった事が判明し、やがて犯行の状況が酷似した第二第三の殺人事件が連続して起きるのであった。 本書の真犯人を手掛かりから推理で割り出せるかというとかなり難しいと思いますが、唯メッセージ「16145」の意味が朧気にわかった時点で自然に大部分の人物が消去出来たなと後で気づきました。真犯人の正体については随分と唐突な感じがあるのですが、それ以外の部分で著者の非凡な点は最初から事件との関わりが不明な人物を登場させたり、メインの事件以外にも次々と手口の異なる殺人を起こしたり、登場人物たちの多くが怪しげな動きを見せて失踪したりと、目まぐるしい展開で真犯人を絞らせない巧みな構成にあると言えるでしょう。この裕福なドイツの名門カルテンゼー家を巡る過去の暗い秘密がおりなす犯罪の物語は良く練られていて、メインの殺人の謎が解けた後も落ち着きを見せず更に警察をも恐れない悪党どもの暗躍によって最後までスリルとサスペンスが途切れません。殺伐として血塗られた非情な殺人劇の中で、やや出来過ぎですがクライマックスに温かな感動を呼ぶ人間ドラマも用意されていて、最後のオマケにとても現代的な側面を感じさせる趣向も隠されています。さて、ホーフハイム刑事警察署の面々の印象としては、下位の警部たちはやや画一的で個性に欠けますが、その中で何やら私生活に問題を抱えているらしいフランク上級警部が今後どうなるのか気がかりです。立身出世主義の最低なハインリヒ署長は幸い次作では姿を消しそうですが、でも後任のニコラ女性警視がオリヴァー首席警部と過去に恋愛関係の諍いの経緯があった様でこれからもトラブルが絶えない事が予想され先が思い遣られます。そして主役の一人オリヴァー首席警部は妻コージマと娘ロザリーの家庭を大切にする優しい面もありますが、仕事には厳しい態度で臨み上司にも追従せずにオレ流を貫いて逆境にも負けずにここ一番で決めて見せます。最後にヒロインのピア警部は若いだけに先走って間違う事もありますが失敗を恐れずに積極的にチャレンジする行動力が最大の魅力で、過去に恐ろしい男性体験と厳格な同僚の夫との離婚という2つの不幸を経験して今は優しい恋人と出会い幸せな人生に踏み出そうとしています。今回二人の推理はデータが少ないだけに空回り気味で常に後手に回りますが粘り強く奮闘して最後には複雑な事件の全貌を突き止めるのは流石だと思いますし、ピアが人生最大のピンチも何とか気力で切り抜ける必死の活躍が特にお見事で、精神的にも理解を深めた二人の今後の活躍がますます楽しみです。 まだ日本ではようやく1冊が紹介されたばかりですが、動きが非常に活発でサスペンスが持続して最後まで飽きさせずに読ませる警察小説の好シリーズだなと感じましたので、これから未訳作がどんどん紹介されて人気が高まって行けば良いなと期待します。 | ||||
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