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今夜、すベてのバーで
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今夜、すベてのバーでの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.48pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全151件 121~140 7/8ページ
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中島らもには、標題のアメリカの評論家の言葉がキレイに当てはまる。引用した警句を吐い た批評家はマルカム・カウリー。彼の推したS・フィッツジェラルドが、アルコール中毒 (妻を道連れにした)で崩れていったように、あの中島らももアルコールと薬物の海の中に 消えていった。 『今夜、すべてのバーで』を本棚から取り出してもう一度読んでみる。なんだ、中島らもは、 全部ここに書いていたんだ。メジャー文壇デビュー作の本書の時点で、すべてがわかってい たのだということがわかる。 アルコールの生化学的な作用。そのもたらす壊滅的な影響にも関わらず、アルコールを求め ずにいられない人間の精神。ぐじゃぐじゃしたもののなかで、硬質な輝きを希求せずにはい られない心持ち。シュルレアリズム。文学。そして、自分がたどっていく歩み(書く予定の 本のタイトル『病院でやせるダイエット』までさりげなく書きこんである。) アル中患者の入院実録記という体裁だが、もちろん単なる闘病ものではない。中島らもの分 身である俺(小島容)を主人公に、アル中治療の実際を時系列で追って描写しながら、脇の フラット・キャラクターを存分に駆使して(主治医の赤河など)、スピーディな展開で話を 転がしていく。全く飽きさせない。読み進めると、アルコール中毒そのものに対する知識が 深まるようになっている構成がすばらしい。90分ぐらいの映画に誰かまとめてくれないだ ろうか。 …アル中のことがわかるときってのは、ほかのアディクトのすべてがわかるとき ですよ。薬物中毒はもちろんのこと、ワーカホリックまで含めて、人間の“依存” ってことの本質がわからないと、アル中はわからない。…“依存”ってのはね、 つまりは人間そのもののことでもあるんだ。何かに依存してない人間がいるとし たら、それは死者だけですよ。… こんなセリフをプログラム・ピクチャーばりの小品エンタテインメントの中にしれっと書き つけることのできた中島らもは、やはり天才だったのだと思う。階段から転げ落ちて、と伝 えられる死にざまも含めて、天才の技だと感じてしまうが、いつの間にか還暦を迎えた中島 らもなんて姿も見てみたかったと思う。合掌。 | ||||
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酒飲みの、酒飲みによる、酒飲みのための小説です。OSAKE小説。 小説の読み方としては漠然と心の向くままに、とか作家の意図を汲みながら、などありますが やはり大切なのはそれなりに自分なりの解釈です。 「人間は常に何かに酔って(依って)いたいのだ」というのがこの物語の自己流解釈です。 アルコールはもちろん、危ない葉っぱ、ヒーローになった自分、可哀想な境遇、不幸な過去、 輝かしい未来、孤独、容姿、上流階級的なステータス、懐かしい思い出、恋愛、宗教、 エトセトラ、エトセトラ。 それらはいとも簡単に僕たちを「いい気持ち」にさせてくれます。現実的な困難から逸脱し、 一時的な桃源郷に瞬間移動出来るとっても便利な「陶酔」!! 下らない、とは言えません。しかし酔いはいつかは醒めるもの。人生にとって本当に 必要なのは「陶酔」か、「覚醒」か。この小説の主人公小島容は最終的にどちらを選択 したのか。そういう視点で読むと面白いかも知れないです。 | ||||
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アルコールは下らないものだと理解しつつも、その魅力にとりつかれ、その下らなささえも愛してしまったような小説。アル中で入院する小島と、院内で繰り広げられる馬鹿馬鹿しい人間模様。章を締めるときに余韻を残した綺麗なオチで決めるのも、関西生まれで落語作家という顔を持つ中島らもならではのことだろう。アルコールに対する愛は溢れんばかりにでてくる。ラストシーンで小島の呟く「乾杯」は全ての場面をアルコールの馬鹿さ加減に収束させる、名シーンだろう。ドラッグにも精通する著者は、精神安定剤や睡眠薬についての造詣も深く、専門的な知識がわかりやすく書かれていて勉強にもなる。 中島らもの軽妙な文体で描かれる、至上の娯楽小説である。 | ||||
