皆月
- 再生物語 (3)
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花村萬月はデビュー以来しばらく一貫して都市のダークサイドを独自のタッチでで描き続けていた。作品を彩るのは、理不尽なまでのバイオレンスと、激しいセックス、そしてそこから浮かび上がる強烈な愛である。 本書は、さえないサラリーマン徳雄が、失踪した妻を追う過程を描いた作品。やくざ者の義弟との再会を機に暗黒社会へ身を投じた徳雄は、それまでの自分の生き方の問題に気づく。アナーキーなパワーがあふれ、それがドラマチックに結末に向けて集約していくさまは冒険小説のような面白さを生み出している。重厚さと微妙なうねりを兼ね備えた語り口が魅力。 ハッピーエンドではないが、何かを得たという読後感を強く味わわせてくれる。 | ||||
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建設会社で構造計算を担当する冴えない40男が妻に逃げられ、その妻を探しに行くロードムービー仕立ての小説である。 その過程で、この主人公はソープ嬢に惚れられ、逃げた妻の弟からは慕われる。 冴えない男であるにもかかわらず、である。 考えてみると、花村萬月の小説に登場する主人公は、冴えない男であっても、女にもてて男にも好かれる。 『たびを』しかり、『風転』しかり、『百万遍』しかり、『二進法の犬』しかり、『ワルツ』しかり、『弾正星』しかり・・・・。 要するに、これは花村萬月自身なのだ。 おそらく彼も、女にもてて男にも好かれる人物なのだろう。 そして、アウトローの世界を描かせると、ひりつくようなリアリティがある。 つまり彼の作品は、舞台こそ違え、そうした道具立ての展開なのである。 しかし、それでも読ませてしまうのは、この人の力としか言いようがない。 ところで、本作は1995年ごろに執筆されたものだが、パソコンのメモリーが128メガバイト、HDDが2ギガ✕3台で、「パーソナルの域をはるかに超える」とあるのが、隔世の感であったw | ||||
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誠実に生きることは命懸けだということを教えられた。 汚いことが本当はきれいで、 きれいなことやえらそうなことが、 実はきれいごとに過ぎないと確認できた。 自分はきれいなんだと思った刹那に汚くなることも切実に感じた。 萬月さんの小説は人生が詰まっている。 泣けた。 | ||||
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男2人に女性1人は私的に名画「明日に向かって撃て」以来のお馴染みですが。 健さんの幸せの黄色いハンカチもそうか。 久々の花村萬月さんであのグロさについていけるかなぁでしたが、暴力の描写以外はコミカルで、セックスシーンもこんなもんかなぁと(アキラくんと主人公がなんて予想しちゃいましたが)。 登場人物が皆良い人たちで読みやすかったです。 ある程度の加齢であまりにも酷い描写は避けたいのかもね。 面白かったです。 | ||||
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花村萬月の 言葉の豊穣さを 感じた。 セックスの場面の描写が うまいのである。 官能小説の 描写 ではなく 文学的なのだ。 しがない 中年の目線からのセックス。 妻に対して そして うらぎられて ソープの女に 恋をする。 ニンゲンって おろかな生き物である ことを 自認して おろかなのである。 白い下着に 欲情をおぼえる 自分に 戸惑う。 人が好きになるということは かくも おろかなことだと 丁寧に 説明する くだりは なんともいえない。 アキラという青年の はにかみ はじらい なさけなさ 凶暴さ いまどき こういう青年がいるかと思うほどの 直情さ。 直情が あふれかえっている。 それを オッサンは うけとめる。 その受け止め方が なんとも おもはゆい。 花村萬月の 描き出す ヤクザな世界が 文字できちんと 構成されていることに たぐい稀な才能を感じる。 物語としても 妙な雰囲気が漂っている。 徳雄は 橋の建築設計士である。いわゆる かたぎの人だ。 その妻 沙夜子 は妙に影が薄い。 主婦がつまらなくなったのか・・・お金に目がくらんだのか。 よくわからないが 離れていく。 理由がわからないというのは 作者自身が意図したものだろう。 しかし、なぜ追いかけねばならないのだろう。 その上で 沙夜子の弟 アキラは ヤクザである。 花村萬月の物語には 欠かせないキャラクターなのだろう。 作者自身の 投影が アキラなのかもしれない。 そして アキラを丹念に描く。 問題を 暴力的なチカラで解決しようとするところが、 ヤクザ的なルールで 原理なのだろう。 徳雄は 由美に 心を許す。 中年のおじちゃんらしい アプローチで。 由美に 心をゆるしながら 沙夜子を探そうとするのが、 無理があるのである。 その無理な物語は 結果としては 難しくない軟着陸をする。 やはり 沙夜子の行動が やはりよく見えないし、 どの動機付けに まぁ。それはそれで良いじゃないか。 という 安易さが 物語の質を 作っているのだろう。 ただ その文章のつむぎ方に 才能を感じたのである。 | ||||
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