生き残り
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初めての作家の初めての作品を読了。戦争関連の人間らしいさを描いたような作品。文章が読み難かった。他の作品を全く読みたいと思えず、最初で最後になります。 | ||||
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ひとりでも兵隊とはこれいかに。 戦場において、兵隊が一人でいることは甚だ不自然なことである。 戸湊伍長と丸江一等兵の2人は、ビルマ、イラワジ川の渡河地点で、一人たたずむ兵隊を見つける。 戸湊伍長は、森川上等兵と名乗るその兵隊を自分の指揮下に入れることにする。 森川上等兵は、6名の独歩患者からなる分進隊にいたが、ゲリラに襲われてみんな死んだという。 戸湊伍長の中である疑念が膨らむ。 森川は、自分が生き残りたいために足手まといになった残りの5名を殺したのではないのか? 森川の言葉尻を捉えるように矛盾を突き、戸湊は森川の嘘を暴いていく… 3人の転進の様と平行して、分進隊6名に起こった過去の出来事がフラッシュバックを用いて徐々に明らかにされる。 ビルマ腐れと呼ばれる熱帯潰瘍を足に抱えた独歩患者の分進隊6名 1.白方見習士官:転進を急ぐ中隊から切り離された分進隊を率いることを命じられた、戦場経験が乏しい若いが聡明な士官。 2.朝永伍長(下士官、森川の分隊長):ある理由でPTSDに陥っており、部下からの信用がない。 3.阿木原兵長:実質上の現場指揮者 4.瀧上等兵、 5.森川上等兵 6.宮野一等兵 分進隊の士官と兵の間にあるのは階級の差だけで、信頼や尊敬と言った心理的つながりはない。 そのために、この隊にはつねに不穏な空気がながれている。 戸湊伍長と丸江一等兵の2人の関係性とは対照的である。 冷徹とも言えるほど合理的な軍の論理を体現する若い士官と、庶民的な感情、戦友への思いを捨てない兵たちの間にある対立は、日本軍に限らず、普遍的なものだろう。 巨大な軍隊という組織の中の駒である兵隊。 機能できなくなった兵隊は「自決」や「処置」というあまりに冷酷でかつ極めて合理的な状況に追い込まれていく。 ゆっくりしか歩けない傷病兵5名と、彼らを率いることを任された若い見習士官の6名からなる「分進隊」。 極限状況の戦場で、彼らは何を考えどう振る舞うのか。 戦場における人間と軍隊、軍人の本質を見つめ続ける著者ならではの一作。 自分の死が迫る中で、もはや戦闘はできなくとも「兵隊としての機能」を全うする一兵士の姿は、この著者にしか書けないと思う。 極限状況でのミステリーの体裁を取ってはいるが、ある種の成長物語とも読むことができる。 また、軍隊手帳だけが自己証明であるという戦地でのアイデンティティの不確かさについても考えさせられた。 | ||||
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作者お得意の戦場ミステリー。ビルマでの戦いに敗れ、転進を余儀なくされた戸湊伍長と丸江一等兵がイワラジ河の河畔で森川と名乗る一人の兵隊と会う。謎めいたこの兵隊を戸湊伍長はマンダレーまで一緒に連れていくという。 物語は森川という兵隊が戸湊伍長等に出会うまで属していた分進隊の様子と、森川が加わった後の戸湊伍長らの転進の様子とが語られます。戦時下のならぬ状況の中、戸湊伍長の一言からグンと緊迫感が跳ね上がります。ミステリーというよりも、極限状態に置かれた人間の究極の決断や感情が迸る小説です。 | ||||
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この本は「戦場ミステリ」です。軍隊の内紛の戦場サスペンス。 転進中に河の中州に閉じ込められてしまったビルマ方面軍の分進隊の、絶望のなかでの内紛。 極限状態での人間模様が描かれています。 単純な戦記物ではありません。 人間の本性にせまる物語です。そのために、戦場という舞台設定がされており、成功しています。 極限状態の緊張感と臨場感を読者に感じさせてくれます。 日本軍隊のビルマ方面軍の分進隊がイラワジ河の中州に追い詰められた、という設定です。 「ウィンゲートの指揮する兵団は去年にも陸路で上ビルマに侵入している」(185頁) 「敵の一隊がシュエリー河の中州に追い詰められた話だ」(185頁) 「で、十数名を捕虜にして尋問したところ中州における内紛が明らかになった。抵抗の意志を貫く英人指揮官と投降を望むインド兵の内紛だ」(185頁) 「帯」の言葉に注目しました。「自決か、他殺か」 読み始めると、何度も繰り返される訊問でした。 「君が殺したのか」/「いいえ」(61頁) 「君が殺したのか」(116頁) 「君が殺したのではないのか」(176頁) 「お前が殺したのか」(188頁) 「君」と「お前」と、呼び名の変化には、どんな位置付けの変化が伴っていたのでしょうか? 「あえて言うなら『お前』という呼び名と『兵隊』という位置付けを変えないところに処理しきれない感情が残っていた」(192頁) この小説は、なぞなぞ言葉で始まります。「一人でも兵隊とはこれいかに」(3頁) そして小説は、結論のように、次の言葉で終わります。「ようするに単なる兵隊でしかない」(202頁) 「単なる兵隊」という一語に込められた著者の思いは、どのようなものでしょうか。 どのような感情が要約されているのでしょうか。 「兵隊。 個人を指して使うには奇妙な言葉である。 そして考えるだに曖昧(あいまい)な言葉である」(153頁) 著者の感情が現れていると思った箇所を引用します。 「B24の爆音が轟く中では日本人に銃を向ける日本人の姿はより悲しくてならなかった」(143頁) 「人は死に怯えるのではない。/死までの苦痛と恐怖に怯えるのである」(159頁) 「北ビルマで戦った将兵の理性は褪(あ)せている。心身ともに限界を超えた戦場に置かれ、あげく転進に追い込まれれば人は多かれ少なかれそうなるだろう」(160頁) | ||||
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