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重度のアルコール依存症患者が主人公の話だが、作者自信もアルコール依存症だけあって、物語なのですが心情などが非常にリアルです。 アルコール依存症を勉強した事がある人でも違和感なく読めます。 当事者の書く物語はともすればアル中賛歌やこきおろしになりがちだと思いますが、湿っぽくならずドライかつ熱い物語になっていて、引き込まれます。 主人公の人格は作者そのままと思われるのですが、 他の登場人物は人格がきちんと分離しているのが素晴らしいです。 読んでみてください。 おすすめです。 | ||||
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この本は文筆業を生業にする主人公がアル中で入院をするというところから始まります。著者自身がモデルなのかなと思いますが、あくまで小説なのでノンフィクションではないと思います。でも、似たような体験はあったのかなと考えてしまいました。私の場合、一人でお酒を飲む癖は治ったので「なるほどねぇ」と思って読んだけれど、現在、禁酒したいけれど出来ない状況でこの本を読んでいたら、脳天を殴られるくらいの衝撃を受けたかもしれません。読み終えて本を閉じた後も余韻が残る名著です。 | ||||
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恐らく、中島 らもさんの作品の中で人気が高いのは、「今夜、すべてのバーで」か「ガダラの豚」なのでしょうが(個人的には「西方冗土―カンサイ帝国の栄光と衰退」もかなりらも度が高いです)、私は「ガダラ〜」でなくこちらが好きです。 アルコール依存の話なのですが、それだけでない、生きていく上での何かを伝えようと感じました。ダメで、辛い、イイことなんか無いけれど、それでも、という何かを。 綺麗な話しだけじゃなく、知らない(アルコールの濃い霧の世界、あるいはその周辺の世界)世界を知るトリビア的楽しみもあるますが、それよりもらもさんの考えるもう既にいなくなってしまった自分の片割れのような存在を感じる話しなのではないかと。いなくなってしまった後も自分は生きていく事の覚悟みたいな何かを確認する話しなのでは、と。 | ||||
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他に似た話がほとんどないであろう自伝的アル中闘病小説。病気自慢みたいな話が嫌いな僕でも楽しく読むことができました。 冷静に見ればこれはフィクションだろうと思う部分もあるんだけど、主人公が著者そのまんまのキャラなせいか、潜入ルポみたいで妙にリアル。怖いもの見たさで一気に読める。 たまにぞっとするような人が出てきたりするけど、不快感はあんまりない。入院中も自分の体におきた変化を楽しみ、平気で生きる主人公の生き様はむしろ爽快。読み終わったら、少々の体の不調なんかどうでもいいじゃないかと思えてくる。 あと、これを読むと食事の仕方がちょっと変わった。まず、酒がまるで「禁断の果実」みたいに描かれてるから、少量の酒を味わって飲むようになる。 そして意外にも、読んで食事がしたくなった。治療をすすめていった主人公が何年かぶりに食欲を感じてごはんを食べる場面があるんだけど、この人が実にうまそうにメシを食う! 普通にごはんをお腹いっぱい食べられる幸せに感謝しつつ、どんぶり系のメシをがつがつ食いたい。逆にこれを読んで酒やクスリをやりたくなったという人はほとんどいないでしょう。 それにしても、らもさんはあの死に方で正しかったんだなあ。酔って階段で転んで死亡って、それ以上この人に似合う死に方が思いつかない。 もし病気になって苦しんだ末に死んだりしてたら、 「マジメに生きないといつかはこのように悲惨な最期を迎えるのですよ」という悪い見本みたいな形で後世に語り継がれそうな気がする。 ただ、死に方は間違ってなくても、少し早すぎたけどね。 | ||||
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中島らも氏の作品が好きな私は,東京圏で氏の著名度が 関西方面に比べて極めて低いのにいつもビックリしております。 らも氏の急逝は,ショックでしたが,らも氏らしい最期であったと 私は思っております. さて,この中島らも氏の”作家としての出世作”となった 「今夜すべてのバーで」。 最初のうちは,アル中の入院体験記か?と思うかもしれませんが, 最後に全てをまとめあげる,主人公の小島と医師の対決は 感動的ですらあります。しかもその対決は突然やってくるのに 作品全体としては大きな流れを失っていない。素晴らしい作品です。 | ||||
