わたしは「みんな」を信じない、だからあんたと一緒にいる―。

少年は、ひとりぼっちだった。名前はきよし。

村内先生は中学の臨時講師。言葉がつっかえて、うまくしゃべれない。

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。

定年退職をむかえた元・小学校の先生が、子どもたちとの日々を小さな謎をひそませながら、奥さんに語ります。

記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。

専業主婦の小夜子は、ベンチャー企業の女社長、葵にスカウトされ、ハウスクリーニングの仕事を始めるが…。

泉は田舎の温泉町から東京に出て

家族のことが、好きですか?郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。

昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。

わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が1億円を横領した。梨花は海外へ逃亡する。

じいさんが死んだ夏のある日、孫の良嗣は、初めて家族のルーツに興味を持った。

一九八〇年、吹奏楽部に入った僕は、管楽器の群れの中でコントラバスを弾きはじめた。ともに曲をつくり上げる喜びを味わった。

子供を妊娠し浮かれているサエコ

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…。東京から名古屋へ、女たちにかくまわれながら、小豆島へ。

「私は殺人を依頼しました。恋人の妻を殺してほしいと頼みました」誰もが滑り落ちるかもしれない、三面記事の向こうの世界。

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。

最愛の娘を殺した母親は、私かもしれない。

あいつの人生が終わり、僕たちの長い旅が始まった。

38歳、秋。ある日、僕と同い歳の父親に出逢った。

刺す少年、消える少女、潰し合うギャング団…。ストリートの「今」を鮮烈に刻む青春ミステリーのニュービート。

東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通してしだいに心を許しあうが、いつしかその関係性は変容していた。

中学校にはいろいろな生徒がいる。

東京から、父のふるさと、瀬戸内の小さな町に引越してきたヒロシ。アポロと万博に沸く時代、ヒロシは少しずつ成長していく。

東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。

昭和三十七年、ヤスさんは生涯最高の喜びに包まれていた。

「大きくなること、それは悲劇である」。

庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。

玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。

東京でピアニストとして活躍していた柏木ユリが音楽教師として長崎にある中五島中学校へ赴任してきた。

巨額の遺産を相続した若い独身女性の家に侵入してみると、なぜかどの部屋のなかも鏡だらけ。

僕は捨て子だ。その証拠に母さんは僕にへその緒を見せてくれない。

高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律に魅せられた外村は、念願の調律師として働き始める。

「価値観が変わる」と聞いて避けてきたけれど、いってみたら「書かれ続ける理由」がわかったインド、首から完走メダルを提げたまま、初老の紳士と親指を突き立ててうなずき合ったスペイン、自分の好みにおける「めんくい」が多いことに気づいた香港……旅好き作家・角田光代が

武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。

佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄。

中1の奈緒がピアノを教わっている絹子先生の元に、フランスからサティのおじさんがやってきた。

恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。

記憶狩りによって消滅が静かにすすむ島の生活。人は何をなくしたのかさえ思い出せない。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

楽譜に書かれた音、愛鳥の骨、火傷の傷跡…。

思い描いていた未来をあきらめて赴任した高校で、驚いたことに“私”は文芸部の顧問になった。

こんな人生に、使命は宿るのか。片足の祖父、不登校の甥、大切な人を失ったみのり。

息子が小学六年の一年間「親父会」なる父親だけの集まりに参加することになった私。

大学陸上部で同級生だった三人が、オリンピック男子マラソン代表・最後の一枠の選考レースに出場する。

真夜中の屋根のぼりは、陽子・リン姉弟のとっておきの秘密の遊びだった。不登校の陽子と誰にでも優しいリン。

「私は、“永遠”という響きにめっぽう弱い子供だった。」誕生日会をめぐる小さな事件。

わたしの人生は充実する、あの夫、あの親族さえいなければ。

僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。

ぼくの名はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。

出会いは運命だった。17も年下の彼に、こんなにも惹かれてゆく―。

表紙に惹かれて手にした『ななつのこ』にぞっこん惚れ込んだ駒子は、ファンレターを書こうと思い立つ。

グリニッチ・ヴィレッジに住む貧しい画家ジョンシー。彼女は肺病にかかり、窓辺から見える残り少い蔦の葉を数えていた。

オカルト、宗教、デマ、フェイクニュース、SNS。あなたは何を信じていますか？　 口さけ女はいなかった。