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ドラゴンの歯



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ドラゴンの歯の評価: 4.00/10点 レビュー 1件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt

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(4pt)

ハリウッドがクイーンに与えた影響

ハリウッドシリーズ第3弾の本作は『ハートの4』でも精力的に導入されていた恋愛が事件に大いに絡んでいる。
従ってまずは事件ありきでその後探偵による捜査が続く本格ミステリの趣向とは違い、2人の遺産相続人の一方に起こる殺人未遂事件の数々が同時進行的に語られ、物語の設定はサスペンスになっている。

今回の主役はエラリーよりもその代役として活躍するボー・ランメルだろう。弁護士の資格を有する知性を持ちながら、ロンドンきっての伊達男ボー・ブランメルと名がそっくりだということでからかわれ続け、その都度腕っぷしに物を云わせて相手を黙らせ、職を転々とした無頼漢だ。
その彼がエラリーと組んで探偵事務所を設立する、『静』のエラリーに対し、『動』のボーという名コンビが生まれた。

また久方ぶりにクイーン警部とヴェリー部長が登場する。『悪魔の報酬』が未読なのでそこで登場しているかは解らないがもしそうでないとすると、『ニッポン樫鳥の謎』以来の登場だ。

そして本書にしてようやくクイーンは事件現場に対する常識的な配慮をしている。手袋をして現場検証に臨む事だ。しかしそれでも犯人の存在を証明する証拠を秘匿しようとしたり、犯行現場に自身の煙草の吸殻を置いたままにしたり―理由が吸殻だけではクイーンが現場にいた事は判らないというが、唾液の付いたフィルターが残っていたら判るんですけど―とまだまだ常識外れなところがあるのだが。

こういうシーンを読むと、探偵が警察と犬猿の仲になったのかが解るという物だ。
勝手に現場に入り込んで、傍若無人にやたらめったら触りまくり、あまつさえ有力な証拠を隠そうとする。現状保存を第一とする警察の捜査とは全く相反する行動であり、迷惑極まりない事この上ないだろう。これ以来、日本の本格ミステリでも探偵が同様の行為を現在に至ってなお行っているのはもしかしたらこのクイーンの影響が大きいからではないだろうか?

本作の奇妙な題名『ドラゴンの歯』とはギリシャ神話に出てくるカドマスという青年が蒔いたドラゴンの歯に起因している。恐らくこのドラゴンの歯とは災いの種という意味だろう。それは遺言状を作るときにデ・カーロスを大いにからかったカドマスの所業に起因し、これが基で今回の事件が起こったということになっているが、どうもしっくりこない。
やはり全体的にバランスの悪い作品だと云わざるを得ないだろう。


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