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らもさんと言えば酒豪!かつ薬マニアですが、この本は完全酒話です!中島らもファンなら読むべきです。ギャグもかなりありますが、全体としては人のありかたについて少し考えさせられるかと思います。ディープな部分もあるのでそのつもりで読んでいただきたいです。 | ||||
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初めて私が読んだらもさんの小説でした。 恥ずかしい過去なのいですが、バロウズ、ケルアックらビートニクの本を理解できているフリをしながら読んでいた時期が学生時代にありました… この作品を読んでからやっと彼らをいくらかは理解できるようになりましたねー これはらもさんの入院体験が元になって書かれた小説。 エッセイでも読んだ記憶があるのですが(うろ覚え)らもさん本当に医学書読みながら呑んでたらしいですね… 自分自身アルコール依存症だからこそ、らもさんは甘えた事を言う中毒者には厳しい。アル中だからこそアル中のことがわかる。 当時の私にはこの本はある種の救いになりました。 私が好きだったのはネガとポジの天童寺兄妹、不二雄の生き方に憧れに似たものを抱き、さやかの言葉には一言一言頭を殴られた思いをしました。 人の強さと弱さを書いている本です。 | ||||
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読んでいると、とにかく主人公(つまりはらも自身)小島容がかわいそうになってきてしまう。もう体はぼろぼろなのに。こんな状態になってもまだ人間って生きているんだ?と感心してしまうくらいの状態なのに、それでも生きようとしている「命根性のしぶとさ」と「けな気さ」にヒューマニストとしての中島らもを見た気がする。これはデカダンスなんてぬるいもんじゃないよ。命を賭して酒に酔ってるんだから。また見返りの古代エジプトの小咄がいい。「なんのためにそんなに呑むんだい」「忘れるためさ」「何を忘れるの?」「忘れたよ、そんなことは」 退廃の美学。いや、ぼろきれになっても生きてるから生きる、諸行無常なんだが、でも生きる、そして呑む。ヒューマンだなぁ。 | ||||
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「アル中」を「依存」の一形態と捉え、「依存するとはどういうことか」を解明しないと本質的なアル中の解明にはならない、と赤河医師に小島がくってかかるところなど、随所に作者の学問的視点もうかがい知ることができる。 酒飲み、酒好きは多かれ少なかれ共感することがある本だと思う。話のテンポもよく、一気に読んでしまえる。そして登場人物たちはみな魅力的だ。 読んだあと、「粋」ということばが脳裏に浮かんだ。なんと粋な小説なんだ。酒のみならずとも強くお勧めしたい。 | ||||
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「明るい悩み相談室」とともに、中島らも氏をメジャー作家に押し上げた代表作。 自身の体験談を元に、らも氏のアルコール依存症に対する緻密な情報収集の成果が、 惜しげもなく披露されている。 読み物としてとても面白いのでグイグイとページが進み、 気がついたらアルコール依存症の恐ろしさも勉強できてしまう。 いわゆる「アル中」で苦しんだ人、苦しんでる人。 お酒が飲めない人も楽しめる作品だと思う。 | ||||
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アル中(文中の表現、現在はアルコール依存症と呼ばれる)の心情がきわめて赤裸々に語られています。それは、著者自身の感想であったり、プレスリーなどのアル中の状況の例であったり、学問的な見解の紹介であったりします。 この作品から読み取れる何故飲むのか?という問いに対する答えは多様ですが、酒好きだからでは無いという事は確かです。最も説得力のある答えは単純で、時間が有り余っているから、というのがあります。確かに忙しく仕事をしていると、飲む時間はありません。暇が多いと、ふらっと酒に手が伸びるという事は深く共感します。 主役小島はアルコールで入院しますが、主治医の赤河先生は独特な男です。この型破りな先生との出会いにより、小島はいったんは立ち直るのですが、その経過は見物です。最後は二人が霊安室で乱闘騒ぎです。 綿密に資料を整えて書かれたこの作品は酒好きにとってドキッっとする場面が多いです。 大変密度の濃い作品ですが、楽しくハラハラしながら読めます。 | ||||
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中島容という人間が多量の酒を飲み続け 体がどうにも言う事をきかなくなり 病院に言って肝臓がありえないほど酷い状況なので入院を宣告される所 から始まるという、アルコールに溺れる傾向のある人にとっては 少し、ドキドキするような内容の本です。でも、内容はただアルコールの恐怖を煽るという作品ではなく ’依存’という人間の心にある性質を中心に広がる 人間の心から派生する空間を描いた作品だと思いました。んーまぁ何よりラストはとてもフレッシュですよ。 | ||||
