パニックの手
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初版刊行(参考)
種別
短編集
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あらすじ
評判
パニックの手の評価:
0.00/10点 レビュー 0件。 B ランク
パニックの手の総合評価:
8.33/10点 レビュー 6件。
感想一覧
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
Amazonレビュー
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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結論としては、いかにもキャロルらしい作品であると同時に、意外と後味の苦いものが多いという印象です。キャロルはアメリカ生まれのウィーン育ちですが、雰囲気や言葉使いがものすごくアメリカンでカジュアルなのに、強い宗教心、つまりキリスト教的な感性を持った方のようで、作中にはひんぱんに神が登場します。こちらの作品でも神が登場するものがいくつかあり、また、世界がどうしょうもなく変容していくのに手をこまねいて見ているしかない、そんなどうしょうもなさを描いたものが多かったです。
特に気に入ったものは、
「フィドルヘッド氏」・・「空に浮かぶ子供」の作中作です。ありえない設定ですがキャロルらしい展開に巻き込まれます。フィドルヘッド氏の不思議な魅力も、これからのブラックな成り行きを感じさせるラストも秀逸。
「おやおや町」・・有能な掃除婦のおばさんを新しく雇っただけのつもりだった。それなのに・・神が暗示され、世界のあちこちに綻びができて不可解な出来事が頻出、自分はどうすることもできないのか・・こちらも怒涛の展開に巻き込まれます。
「秋物コレクション」・・キャロルにしてはケレン味がなくストレートでむしろ文学作品のようです。平凡に地道に淡々と生きてきたある男性は自分が末期のガンだとわかり、仕事をやめてすべてを整理、いくばくかの活力でももらえないかとニューヨークへ向かいます。そこで出会ったのは素晴らしく良質の本物のファッション・ブランド。それらを身につけ、最後の時間を一流店で静かに過ごし、そして彼は素晴らしい女性に出会います。人生の最後の時、しみじみと泣かせる短編です。
「友の最良の人間」・・世界幻想文学大賞受賞作。飼い犬が列車に轢かれそうになるのを助けた主人公は片足を切断するはめに。入院中に出会ったのは難病で長期入院している不思議な東欧移民の少女。まるで透視力があるかのように主人公の恋人や飼い犬について少女が伝えてくれることは・・。この作品でも世界の変容と人間にはどうすることもできない運命が描かれます。
「パニックの手」・・最初はただ、恐ろしく美貌な母娘が現れたと思っただけだった。けれど実は彼女たちは・・。なんとも不気味な後味を残す作品です。
飛翔する想像力、引き込まれる独特の世界、ユーモラスだけれどどこか毒を含んだ不気味な雰囲気など、キャロル作品はジャンルとしてはファンタジーになるかと思いますが、「ロード・オブ・ザ・リング」のような純粋ファンタジーではなく、アメリカの都会や田舎を舞台にして現実に即した(ヘンな言い方ですが)ファンタジーです。一見マニアックな作風のためか、実は日本ではあまり売れないそうです。翻訳も途中で止まってしまいましたが、なんとか再開していただけないでしょうか。キャロルの新しい作品が読みたいです。