■スポンサードリンク


トランク・ミュージック



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

トランク・ミュージックの評価: 8.00/10点 レビュー 4件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(8pt)

運命の女、再登場!

ノンシリーズの『ザ・ポエット』を経て再びボッシュ登場。時はまだ野茂がドジャースで現役で投げていた時代。
シリーズ再開の事件はハリウッドの丘で遺棄されたロールスロイスのトランクから頭を撃ち抜かれた遺体が見つかるという不穏なムードで幕を開ける。その死体は映画プロデューサーのトニー・アリーソ。
さらに舞台はラスヴェガスに移り、カジノに纏わるマフィア犯罪の捜査へと進展していく。映画産業、カジノと復帰したボッシュが手掛ける事件は実に派手派手しい。

そしてこの事件がボッシュが殺人課に戻ってから初めての事件であることが明かされる。
前回『ラスト・コヨーテ』で自身の母親に纏わる事件を解決した後、強制ストレス休暇を取らされ、亡くなったパウンズの後任として配属されたグレイス・ビレッツ警部補からリハビリ期間として盗犯課に配属されるが、過去最低の殺人事件解決率を記録するとその梃入れとしてボッシュは殺人課に返り咲き、そして迎えたのが今回の事件である。

またかつてはジュリー・エドガーを相棒としながらもほとんど一匹狼状態で捜査をしていたボッシュだが新しい上司が組んだ制度、三級刑事をリーダーとした3人1組のチームとして捜査を進めるようになる。三級刑事のボッシュはリーダーとなり、彼の部下に相棒のジュリーとビレッツが古巣から引っ張ってきたキズミン・ライダーが加わっている。
自分自身の過去と因縁を前作で振り払ったボッシュの、シリーズのまさに新展開に相応しい幕開けと云えよう。

といいながらもやはり前作までの影は相変わらずボッシュを離さない。今回は1作目でパートナーとなった元FBI捜査官のエレノア・ウィッシュが再登場する。

私はエレノアが再びボッシュの前に現れると1作目の感想で述べたが、新しいシリーズの幕開けで合間見えるとは思わなかった。ボッシュの始まりには彼女がどうしても付きまとうらしい。
そして前科者となったエレノアは当然のことながら法を取り締まる側に戻れず、ラスヴェガスでギャンブルをしながらその日を暮らしている身である。さらに彼女にはある繋がりがあり、それがために彼女との再会は少なからずボッシュを再び窮地に陥れることになる。

今回ボッシュが手掛ける事件は明らかにマフィアの手口による、通称“トランク・ミュージック”と呼ばれる制裁方法によって殺された映画プロデューサー、トニー・アリーソ殺害の犯人捜しに端を発し、やがて彼が遊びで訪れていたラスヴェガスに舞台を移すと、そこから映画産業を利用したマネー・ロンダリングが発覚し、アリーソを洗濯屋として利用していたマフィアが浮上する。
更にそのアリーソが国税庁に目を付けられていたことが解り、自分たちの犯罪の痕跡を消すため、マフィアが放った刺客によって殺害された、それがこの事件の背景であることが解ってくる。

一方でメトロ市警はこれを機に長年目をつけていたマフィアの大物ジョーイ・マークスの手に縄を掛ける一世一代のチャンスだとしてボッシュに先駆けて行動し、さらにエレノアもまたジョーイの手下と関係があることが発覚して、そのことがボッシュを苦しめる。
さらには一度今回の事件について連絡した組織犯罪捜査課がアリーソをマークしていて盗聴器を仕掛けていたことも判り、一プロデューサー殺害の事件は各署、各課の思惑を色々と孕んで複雑化していく。

正直これだけでも十分お腹いっぱいになる内容だが、更にコナリーは爆弾級の仕掛けを投じる。

ボッシュが辞職の危機に置かれるのはもはやこのシリーズの定番でもあるが、これは実に驚くべき展開だった。それがゆえにこのボッシュの危機もまた引き立つわけだが、いやはやコナリーの物語構成力には毎回驚かされる。

話は変わるが今回の事件で使われている映画制作を利用したマネー・ロンダリングはいかにもありそうな話である。映画制作費自体がブラックボックスであるがために資金を集めて実際その1/10程度しか使っていなくても帳簿上に恰も全額使ったように膨らませて記載すればなかなか発覚しない隠れ蓑である。
最近の政治資金問題と云い、まだまだこの世には色んな抜け穴が存在するようだ。

新生ボッシュシリーズの大きな特徴はやはりチームプレイの妙味にある。これまで孤立無援、一匹狼の無頼刑事として誰も信じず、頼らずに捜査を続けていたボッシュだが、亡くなったパウンズに替わって新しい上司グレイス・ビレッツは相変わらず綱渡り的なボッシュの強引な捜査に一定の理解を示し、後押しする。
またボッシュがリーダーとなったジェリー・エドガーとキズミン・ライダーのチームは個性的で有能で、尚且つ自身のキャリアを危険に晒すことになりながらもボッシュの捜査の正当性を信じ、付いていく忠義心を見せている。
今までボッシュの昏い過去に根差された刑事という生き方といったような重々しさから解放された軽みというか明るみを感じさせる。それは単に久々の殺人事件捜査に携わることからくるボッシュの歓喜に根差したものだけでなく、やはり理解者を得たこと、そして仲間が出来たことに起因しているに違いない。

また忘れてならないのはアーヴィン・アーヴィング副本部長の存在だ。彼もまた警察の規範の守護者として振る舞いながらボッシュに対して理解を示し、彼をサポートする。実に味のあるバイプレイヤーぶりを本書でも発揮している。

私は1作目の『ナイトホークス』の感想でエレノア・ウィッシュはボッシュの救いの女神であったと書いた。それを裏付けるかの如く、エレノアと再会したボッシュにとって彼女はもはや人生の伴侶だと、ただひとりの女性であると述懐する。
前作『ラスト・コヨーテ』で知り合ったジャスミン・コリアンは過去に人を殺したという謎めいた女性で命懸けでしがみつく存在であると云っていたが、その関係は遠距離恋愛のために長く続かなかったと片付けられている。
知り合った時の心情の深さに対して呆気ない幕切れにもしかしてエレノアとの関係もそんな風に終わるのでは?という懸念も拭えないが、自分の手で両手に手錠をかけた女性に対しては他の女性とは違った思いの強さがあるようだと信じたい。

やはり彼女はボッシュにとってウィッシュ、つまり希望だったことを確信した。前作で過去を清算したボッシュが前に一歩踏み出したのだ。



▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

トランク・ミュージックの感想

読了までに途中中断し、少し時間がかかってしまいましたが、ストーリー展開や人物相関関係はちゃんと頭に残っていました
だいぶコナリーに慣れてきたといことでしょうか
困難な状況を地道に切り開いていくボッシュの姿には勇気をもらい、自分も頑張らねば!活力を得られました
ある面では1作目ナイトホークスの続編ともいうべき作品で、次の展開が気になりました

のぶくん
UIM2AM2N
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

とにかく格好良い!

女性なら誰でもハリーに恋心を抱くに違いない・・・とは言い過ぎとしても
半数以上はハリーに恋するに違いない。
(男性だって憧れると思うけど)

ジェットコースターのように流れる展開の中、どの場面でもハリーは男の中の男!
こういう憧れは全世界?共通なのだろうな~と、うっとりとしてしまう。

三級刑事だから、ハリーが格好良く見えるのか、事件がなくても(平凡な日常の世界でも)
ハリー自身が格好良いのか・・・
やっぱり事件が絡むから格好良いのだろう。






ももか
3UKDKR1P

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!