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遮光



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【この小説が収録されている参考書籍】
遮光

遮光の評価: 3.80/5点 レビュー 51件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.80pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全32件 21~32 2/2ページ
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No.12:
(5pt)

純愛悲劇

とある場所で順番待ちをしている時読んでいたのですが、自分の番号が呼ばれているのに
気がつかないくらい入り込んでいました。
確かに暗いですが、暗い以上に小説として面白いです。
テンポもいいし、読みやすいし(内容の取っ付きやすさではなく)分かりやすい小説だと
思います。

ドラマで見たような「典型さ」を求めて虚言や演技を続けるこの主人公は病的ですし、
気味が悪いのですが、私には最近の若い人の「キャラを作る」というのと、どこか共通す
るものも感じました。
自分の感情を素直に出さず他者から見た自分を演出するだけなら、普通の若者と同じで
しょう。しかし彼の場合は自分の感情が分からない、というか、感情はあるのに自分で
それを認識できてないように思います。
まるでアンドロイドが テレビドラマで人間の感情を学習して行動しているような不気味
さが際立ち、同時に悲しみを感じます。
その原因らしき彼の生い立ちが語られることによって人間を単純化してしまう気もします
が、このくだりはやはり哀れを誘います。
ただ彼はもちろんアンドロイドではなく、本当は誰よりも愛を求めている孤独な若者。
その愛を喪失した時、狂気は芽生え、ようやくその愛を認識したとき暴発する…。
これってやっぱり純愛物語にして悲劇と私は読みました。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024
No.11:
(5pt)

純愛悲劇

とある場所で順番待ちをしている時読んでいたのですが、自分の番号が呼ばれているのに
気がつかないくらい入り込んでいました。
確かに暗いですが、暗い以上に小説として面白いです。
テンポもいいし、読みやすいし(内容の取っ付きやすさではなく)分かりやすい小説だと
思います。

ドラマで見たような「典型さ」を求めて虚言や演技を続けるこの主人公は病的ですし、
気味が悪いのですが、私には最近の若い人の「キャラを作る」というのと、どこか共通す
るものも感じました。
自分の感情を素直に出さず他者から見た自分を演出するだけなら、普通の若者と同じで
しょう。しかし彼の場合は自分の感情が分からない、というか、感情はあるのに自分で
それを認識できてないように思います。
まるでアンドロイドが テレビドラマで人間の感情を学習して行動しているような不気味
さが際立ち、同時に悲しみを感じます。
その原因らしき彼の生い立ちが語られることによって人間を単純化してしまう気もします
が、このくだりはやはり哀れを誘います。
ただ彼はもちろんアンドロイドではなく、本当は誰よりも愛を求めている孤独な若者。
その愛を喪失した時、狂気は芽生え、ようやくその愛を認識したとき暴発する…。
これってやっぱり純愛物語にして悲劇と私は読みました。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024
No.10:
(5pt)

社会との関わり方

中村文則の「遮光」を読了。作者の第二作目です。社会との関係を虚言を通してしか持てなかった男の物語。そしてそのシンボルは亡くなった彼女の肉体。そのシンボルを通じて、虚言を吐くことでバランスを取っている。だから物語は暗い。その暗さは太陽の光を遮った、まさに「遮光」に通じる。光を遮り、暗闇の中で生きている主人公であるが、暗闇の中から這い出そうときっかけを探す。でもそのきっかけがなかなか出来ないし、理解できない。直ぐ止めてしまう。虚言を織り交ぜて誤魔化してしまう。演技してしまう。
どうでしょう、どれかは自分自身に当てはまるのではないでしょうか。人間誰しももっている部分が描かれているから、読んでいて目が離せないし、嫌な気分になることもある。それは本作の主題が人間を捉えているからだと思います。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024
No.9:
(5pt)

これぞ小説

The小説、という感じです。映像化が難しい、小説でしか表現できないことをこの『遮光』では書かれています。作者はきっと、ドストエフスキーやカミュの影響を受けているのだろうと思います。それは、主人公の『私』の心理描写や行動から推測されます。あるべき自分を演じてしまう『私』。そしてだんだんと壊れていく『私』。そんな『私』と愛する人を失うことの関連はよくわかりませんが、そもそもそんなことは科学的に立証不可能なのですから、それを文章にしてこそ小説なのだろうと思いました。心理描写に垣間見られる作者の感覚が非常に現代的です。それでいて、長く愛される小説になるのではないかと思います。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024
No.8:
(5pt)

一番好きな小説!と言ったら人格を疑われそうだけど

中村文則さんにハマって一番好きな小説です。
何故この方はいつも過去に闇を抱えた人ばかりを主人公にするのか?
他のレビューでは「ありきたり」なんて言葉も見えましたが、
毎作ですよ?ありきたりの発想ではない気がします。
著者は作品それぞれの闇の背景をわたしたちの普遍的なありきたりさと
沿わせているんじゃないかと思うのです。(意味わからなかったらすみません)
毎回主人公に感情移入できる部分を見つけてはゾッとする、
でもその怖さって誰もが持ち合わせている一面だと思うのです。
その感覚は中村文則さんならではだと思っています。
世間は分かりやすい謎解きミステリーを激押していますね、
わかりやすさは無くても、考えさせてくれるような内容味のある作品こそ、
永く残して欲しいと思います。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024
No.7:
(4pt)

