(短編集)

黒いカクテル



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    初公開日(参考)1997年02月
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    短編集

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    黒いカクテル (創元推理文庫)

    2006年07月11日 黒いカクテル (創元推理文庫)

    世の中には、どんな些細な出来事も、語り口ひとつで冒険や、心臓へのひと太刀に変えられる、すばらしい能力を持つ人がいる…。こう語り出される表題作をはじめ9編を収録。キャロルを読む者はいつも、ふと顔を上げると、何処とも知れぬ場所に置き去りにされた自分に気づく。読んでいたはずの物語さえ、唐突に別の何かに姿を変えているのだ―砂漠の車輪や、ぶらんこの月に。 (「BOOK」データベースより)




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    黒いカクテルの総合評価:7.43/10点レビュー 7件。Cランク


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    ※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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    No.7:
    (3pt)

    一見アメリカンな雰囲気なのに、理不尽で、つらく、苦い結末が多い

    1984年から94年にかけて発表された短編ばかり集めた”The Panic Hand”、日本では「パニックの手」と「黒いカクテル」の2冊に分けて刊行されました。こちらはその片方です。

    キャロルはずっと長編を読んできました。どの物語も、最初の方は軽快でユーモラス、そして独特のリズミカルな文章(浅羽莢子さんの名翻訳のおかげ)、登場人物たちのいかにもアメリカンな行動と生活を楽しんでいたら、じわじわと事態が転回してすべてが変容、不気味で苦い結末というものが多いです。短編も基本的にこの構成は変わりないのですが、短いだけに最初の明るい部分がどうしても少なくなり、いきなりきつい終わりがやってくるので正直後味のよくないものが多かったです。

    現在、キャロルを再読してみて「こんな苦い作風だったけ?」と感じたのですが、最初に読み始めた頃はまだ若かったからか、この苦さを感じ取れなかったのかもしれません。
    キャロルの小説にはよく神が登場するので、キリスト教的な感性をかなり強く持った人だと思いますが、”神がいるとしたらどうしてこのようなことをするのか?神とは本当はどういうものなのか?”というテーマがよく現れます。また、人生の不条理や、理不尽でも自分ではどうしょうもないこと、年を取ることの悲しさなど、人生や運命に諦観したような作品がこんなに多いとは改めて驚きです。

    タイトル作の「黒いカクテル」はその最たるもので、”神はひとつの魂から人間を5人作った、だから人間は完全ではなくいつも不幸だったり不満をためて生きている”というお話。ネタばれするのであまり書けませんが・・この作品も後味は決してよくないです。
    「卒業生」これもキャロル作品にはよくあるテーマですが、幼少時、または学校の時のしんどさと残酷さ。いじめだったりまわりに適応できなかったり、キリキリとするような子供の時のつらさが描かれ、自分も同じような思いをしていた人は思い出して苦しくなりそうです。
    個人的に思ったことですが、もしかしたらキャロルも子供の時はおとなしくて、いじめられっ子でつらい思いで育ったのかも、と。アメフトのエースとチアリーダーの女の子がアメリカ人にとっては理想のカップルと言いますが、体育会系の力強いタイプが好まれるアメリカ、脳みそまで筋肉でできるんじゃないかというような男の子がかっこよくて、インドア趣味でちょっと風変わりだったり青白い学者肌だったり、繊細なタイプはいわゆる”オタク”、geek, nerd, deweeb, dorkなどと呼ばれて、イケてない、情けない弱虫とみなされてもてません。キャロルはどう考えてもこちらのタイプだったような気がします。

    実は半分くらいの作品は意味がよくわかりませんでした。短編だとその作家の本質がより凝縮されると思うのですが、人生を過敏に生きているような人たちばかりが登場するので鋭すぎるというか・・。キャロルはショートショート的な短編よりも、じっくりとお話に入っていける長編の方が好きだと思いました。
    黒いカクテル (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:黒いカクテル (創元推理文庫)より
    4488547109
    No.6:
    (4pt)

    原著(THE PANIC HAND)の短編集を二分冊した後編で、前編の邦題は「パニックの手」

    ・熊の口と(A Bear in the Mouth): 飢える程ではなかったが、ウィリアム・リンデは金がなかった。更に悪いことに、彼は金持ち達の暮らしに憧れている。高速道路を我が物顔に疾走する銀色の車、雑誌のページを彩るモデル達、避暑地でのバカンス。金は無いものの金持ちの暮らしぶりだけは知り尽くした彼に、二千万ドルの宝くじが当たるのだが・・・

