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マッチマッチ さんのレビュー一覧
マッチマッチさんのページへレビュー数321件
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読み易いことはこの上もない。まるで軽いコミック本のような小説であった。
こいつが怪しいじゃんと思った人物が、まさにそのものずばりであったのは笑える。 また、何となく怪しい手術室。ということは、いかにも違法臓器移植がバレバレ。 それにラストの復讐殺人。スーパースターのようなお手並みと逃亡劇。 軽さとスピード感と雰囲気だけのお気軽小説という評価で、☆2つ(アマゾン評価) |
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なぜこの書籍を手にしたのだろうか?
かなりライトな小説です。 中高生向きって言ったら、中高生に失礼か(笑) とにかく軽く流したい方とか、ミステリー初心者にはお手頃でしょう。 いわゆる刑事コロンボ、古畑任三郎シリーズタイプの倒叙ミステリー。 もうガチガチの絵に描いたような倒叙です。捻りも何もない(笑) 読んで分かったこと。福家警部補というのはシリーズもので、全5シリーズ。本作はその4作目。 基本、すべてが短編集です。なお、本作は2編の短編から構成。 刑事コロンボ役は、福家警部補という女性刑事。 「メガネをかけたチョイとおっちょこちょいタイプの女子」という設定で描かれていますが、その実態は、スーパーマン的な運動神経を持つしつこめで有能な刑事ということです。 なお、ミステリー小説としての感想ですが、短編1作目「未完の頂上」。こちらは、Nシステムの言及無しがダメポイント。Nシステムを確認すれば、ナンバーと運転手が撮影されているので、このトリックは成立しない。 2作目「幸福の代償」。犯人を落とすポイント。犯人に冷静さを失わせて失言を待つ。これは、面白く無い。最後まで冷静に証拠を積み上げ落とし込む。これが倒叙の醍醐味。がっかり。 というところがマイナス評価であった。 |
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現在の食の問題に関して書かれた社会派小説。
社会派ミステリーとまではいかない。著者からの啓発・啓蒙小説という立ち位置か。告発までは行かないであろう。 そういう意味では、かつて大きな話題となった有吉佐和子氏の「複合汚染」に似たようなスタンス。でも、決してルポではなく娯楽小説である。 食の問題の中身については、2010年頃の作品なので、現在では、世間的にほぼ知られた内容ではある。ただし、当時著者が相当情報を収集し、取材・調査された様子がうかがえる。当時の意欲作である。 また、単なる食の問題だけに的を絞っているわけではなく、食品加工場における外国人労働者、技能実習生の問題についても、ある程度丁寧に記述されている。 500ページほどあるが、上記のようなスタンスではあっても読みにくくはなく、サラっと読んでしまう。読み易い。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「ジェンダー・クライム」直訳すると、男女にかかわる犯罪ということですか。
本書は、昨今のジェンダー問題を扱った社会派警察ミステリーである。 著者のあとがきによると、『永遠の仔』を書いた20数年前の当時では書けなかったジェンダーにまつわる様々な課題を今回本書で届けた、ということらしい。 数年前に起こった集団レイプ事件。これをベースに、さまざまな出来事が発生する。殺人・虐待・DV・家出・・・さらにはセクハラまで。どれもにジェンダーが関わっている。 また、日常生活におけるジェンダー格差。男女間の意識差。性差に関する文化の習熟度。こうした話題までも散りばめられ、まさに多種多彩である。悪く言えば総花的か。 結局それも、あとがきに書かれていたように著者が最も意図したかった事であろう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは「社会派」を正面に据えた、もうガチガチの社会派小説である。
