ペスト収束に奔走する敗戦間近の英国領ビルマ・メダンサ部落。

飢えとマラリア、過酷な山越えのための想像を絶する疲労の中、困難な道を進む兵隊たち。摩耗する心と体。

日本兵が陥った隘路とは?戦地の法則とは?つきつけられた選択とは?一兵士が抱く感情・判断・意志を、冷静な眼差しと丹念な描写で浮き彫りにする、体験記でも戦記でもない、古処誠二の戦争小説最新作。

インパール作戦前年のビルマ。新聞記者の美濃部は日本軍の英印軍討伐に同行する。

昭和20年夏、本土決戦に備えて中学生たちは陣地構築に動員された。

終戦間近のフィリピン戦線。

祖父はビルマ戦の帰還兵で、口を開けば戦争中の自慢話だ。

「そうです。賀川少尉を殺したのはわたしです」第2次世界大戦中のビルマ北部。

昭和二十年四月、アメリカ軍が沖縄本島に上陸したとき、安次嶺弥一は十一歳だった。

退路を断たれた北ビルマでの戦いで、独歩患者は分進隊として切り離される。

ソフィーの目の前に転がる男児の無残な死体。ああ、私はついに人を殺してしまった。

侵入不可能なはずの部屋の中に何故か盗聴器が仕掛けられた。密室の謎に挑むのは防諜のエキスパート・防衛部調査班の朝香二尉。

東シナ海に浮かぶ伊栗島に駐屯する自衛隊の基地で、訓練中に小銃が紛失した。

「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが…。

逼迫した戦況を一変させるという陸軍の軍事機密「カンナカムイ」をめぐり、 軍需工場の関係者が次々と毒殺される。

楽しさを追求したら、こういう小説になりました。

1938年秋。流行探偵作家の小柳逸馬は、従軍作家として北京に派遣されていた。

2013年から1967年にかけて名刑事クワンの警察人生を遡りながら香港社会の変化も辿っていく、珠玉の連作短編集。

東海地震で倒壊したマンションの地下駐車場に閉じ込められた六人の高校生と担任教師。

１９４５年。B２９による空襲の翌朝、防空壕で女性の遺体が発見される。

ベストセラー『虐殺器官』の著者による“最後”のオリジナル作品。

まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。

昭和十年、春。数えで二十歳、女子学習院に通う笹宮惟佐子は、遺体で見つかった親友・寿子の死の真相を追い始める。

実務に追われる日赤救護看護婦を手伝っていた現地のビルマ人看護婦が全員解雇された。

「あなたには、捕虜の処刑および民間人に対する虐待の容疑がかけられています」戦後まもなく、インパール作戦の日本人指揮官にかけられた嫌疑。

昭和二十年八月十四日、敗戦の噂がまことしやかに流れる沖縄の捕虜収容所で、血眼になって二人の人間を捜す男の姿があった。

ぼくは、ぼく自身の戦争をどう終わらせたらいいのだろう―戦争が残した傷跡から回復できないアフリカの少年兵の姿を生々しく描き出した表題作をはじめ、盟友である芥川賞作家・円城塔が書き継ぐことを公表した『屍者の帝国』の冒頭部分、影響を受けた小島秀夫監督にオマージュ

19世紀末―かのヴィクター・フランケンシュタインによるクリーチャー創造から約100年、その技術は全欧に拡散し、いまや「屍者」たちは労働用から軍事用まで幅広く活用されていた。

元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。

1945年7月、ナチス・ドイツの敗戦で米ソ英仏の4カ国統治下におかれたベルリン。

英雄を失った島に、新たな魂が立ち上がる。固い絆で結ばれた三人の幼馴染み、グスク、レイ、ヤマコ。

いまの東京に重なって、あの戦争が見えてしまう――。

文明開化の明治新世相のなかで、次々と起きる謎の奇怪な事件。

一九九五年三月二十日、丸の内で起こった無差別乱射事件。

誘拐×時効、二度敗北した静岡県警。三度目の機会は、ないはずだった。

1943年6月、上海。

衆人監視の白木の箱の中から突如消えた“人形の首”。

アメリカの諜報組織に属する十万人以上の諜報員を日夜監視する極秘機関。

暗号名ソリッド・スネーク。

『機織る武家』血の繋がらない三人が身を寄せ合う、二十俵二人扶持の武家一家。生活のため、後妻の縫は機織りを再開する。

神紅大学ミステリ愛好会に所属する葉村譲と会長の明智恭介は、曰くつきの映画研究会の夏合宿に興味を抱き、同じ大学に在席する美貌の探偵、剣崎比留子と共に紫静荘を訪ねた。

一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。

夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。

膨大な犠牲者を出して、大戦は終わった。 真面目な青年アルベールは、戦争で職も恋人も失ってしまう。

メーラーデーモンを名乗る者から「一週間後、お前は死ぬ」 というメールが届いた後、殺害される連続殺人が発生! 「お客様」を殺された上木らいちは捜査を開始。

日本から約一万二千キロ、アフリカ大陸。国際連合南スーダン派遣団の第五次派遣施設隊内では、盗難事件が相次いでいた。

刑事たちの執念の捜査×容疑者の壮絶な孤独――。犯罪小説の最高峰、ここに誕生! 東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年。

東京のやくざ組織・東鞘会に所属する兼高昭吾は、弟分の室岡と沖縄に飛び、ターゲットの喜納修三を殺害した。

昭和29年の洞爺丸沈没事故で両親を失った蒼司・紅司兄弟、従弟の藍司らのいる氷沼家に、さらなる不幸が襲う。

1975年、偉大なる総統の死の直後、愛すべき祖父は何者かに殺された。17歳。

最高に格好いい87歳、伝説の元刑事。

「こんにちは、章子。私は20年後のあなた、30歳の章子です。

だからこそ潜るのだ。誰も潜らないから、誰かが潜らなければいけないのだと信じる。

白昼の駅前広場で4人が刺殺される通り魔事件が発生。

アメリカが敵視した、人命を軽んじ易々と玉砕するという野蛮な日本人観が、一人の米軍諜報部員の報告で覆った。

全米4大ミステリ賞で最優秀長篇賞を独占! アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)、バリー賞、マカヴィティ賞、アンソニー賞受賞! あの夏のすべての死は、ひとりの子供の死ではじまった――。