    突然舞い込んだ大金の使途に悩むリンデは、ヴェナスクという名の魔術師に助言を求め、「金」そのものになってその秘密に迫る。「金」を擬人化したユーモラスな作品。

    ・卒業生(Postgraduate): ルイス・ケントは今、仕事は順調で円満な家庭も築き幸せを感じているが、ある朝目覚めると15年前そのままの様子の高校の寮にいた。しかし体や容貌は眠りにつく前と同様に32歳のまま。夢だと思いつつ授業には出たものの、微積分の公式などとうに忘れており、体の方も若者相手のフットボールの練習にはついて行けるわけもなく・・・

    夢がなかなか覚めないためルイスは妻に電話をするのだが、そこでの会話が予想を裏切ってくれて愉しい。若い頃に戻って人生をやり直すという夢想は他の作品にも見られるモチーフだが、ここでは「悪夢」として描かれている。

    ・くたびれた天使(Tired Angel): トニーはスーパーで買い物をしている時に偶然知り合った男性と恋に落ちる。しかし、その男はトニーを以前から知っており、出会いも偶然を装った計画的なものだった・・・

    偏執的ではあるが冷徹なストーカーによる一人称形式の作品。彼に狙われた女性トニーは、掌の上で踊らされるように彼と恋に落ちて最後にはビルから身投げしてしまう。盲目的でない怜悧なストーカーの語りに背筋が寒くなる。

    ・あなたは死者に愛されている(The Dead Love You): アンシアは交差点で白いフィアットと事故を起こしてしまうのだが、フィアットのドライバーであったブルース・ビーツの免許が期限切れであることなどから無罪放免となる。しかし、自宅に帰って風呂に入ろうとすると、浴槽の中には事故の相手であったフィアット・ウノのミニチュアが浮かんでおり、そのバンパーは丁寧にも事故車と同じように捻じ曲げられていた・・・

    短い話ながら被害者と加害者の関係が入れ替わるなど展開が目まぐるしい。アンシアの正体は、人々を恐怖に陥れる存在としての「死者」を代表するスカウトだと思うのだが、特に説明もなく曖昧なまま終わっていて不可解だ。

    ・フローリアン(Florian): 作家である父親は、最愛の息子フローリアンが肺炎で死の床にある中、彼を主人公にした物語を書き始めた。「ふたりには世界一美しい息子がいた。」という書き出しで始まる物語は、息子が他界してからも綴られ続けるのだが・・・

    読み進めると判るのだが、本作は二重構造になっていてフローリアンは都合三人登場する。本当のフローリアンは3歳で健やかに育っているのだが、父親は数年先の未来を舞台にして息子が肺炎になるという縁起でもない話を書いている。構想そのものは面白いが長編を物する前の試作程度の完成度と感じた。

    ・我が罪の生(The Life of My Crime): ハリー・ラドクリフは学生時代の知り合いであるゴードン・エプスタインと再会する。25年前、ハリーは冴えない一学生に過ぎなかったが、ゴードンの方は常に注目を浴びる存在だった。しかし、ゴードンが得ていた名声は須らく嘘によって慎重に築かれたもの。大人になったゴードンは、ハリーに対して自分は変わったと言うのだが・・・

    嘘で人生を渡り切れるものではないと思うが、少なくとも学生の頃のゴードンは上手くやっていた。死ななきゃ直らないというタイプの虚言癖を持つ彼が、嘘を付けなくなった理由が御伽噺めいていて愉しく、ゴードンのようなタイプの知り合いがいるのであればほくそ笑まずには居られないだろう。

    ・砂漠の車輪、ぶらんこの月(A Wheel in the Desert, the Moon on Some Swings): 医者から残り三ヶ月で完全に失明すると宣告を受けたノーマン・バイザーは、カメラを買うことにした。彼は様々なものをフィルムに収めていくのだが、失われる視力を補うような記憶に残る写真が撮れない。試行錯誤の結果、ノーマンは最も良い写真の撮り方を思い付くのだが・・・

    ノーマンの思い付きとは、特殊メーキャップ・アーチストと肖像写真の専門家にコンタクトし、今後自分が老いて行くに連れてこのように変わるであろうと思われる容貌を予め撮影しておくというもの。失明後の将来、自分がどのような顔で人と対面することになるのか知っておくというのは良いアイデアに思われるが、結局は視力以上の第六感感の存在に気付くというスピリチュアルな結末に安堵感を得られる。

