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メタボラ
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メタボラの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全93件 81~93 5/5ページ
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「OUT」で、お弁当工場に働くパート女性の描写で日本の「底辺」を描いていた作者が、今回はホストクラブや工場派遣(実は請負)労働の描写で未来の不確かな若者達の「貧しさ」「希望のなさ」「底辺」を描いています。そして、これは単なる小説のお話ではなく、今、現実にこの国のどこかでこのような生活を送っている人々がいるのがこの国の現実であることに暗鬱たる気分になります。 でも、私は、このラストは希望に満ちていると思います。(友人はこれは悲しい終わり方だといい、解釈が二つに分かれてしまいましたが。) 作者は相変わらず、弱かったり、愚かだったり、自分勝手だったりする人間を描くのがうまいなあ、と思いました。 今、少し頑張れば、ちょっとマシな生活に移れるのにズルズルと安楽な方に流されて、搾取される側に回りそうな若い人に読んでもらいって、知恵をつけてもらいたいと思います。しかし、そういう人は、この小説は読まなかったり、読んでもその教訓を受け取らないかもしれないですね。 | ||||
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これまで多かった性的描写は全くなく 内容は、現代の家庭問題や沖縄の置かれている立場など 時事問題を折込んだストーリー。 主人公の置かれる立場を、 「無」から「貧しさ」「向上心」「無気力」など、 人間の慣れと飽くなき向上心見たいのものを描写している。 自殺者の行動や地方の工場への労働派遣の描写などとてもリアリティがあり 以前のたちんぼの女性や中国の出稼ぎもそうだが、 この人はどうやってこの手の取材しているのだろう。 ただ、「メタボリック」とは関係がない。 | ||||
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まずタイトルがよいですよね。 メタボラって、それだけでなんだろうか?と読みたくなります。 それなりに重いテーマなのですが それをいつもの桐野さんよりは、重々しくない印象で書かれています。 もちろんすばらしい出来であって、満足できました。 | ||||
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記憶喪失なんていう古典的な仕掛けが、今日的な小説にこんなに効果的に活用されるなんて信じられませんでした。沖縄という、若者の勤労意欲を微妙にはぐらかす環境設定も見事。 非日常はいつしか日常に置き換えられてゆくし、新しい思想や生き方は、今までの価値観に取り込まれていく。 そんな背景を切り裂いて、自分が自分として生きること=アイデンティティーをストレートに描いています。桐野作品の暴走スタイルが、テーマと文体に完全合致した、ジェットコースター・ストーリーでした。 | ||||
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正直この本でワーキングプアーの現実を知ったと言ってもよいと思います。 フリーターという言葉からうける身軽さと異なり、そして一昔前の工員とも 異なり、なんか心身ともに磨り減っていくのがよくわかりました。 この小説が新聞で連載されているころはまだワーキングプアーはそれほど 注目されていませんでした。それにいちはやく目をつけた桐野女史は相変わらず 時代をきりとるのが上手だと思います。 | ||||
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今回の作品は桐野作品独特の毒々しさはあまりなく、平坦な感じがするのですが、個人的には好きでした。 登場人物の男達。男が持つ愚かさだとかが鋭く描写されていて、男として恥ずかしくなりました。 今回も出口なしのお話でしす。涙 | ||||
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いまどき自分探しの旅だけはやめよう。 というニュアンスの本がおおくあるなか。 ストレートにくるこの作品に読み方を少しだけ 修正した。なんとなれば、若者が動き出すという 事をのぞんでいるからだ。 親のすねかじりのニートにもそれなりの訳が あるだろうが。個人的には自分のために体を 動かし苦難承知で旅だった青年を生み出した作者は良いと おもいたい。 ぜひ一読推薦します。 | ||||
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主人公が無い所から物語が始まり、徐々に記憶を取り戻していくうちに過去の自分がどんな人 間かが明らかになっていく。 主人公は記憶を取り戻すまでにいろいろ経験をして、 過去の自分を取り戻そうと必死に生きていく。そんな中で自分の記憶が甦り、失望をしてしまう。 過去の主人公の人生が、泥沼にはまっていく様子がとても恐怖感を感じました。 | ||||
