あたしはとっても幸せ。この世でいちばんすてきな旦那さまがいるし、おなかには二人の赤ちゃんも。

家に出没するネズミを退治するため、罠を買うようにと妻に命じた夫が目にする光景とは…ぞっとする終幕が待ち受ける「ネズミ」。

長編に劣らず短編においてもカーは数々の名作を書いているが、中でも「妖魔の森の家」一編は、彼の全作品を通じての白眉ともいうべき傑作である。

イギリスの田舎町。病弱なマシューは、優しく利発な姉に守られ、幸せな少年時代を過ごした。

ブレアトン女子学院に勤めて五週間の女性教師フォスティーナは、突然理由も告げられずに解雇される。

ぼくの目の前で、少年がトラックにはねられた。事故のあと町の人間が聞いてきた。

世の中には、どんな些細な出来事も、語り口ひとつで冒険や、心臓へのひと太刀に変えられる、すばらしい能力を持つ人がいる…。

兄が死んだのは、ぼくが十三のときだった。線路を渡ろうとして転び、第三軌条に触れて感電死したのだ。

天久鷹央。天医会総合病院、 統括診断部の部長を務める彼女は、 明晰な頭脳と圧倒的な知識で、あらゆる疾患を看破する。

フラニー・マケイブ。クレインズ・ヴューの警察署長で、元不良少年。

江戸川乱歩の造語である“奇妙な味”は、ミステリにもSFにも怪奇小説にも分類不能の、異様な読後感を残す小説を指す。

広大な沼地と河口に面し、わずかに水上に出た土手道で村とつながるだけ。その館は冷たく光りながら堂々とそそり立っていた。

「死にかけてるのってどんなものかって?もう生きてないんだ。

想い出に値する出来事があるたびに木片を拾う。人生が終わりを迎えるとき、それを薪にして火を熾す―“薪の結婚”。

黄昏の列車のなかで、ぼくは目を瞠るほど美しい親子と同席になった。妖艶で饒舌な母親と、うまく舌が回らず涙ぐむ娘。

「復刊ドットコム」で絶大な支持を得た傑作サスペンス、待望の文庫化！ 1954年、イギリスの名門パブリック・スクールで学ぶ14歳の気弱な少年ジョナサンは、同級生ばかりか教師にまでいじめられ、つらい日々を送っていた。

毎年恒例のくじ引きのために、村の皆々が広場へと集まった。子供たちは笑い、大人たちは静かにほほえむ。

第一次世界大戦で父と兄弟を喪い、母とふたりで生きていくため屋敷の部屋を貸すことにしたフランシス。

クリスマスを控えた町から、二人の少女が姿を消した。誘拐か?刑事ルージュの悪夢が蘇る。

ぼくはいま、息子の頭に銃を突きつけて殺そうとしている。なのに息子は微笑んでさえいる。

文化大革命で父を惨殺され、人類に絶望した科学者・葉文潔（イエ・ウェンジエ）。

マロリーが殺された?部下の報告で検視局に駆けつけたライカーが見たのは、彼女のブレザーを着た別人だった。

画廊で殺されたアーティストの胸には、1枚のカードがタイトルのように「死」と告げていた。

たまたま台所にあったボウルに入っていた食用かたつむりを目にしたのがきっかけだった。

新進建築家ガイは、妻と離婚するため故郷へ向かう列車の中で一人の青年と出会う。

皮肉屋で独善的な文筆家の父と、人生への希望を失った母の元を離れて大学の女子寮に入った17歳のナタリー。

短編を書かせては当代随一の名手の代表的短編集。奇抜な着想、軽妙なプロット、論より証拠、まず読んでいただきましょう。

入り組んでいてせわしない。いつも飛び回っていて、その気になればいやというほど刺せる―“蜂の巣”。

爆弾テロに巻きこまれ、記憶を失った報道カメラマンのグレイ。彼のもとへ、かつての恋人を名乗るスーザンが訪ねてきた。

意想外の設定と冴え渡るラストのひねり。稀代のアンソロジスト・井上雅彦が贈る、 海外異色作家短篇シリーズの第三巻が登場。

島から一歩も出ることなく、判で押したような平穏な毎日を送る人々を突然襲った狂乱の嵐「東風」。

短編ミステリの名手スレッサー。初邦訳の怪盗ルビイものを含む21編。

ポオの衣鉢をつぐ幻想文学の第一人者、SFの抒情詩人ブラッドベリの名声を確立した処女短編集「闇のカーニバル」全編に、新たに五つの新作を加えた珠玉の作品集。

ニューヨークの小さなラジオ局で、ニュース・ディレクターをしているジェフは、43歳の秋に死亡した。

意想外の設定と冴え渡るラストのひねり。稀代のアンソロジスト・井上雅彦が贈る、海外異色作家短篇シリーズの第二巻が登場。

子供の頃、誕生祝いに買ってもらった人形の家には、外からは見ることのできない部屋があった。

わたしはここよ―― 謎めいた少女に導かれて乗る最終バス、彷徨い歩く暗い道。 傑作長篇、本邦初訳。

「金がないことがこんなに心細く、息苦しいとは思わなかった」。

映画『赤い影』の原作となった表題作をはじめ、日常を歪める不条理あり、意外な結末あり、天性の語り手である著者の才能を遺憾なく発揮した作品五編を収める粒選りの短編集。

「忘れないで、これが、わたしたちが長らく待ち続けた最後の時だということを」 世界の終わりを告げる声、 そして「屋敷」は新しい世界への方舟となる―― 傑作長篇、待望の本邦初訳。

1955年7月、パイ屋敷の家政婦の葬儀がしめやかにおこなわれた。

ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面面は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。

一九九一年四月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。

海辺の遊園地、ジョイランド。彼女に振られたあの夏、大学生の僕はそこでバイトをしていた。

いなくなった若い娘は醜い容姿に悩み、怪しげなセラピーにのめりこんでいたという。

「ねえ、わたしの話を聞いて…」偶然車に乗せた少女に導かれてマイクが足を踏み入れたのは、子どもだけが葬られている、忘れられた墓地。

エリザベス・リッチモンドは内気でおとなしい23歳、友もなく親もなく、博物館での退屈な仕事を日々こなしながら、偏屈で口うるさい叔母と暮らしていた。

1913年オーストラリアの港に、小さなトランクとともに取り残されていた少女ネル。トランクには、お伽噺の本が一冊。

大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語」を探して欲しい、という依頼を受ける。

1953年にアメリカのSF雑誌「ギャラクシー」に連載され、1954年に刊行された。

「おまえは悪魔の申し子だよ」狂信的な母、スクールカーストの最下層…悲劇はその夜、訪れた。

ある日突然、人間を攻撃しはじめた鳥の群れ。

【アメリカ探偵作家クラブ賞（エドガー賞）最優秀長篇賞／英国推理作家協会賞スティール・ダガー賞／バリー賞最優秀長篇賞／全米図書館協会アレックス賞】　 けっして動かないよう考え抜かれた金属の部品の数々。