“わたしたちは仲間です”―十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える“僕”は、差出人不明の手紙を受け取る。

「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。

あのとき、ふたりが世界のすべてになった―。ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。

娘の緑子を連れて大阪から上京してきた、「わたし」の姉でありホステスの巻子。

おかっぱ頭のやんちゃ娘ヘガティーと、絵が得意でやせっぽちの麦くん。

大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。

真夜中、解体されゆく家へ入りこんだわたしに、女たちの失われた時がやってくる。

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。

長谷川初実（ハツ）は、陸上部に所属する高校1年生。

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。

結婚、仕事、親の介護、全部やらなきゃダメですか 共感と絶賛の声続々! あたたかなエールが届く共感度100%小説! 東京で働いていた32歳の都は実家に戻り、地元のモールで店員として働き始めるが…。

あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。

クラスでは目立たない存在の結佳。

平凡なセールスマンのグレゴール・ザムザは、気がかりな夢からさめたある朝、一匹の巨大な褐色の毒虫へと変わった自分を発見する。

一九七〇年の夏、海辺の街に帰省した“僕”は、友人の“鼠”とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

あみ子は、少し風変わりな女の子。

林ちひろは、中学3年生。

天使へと解体される少女に、独白する書家の屍に、絵画を写す園に溺れゆく男たちに垣間見える風景への畏怖、至上の美。

絶望的な"閉ざされた"状況にあって、疎外された少年たちが築き上げる奇妙な連帯感。

記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。

「えっ。

東京の郊外で暮らす、しがないサラリーマン久保田輝之は、ある晩、人を殺めてしまう。

取り壊しが決まった団地に暮らす祖父を訪ねた六年生の杏奈。そこはかつてドラマ『たんぽぽ団地のひみつ』のロケ地だった。

人はなぜ人を殺すのか――河内音頭のスタンダードナンバーで実際に起きた大量殺人事件＜河内十人斬り＞をモチーフに、永遠のテーマに迫る渾身の長編小説。

3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。

友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。

新米弁護士のライネンは、ある殺人犯の国選弁護人になった。だが、その男に殺されたのはライネンの親友の祖父だったと判明する。

17人の書き手が自らの「身体」と向き合って記す、生きるためのリレーエッセイ 私の身体はほんとうに私のもの? 私の身体はどんな視線にさらされ、どのように規定され、内面化されているのか。

その日、兄とあたしは、必死に山を登っていた。見つけたくない「あるもの」を見つけてしまうために。

極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。

金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。それはメルヘン執筆。

最高ってなんて最高なんだろう。僕らはいつも最高だ。

現実が終わり、伝説も終わる―。アメリカ大統領に迫る核テロの危機。

「―― 大きい俺や小さい俺、青空に円形に展開、みな、くわっとした格好で中空に軽くわなないている ――」。

幼なじみのファンショーが、美しい妻と小説の原稿を残して失踪した。

私の父は、52歳で離婚し、ニューアークの家で、ひとり孤独に死んでいった。

9歳のさきちゃんと作家のお母さんは二人暮し。毎日を、とても大事に、楽しく積み重ねています。

亜紗は茨城県立砂浦第三高校の二年生。顧問の綿引先生のもと、天文部で活動している。

人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。

その男は死んでいたはずだった―。何十年も前、忽然と映画界から姿を消した監督にして俳優のヘクター・マン。

一人の男が道端で爆死した。製作中の爆弾が暴発し、死体は15mの範囲に散らばっていた。

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。

おなかがすいたら料理をつくり、あとかたづけに、へやのそうじ、退屈すれば話し相手に。

妻に去られたナッシュに、突然20万ドルの遺産が転がり込んだ。

愛したはずの夫は、まったくの別人であった。 「マチネの終わりに」から2年。

三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。

ここは女たちの地上の楽園?! シングルだけど、〝一人〟じゃない。

出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹…。

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子。若くも美しくもない彼女がなぜ―。

その愛は、あまりにも切ない。 正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。

「大きくなること、それは悲劇である」。

結婚して数年。自分たちには子どもができないようだと気づいた歯科受付の敦美。