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怖い。 幻覚の記述が怖い。 ばーさんが、ジーさんを静かに恨むシーンが怖い。 酒に執着する人々が怖い。表題からは、想像できな怖さがあるのです。 | ||||
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「このままでは、らもさんが死んでしまう」 そう言って事務所の男の子が泣いたと聞いて、俺は酒をやめた生前、らもさんはエッセイで書いている。 作品の小島容は、17歳の綾瀬少年に対し「どこか遠慮するような」感情をもつ。 この主人公、らもさん自身によく似ています。観察力があり、インテリで客観にたけた主人公、小島容。 酒を「この世からどこか別の所へ運ばれていくためのツール、薬理」 と考え、飲酒による「酔い」の包容力に身をまかせ、そのがんじがらめの客観から逃避する。 創造的な仕事にある「退屈な時間」をシラフで過ごすのを怖がる。入院。排尿量へに対して芽生える妙なライバル意識。 病院のメンバーたちの多くは、現実社会では「あまり関わりたくない」タイプが多い。 おしゃべり好きな三婆、憎たらしくもインテリな赤河医師、狡すからい福来、風呂場であうヤクザ。 小島の豊富な知識、シラフのさえた観察力が彼らの人間性を捉え、 病院という隔離された空間をどこかユーモラスに描きます。そして、どどめ色に変色していた主人公は徐々に失われていた機能(食欲、性欲、運動欲)を回復し、 話は展開していく。作中の幻覚症状、アルコール中毒で命を落とした歴代の有名人たちのエピソードは貴重。 お酒好きなら、小島容の客観的視点に助けられて、嫌味なく「現実に起こりうること」を知ることができるでしょう。らもさんが、94歳の西岡老のようになるまで長生きしなかったのが残念。 実際に老齢になった時の、軽妙な語り口を読んでみたかった。 | ||||
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自分では重々わかっているアルコール中毒の果てに主人公は黄疸寸前のふらふらの症状で病院にたどりつき、入院生活を送る。らもさんの体験がベースになっているのは間違いないのは、処方される薬から、病状の説明まで極めてリアルであるから。ぼろぼろの身体を客観的に見る主人公の諦観・虚無感とそれを淡々と記述していく著者の視点。病院でのドタバタや聡明で不治の病の少年との出会い、そしてその少年が亡くなった慰安室で悪態をつきあっていた主治医と主人公の感情の吐露。何故、人は酩酊からぬけだせないか、その裏にあるらもさんの実体験と挫折感と達観と病気。読感は心地よい良く作られた小説と思う。 | ||||
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35歳、アルコールの怖さを知りつつ止められずついに肝臓を壊して倒れてしまった男が、入院生活でいろいろな病人を診ながら、自分の過去を振り返えるような話です。アル中に関しての記述が非常に詳しくて、ある意味アル中の教科書としても使えそうです。話の内容もなかなか読みやすくって、面白かったです。 | ||||
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死後の著者を叩くのは不謹慎と言われるかもしれないが、本人は神格化など望んでいないだろうし、一応これからこの作品を読む人も多いであろうから客観的にレビューを。確かに読みやすく面白いといえるのは事実かもしれない。けれど言うほどの名作でもないというのは、読めばわかると思う。アル中の描写はなかなか悪くないのだけれど、登場人物のリアル性の欠いた記号的な性格や、予定調和に閉ざされたストーリー展開などは、甘いという以上に都合主義がそのまま滲み出ている。アル中のリアルさを提言するには、こういった非現実的なストーリーは似合わないのではないか。ラストのさわやかさなどと言うのも、「やっぱりそうですか」という感じで頂けない。まるで操り人形のように動くヒロインは正直滑稽ではないか。 バロウズの「裸のランチ」を意識してるのは間違いないんだろうけれど、それを娯楽作品で昇華する手法には違和感を覚えてしまう。とはいえ、なんだかんだで面白いのは事実だ。小説という媒体だからこそ覚える違和感であって、親しみを持てる作家であることには間違いないのだから。 | ||||
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