この方の作品、「幻夏」・「犯罪者クリミナル」・「天上の葦」と読んだけど、社会派ではあるがエンタメ感も強く、すこぶる面白い。当方の評価も全て高い。 それを期して読むと、前半から中盤までは少々しんどい。 この作者のことを知らずに、初めて本書を手にした方は、途中で投げ出すかもしれない。 でも勉強のつもりでしっかり読み進めると、後半は俄然面白くなる。著者の本領発揮という所か。 本作は、非正規雇用に関わる労働問題、組合活動、労働法制、さらにこれらに共謀罪を絡めた超問題作。テーマは重いし、こうした問題に無関心な若い方や右タイプの方は、端から手にしないであろう。 初出は地方紙とある。令和3年から約何2年間年に渡って連載されていたとのこと。 ということは、あやふやなことは書けない。参考文献を見てみると、膨大な数。相当調べてから書かれたようである。 正面切って上記の問題を扱っているので、どうしても説明がくどくなる。くどいから、読むのがしんどいというわけだ。 社会派小説には、主たる登場人物がいてそれらの行動・人間性が徹底的に掘り下げられ、その結果その背後に潜む社会問題が浮かび上がってくる、というタイプの社会派がある。 しかし、本書はそうではない。前述のテーマが主役で、このテーマを扱うために登場人物たちが行動し葛藤し生き抜いていく。このタイプだ。 後者のタイプだったが故、読む人にとってこのテーマが鼻につき敬遠してしまうこともあるだろうし、本来読んで欲しい人たちの手に渡らない可能性も高い。もったいないことだ。 惜しむべきは、このテーマを前者のタイプで描いて欲しかった。そして、4人の若い非正規雇用者をよりリアルに描き出してもらいたかった。 そうすれば、労働問題を扱った不朽の名作と評価されていたかも知れない。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「この作品は史実に基づくフィクションです。」
最後にこう記されていた。 その通りなんだろう。 著者が望むべき理想像として、史実に基づきつつ「ゴッホ」と「ゴーギャン」の関係を創作したのであろう。 ミステリー感は殆ど感じられなく、淡々と物語が進行した。 この本を手にしたのは、著者作の「楽園のカンヴァス」の印象が非常に強かったからである。 当時の読後評価は8ポイント。それには遠く及ばなかった。 ただ、理想の像を描いたからこそ、読後感は悪くはなかった。 それを良しとして、中庸点の5ポイントとした。 |
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かなり面白かった。
総ページ数500P超。ハードカバーで少々厚い。 冒頭に登場人物の一覧が出ている。 なんと、総人数は40人を超えているではないか。 こりゃ、読むのに難儀しそうだなと恨めしく思った。 ところがである。読み始めると何のことはない。 主要人物は僅か3名。 犯人箱崎、追いかける大阪府警刑事玉川(玉さん)と舘野(たーやん) あとはざっくり頭に入れておけば問題ない。 大変分かり易い。 しかも心情描写や情景描写は極めて少なく、各場面での会話で物語の大半は進行する。 故により分かり易く読み易い。 あっと言う間に読み終え、楽しむことが出来た。 登場人物のキャラ。 箱崎は極悪人なのか。正義の一面も被っているのか。 この扱いが絶妙に上手い。 仕事ぶりも冷静沈着。まるでTVの必殺シリーズに出ていた仕事人「中村主水」のような切れ味である。 「そう、おれはシリアルキラーじゃない。サイコパスでもない。犬や猫を殺したことはないし、庭に・・・」 興味を引く独白である。 立て続けに3名もの殺人。犯行の動機が気になる。純粋に金(カネ)?それとも? 追いかける刑事2人組。 黒川氏の著書はさほど多くは読んでいないが、「悪果」シリーズの堀内・伊達のような雰囲気である。2人の漫才のような掛け合いが面白い。 食事の支払いのコイントス。美味しそうな名物料理の紹介。 「堀内・伊達シリーズ」の二番煎じのようだが、軽妙でノリが良い。 しかし、捜査の過程は前述シリーズより、緻密で細かい。リアルである。 また、情報屋・道具屋・金塊ブローカーなど怪しげな業種の輩の登場は、興味深いアクセントとなりストーリーに花を添える。上記3名のキャラとこやつらとのやり取り、駆け引きは絶妙で、生々しくかつ可笑しい。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ストーリーは2つの物語が交互に進行する。
