モトクロスに人生の全てを賭ける貞二は、思うような結果が出せず、また、若い天才の出現に焦りを覚える。

1941年12月8日、日本海軍機動部隊は真珠湾を奇襲。

ドイツが入手した日本の最新鋭戦闘機のデータは、まさに驚愕に価した。ほどなく二人の札つきパイロットに極秘指令が下る。

1937年7月、北京郊外で軍事衝突が発生。戦火はたちまち広がり、日中両国は全面的な戦争に突入した。

勤めていた会社を解雇され再就職もままならず、自分の保険金で妻子の生活費を捻出しようと、バイクの事故を装って自殺を図るために北海道にツーリングに出かける男(「旅の半ばで」)など、ヴィンテージ・バイクと、それらにかかわる無器用で、それでも必死に己の人生を生きる

五歳のころ、放浪癖のあった父親と同居することになり、程なく、花村少年の地獄の日々がはじまった。

スーパーカブを駆って日本一周をつづける、十九歳、浪人生のひと夏の物語。

写真家志望の大学生・相羽慎吾。卒業制作間近、彼女の夏美と出かけた山里で、古びたよろず屋「たけ屋」を見付ける。

新緑まぶしい春。小学五年生の和也は県内の小さな町から憧れの仙台市に引っ越してきた。

交通事故で妻を亡くし、自身も大けがを負った結果、音を聴くと香りを感じるという共感覚「嗅聴」を得た鳴瀬玲司は、ピアノの調律師を生業としている。

諏訪徳雄は、コンピュータおたくの四十男。ある日突然、妻の沙夜子がコツコツ貯めた一千万円の貯金とともに蒸発してしまった。

イタリアは降伏、ベルリンも陥落した第二次大戦末期、孤立無援の日本では、米軍による本土空襲が激化し、戦局は絶望への道を辿る一方だった。

家庭教師・鷲津兵輔が、生徒として引き受けることになった女子高生の乾倫子。

昭和9年春、函館の潜水夫・泊(とまり)敬介は、時化(しけ)る海と吹き荒れる風に妙な胸騒ぎを感じていた。

疎開する少年たちを乗せた飛行機が、南太平洋の無人島に不時着した。

母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。

秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。

この中に紹介されている悪所場に独りで、あるいは悪友と出かけた、著者の味わった愚かさと無常観と、そして幾ばくかの快感を味わってみてください。

ヤク中で慢性自殺志願者のブンガクさん。浅草置屋の娘で、文学少女のくせに暴走族にも一目置かれているタカミ。

マリーは泣きそうな子供のような顔をした。「なにする!」圧しころした声で言った。

青年よ、旅に出よ―。大学生の「僕」は、学園祭で講演に来た「花村」という作家にそそのかされて、北への独り旅に出かけた。

「あなたの人生の物語」を映画化した「メッセージ」で、世界的にブレイクしたテッド・チャン。待望の最新作品集がついに刊行。

「バカ」海底に置き去りにした女に向かって、伊禮ジョーはひとこと呟いた。

朝子は、活気あふれる19歳のロックシンガーだ。ライブで人気を集めるバンドを率いている。

南シナ海の烈風。眼下で砕ける三角波。

俺は、住み込みの牛乳配達員として働きはじめた。「暴力太郎」と渾名される筋者と付き合うようになり、生活は次第に乱れてゆく。

1970年12月。選挙に出馬、初当選を果たした社会党の寺久保は、党から秘書を押し付けられた。

“四ヶ月の浮浪者生活で、イクオの服装はそれにふさわしく汚れていた。かなりの異臭が立ち昇っていた。

東京・池袋で男の刺殺体が発見された。警視庁池袋署刑事課長の本宮は、捜査の過程で捜査一課長からある密旨を受ける。

昭和四十年代、宮城県。捕鯨船の漁師たちは捕獲禁止の流れに不安を覚え、稲作農家は減反政策で前途多難な状況を迎える。

僕はこの世界に左足から登場した―。圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。

東京から南へ二百二十キロ。太平洋に浮かぶ厳倉島は、イルカの棲む島として知られている。

天使のような容貌と肉体を持ちながら生まれつき生理がない人妻・涼子は、大学の後輩の大島に好意を寄せられ、凌辱されてしまう。

小説を愛してやまない文芸編集者の澤野逸郎は、文芸誌“小説○○”の編集長になった。

昭和四十年代、子供たちはいつも外で遊んでいた。こっそり忍び込んだ空き家で藁人形を見つけたことから騒動になる「座敷童子」。

「山背」とは初夏の東北地方に吹く冷たい風のことをいう。その山背が渡る大地で様々な厳しい営みを続け、誇り高く生きる男たち。

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。

1945年、鹿児島県・知覧特攻基地。死地に赴く若き特攻隊員の戦闘機に、ひたむきに向き合う整備兵がいた。

那覇は、熱気に覆われている。11月の倦怠に抱かれ、作家は街を流れた。

いちばんの快感は、他人の意思、あるいは意志をねじ曲げることである。

キャバクラ“ミントキャンディ”の黒服・立花篤は、父の入院費を稼ぐため、嫌悪する水商売に身を投じた。

妻の病を治したい、子供を一流中学に入学させたい…。

琵琶湖のほとり、田圃の真ん中で派手なネオンを輝かせる雄琴のソープランド街。

金のためなら財産どころか命も狙う闇金融を営む富樫組若頭の桐生は膨大な借金を抱えたエステサロンのトップセールスマンの玉城をカモにしようとする。

単車で転んで彼女にケガさせた。でも、彼女の白い肌もBMWも俺には同じ位愛しくて。

時は戦国、下剋上の世。京都・相国寺近くにある三好家の屋敷に、その男はいた。

深夜2時、渋谷。少年院から出たばかりの貢は、北勢会のチンピラを蹴り上げていた。

伊賀には表と裏がある。八劔なる裏伊賀の忍者たちは、血を掛け合わせて人材を生み出す謎の集団。

桜町は、いま渋谷・道玄坂でルシファーというバーをひらいている。

新宿で最も有名な探偵“眠り猫”。俺はその息子だ。

北海道の奥深く潜伏していたヒカルと鉄男は、冬の到来を前に、南に向けて旅を再開する。

五十八歳にして初めて子を得た小説家・愛葉條司。「家族クソ食らえ」の條司だが、子育ての喜びを知り、のめり込む。

私は喰い散らすだけの存在である。作法もなにもない―。

銀河という名の夜行列車に乗り、幸子を東京に置き去りにして、十七歳の惟朔は京都をめざした。

太平洋戦争。 寒村で起きた悲喜劇。