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594ページの長編なのに、読後一番の感想は消化不良。 『魂萌え』でおばさんの今の気持ちを主人公に書いたから、次は今の自分探しをする若者を描こうとしたのかもしれない。 昭光とキンジの二人が交互に描かれた本だが、その先が気になって読み手が緩むことはない。 ただ、この二人に共通するのは家から逃れて自分探しをしていることだ。 家から飛び出し、帰る家を拒否する自分探しの旅。 自分探しは親から逃げることで、他人と競争するのは腑に落ちない。 欲しいものの価値観がとても小さな世界で、挫折が目に見えてしまう。 桐野夏生が感じた今の若者がこの二人のように感じた。 つまり、桐野夏生はとても歯がゆいのではないか。 何がしたいの!って、本当は今の若者に桐野夏生が問い糾したいのが作品になった気がした。 | ||||
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21世紀初頭を代表する恋愛小説の成果であると思う。 人を思う心が本当に通じあう「時」があるのであろうかという 普遍的な人々の問いに、桐野夏生は「メタボラ」で現代を生きる 登場人物を通し、皮膚感覚のレベルで切り取ってみせる。 そしてこの大著を読み終えた僕は、大きなため息をつきながら うなずく。人を思う心が自分の中で確実につながる「刹那」があると。 マイケル・チミノの傑作「ディア・ハンター」を思い出した。 青春時代を共有し、ベトナム戦争に共に従軍し、精神に異常を来し失踪した クリストファー・ウォーケンをロバート・デ・ニーロが迷宮のようなサイゴン の街でようやく見つけ出す。ウォーケンはロシアンルーレットのスターとなっ ており、もはや幼なじみのデ・ニーロを認識することができない。ウォーケン を見つめながらデ・ニーロは「アイ ラブ ユウ・・」とつぶやく。 ウォーケンは拳銃の引き金を引き、喧噪の中、ゴミためのような賭博場で 死んでゆく。デ・ニーロがつぶやくその「刹那」が人の心を打つ。 時代を超えて、人が生きていくことには困難さがつきまとう。 その困難さを混乱と共に桐野夏生は鮮やかに切り取る。 あたかもフレッシュな肉はレアほど旨いと言いたげに。 | ||||
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読み応え充分過ぎる。たっぷりと世界にはまった。 登場人物は、宮古島出身の少年、アキンツこと昭光。そして記憶喪失の若者の二人。 沖縄は、やんばるのジャングルを抜けた夜道で、お互いに「逃げた者」として出会う。 そして物語は、各章ごとに、二人の登場人物の一人称で書かれている。 暗い物語なのだが、アキンツの明るさと、弾けるような宮古島弁で、ずいぶんと救われる。 桐野夏生が作者だと言う事を忘れるほどに、堪能して読んでいた。 どこまで正確かは分からないけど、その宮古島の言葉で語られる部分は秀逸である。 最後に記憶を取り戻した青年が語る、そのあまりの悲惨には、正直参った。 でも、この言葉は響いた。 愛し、愛される。許し、許される。 甘え、甘えられる。信頼し、信頼される。 確かな人間関係を持たない限り、僕は破滅するかもしれない。 主人公は、孤独そのものである。 誰よりも孤独で、苦しみや寂しさを忘れるために酔い、 ある人物を攻撃するのをやめなかった。 ある人物とは、僕自身だった。 最後のシーンは、あまりにも切なくて、震えてしまって、涙が流れる。 極普通の人間こそが生きにくい世の中なのだろうか。 その描かれた孤独の世界には、切ないほどの永遠が見えそうに思えた。 | ||||
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新聞連載時に読んでおり、最終回には「で、だから?」というよな 置いてけぼり感でいっぱいになったので、まとめて読めば 新しい発見が…と思いましたが変わりませんでした。 物語は二人の男性それぞれの主観視点で交互に語られますが、 それが後半になると語り手は一人に集中してしまい、読んでいて アンバランスな気持ちになります。 ただ、これだけワーキングプアについて調べました! な取材感漂う 場面より、人どうしの感情のぶつかりを描く段になると見事な描写で ぐいぐいひきこまれ、そこは作者の本領発揮という感じです。 あと、仕方ないんですが、連載時には毎回挿絵が掲載され 感情移入に役立っていたのですが、単行本ではそれが無いのが ちょこっと淋しいですね…… | ||||
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正直、何が書きたかったのかわかりませんでした。 おまけに後半は、(もともと新聞連載小説でエンドが決まっていたからなのかもしれませんが)前半の緻密な描写に比べて端折りすぎた感を強く受けました。 ただグイグイ読ませる力はさすがだと思いますが、桐野夏生は「OUT」とミロシリーズの初期モノを超えるモノを書いていない気がしますねー(これはメタボラを読んだ友人も同感だと言っていましたけど。) | ||||
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