時間軸が同じかどうかは分からない。 一つは記憶を失った若い男女の二人が、怪しそうな中年男性とともに記憶を手繰り寄せていこうとするお話。何らかの裏に隠された不穏な事件を想像させる。 もう一つは、カウンセラー的仕事をしているシングルマザーの女性が、失踪した相談人の女子高生を見つけ出そうとするお話。 本書は著者の初期作で、600ページを超える長編サスペンスミステリーである。 いずれこの2つの物語が、どこかで絡みあい収斂していくであろうことが予見されるが、中盤近くまでなかなか正体が見えない。 怪しそうな中年男性の正体は? 物語の所々に出てくる「レベル」という用語。 これは何なのか?「レベル」がどういう事象の段階を意味しているのか? タイトルにも付けられているように、本書の肝となる重要なキーワードであろうことは推測されるが、、、 本書の読みどころは、まさにこの2つのお話の関係といくつかの疑問を推測することである。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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サイト内を流していると、表題の書籍が眼に留まった。
A評価ではないか!しかも、著者は知っている。 かつて「噂」という著者作を読み、高評価を付けた記憶がある。 あのラストの衝撃を思い出し、期待大で読み進めた。もちろん事前情報なしで。 それでその結論だが、なんと「噂」とは全く正反対の純然たる非ミステリ小説であった。 読み始めてすぐに気づく。これってミステリー本じゃないねって。 「若年性アルツハイマー」を扱った夫婦愛、家族愛を伝える切ないストーリーである。 でも、どんどん引きこまれる。当方のような年齢になると、他人ごとではありません。 主人公は、50才で発症した広告代理店営業部長の佐伯。 彼の家族構成は妻と結婚式を控えた一人娘の三人。 物語は主人公の一人称でラストまで語られます。 50才と言えばまさに働き盛り。 その主人公の記憶が少しづつ失われる過程と、揺れ動く心情がリアルに描かれ、ある意味怖いです。下手なホラー小説は笑って流せるが、こちらは正真正銘の怖さ、自分自身の将来と重ね合わせてしまいます。でも著者は、この怖さを軽妙洒脱に笑いを交えて描いていきます。 ミステリー本ではないのだが、主人公やその妻は、最後にどのようなエンディングを迎えるのだろうかと、気になって引きこまれます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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今を時めく二人の有名クイズプレーヤー。
舞台は某クイズ番組の決勝戦。 しかもこの番組、TVでライブ中継されている。 優勝賞金は1,000万円。現在得たポイント数は、両者同数で、これがラストの1問。 その最後の1問で、相手プレーヤーは、MCの「では問題です・・」でボタンを押し、それに正解し優勝する。 なぜ相手は問題文を一文字も聴かずに正解に辿り着けたのだろうか? 本作はこの疑問に答えるべく、敗者になったプレーヤーが思考する過程を、つぶさに描いた作品である。 もちろんこの問いかけに対する解答は、次の3つしかない。これは素人でも解る。 ①番組はヤラセ番組で、勝者は出題される問題を最初から知っていた。 ②勝者は超能力者で、MCの心を透視することが出来る。 ③物事には必ず理屈がある。今回の決勝のラスト問題は予想することが可能になっており、勝者はそれを正確に予想出来ていた。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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なかなか面白い笑える作品であった。
特に序盤から中盤にかけての流れは素晴らしい。軽妙でスピーディ。 山上たつひこのギャグコミックを読んでいるかのようなパンチの良さである。 読みながら思わず一人笑してしまった。 テーマはまさにタイトル通り、「神様のような中学校校長「坪井誠造」氏の裏の素顔は?」である。 序盤はあからさまに裏の顔を想像させるネタを、次々とぶち込んでいく。 そして、誠造氏の葬儀会場で、一部の参列者からそのネタが徐々に掘り起こされる。 「誠造氏ってヤバいじゃん」 ここまでは当然予想通りの展開。 しかし予想通りであっても、実に肩肘張らずに気楽に楽しめた。素直に面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「社会派ミステリー」のキーワードで上位にピックアップされた作品。
