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メタボラ
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メタボラの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全93件 61~80 4/5ページ
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主人公の男の過去が気になって、決して楽しい話ではないのに、いやむしろ、だんだんつらくさえなってくる話なのに、ラストまで一気に読まされてしまった。自分がイメージしていた、リゾート・アイランドとしての沖縄と、この本に書かれている生活する土地としての沖縄のギャップが悲しく、消化しきれなかった。しかし一番つらかったのは、主人公の家庭。親は選べないと言う。じゃあ、その運命をどうすれば…?というところには全く触れていない。そういうことではなく、現在の若者の姿を描くことにより、社会構造の矛盾や、理不尽さを浮かび上がらせたかったのだろうということは分かるのだが、ここまで辛い話に付き合わされ、誰にも感情移入できず、何か素晴らしい啓示が得られるでもなく…疲労感、絶望感だけが後に残ってしまった。何か、もう一歩踏み込んだ何かがあれば…。環境をどうすれば…という部分で、最後に力のある強い結論が欲しかった。 | ||||
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沖縄を舞台として、方や仕事をしっかりこなしていくタイプ、もう一方がそれとは反対に女好きで自分の思うように生きようとするタイプの、正反対の二人の青年の生き様が描かれている。そこからは、上の世代の大人たちのよって振り回され、搾取される若者像が浮かび上がってくる。いくら真面目に働いても、あるいは好きなように生きても、大人たちによって人間を破壊されている、という強烈なメッセージが伝わってくる。 そうなったのは誰の責任なのか、その怒りをどこに向ければよいのか、破壊されつつも、怒りの矛先がわからずに、口を封じられていく様は見事に描かれている。沖縄という舞台も、本土の人間と沖縄の人間の認識の違いが浮かび上がらせることによって、日本本土の人間像がくっきりと浮かび上がっているのに役立っている。そこでも、本土の人間の人間性が失われていることを暗に浮かび上がらせている。 格差社会、経済問題の人間に及ぼしている影響が、具体的にどのような人間を作り、また人間を追い込んでいるか、強烈に浮かび上がらせている。 | ||||
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相変わらず、遠慮なく厳しく痛い世界を描ききる。 こんなに暗いのに途中で放棄することが出来ない。 残酷なシーンの続く映画なら、きっと観るのはやめるのに 桐野作品の残酷さや暗さは途中で放棄出来ない魅力がある。 最後まで読んでも救いがないこともわかっていて、それでも期待し、割と厚めの本ながら 一気に最後まですすませてくれる。 波長が合うのだろうか? こんなに中盤から後半にかけて読む速度が一気に加速して、手放せなくなる。 何に面白さを感じるのか、本当によくわからない。 自分には絶対に出来ない世界で彼らは生きている。 そんな憧れがあるのかもしれない。 ボロボロで不自由で、希望もほとんどなくて、息苦しい世界。 どこかで、羨ましいのだ。 だからかなあ。 しかし読了後の数時間私はなんともいえない暗い空気に包まれた。 そんな空気に包まれたい方にはおすすめです。 | ||||
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記憶喪失になった男。 その記憶の片鱗はわりと早い段階でわかるのだが、 そのすべてが思い出されるのは、物語の終盤になってからである。 私個人としては、一番最初の、主人公と昭光が コンビニで知り合った女の子の家にころがりこんだ時の話と、 終盤の、主人公が柏崎の工場に住み込みで、 集団で働きに行った時の話がとても面白かったと思う。 住み込みの工場での生活。 彼はその時に初めて、 見ず知らずの他人と生活を共にすることの 精神的苦痛と悲惨さを知るのだった。 あれほど忌み嫌っていた父。 あんなにイヤだった父との生活を思い出して 「これなら、父と暮らしていた方がずっとマシだった」 と思わせるほどに。 やっと一筋の光明のように新ルームメイトの木村が現れたが、 それも束の間の夢でしかなかった。 この工場の中での話だけでも一冊の小説になり得る程に、 充実した内容になっている。 | ||||
