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凍りのくじら
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凍りのくじらの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.72pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全166件 141~160 8/9ページ
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私が辻村さんを知ったのは1年前です。海外へ1週間出張することになり、空港で久々に「野生時代」を買いました。出張中、全部読んだのですが、著名作家を含む十数人が寄せた短編中、最も心に残ったのが辻村作品でした。それまで彼女のことを全く知りませんでしたが、帰国後、「冷たい校舎〜」から「太陽の座る場所」まで順番に読んでいきました。 この数年、こんなに好きになった作家さんは他にいません。 ミステリ作家ではなく、青春小説作家だと思っているので(私にとっては、よしもとばななさんの系列かな)、何度も繰り返されるトリック(?)にも全く不満がなく、むしろ予測する楽しみがあります。 圧倒されるのは繊細な心理描写、そして信頼、友情、敬愛、種類は何であれ、作品に溢れる前向きな愛情に対してです。 「凍りのくじら」は特に好きな作品で、ライトを浴びるシーンでは大泣きしてしまいました。 そこにいたる全ての構成がお見事ですし、あんなに絶対的な愛情を差し出されては、心が震えてたまりません。 私は理帆子に感情移入できたし、これからの幸せを信じています。 心を強くしてくれる、素敵な小説でした。 | ||||
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主人公は高校生。中・高時代というのは子供から大人へのデリケートな時期、人生の中で最も”大人びた”美しい時期の一つであると思う。自分をそう思ってしまう時期。 私の心の内側は冷めている、と一段上から物を見ていても、実は純粋に友達が好き、 母親となかなか打ち解けた会話ができないが、根底には感謝と素直な愛情であふれている、 そんなことが感動できる本だ。最終的に気付くことができた「親からの絶対的な愛情」。 この物語はミステリー小説なので現実離れした展開が多々ある。3分の1を過ぎたあたりからどんどん先が読みたくなり、一気に読み終え最後はハッピーエンド。「いじめ」「受験ノイローゼ」の問題も含まれている。良い本だと思う。 残念ながらどらえもんには興味が全くないのだが、それはあまり気にせず読める。 最後に明かされるひとつの事(種明し)は、「冷たい校舎の時は止まる」と同じパタンであったので、少し残念。引出しがもっとあるといいと思う。 | ||||
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なかなか読み進めなくて、時間が掛かりました。 なんだろう、主人公の心情が伝わるたびにココロ苦しくなって・・・。 ページをめくるたびに辛くなっていったんですよ。 内容は面白かった。SF(少し不思議な)物語でした。 辻村作品はテンポが緩やかで、 その分読み手が色々考えることが出来ます。 場面場面で僕だったらこう考えるなぁとか、 そういう見方も出来るのかとか考えながら読み進めれます。 あと、すごく心に残る言葉がちりばめられてるんですよ。 今回で言えば ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^「挫折しなくちゃ。」 「全部を自分の責任だと認めて、その上で自分の実力がないのだと諦めなくちゃならない。精一杯、本当にギリギリのところまでやった人にしか、諦めることなんて出来ない。挫折って、だから本当はすごく難しい。」 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^なるほどねと想いました。 僕よりも2歳ほど年下の辻村さんですが、 いつも考えさせられます。 | ||||
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主人公の性格をどう捉えるかで、読みやすいか否かが分かれます。 たびたび人をバカにした心情描写が出て来るのですが、それを不快に思う読者は少なくないはず。 生活資金を他人に援助してもらっているのに、「外食にもクリーニングにも、全く抵抗がない」と、倹約することをバカにしたりもします。 ダメ男の元彼とのグダグダな関係も、個人的にはすっきりしませんでした。 主人公は自分の性格を自覚していますが、だからといって読者が彼女に共感できるかは別問題です。 トリックというか、「意外な展開」が待っていますが、 私は序盤で些細な矛盾点に気づいてしまい、途中でタネが分かってしまいました。 主人公の心情描写も、そこまで深く書ききれていないような気がしました。 文章表現も平易で、訴える力が不足気味です。ただ、終盤はスピードを感じる描写でした。 解説で瀬名秀明氏が「共感」と「感情移入」の違いを説明しています。 「感情移入」とは、自分と考え方の異なる相手の気持ちを推し量ること、だそうです。 暗に瀬名氏は、「感情移入」という「成熟した高度な情動」を駆使して読め、と言っていますが、 読者にそれを求めるこの本には、注意が必要です。 | ||||