そういう理由で手にした一冊であるが、著者作は初読みとなる。 60年代前半の横浜を舞台にした作品で、二人の登場人物が、日本人女性惨殺事件の犯人を追いかけるという基本ストーリー。 その一人が、主人公の日本人でありながら見かけは全くの白人であるハーフ警官ソニー。もう一人が、副主人公で、逆に米国人でありながら見かけは全くの日本人である日系三世の横須賀基地所属のSPショーン。 ただし、単なる犯人探しがテーマではない。 主題は60年代当時の米軍基地がある街の雰囲気・空気感をモノクロ的に描きながら、混血児に対する日本人の偏見、白人の有色人種に対する差別意識、戦勝国民の敗戦国民に対する侮蔑感。こうした風潮を事細かく写出していく。 そういう意味で、本書は徹底した社会派小説であり、ミステリー要素はそれらしくどんでん返しを準備してはいるが、あくまでも付録である。 さてでは、社会派という面で本書を評価すると、二人の主人公たちを含めて、全てが良くも悪くもステレオタイプで、今さら感満載。もっと、その裏の隠された内面・意識を読みたい。 ミステリー面でも、犯人の犯行心情が画一的で面白く無く、また被害者たちの内面が全く描かれていない。そういう意味で、形式的。 また、60年代前半東京オリンピック前年の雰囲気も、いまいち、書き込み不足。物足らなかった。 ということで、評価は中庸の5点とした。 |
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第26回鮎川哲也賞受賞作とのこと。ということは、トリック物ということですか。
あまり好みではない範疇に属していそうなので、パスしても良かったのだが、サイト評価が高かったので読む事にした。 無事、読了。 思ったより喰いつきも良く、飽きることなく読めた。 動機・心理・感情、こうした物を楽しむのではなく、単純にトリックを楽しむ。そういう一冊だと思う。 2人の警察官コンビのライトさも相まって、気軽に楽しみましょう。 |
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この著者さんの作品は、かなり前に「ワイルド・ソウル」を読んだきりである。
かなり面白かった印象があるが、当時の当方の評価は9点を付けていた。 最近、直木賞を受賞されたのを思い出し、そのこともあり、この方のデビュー作である本冊を手にした。 本冊は、サントリーミステリー大賞受賞作であるとのこと。期待は大きい。 さて、読み終わっての感想であるが、なかなか素敵で面白い作品である。 少年の何とも言えない切なさがいいですね。とは言っても、読後感は悪くはない。清々しくて爽快である。 また、この小説のタイトルがいい!ラストにその正体が説明される。 一番鶏を利用した「東京」と「サイゴン」の対比、とってもオシャレです。 処女作でこのレベルの作品。相当な技量の持ち主の方なんでしょうね。 ウイキを調べてみると、2000年にサントリーミステリー大賞で、その23年後、直木賞ですか。 ここ10年は、歴史小説がメインになっているようなので、それ以前の小説、手にしたくなりました。 それほど、評価が高かったと思います。 ただし、「ワイルド・ソウル」を9点にしていたので、流石にあのレベルの壮大さには遠く及ばなかったの、マイナス1点の8点にしました。 いやあ、しかし、本当に読み易く、軽快で面白かったですよ。 |
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前評判も知らず事前情報も無しに、作者名と文庫本の厚みの手頃さから手にして読んだ1冊。
読み終わった第一感想は、ちょぴり哀しい青春小説という印象。 時間軸のズレで二つの物語が進行するが、登場人物は少ないので非常に分かり易い。 そして、時間軸のズレは最後に収斂するスタイルと思われるので、当然そこには何らかの仕掛けがあることも予想される。 しかしながらその仕掛けは本冊のテーマでは無いだろう。著者のおまけ的なお遊びという程度で捉えていいのではないか。 だから、この小説をミステリー本という位置づけで評価する必要は無い。この部分は遊びの付録なんです。 さてでは、この小説のテーマであるが、若さと純粋さと正義と葛藤と死であると思う。 まさに青春その物。しかもそれは儚く哀しく切ない。 そういえば、同じ仙台を舞台にした「砂漠」という著者の作品があったが、似たようなテイストだったと思う。 あちらは後味が良かったが、こちらは少々重い。 また、琴美と椎名のちょっとした行動にイラつく。※「もう少し何とかしてよ!」と思ってしまう。 さらに、動物虐待、外国人差別、HIV偏見という社会性のあるテーマにも触れてはいるが、それぞれの深堀は無く、総花的になってしまい却ってぼやける。 そういうこともあり、「砂漠」でつけたポイントより1点下げて6点というところか。 最後に、残された二人はその後どうなるのか。 余韻は残った。 |
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