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前半は沖縄で記憶喪失になって、地元の昭光と出会う若者。昭光からギンジという名前を与えられる。そこから自分がだれかわからないままギンジは沖縄で生活するが、正直長すぎた。途中で読むのやめようとしたくらい。でも後半、記憶を戻したところから一気に読んでしまった。壊れてしまった家族関係、請負で低賃金で働く、その後絶望して集団ネット自殺をするという話。あまりにもリアルでこわいくらいだった。壊れてしまった父の描写を読んだ日の夜はは悪夢をみたくらい。請負で働くあたりは、私は経験はないものの、「日雇い派遣グッドウィル、フルキャストで働く」で読んだグッドウィルの派遣労働者の告白そのものだった。そういえば、桐野氏は「OUT」で弁当工場の描写も生々しかったが、社会の暗部を切り取るのが得意な作家だと思った。この作品は後半を中心にするために、前半をもっとコンパクトにしたらもっとよかったと思う。 | ||||
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それにしても桐野夏生は、リビドーに突き動かされる人間 を描くのがとてもうまい。この小説でも、ギンジとアキンツ という対照的な2人が活き活きと描写され、行間からは彼らの 吐く息すら匂ってくるような気さえした。 社会の底辺で生きることの悲哀をテーマにしているが、 舞台が沖縄ということもあるせいか、明るく眩しい青春映画 を見ているような気分になる。宮古弁が実に効果的だ。 悪く言えば中途半端、良く言えば余韻の残るラストは心に沁みた。 新たな旅立ちを遂げた2人はあの後どうなったのか、とても気になる。 是非とも続きが読みたいのだが・・・・。 | ||||
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舞台は沖縄で、沖縄特有の文化が散りばめられている。 主人公である記憶を無くした「僕」と、周囲の人物は、全員がより良い自分を求めてもがいている。 登場人物それぞれには、それぞれの事情があり、時に壮絶ではあるが、いちいち共感出来る部分は多い。 主要登場人物は、魅力たっぷりだ。 当初、非常に謎めいている「僕」や、あっけらかんとしたアキンツには、愛着を持てる。 アキンツが話す、郷里の言葉も、良い響きがある。 著者の作品の常であるが、作品を支配する独特な世界観は、明るいものではない。 むしろ、絶望感を、これでもか、これでもかと提示してくる。 そんな世界に、長時間酔える、長編作品だ。 また、著者の作品の成り立ちは、層を次々と積み重ねるタイプの、独特な印象がある。 それは、綿密にプロットされた推理小説などとは対極をなし、その部分も、良い意味で新鮮だ。 若者たちが、自分自身を求めて、暗中模索を繰り広げる。 否、のたうちまわる、と形容したい。 | ||||
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最初から最後まで、丁寧できちんとした感触のある小説で、良質な娯楽だった。600Pというとても厚い本なのだが、さらっと一気に読めてしまった。 少年と青年の成長過程が丁寧に構築されていて、楽しいような、甘酸っぱいような、哀しいような。 そうした複雑にからみあった10代後半から20代前半の味わいがきちんと小説の中の世界に表現されていて、その世界観に感動した。 新聞の連続小説はほとんど無視しているのだが、連載をきちんと追う形で読んでみるのもいいかなと思わされた。 筆者の本ははじめて読んだと思うのだが、少し追いかけてみようと思った。 小説というものの性質もあるし、再度読みはしないと思う。しかし、良質でお勧めできるので星は4つに。 | ||||
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桐野ファンの私は、アキンツが今までの桐野作品の中で 一番好きな男性キャラクターになりました。 アキンツがかっこよくて、考え方などに共感でき、 読み進めるのが楽しかったです。 ただ、銀次との絡みがもっとほしかった、というのはあります。 二人がばらけて行動を始める構成はいいとしても 再会の場面でアキンツがぼろぼろでは・・・ でも面白かったですね! | ||||
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舞台は沖縄。 物語は逃亡してきた2人の若者の出会いによってはじまる。 一人は記憶喪失の男。 そしてもう一人は全寮制の職業訓練所のような施設を飛び出してきた昭光。 それぞれの視点から語られる沖縄と現代の若者の問題を描きます。 沖縄の政治問題、DV、集団自殺、低賃金で働く外国人労働者、 ニート、ワーキングプア、派遣社員の現状など 現代の日本が抱える様々な問題をたくさん絡めてあり、 グイグイ引っ張られるような吸引力がある。 でも、やや詰め込み過ぎな印象です。 そこへ沖縄のうだるような暑さが襲い掛かかり、 ジリジリと焼けつくような作品です。 中でも私にとって最も印象深かったのは 本土から移住してきた人と、 もともとの沖縄住民との「沖縄」に対する思いの差。 両者とも沖縄を愛しているのに変わりはないのに、 どうしても越えることのできない壁がある。 この温度差を埋めるにはまだまだ長い年月がかかるのでしょうね。 何人かのレビュアーさんはこのラストに救いや希望を感じたと書いているけど、 私はそうは思わない。 記憶喪失というゼロの状態から自分を見つけていったギンジ。 すべてを思い出した時の葛藤、そして最後の選択・・・。 彼の未来に果たして希望はあるのでしょうか。 このラストには彼のような若者には、 悲しいけど抜け道がない現状がはっきり描かれていると思うのですが・・。 | ||||