    ・いっときの喝(A Flash in the Pants): 男の家に一人の美女が訪ねてきた。その女性は、以前男の家に家族とともに暮らしていた事があると語り、弟と一緒にドライブの途中で立ち寄ったらしい。ほんの一時だが、子供時代を過ごした部屋の数々を見て回った彼女は幸せな頃の思い出を蘇らせ、男に礼を述べて立ち去るのだが、彼女の去った後、男に家には不思議なことが起こり始めるのだった・・・

    家にも意識があるというお話。次々と転売を繰り返されてきた家には、その都度様々な家族が暮らしてきたはずであり、家から見た「良い住み手」と「悪い住み手」という概念がユニークだ。

    ・黒いカクテル(Black Cocktail): イングラムは、最近の大地震でパートナーを失った彼のことを気遣う妹から、マイケル・ビラという男性を紹介されて付き合い始めた。マイケルは相手を愉しませる話術の才能の持ち主なのだが、ある日マイケルの学生時代の思い出話に登場する同級生のクリントンが、未だ15歳のままの姿で現れ・・・

    話は二転三転するものの結末はあっけない。男性と女性は一つの完全な状態が分割されたものとする「赤い糸」の話があるが、本作では人間という存在は5つに分割されて生まれ来るという。性は確かに2種類しかないため魂二分割説には一定の説得力があると思うのだが、本作における「5つ」の根拠めいたものは手足の指の本数ぐらいで真実味が希薄。タイトルの意味に途中で気付くか読後に気付くかで面白さは異なるかも知れない。
    黒いカクテル (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:黒いカクテル (創元推理文庫)より
    4488547109
    No.5:
    (4pt)

    「色彩を持たない多崎つくる」と「黒いカクテル」は共通点が多い

    2006年に創元推理文庫から刊行された
    ジョナサン・キャロルの短編集『黒いカクテル』。
    収録作品は次のとおりです。
     熊の口と
     卒業生
     くたびれた天使
     あなたは死者に愛されている
     フローリアン
     我が罪の生
     砂漠の車輪、ぶらんこの月
     いっときの喝
     黒いカクテル

    この本は5〜6年前に読んだのですが、
    村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を読んで思い出し、
    表題作の「黒いカクテル」を読み直しました。
    「黒いカクテル」は、
      人の魂は神によって5つに分けられている
      5人が揃って完全体になると、色のある光を放つ
    という設定のダークファンタジーで、
    悪意に満ちた、怖くてヤバイ作品です。
    長さは90ページほどです。

    「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」と
    「黒いカクテル」には、
      主人公は30代男性
      主要登場人物は男3人女2人の5人組
      高校時代の人間関係が彼らの人生に決定的な影響を及ぼしている
      人(あるいは5人1組の人)は色を持っている
    などの共通点があります。

    また、どちらの作品でも、
    人間の指はなぜ5本なのかということを、
    登場人物がことさら言及しているシーンがあり、
    これも印象的でした。
    黒いカクテル (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:黒いカクテル (創元推理文庫)より
    4488547109
    No.4:
    (3pt)

    謎めかすのみ

    特異な作風と桜庭一樹が帯を書いているのでやたら目立つジョナサン・キャロルの短編集です。この作家は長編は退屈であまり読み進められないのですが、短編ならなんとか。たまにどきっとするようなフレーズがあったりしますし海外作家にしては読みやすいのですが、いかんせん散漫で意味不明。その謎めいた文章も洗練されていたら個性なのですが、今のところただ下手なだけに見えるのがちょっと。
    黒いカクテル (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:黒いカクテル (創元推理文庫)より
    4488547109
    No.3:
    (3pt)

    謎めかすのみ

    特異な作風と桜庭一樹が帯を書いているのでやたら目立つジョナサン・キャロルの短編集です。この作家は長編は退屈であまり読み進められないのですが、短編ならなんとか。たまにどきっとするようなフレーズがあったりしますし海外作家にしては読みやすいのですが、いかんせん散漫で意味不明。その謎めいた文章も洗練されていたら個性なのですが、今のところただ下手なだけに見えるのがちょっと。
    黒いカクテル (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:黒いカクテル (創元推理文庫)より
    4488547109



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