空には暗雲がたれこめ、気温は下がりつづける。目前には、植物も死に絶え、降り積もる灰に覆われて廃墟と化した世界。

十六歳のビリーは、家畜を襲っていた牝狼を罠で捕らえた。いまや近隣で狼は珍しく、メキシコから越境してきたに違いない。

十九歳になったジョン・グレイディ・コールは国境近くの牧場で働いていた。

少年は、十四歳で家出し、物乞いや盗みで生計を立て各地を放浪していた。時はアメリカの開拓時代。

レスター・バラード。暴力的な性向を持った彼は、家族を失い、家を失い、テネシーの山中で暮らしはじめる。

麻薬取引に手を染めた弁護士の男。一度儲ければそれでおしまいのはずだった。

ヴェトナム帰還兵のモスは、メキシコ国境近くで、撃たれた車両と男たちを発見する。麻薬密売人の銃撃戦があったのだ。

ヴェトナム帰還兵モスがメキシコ国境付近で発見した死体と大金が、更なる殺戮を呼ぶ。〈国境三部作〉後の衝撃作。

人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。

傷ついた犬のように、私は生まれた場所へと這い戻ってきた―ブルックリンの、幸福の物語。

1972年秋。20歳のアリシア・ウェスタンは、自ら望んで精神科病棟へ入院する。

1980年、ミシシッピ州。

私の父は、52歳で離婚し、ニューアークの家で、ひとり孤独に死んでいった。

1963年11月22日――11/22/63。 ケネディ暗殺を阻止するため、僕は過去への旅に出る。

第二次大戦下のニューヨークで、居並びセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。

長く続いた戦争のため、放射能灰に汚染され廃墟と化した地球。生き残ったものの中には異星に安住の地を求めるものも多い。

妻に去られたナッシュに、突然20万ドルの遺産が転がり込んだ。

聖遷暦1213年。偽りの平穏に満ちたエジプト。

侍女のオブフレッドは、司令官の子供を産むために支給された道具にすぎなかった。

謎の作家アルチンボルディを研究する四人の文学教授、メキシコ北部の国境の街に暮らすチリ人哲学教授、ボクシングの試合を取材するアフリカ系アメリカ人記者、女性連続殺人事件を追う捜査官たち…彼らが行き着く先は?そしてアルチンボルディの正体とは?2008年度全米批評

ある夏の日に突然、かつての恋人から遺産のゆくえを託された若妻エディパは茫然と立ちすくむ。

美術館爆破テロで母を亡くした少年・テオは、その時美術館から1枚の名画を持ち去った―レンブラントとフェルメールを結ぶ画家、ファブリティウスの「ごしきひわ」。

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。

疎開する少年たちを乗せた飛行機が、南太平洋の無人島に不時着した。

海をのぞむ美しい眺望で人々を魅了する“ジプシーが丘”。が、同時に呪われた地として皆から恐れられてもいた。

「そもそものはじまりは間違い電話だった」。

異常な寒波のなか、私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気候変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。

その男は死んでいたはずだった―。何十年も前、忽然と映画界から姿を消した監督にして俳優のヘクター・マン。

闇の世界史の随所に現れる謎の女、V.。

海岸で発見された男性の死体。彼の死に隠された真相とは? 小さな町に起きた奇妙で複雑な事件に、刑事マシュー・ヴェンが挑む。

おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。事の始まりはぼくの慢性不眠症だ。

新鮮な言語感覚と幻想に満ちた華麗な文体で構成された本作は、1948年に刊行されるやいなや、アメリカ中で大きな波紋を呼び起こした。

金欠、妄想、愛憎、暴力。救いようもない最底辺男の壮絶な魂の彷徨は、悲惨を通り越し爆笑を誘う。

腕利きドライバーのケインが受けた仕事は、ごくシンプルに思えた。

カンザス州の片田舎で起きた一家4人惨殺事件。被害者は皆ロープで縛られ、至近距離から散弾銃で射殺されていた。

1988年シカゴ。 クリスは切れ者のニール率いる強盗団の仲間とメキシコの麻薬カルテルの現金貯蔵庫を狙っている。

壮絶な過去をもつ元スパイに託された仕事は、 腐敗した街をさらに腐敗させること――。

【英国推理作家協会賞ゴールドダガー賞受賞】 満員のバスのなかでひっそりと死んだ老人は、元スパイだった。

文化大革命で父を惨殺され、人類に絶望した科学者・葉文潔（イエ・ウェンジエ）。

コーラはランドル農園の奴隷だ。身よりはなく、仲間たちからは孤立し、主人は残虐きわまりない。

19世紀末。

世界文学の最前線を行くカナダ人作家の傑作長篇が初の文庫化! ハメット賞&英国最高峰ブッカー賞に輝いた現代文学の金字塔!

ガーナー郡に住む16歳のすべての少女は、危険な魔力を持つとされ、森の奥のキャンプへ一年間追放される。

人はなぜ人を殺すのか――河内音頭のスタンダードナンバーで実際に起きた大量殺人事件＜河内十人斬り＞をモチーフに、永遠のテーマに迫る渾身の長編小説。

『わたしを離さないで』から十年。

「娘の小学校受験が終わったら離婚する」。そう約束していた播磨和昌と薫子に突然の悲報が届く。

2021年アンソニー賞、マカヴィティ賞、バリー賞、3冠! 「クライム文学の新星」デニス・ルヘイン 裏社会の元凄腕ドライバーが 家族のために引き受けた最後の仕事―― 米国南部の町で自動車修理工場を営むボーレガード。

戦後まもないオハイオ州南部の田舎町ノッケムスティッフ。

華氏37度で変わらぬ外気、階下では終わらぬパーティ。

多重人格カップルの友情と淡い恋心と殺人と――。

新任大使としてテイクスカラアン帝国に着任したマヒートは、案内役のスリー・シーグラスとともに前任大使イスカンダーの死の謎を追っていた。

アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀新人賞受賞作 自然豊かな静かな町で、世捨て人の老人の敷地から青年の遺体が発見された。

アリゾナの荒野を行く七人を乗せた駅馬車―御者メンデスとその部下アレン、十七歳の娘マクラレン、インディアン管理官フェイヴァー夫妻、無頼漢のブレイデン、そして「男」の異名を持つジョン・ラッセル。

母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。

父親との対峙を描く「判決」、特殊な拷問器具に取り憑かれた士官を取材する「流刑地にて」、檻の中での断食を見世物にする男の生涯を追う「断食芸人」……。

作家デビュー50周年に放つ、至高のクライム・ノヴェル 狙いは決して外さない凄腕の殺し屋、ビリー・サマーズ。