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視点が交差して書かれるのは、よくある手法だと思いますが、あまり有効に効いているように思えませんでした。バランスも悪いし。この視点の入れ替わりは、趣向に終わっていて、必然性があまり感じられませんでした。ストーリー的にも、人間描写的にも。 主人公が昭光にあれほど惹かれることにも、あまり説得力は感じられませんでした。後半の記憶の復活や選挙運動の始まりなどになると、どうも話が散漫になるようで……。 ただ、柏崎の工場や寮の過酷さや、昭光の勤めホストクラブの様子などは、とてもリアルに書かれていて、楽しめました。あのあたりをもっともっと深く描きつくしてほしかった。 | ||||
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暗い過去を引きずって生きているのか死を求めているのか、そういうギンジと底抜けに明るい昭光を対照的に描くことでストーリーは展開していく。北陸と沖縄という対照的なステージ。悪いやつ、いいやつ。最後はギンジが献身的に昭光を救うことによって自分の生きる方向を確信したようだ。ストーリー・テラーとしての桐野氏の面目躍如たるところでしょう。 | ||||
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舞台は沖縄。沖縄の雰囲気に相対する、若者達の煮え切らなさ、狡さ、セコさが切れ味鋭く書かれている。私は最初ギンジに肩入れして読んでいましたが、次第に幻滅していき、最後に昭光って清々しい奴だったんだなあと思いました。でも、それは坊ちゃん育ちであるが故。でも全体的に出てくる男が皆ヘタレだなあ。それにしても若者の生きにくさは個人の能力如何の範疇を越えている。若くてこれほどなんだから、もっと上の世代はもっと厳しいのだ。政治家にもちゃんと読んでほしい。 | ||||
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記憶喪失の僕と宮古出身のジェイクこと昭光との奇妙な出会いから、二人の自分探しの旅が始まるのですが、桐野さんらしく、味付けされていて、ただの自分探しでは、終わりません。 格差社会、沖縄問題、ニート、ドメスティック・バイオレンス、集団自殺等々と、現代の闇を巧みに盛り込みながら、めまぐるしく展開するストーリーにすっかり嵌ってしまいました。 他の登場人物も皆、一癖も二癖も有、かなり強烈ですが、不思議とストーリーの邪魔にならず、調和していてとてもリアルなのは、桐野さんの実力でしょうか。 沖縄のカラッとした日差しとは、対照的に読んでいて吐きそうになるくらい重苦しく、息苦しいのですが、途中で辞められない、そんな小説です。 | ||||
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作者の意図が現代社会の病巣を切り取ろうとしているのなら的外れな作品になっている。 闇が描けてないのだ。人間の闇が。 主人公は集団自殺の生き残りであるが、その集団自殺しようとした理由というのが家庭内暴力を振るっていた父親に似てきたからというものである。そんな理由で自殺しようとするか?と思ってしまう。 本当に現代の若者を取材したのかさえ、怪しい気がする。ニートになるならニートになる理由が存在する。それがこの作品ではうまく描けていない気がする。 ここででてくるキーワードがまた微妙である。 沖縄、家庭内暴力、集団自殺、派遣労働、ニート。 5年ぐらい前だったらこのキーワードで売れた気がする。今では使い古されたキーワードである。 はっきりいえば、古すぎることをテーマにしていないかと思うのである。 時代を切り取るならば、ネットカフェにいけばいい。いまの時代の病巣がそこにはあるから。 ただひとつほめるところがあるとすれば、恋愛描写である。これは秀逸だと思う。好きな相手の心をすべて手に入れたいという思い。手に入れないもどかしさ、せつなさ。失った消失感。これの描き方は秀逸である。ここだけはよんでもいいかもと思う。 ちょっと社会派な恋愛小説をよみたいならどうぞ | ||||
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情けない若者たちの、自分殺しの旅・・・ 主人公の妹のように、恵まれない環境の中からも、 しっかりと自分の目標のために着々と頑張る子もいるのですが、 環境や親、社会に押しつぶされてしまう、 流されてしまう子供のほうが多いのでしょうね。 いまどき、年齢の8掛けどころか6掛けくらいの生活力しかないと聞いたことありますが、 確かに、30歳くらいになっても、まだ一人前になれない子多いような気がします。 そんな「負け犬」のサンクチュアリが「沖縄」なのかなあ。 まあ、暑いから凍死することはないし、 なんとかコンビニ賞味期限切れ弁当ゲットできたら、餓死もしないし。 切実な生命の危機とかに晒されることなく生きていると、 反対に命を粗末にするような気がします。 格差社会というけど、そこからのし上がる人はのし上がっているのだから、 「自助努力」ってこと、 もう少し考えたほうがいいのではと。 それこそ、主人公の妹さんのように、自分の未来は自分で切り開いて欲しい。 利用できるものは、利用して。 この本を読んで、「社会が悪い」 という人とは、あんまり親しみたくないな(笑 | ||||
