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剣の八



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剣の八の評価: 4.00/10点 レビュー 2件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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(3pt)

探偵が多すぎる!

ギデオン・フェル博士となんと短編集『不可能犯罪捜査課』のマーチ警部の共演作。しかしカーの有する名探偵2人の出演は、結局狂言回しに終わってしまったようだ。

出版社を経営するスタンディッシュ大佐の屋敷、グレーンジ荘はポルターガイストが起こる幽霊屋敷と云われていた。そこで休暇を過ごしているマプラム主教、ヒュー・ドノヴァン・シニアが奇行の数々を行っている、その主教が語るにはある夜、隣家のゲストハウスに住んでいるデッピングという老人の下に有名な犯罪者が逃げ込むのを見た、ぜひとも警察と話したいということだった。警視監よりその役目を仰せつかったハドリーは自分の下に訪れたスタンディッシュ大佐と面会する直前、デッピングが頭を撃たれて殺されたとの知らせを聞く。ハドリーはたまたま自分のオフィスに来ていたフェル博士と当地に向かう。

本作はカーの初期の作品―なんとあの名作『帽子収集狂事件』の次に出版されている!―であるのに、本格推理物ではない。フェル博士は終始、推理が空回り、マーチ警部も容疑者スピネリに翻弄されて東奔西走しているだけの無能振りである。

そして象徴的なのが、いやに探偵役が多い事だ。
フェル博士とマーチ警部という二大巨頭に加え、マプラム主教であるヒュー・ドノヴァン・シニアは元犯罪研究家だし、その息子は大学で犯罪学を専攻している刑事の卵、それに加え、スタンディッシュ大佐の出版社お抱えの推理小説作家ヘンリー・モーガン(イニシャルがH. Mというのがまた面白い)まで登場とてんこ盛りである。
ここにいたって気付くのはカーなりに「船頭多ければ船、山登る」を体現したかったのだろうか。大本命であるフェル博士でさえ、真犯人に気付きはするが、仕掛けは失敗している。ごく初期の作品である本書で、既に本格推理小説を皮肉っていたのか?

しかし、とにかく回り道が多く、バランスの悪い作品だった。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S

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