接近
※タグの編集はログイン後行えます
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点0.00pt |
接近の総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
現在レビューがありません
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大人になり、太平洋戦争のことを少し勉 強しようと思い、教科書では数行しかない沖縄戦のことを知りたくてこの本を手に取りました。 心に迫るのは教科書ではなく小説かも、と思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
十年代に入ってからレビューが書かれていない、というのが全てを物語っている。 個人的には好きな作品だが、どうも反日小説のレッテルを張られてそうだ。 この小説は嘉数の戦いが背景としてあるけれど、嘉数の戦いの時期に、遊兵が発生するとは思えない。 まだ軍規が崩壊していないのに、逃亡兵が壕を襲う、というのには無理がある。 6月に入ってからなら分かるけれども。 沖縄戦の本を読んでいても、壕を襲ったり、虐殺が発生するのは6月以降だからね。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私の義母はひめゆりの生き残りである。それゆえか、なかなか冷静に読めるものではなかった。 しかし、圧倒的な筆力である。「線」でも思ったが、文体が素晴らしい。読みやすい文体ではないが、それがかえって良い方向へ作用しているように思う。いわゆる体験話法というのか、直接引用でもなければ間接引用でもない表現はもう少し徹底させても良かったような気がするが、さまざまなところで感動した。ネタバレになるかもしれないが、四人の遊兵が現れるシーンの緊迫感には心拍数が異常に上がった。ラストは目頭が熱くなった。個人的に今年の小説(大して読んでいないが)ナンバーワンである。 この本をもとに、「炎628」のような、自然の美しさと人間のおぞましさを同居させたような狂気のような映画ができないものか。まちがいなくアメリカ製の硫黄島の映画なんかよりも数倍すごい映画ができそうな予感がする。ただし、最初の部分を同映像化するかは思案のしどころ。そしてもし可能なら、俳優はすべてシロウトを使い、演技させないこと。特に死に様の演技は不要。そしてこの小説の文体が、映画で言うならば、そういう不必要な演技をそぎとったような、かといってドライというわけではない、実にこのテーマを描くのに相応しい文体だと思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本作は文庫にして180ページ弱しかない。頑張れば1日で読めるかと思ったら大間違い。前回読んだ『ルール』とは違った意味での重厚感に終始圧巻された。 本作はあの頃の沖縄は何だったのか、という視点と、本土からは異国扱いされ酷使させられる沖縄島民の思いを淡々と綴っていく。身分をはっきりしなければスパイと間違われ、身分を明かせば食糧を持っていかれる。郷土の言葉は封じられ、島は戦場に化し、戦争に大きな形で巻き込まれている中、弥一にしたたかさが光る。良くも悪くも冷静すぎる感はあるが、最後にそれが布石になっていくのが切なかった。 人間の書き方がずば抜けて上手い。『ルール』で描いた人間ドラマも弥一と仁科の交流と言った形で再現されてはいるが、区長にしろ逃亡兵にしろ、人間個人の書き方が恐ろしいほどリアル。妥協がさらさらない。設定や状況のディティールでも圧倒されたが、本作における負の人間くささには少しまいるね。 戦争小説という括りにするな、というのはむしろ本作が文学的な境地にいるからかもしれない。人間の書き方にしても。戦争の悲惨さを訴えたのではなく、エンターテインメントでもなく、完全な文学畑から書ききっている。古処文学と言ってもいいかもしれない。奇しくも沖縄は絶好の舞台でありすぎた、と。桜の花が咲く頃、というのは皮肉にしては綺麗すぎる。 『ルール』も好きだし、本作も個人的には気に入っている。どちらも救いはないんだけれど、それが戦争だということも再確認するし、たった60年少し前の出来事であるというのも事実。どれだけ今後風化させずにいられるか。個人的にも古処誠二は楽しみな作家になる。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
サイパンが陥落し、沖縄決戦へと突入しつつある1945年春。国民学校の生徒である弥一は、本土からやってきた兵に協力し、国を守ることこそが皇国民の義務と信じていた。本土の兵を悪し様に言う大人たちを軽蔑していた。そんなある時、防衛召集からの帰りに日本兵同士の争いを目にする。負傷して残された北里、仁科と名乗る上等兵への援助を周囲の人々は厭うものの、弥一は一人、彼等への援助を決意する。 今作、まず読みながら思ったのは、古処誠二氏の他作品との比較である。終戦直前という舞台の中でも、沖縄戦というのは『遮断』と同じ、軍国少年という意味では『分岐点』と同じである。特に、『分岐点』との比較で色々と感じることが多かった。 同じ軍国少年とは言え、『分岐点』の成瀬少年は揺るぎ無い信念を持っている少年。一方、今作の主人公・弥一少年はそうではない。「国を守る」という名の元にやってきた本土からの兵士たち。自分の身近にいた白沢伍長、自分が助けた北里、仁科は「兵士らしい兵士」。そんな彼等を大きく信頼する。しかし、その一方で、大本営発表とは裏腹にどんどん苦しくなってく現状、余裕さえ感じられる米軍の様子。さらには、自分達を裏切るような行為を繰り返す日本兵たち。そんな状況に、揺れ動いていく弥一少年の心。そして、最も信頼していたはずのものが崩れた時に彼が取った決断…。 舞台は極限状態の沖縄であるし、現在とは事情が大きく異なる、というのは事実。でも、この弥一少年の感情に近いものを持つ人は少なからずいるのではないか? 他者が悪し様に言おうと、自分にっとは信頼できるもの。そして、その信頼が崩れそうになればなるほど、自らを鼓舞し、より信じようと試みて行く…。どうだろう? 古処誠二氏の終戦前後の作品も色々と読んできたけれども、個人的には今作が一番好きだ。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 7件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|