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すべての美しい馬
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すべての美しい馬の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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文学としての評価は定まっているので、付け加えることはありません。素晴らしい自然描写。 昔単行本で読もうとして2段組みがつらくて挫折したのですが 文庫は文字も大きめですらすら読めます。 国境三部作をepi文庫で買いそろえました。 | ||||
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二人の少年がたどる数奇な運命。 運命の歯車が狂いだすきっかけは、ある一人の少年に出会ったがためでした。 そして少年の一人が一人の女性に恋をし、一線を越えたがために 結果二人ともはめられ、暴力が支配する地獄へと落とされたのです。 しかしながら相棒が手を差し伸べ、その地獄からは解放されます。 そして愛する女性が抱える運命を恋をした少年は伝えられるのです。 結果はもうお判りでしょう。読者の望む展開にはなりません。 ですがそれでもこの作品は、美しいのです。 悲しい展開でも、ただただ、美しいのです。 ハードボイルド作品として間違いのない作品でしょう。 | ||||
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秩序を求めるアメリカと、無秩序で実力至上主義なメキシコ 前半はテキサスからメキシコに渡るまでの情景描写が印象的で、過酷な道のりだが、後半のメキシコ編に比べると穏やか。青春時代の冒険といった感じ。 徐々に不穏な雰囲気になり、メキシコで無秩序な環境で生き抜く主人公たちのどんどんたくましくなる様子もまた、対比できる。 ものすごく読みにくい、さらに三部作の長編。最初の数十ページで心折れた私のような人は、まず映画から観てもいいと思います。 | ||||
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「ALL THE PRETTY HORSES」という原題にあるように馬に関する描写が見事でその場面こそジョン・グレイディ・コールにとって幸福の時間であり物語の鮮烈さと対比が際立つ。 テキサスから抜け出し国境を超えた二人のどんな状況に陥っても揺るがない友情。 アレハンドラと再会を果たすまでの展開は抜群。至高の恋。確かにそうだ。 残念なのは戦後間もないアメリカとは言え多分こんな16歳は存在しないだろう。猛者揃いの刑務所で大人相手に立ち回れるはずは無く、警察署長を人質にして3頭の馬を引き連れ逃亡する件もちょっと想像しずらい。 大叔母が何故二人の仲を認めないのか?メキシコ革命を軸に語られる国家と一族と自身の変遷は壮絶で脳裏に刻まれる。巻末に解説者が映像化するならペキンパーで監督して欲しかったと述べているが、評者もブレヴィンズが連行され森の奥に消える場面で「ヤングガン」を。メキシコという国の不条理に「ワイルドバンチ」を彷彿した。50年代に量産された西部劇とはその位異質。 「血と暴力の国」を映画化した「ノーカントリー」はこの作家特有の文学的比喩を旨く映像化していたがマット・デイモン主演の「すべての美しい馬 」はただの青春映画になってる。因みにコインの裏と表の比喩はここでも登場する。 再び国境を越え国に戻り判事や教会の牧師等との会話に何かしら啓示のような物が現れているのかと思いきや意外とそうでもない。説教臭さは無いが要は冗長なのだ。しかし散文の中に鏤められた印象深い箇所は何度も読み返したくなるので「越境」「平原の町」も是非読んでみたい。 | ||||
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この作者の文章は、とっても読みにくい。でも、それが味です。 馬と少年の話。ロードムービー風。この少年が高倉健みたいで、えらくかっこいい。 友人を裏切らない。愛した女には一途。 記憶に残る主人公です。 | ||||
