(短編集)
調律師
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私の上の娘は妻の話では、子供の頃、ドレミファソラシドに夫々固有の色があると言っていたらしい。リハビリの仕事をしていた私は、それが”複合感覚”と呼ばれる特殊な感覚の持ち主だと後で知った。この小説の中では、”共感覚”と呼んでいるが同じものだろう。そもそもが、このような特殊な医学的専門知識を小説に持ち込むこと自体、この作者の非凡なセンスを感じる。ただ残念なことに、執筆中に東日本大震災が起こり、あらかじめ予定していたラストシーンと違うものを描いたようだ。作者自身、あとがきで第六話目で大きく転調していると述べている。おそらくあの大震災がなければ、第六話・七話はまったく別のものになっていたのだろう。最初に予定していた第六話・七話を読んでみたかった。 | ||||
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だいぶ前に「羊と鋼の森」を読んだので、調律師の物語は既視感がありました。あれもよかったしこれもよかった。音や匂いを文章にするのは、かなり難しいように思うのですが、文章が達者なのですんなりと読み進められました。解説者は、震災を描いた終章付近を小説としての瑕瑾になるかのように書いていますが、おそらく私を含め読者の多くは、作品の価値を高める転調だと受けとめるのではないでしょうか。 | ||||
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宮下奈都の調律師の話より、実際に現場で、ピアノを扱うレアル感がある、曲による、微妙な調性の感覚を上手く表現できていて物語として楽しめる。前半の設定から、後半東北震災後の、現実の影響が小説の構成や内容に及び、多少の違和感がある。震災後の仙台での、調律師としての活動が生々しく良い。お勧めの1冊。 | ||||
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私と同年代の作家で多くの著書があることを知った。 いつもの図書館の返却された本のコーナーに並んでおり、「調律師」のタイトルに惹かれて借りることにした。 作品は「オール読み物」に連載されていたもののようだ。 7つの章で構成されており、一話ずつ切れのよいところで終わっている。 主人公は、調律師という、私にはなじみのない職業についている。 過去はプロもピアニストであったが、ある事故をきっかけに妻の職業であった調律師になった。 章ごとに一つのピアノの調律を行うのだが、そこには彼独特の方法がある。 彼は音を嗅覚で感じることができる。かっては、音が色となって見えていたのだが事故により色が見えなくなってしまった。 嗅覚で行う調律は、依頼者の希望を満足させるものとなる。 章も中盤を超えたあたりで、東日本大震災を経験することになる。 宮城県気仙沼出身の彼としては、いままでの連載を書くことができなくなり、話は仙台にコンサートで使うグランドピアノの調律の最中に大地震が起きる展開へと変わって行く。 最後は、きれいにまとまっていると思う。 音楽の才能が皆無の私としては、ピアノが流暢に弾けるだけでとてもうらやましい。 小説を通して音楽に触れることができ、よかったと思う。 肩肘張らず、気楽に読める一冊だ。 他の作品も読んでみたい。 | ||||
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ある出来事がきっかけで、ピアノの音を聞くと「音」だけでなく, 「香り」も感じることができるようになった調律師の喪失感と再生までを描きます。 熊谷達也さんは宮城県出身の作家なので、今作には震災もしっかりと描かれています。 震災があったのはこの作品の第3話を書き始めようとしていた頃だったということで、 震災がこの作品の流れもテーマも大きく変えてしまったのだそう。 たしかに途中からストーリーが急転した印象は否めませんが、 熊谷さんが作家としていま書くべきものは「これ」だと思ったその気持ちは十分に感じられます。 主人公はある出来事をきっかけに喪失感を抱えて生きて来た人だけど、震災という苦難を乗り越えて生まれ変わった。 苦しみを乗り越えて、強くなれるってたくましい。 私もそんな強さが欲しいものです。 ピアノやクラシックに詳しくないと「?」な部分も多い作品でしたが、 読書の秋に美味しいコーヒーでも飲みながら読むにはぴったりの作品だと思います。 | ||||
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