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グロテスクとダークで見限ったつもりだったけど、最後の1冊と思って読んだ桐野本。 やっぱり読んでよかった! 最初から引き込まれて、会社のお昼休みまでページをめくる始末。 読み終えたあとは、自分もあの熱い太陽の下に立っているような気がしました。 救いのある終わり方でよかった。 次の桐野作品も、きっと読むと思います。またこんな本に出会いたいものです。 それにしても、メタボラってなんのことだろう。 | ||||
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「ネット集団自殺」「沖縄移住」「労働者派遣、業務請負」などの今日的な社会問題を織り交ぜた、いかにも桐野夏生!な作品なんだけど、冒頭、ぐいぐい引き込まれていくのは「過去が消失している」っていう主人公の特殊な設定に負うところが大きい。過去がない20歳過ぎの男が一から生活、人格、アイデンティティを形成していくっていうRPGゲームの成長譚みたいな希望。主人公は過去の記憶がないってことにアイデンティティ・クライシスを覚える訳だけど、「記憶のリセットが出来たら...」って羨望する読者も多いんじゃないかな。本書に「他人に語る喜びとは、嬉しい記憶の反芻にある」って言葉があるんだけど、逆に言えば「悲しい記憶は消したいし、語りたくない」。実際、主人公は、記憶消滅って力学が働くほどの、悲しいなんてレベルを遥かに超越した負の記憶が存在していたわけだけど。でも、都合よく部分的な記憶の消去なんて無理で、すべての過去の記憶をひっくるめて引き受けることでしか現在(いま)は存在しないんだよね。この小説読んで分ったことは、性格とか人格って過去によって既定されてしまうってこと。主人公は過去の記憶を取り戻した途端に攻撃的な態度を表したりする。過去の記憶を物理的に消し去ることは出来ないけれど、過去を抱えつつも、新たな記憶、新たな人格、新たな自分を上書きしていくことは可能なんだよね。過去は変えられないけど、現在(いま)を上書きすることで未来は変わっていく。 本書には「辛い環境の中では、現実を見ないようにして、誰もがファンタジーの中で生きたがる」って言葉も出てくる。それも一時的な処世術ではあるけど、きっと本質的な上書きにはならないってことなんだろうな。 それにしても、この本、結構分厚いんだけど、とても面白く読めて、ここで書いたような解読以外に、なんか別の魅力が存在している気がする。言葉に出来ないんだけど。 | ||||
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ある夜、沖縄の山の中で記憶喪失の「ギンジ」と 宮古島出身で職業訓練塾から脱走したジェイクこと昭光が出会う。 その2人が沖縄とギンジの過去の地を舞台に繰り広げる叙事詩。 ワーキングプア、沖縄の政治問題、家族の絆、生きることの意味、 恋愛に翻弄される人間、多彩な人間群像・・・などサブテーマも 満載なので、人によって読み取ることは変わってきそうだが 底に流れる一番強いというか激しい読者へのメッセージは 「あなたは誰ですか?」 「あなたは本当にあなたですか?」 「あなたは自分を生きていますか?」 という問いかけだと思う。 この問いをこの叙事詩に溶け込ませるところがすごい。 最初4分の1ぐらいまではちょっと退屈しそうになるところも あったが、その後は物語の面白さとテーマの重厚さに ぐいぐいと引き込まれていく。 ラストも人によって解釈はいろいろかも。 読み終わった人同士で感想を話し合うのが面白そうな本でもある。 桐野夏生の名作「OUT」以上に後世に伝わっていく作品だと思う。 ワグナーの名曲集で「トリスタンとイゾルデ」などを聞いていたら 自然と「メタボラ」の一節一節が楽曲と溶け合って蘇った。 桐野夏生もついにワグナーと肩を並べたのだろうか。 | ||||
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サスペンスの、どちらかといえば正統派として当初登場したこの作者は、ある時期から徐々にエグさを増し、面食らってしまうような異端や絶望を紹介しながら、前作まで至ってきたように思います。ただ、本作品はちょっと違う。若者の暗くどうしようもない、頑張っても報われないさまざまな現実の断片を描いていながら、この主人公には救いを与えています。 若者といわれる年代をとうに過ぎた私は、読み通せるかどうか不安もありましたが、頁を繰る手は止まりませんでした。是非にとお薦めしたい秀作です。 | ||||
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