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青春小説の傑作とたたえられていますが、16歳でこんなハードボイルドに生きる少年っているのでしょうか。 いやあもう少年じゃないですよ、かっこいい青年ですよね、映画のマット・デイモンが小説の設定と違うという向きもあるかと思いますが、あれでちょうどいいくらい。じゃないと過酷すぎてふつうの16歳だったら何度も泣いちゃういますよ、いくらテキサンであっても。 実家の牧場は人手にわたるもののカウボーイとして馬とともに生きたいと願う主人公はテキサスからメキシコに不法入国する。大牧場で雇われ馬の飼育係として腕をみこまれますが、牧場主の一人娘との絵に描いたような甘酸っぱい大恋愛や絵に描いたようなとばっちりや陰謀で刑務所に送られ、囚人たちからの私刑をうけるが、とまあそのまま西部劇の映画にしてもいいような筋立てですが、時代設定は1949年、33年生まれの作者と主人公が同じく16歳という設定の物語です。 作者自身もこんなダイ・ハードな青春時代を当時送ったのでしょうか。 映画化もされましたが、西部劇というよりメキシコを転々とするロードムービーという感じでもあり、それなりに良作だったのですが、さすがに情報量がおよばないためさきに小説を読んでから映画をみてしまうとかなり損をした気になります。 主人公ジョン・グレイディと年上ながら理由をきかずその生き方につきあう親友のレイシーの会話も言葉少なく少年らしさもなく、かえってそれが友情の深さをうまく表現しています。黙っていても相手の考えがわかるあたり、シリアスなルパンと次元といったところ。 舞台は実在する地名ばかりなので、google mapで調べながら、いくら馬に乗ってもこんな距離を移動できるのかよ、今や小屋が一軒あるだけかよ、とかいいながら読んだらメキシコなんて行ったことはないけれどかなりのめり込めました。 | ||||
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舞台となる時代は戦前のアメリカとメキシコ国境周辺なのに、時代を超越した新しいものがある。 ロードムービー風なのに定点での思想のきらめきがある。登場人物が、その若さゆえの暴力性や激しさがとめどなくせつなく美しい。映像化されたが、いろんな役者を想定してしまう。魅力的なキャラクター。ジョン・グレイディ役は故人だが、リバー・フェニックスだろう。 テキサスの乾いた空気、あてどない旅、メキシコの熱さ。全てが魅力的。 マッカーシーの文体は会話の鍵括弧がなく、三人称的表現と一人称の独白部分が混在する。原文でも確認したけど、かなり翻訳は難しいと思う。なのにこれほど読ませるとは。翻訳家の黒原敏之さんの感性の高さや世界観の表現力が圧巻だ。 前半はやや冗長としたメキシコ的な時間の流れを感じるが、ある事件を元にまさにドラマ『プリズンブレイク シーズン2』のような閉鎖的で奇妙で濃厚な人間ドラマの場所に変わり、一気にストーリーが動き出す。 アメリカにしか書けない壮大な青春叙事詩だ。 | ||||
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マット・デイモンではなく10代の少年を主役にしてちゃんと映画化して欲しい。 | ||||
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長回しのカメラが捉えた情景をそのまま言語化したかのような、独特の映像的な文章がとにかくかっこいい。何度読んでもしびれます。何度でも何度でも読み返したくなります。ほかにこういう文章を知りません。 アメリカらしい乾いた広大な空間、アメリカらしい独立不覊の精神、をこれでもかというくらい見せつけてくれます。 ヘミングウェイ、スタインベック、メルヴィル、アメリカ文学が好きな人ならもちろん、ジョン・メレンキャンプ、シェリル・クロウ、ライ・クーダー、アメリカンロックが好きな人なら手に取ってまず間違いありません。 | ||||
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コーマック・マッカーシーの名を一躍有名にした代表作。 牧場で働きたいという思いからアメリカからメキシコへと渡るある青年の物語です。 なんか、主人公と一緒に旅をしているような気分になる小説です。それも結構過酷な旅をたんたんとする感じとでも言いましょうか。ちょっとハードボイルドな感じも受けます。 長いけど飽きはない。飽きはないけど長い。 文章のタイプとしては、とてもアメリカっぽい印象を受けました。アービィングとかが好きな人は好きなんじゃないでしょうか。 一文が長いところがとても目立つので(原作がそうらしいのですが)僕はちょっと苦手です。 「作業が終わると牧童頭ともうひとりの牧童が二人を牧場長の前に連れてゆき名前は後回しにして一言紹介し、そのあと五人で牧場長の家の裸電球がぶら下がる台所にゆき鉄製のテーブルとにつくと改めて牧場長が二人に牧場の仕事をどれくらいのみこんでいるかを詳しく尋ねたが二人が何かを答えるたびに牧童頭はそれが本当であることを請け合いもうひとりの牧童もそのとおりとうなずくのだったが、さらに牧童頭はこの二人の白人には自分たちもまだ気づいていない資質があるはずだといい、牧場長が疑念を漏らすのをそんなことは誰にでもわかることだとばかりに手の一振りで退けた。…」 ね、長い。こんなのがずらずらと続きます。 | ||||