この作品は異常だ、とする者への反論

粗筋については、先人達が散々書き尽くしているので割愛させていただく。
まずこの小説は、異常な小説ではない。
異常なのは、死んだ恋人の指というメタファーであって、主人公の心理は
誰にでもある、ありきたりのものでしかない。
まず主人公は孤独である。孤独故に、周囲の同情を得ようとする。
だから嘘を吐く。これは誰でも理解できる。
次にそれでも孤独に耐えられなくなり、恋人を作ろうとする。
主人公にとって恋人は本当の他者ではなく、しがみつきたい偶像であり神であるから
必ずしも生きている人間でなくてもいい。たとえば、アニメのキャラクターでもいい。
これも実に一方的でつまらないが、誰でも理解できる。
弱い人間が、必死に偶像に対して助けを求める。まあこんな言い方は良くないかも
知れないけど、男らしくない小説である。
しかし、この小説の面白いところは、それをするのがいい歳した大学生だ、というところだ。
寂しがりの中高生が主人公だったら、普通すぎる。そのところを、立派な大人が必死になって
指の入った瓶を追い掛け回しているのだから、面白い。
しかし、主人公の孤独が孤児だから、というのはあまりにもありきたりで
TVドラマ的だ。そこをもうちょっと、ひねって欲しかった。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024
No.6:
(4pt)

行き場を失った若者像

ゆがんだ若者像を見事に描いた作品。
本当の自分とは違う全く違う人間を演じ、それを死んだ恋人の指を持ち歩く主人公の不気味さ、そして執着が最近おこる猟奇事件の犯人像を見ているようでぞっとした。
恋人を愛しているより、恋人を愛している自分に酔い、他人を殴る自分に憧れ、それでいて孤独を何よりも怖がり、たとえ嫌な人間でも一緒にいることを望む。
そんな姿がゆがんだ現代社会を象徴しているような作品だった。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024
No.5:
(5pt)

むしろこれで芥川賞を

 やっとけばよかった? 
 相変わらず暗い話だ。しかし、デビュー作の『銃』よりも、僕はこの『遮光』を今のところ中村文則の最高傑作だと思う。
 ある意味、恋愛小説だろうか。死んだ恋人の指をホルマリン漬けにして持ち歩くという、『銃』とテーマが被っているような話。
 主人公には、まったく自分というものを持っていない。安いテレビドラマやであった人々が発した台詞をそのままなぞるだけで、彼は自分の意志をほぼ持っていない。怒るのにも怒ろうと思わなければ怒れない。自分のしていることを演技だと思い込み、その思い込んでいることを演技だと思う、究極の負のスパイラルに翻弄されていき、ひたすらに「典型さ」を求めていく。
 虚ろな文体とは違い、リアルに描かれた外面描写は著者のお手のものだが、今回は主人公の性格からして、それが特に効果的になっている。
 そして、僕が評価しているのは、そんな話でありながら、主人公がひたすらに一生懸命なところだ。狂ってるんだけど、何かをめちゃくちゃ頑張ってる。
 まぁ、それがまた逆に物悲しいんだけど。とにかく、普通の人にはあまりお勧めしません。この人の作品は暗すぎます。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024
No.4:
(5pt)

光は遮られた

 失ってしまった恋人の小指をビンにつめ持ち歩く男.その行為に彼は束縛され,一般社会からの光を遮ってしまう.
 自分の周りを嘘で固め,感情無き暴力を振るう.彼に違和感を抱き,徐々に離れてゆく周囲の友人達.久遠に続く虚無の世界.そこには一筋の光も差し込むことはない.
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4104588024
No.3:
(5pt)

ショボくなくていい

文藝作品がまるでテレビ番組と同じくらい軟調なものが多く退屈していたが久しぶりに「ん!」と思う作品に会えた。
村上龍氏の芥川受賞作品のような読む者に陰うつかつ快活に「違和」を与える作品だ。
確かに歪んだ光景描写と言える。
苦手な人も多いかも知れない。
しかし誰にもカタチは違えども必ず捨てたくない大切なモノやコトがある。
そこを意外な事象で表現したのが本作品だ。
1ページ目をチラリと見ればだいたいどういうトーンの作品なのかはわかるものだが、この本は歪んだ暗さが漂う。
しかし軟調で軽薄なものはイヤになるくらいたくさんあるのだから、これはこれでいいと思う。
著者の他の作品をいま読んでいるが、著者はだいたいこういう具合に歪みというか暗さというか、人に潜む陰の部分を同じく陰からのぞくようにあぶり出している。
著者には変遷しないでいてほしい。
これはこれでいいのだ。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024
No.2:
(4pt)

瓶のなかにあるもの

 「私」の美紀にたいする思いを、真実なのか狂気なのか純愛なのか、主人公自身もよくわからないまま進む話に、めげて暗くなりそうな内容なのですが、どかこ心に訴えてくるものがこの小説にはありました。 まさに現代的な狂と哀が複雑に入り組み、その中心にはぽっかり穴が開いていて、そこに何があるのか? 「私」はどこにでもいる人間かもしれません。この男の考え方を完全否定できない複雑な心境の読後です。 今年の芥川賞候補作の中では一番、わかりやすく面白い作品だと思います。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024
No.1:
(5pt)

この作者は戦っています、応援したくなります。

主人公はつらい過去をもつ、虚言癖のある若者。恋人に死なれ、死体からある部分を切り離し、肌身離さず持つ。自分がなかば狂っていることを自覚しているぶん、まわりにそのことを悟られないために演技のごとくふるまう。そのために、ウソも連発する。自分は面白くも無いのにまわりが喜ぶことを口にする。その点は、自意識が肥大した若者を主人公にした最近のある芥川賞候補作に似たところがある。この意識と無意識を揺れ動く主人公の内面世界は面白く感じられた。ただ、最後のほうに主人公の暗い過去についての記述があるが、そのような狂っていることへの理由付けみたいなものはないほうが面白いと思った。狂っているのはこの主人公か、それとも現実の今の世界なのか。考えさせられた。
遮光Amazon書評・レビュー:遮光より
4104588024

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