首なし死体、密室、蘇る、死者、見立て殺人……。

ペスト収束に奔走する敗戦間近の英国領ビルマ・メダンサ部落。

ある時は珍獣アカマダラタガマモドキの捜索隊員、ある時は松茸狩りの案内人、ある時は新薬実験モニター、そしてある時は戦隊ショーの怪人役――いっぷう変わったアルバイトに明け暮れる名探偵、猫丸先輩が遭遇した五つの事件。

飢えとマラリア、過酷な山越えのための想像を絶する疲労の中、困難な道を進む兵隊たち。摩耗する心と体。

弟・襾鈴の失踪と死の謎を追って地図にない異郷の村に潜入した兄・珂允。襲いかかる鴉の大群。

雪に閉ざされた山荘に、UFO研究家、スターウォッチャー、売れっ子女性作家、癖の強い面々が集められた。

傲岸不遜で超人的推理力の探偵・メルカトル鮎。教師殺人の容疑者はメフィスト学園の一年生、二十人。

「そうです。賀川少尉を殺したのはわたしです」第2次世界大戦中のビルマ北部。

日本兵が陥った隘路とは?戦地の法則とは?つきつけられた選択とは?一兵士が抱く感情・判断・意志を、冷静な眼差しと丹念な描写で浮き彫りにする、体験記でも戦記でもない、古処誠二の戦争小説最新作。

オカルトスポット探険サークルの学生六人は京都山間部の黒いレンガ屋敷ファイアフライ館に肝試しに来た。

渋谷のおんぼろビルにある「霊感占い所」には、今日も怪異な現象に悩むお客さんがやって来る。

1944年6月、多くの民間人を抱えたままサイパン島は戦火に包まれた。

夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々―江神部長や有栖川有栖らの一行を、予想だにしない事態が待ち構えていた。

退路を断たれた北ビルマでの戦いで、独歩患者は分進隊として切り離される。

侵入不可能なはずの部屋の中に何故か盗聴器が仕掛けられた。密室の謎に挑むのは防諜のエキスパート・防衛部調査班の朝香二尉。

信州の山荘で、鍵の掛かった密室状態の部屋から会社社長の遺体が発見された。

インパール作戦前年のビルマ。新聞記者の美濃部は日本軍の英印軍討伐に同行する。

「あなたには、捕虜の処刑および民間人に対する虐待の容疑がかけられています」戦後まもなく、インパール作戦の日本人指揮官にかけられた嫌疑。

昭和二十年四月、アメリカ軍が沖縄本島に上陸したとき、安次嶺弥一は十一歳だった。

昭和20年夏、本土決戦に備えて中学生たちは陣地構築に動員された。

『11枚のとらんぷ』を筆頭に、『乱れからくり』等数々の名作でわが国推理文壇に不動の地位を築いた泡坂妻夫が、この一作をもってデビューを飾った記念すべき作品―それが本書冒頭に収めた「DL2号機事件」である。

終戦間近のフィリピン戦線。

祖父はビルマ戦の帰還兵で、口を開けば戦争中の自慢話だ。

巨大な鉄骨を手に街を徘徊するアイドルの都市伝説、鋼人七瀬。

東シナ海に浮かぶ伊栗島に駐屯する自衛隊の基地で、訓練中に小銃が紛失した。

楽しさを追求したら、こういう小説になりました。

三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の心は揺らめく。

実務に追われる日赤救護看護婦を手伝っていた現地のビルマ人看護婦が全員解雇された。

１９４５年。B２９による空襲の翌朝、防空壕で女性の遺体が発見される。

強烈な百合の匂いに包まれた洋館で祖母が転落死した。

逼迫した戦況を一変させるという陸軍の軍事機密「カンナカムイ」をめぐり、 軍需工場の関係者が次々と毒殺される。

1938年秋。流行探偵作家の小柳逸馬は、従軍作家として北京に派遣されていた。

祖父殺しの嫌疑をかけられた御曹司、城坂論語。

太古の森をいだく島へ―学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。

昭和十年、春。数えで二十歳、女子学習院に通う笹宮惟佐子は、遺体で見つかった親友・寿子の死の真相を追い始める。

神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。

日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞ダブル受賞 寒村でおきた殺人事件の犯人と疑われた大学生・静馬を救った隻眼の少女探偵・みかげ。

あたしは主人公にはなれない―。関根夏はそう思っていた。

2013年から1967年にかけて名刑事クワンの警察人生を遡りながら香港社会の変化も辿っていく、珠玉の連作短編集。

昭和二十年八月十四日、敗戦の噂がまことしやかに流れる沖縄の捕虜収容所で、血眼になって二人の人間を捜す男の姿があった。

置き去りにされた子供を捜して戦場を北上する。生きているはずがない赤子のために命を賭けたのは、なぜか。

腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。

「頼みがある。相撲を教えてくれないか?」神様がそう言った。

歌劇『トスカ』公演の真っ最中。プリマドンナが相手役のバリトン歌手を突き刺したそのナイフは、なぜか本物だった。

結婚式当日、何者かに襲われた祥子。婚約者のユウ君と手分けをしながら、祥子は真犯人を目指した。

妖怪から相談を受ける『知恵の神』岩永琴子を呼び出したのは、何百年と生きた水神の大蛇。

天賦の才能に恵まれ、華麗な私生活を送る世界的テノール歌手・藤枝和行。

1927年。サム・ホーソーンが、ノースモントに診療所を構えて五年の歳月が過ぎた。

仏・ランス大聖堂の南塔から男が転落、地上八十一・五メートルにある塔は密室状態で、警察は自死と断定した。

「二十三年前、私は妖狐と取引し、妻を殺してもらったのだよ」 妖怪と人間の調停役として怪異事件を解決してきた岩永琴子は、大富豪の老人に告白される。

高校生の久太郎は、同じ1日が繰り返し訪れる「反復落とし穴」に嵌まる特異体質を持つ。

作家、評論家をはじめミステリーマニアの集まる下宿屋・時鐘館。編集者の催促を前に「原稿は一枚も書けていない。

元銀幕の大スター・片桐大三郎(現芸能プロ社長)の趣味は、犯罪捜査に首を突っ込むこと。

嵐の夜、マンションの十一階から姿を消した男が、十三分後、走る電車に飛びこんで死ぬ。

医学的に脳死と診断されながら、月明かりの夜に限り、特殊な装置を使って言葉を話すことのできる少女・葉月。

終末論が囁かれる荒廃した世界で孤独な女性のもとに現れたのは、言葉を話す不思議な赤毛のサルだった―ひとつ屋根の下、奇妙で幸せな一人と一匹の“ふたり暮らし”がはじまる。