ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。

「日本に美術館を創りたい」。その夢を追いかけ、絵を一心に買い集めた男がいた。

二ノ宮こと葉は、製菓会社の総務部に勤める普通のOL。

「美」は魔物―。

ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。

ニューヨーク、国連本部。イラク攻撃を宣言する米国務長官の背後から、「ゲルニカ」のタペストリーが消えた。

扇屋「俵屋」の養子となった伊年は、醍醐の花見や、出雲阿国の舞台、南蛮貿易の輸入品から意匠を貪り、絵付けした扇は評判を増す。

いつか終わる恋をしていた私。不意の病で人生の選択を迫られた娘。

もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください―。きっかけは絵馬に書いた願い事だった。

まじむの事業計画は南東東島のサトウキビを使って、島の中でアグリコール・ラムを造るというものだ。

勤務先の美術館に宅配便が届く。差出人はひと月前、孤独の内に他界した父。

アメリカ留学帰りの去場安のもとに、伊藤博文から手紙が届いた。

「ワぁ、ゴッホになるッ！」 1924年、画家への憧れを胸に裸一貫で青森から上京した棟方志功。

恋愛や結婚、進路やキャリア、挫折や別れ、病気や大切な人の喪失…。

「なんだか、硬いね」ベッドで恋人が乳房の異変に気づいた。仕事と恋を謳歌する咲子の人生に暗雲が翳る。

パリ大学で美術史の修士号を取得した高遠冴(たかとおさえ)は、小さなオークション会社CDC(キャビネ・ド・キュリオジテ)に勤務している。

ついに封印を解かれたのは、著者初の「ノワール小説集」。

東京・神楽坂の老舗料亭「吟遊」で修業をしていた紫紋は、料亭で起こった偽装事件を機にすべてを失った。

東京でインテリア・アートの販売員をするOL、真紅。仕事に挫折し、母親の待つ故郷に帰るべきではないかと悩んでいたある日。

退廃に彩られた十九世紀末のロンドン。

売れないアラサータレント「おかえり」こと丘えりか。唯一のレギュラー番組が、まさかの打ち切り…。

結婚を直前に控え、太平洋戦争終結直後の沖縄へ軍医として派遣された若き医師エドワード(エド)・ウィルソン。

詩帆17歳の誕生日デートは岡山の「大原美術館」、ピカソ〈鳥籠〉のまえ。それからふたりはいつも一緒だった。

39歳独身の歩は突然会社を辞めるが、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、多額の借金が発覚した。

幸せのレシピ。 隠し味は、誰かを大切に想う気持ち――。

道ばたでないていた子犬の「ぼく」を、みくちゃんって女の子が拾ってくれた。ぼくの新しい生活がはじまった。

1995年、神戸市長田区。震災で両親を失った少女・丹華は、兄妹とともに医師のゼロ先生に助けられる。

売れないタレント・おかえりこと丘えりかは、依頼人に代わり旅をする「旅の代理人」。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

島を愛する旅人の純子と、故郷の沖縄を出て東京のキャリアウーマンとして生きる成子。

ジャクソン・ポロック幻の傑作「ナンバー・ゼロ」のオークション開催が迫る香港。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

ファッション雑誌編集者の藍は、ある日ゴールデンレトリバーのリラを飼うことになった。

「人生で分からないことがあったら、映画を観ろ。

一九八〇年、岡山。佐々岡鮎子は東京から引っ越してきたばかり。

ある日現われたおしゃれな転校生ビートは、イジメられっ子犬田のファッションを大改造して一躍クラスの人気者に。

耳の中に棲む私の最初の友だちは 涙を音符にして、とても親密な演奏をしてくれるのです。

2021年、名もなきコードがブッダを名乗った。

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。

パリ、NY、東京。世界のどこかに、あなたが出会うべき絵がきっとある。

20××年、相馬凛子は42歳の若さで第111代総理大臣に選出された。

母と二人で大切にしてきた幼い妹が、ある日突然、大人びた言動を取り始める。

５２ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。

あなたと生きる、その痛みごと。

小さな喫茶店を営む女性が殺された。 加賀と松宮が捜査しても被害者に関する手がかりは善人というだけ。

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。

大学時代の同級生で十四年ぶりに再会したハグとナガラ。転職、別離、介護…人生の折り返し点を前にした、女ふたりの旅物語。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

日本橋の片隅で一人の女性が絞殺された。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎の前に立ちはだかるのは、人情という名の謎。

白昼、老人が渋谷のスクランブル交差点で何もない空を指さして絶命した。正光秀雄96歳。

記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。

「誰の心にも淀みはある。

【第166回直木賞受賞作】 どんな攻めをも、はね返す石垣。 どんな守りをも、打ち破る鉄砲。

ゴッホもこんなふうにパンをかじりながら、サン=レミからパリへと戻ったのかもしれない。

『キネマの神様』映画化に際し山田洋次監督は自身の若き日を重ねて脚色。

新聞記者の翔子が見つけた一枚の謎の写真。1939年、初めて世界一周をした純国産飛行機「ニッポン」号に秘められた真実。