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現代アメリカ文学の巨匠コーマック・マッカーシーの<国境三部作(ボーダー・トリロジー)>の第1作。’92年の全米図書賞と全米批評家協会賞をダブル受賞している。また、マット・デイモン、ペネロペ・クルス共演により映画化もされている。 時は1949年、16才の少年ジョン・グレイディ・コールは、祖父が死んで牧場が人手に渡るのをきっかけに、新しい人生を選び取るため、親友ロリンズと共に、愛馬でメキシコに越境した。途中で年下の少年プレヴィンスを道連れに加え、辿りついたメキシコの大牧場で働き始めるのだった。そこでの仕事は順調で、彼は美しい牧場主の娘アレハンドラと恋におちる。 だが、彼を待ち受けていたのは予期せぬ運命だった。プレヴィンスが騎馬警官を撃ち殺し、その共犯としてロリンズともども逮捕され、カステラル刑務所に収監されてしまう。そこで、ナイフを使った命がけの争いが起こる。くだんの牧場主の大叔母の尽力でふたりは自由の身になるのだが、彼女からアレハンドラとは二度と会うなといわれるジョン。 例によって、会話に引用符をつけず、心理・内面描写の無い、カンマを極力省略した息の長い文章というマッカーシー特有のスタイル。加えて南部方言やスペイン語をとりいれた地方色あふれるダイアローグからは、会話が地の文と一体化して少年ジョンの至高の恋と失恋、また苛烈な暴力が読者の胸をえぐる。 本書は、広大な西部を舞台にジョンの青春を鮮やかに謳いあげた、アメリカ青春小説の傑作である。 | ||||
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94年に翻訳された本で、かなり古いが、去年、『ザ・ロード』を読んで、読んでみたいとずっと思っていた。 翻訳もなかなか読みやすく、しかも馬の描写、特に、最初の方に出てくる野生馬の調教のところの描写すばらしい。 内容的にも、青春小説、恋愛小説、暴力小説の要素が混在しているが、さらには、メキシコの政治も絡み、非常に深いものになっている。 表面的には読みやすいけど、その深さがマッカーシーということなのかな。 他の著書も読もう。 | ||||
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映画「ノー・カントリー」で作者のことを知り、いたく興味を持って、本書も読んだ。 「青春小説」、などという通り一遍の評価があったが、そこは期待したとおりの作者のレベルの高さ。そんな単純なタイトルでは括れないおもしろさがあった。 展開も、ある意味意表をついている。 小説「ノー・カントリー」との共通点は、“拘り”ということだろう。このワードは、これからの時代においても、多分に重要となるはずだ。 世間がなんと言おうと、「わが道を往く」という価値観を創造することなくして、日本も日本人も生き残る必要はない。 ところで、なぜ「すべての美しい馬」なのだろうか、と考えてみた。きっとそれは、「馬」という、自然や人間に従順に生きることのすばらしさを訴えつつ、もがきながら、あるいは拘りながら生きていく人間の性(さが)のすばらしさを逆説的に対比させているのだろうか。 | ||||
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まず幻想的な風景描写が素晴らしい。そして重要な作品に必要不可欠な濃密さがある。この物語は人間の成長、自由の探求、友情、恋愛、冒険、宗教倫理など、前時代的で語り尽くされてきた、いかにもな文学の王道、本質的なテーマが根幹を成している。そのようなものを現代において描くのは、単にこのようなテーマが普遍的なものだからというだけではない。作者の圧倒的な筆力と表現力が否が応でも書かせてしまうのだ。マッカーシーは、時代に名を残した文豪たちと同じ土俵で渡り合うことができる稀有な現代作家であろう。現代では手に取りにくいような不朽の名作などの代替として、本作を読んでみてはどうだろうか。 | ||||
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読むとメキシコに行きたくなります。情景描写がすごく豊かに書かれていて、少しメルヴィルを感じさせる。独特のダイアローグも印象に残った。始めの方はとにかく読みづらいけど、どんどん物語に引き込まれていく。読後の余韻もひときわでした。 しかしよく翻訳できたなあ、これ。 | ||||
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文章は状況描写のみで、場人物の心情は殆ど描かれず、彼等の心情は台詞を通してしか推し量ないので、少々読みづらいと感じました。しかし、面白い小説ではありました。後書きにもありましたが、現代を描きながらタイムトラベル小説にも似た趣がある点は面白いと思います。アレハンドラの大伯母の長い独白によって物語に変化が生まれ、全体的に単調だという印象も和らいでいます。ただ、「至高の恋と苛烈な暴力を鮮烈に描き出す永遠のアメリカ青春小説の傑作」という書店書評は正確では無いように思います。作者は、失われた夢を美化するのではなく、現実の疎外感や孤独感をリアルに描きたかったのではないでしょうか。 | ||||
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