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辻村さんの本は これで2冊目。 前回読んだ "ぼくのメジャースプーン" もよかったですが、 "凍りのクジラ" もよかったです。 辻村さんの本は 悲しい出来事、 居た堪れない出来事など 黒い部分が描かれていますが、 読み終わった後は 黒い気持ちはどこへやら、 真っ白い気持ちで 満たされて、 心がほっこりしてきます。 ほっこりしたい方も そうでない方も もしよかったら、ぜひ。 http://toshi1219.exblog.jp/ | ||||
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ありがちな批評になるけど、誰とでも調子よく言葉を合わせ表面的にうまくやりながら、誰とも心が通じ合うことのない理帆子は、若い世代のコミュニケーションのありようを体現しているのだろう。一方、そうした居場所のなさは、小説やマンガにはまる人たちの世代を超えた共通の特徴とも言えるのかもしれない。十二国記で、小野さんは主人公を極限状況に追い込みながら、フィクションの中での切実な責任をともなうコミュニケーションに参加させた。本作で辻村は、主人公を友人関係の中では表面的なコミュニケーションの中に置きつつ、別の種類のコミュニケーションの回路を別に開くことで、「心が通じ合う」ことの意味をフィクションの中で追求している。そういう意味ではメタフィクション的な要素も強い。お話の仕掛けに新味があるわけではないが、とても真摯に文学の意味を追求した作品だと思う。他の作品もぜひ読んで見たい。 | ||||
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このアイディアだけでも凄く良い。道具を日常に置き換えてそれぞれの章で繋げて。お父さんの存在もすぐわかるし、途中長いと思った箇所があったけど目を瞑って。その間スモールライトが使われエンディング。どうしようもない元彼、お父さんのキャスティングは最高 一気に読んだら多分ライトが眩し過ぎて泣きそうで拍手 な作品でした。 | ||||
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この方の作品は3作しか読んでいませんが、デビュー作の完成度に比べそれ以外の作品の デキの悪さが気になります。 結末についてはそれぞれ違うのですが、根本にあるオチが同じなのでこの作品を読んで 「またか〜」と思ってしまいました。 また人物の描写が軽くて浅いため、物語全体も薄っぺらな印象が残ります。 しかしその分、サクサクと読めていくので厚い割には時間がかからずに読破できるのでは ないでしょうか? 才能が枯れたわけではないと思うので、一つ一つを丁寧に書き上げて欲しいと思います。 | ||||
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なかなか評価の難しい作品. メフィスト賞でデビューした作者だが,ミステリーあるいはサスペンス的要素はほとんど皆無. そういう面白さを期待すると当てが外れるだろう. 仲間や集団への帰属意識あるいは連帯意識の希薄な現代風の女子高生を描いていて,テーマとしては目新しさはない. 主人公が比較的頭がよく,自分の心的動態をきちんと分析できていて, かつ自分が属する周囲の集団(遊び仲間や学校,元彼)を見下しているところが, この種の他の作品とは異なる点かもしれない. 当初は鼻持ちならない印象を受ける主人公ではあるが,心理描写が丁寧で, 理屈で説明できない心の動きがきれいに表現されている. 最終的に新しい価値観を見つけ出す過程は迫力があって読み応えがある. 佳作といっていい作品なのだが,ラストのどんでん返しはつじつま合わせを放り出してしまっている印象は否めない. ミスディレクションは丁寧なのに,これでは,うまくだまされた!というカタルシスが得られない. その辺が少し惜しい. | ||||
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ドラえもんの道具がキーになっている、少し不思議なミステリー。小さい頃、マンガを読んだときは考えなかったけど、ドラえもんの道具の意味が意外と深くって、この物語自体も、この道具の意味を考える度、深まっていきました。 私もそうなのですが、意外とみんなも「少し不在」で、けっこう身につまされて読む人も多いのでは…、と思いました。 | ||||
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期待通りの良作でした。本当に著者の世界観は美しくて洗練されていると思います。 登場人物はそれぞれがとても個性的ですが、どこか共感できる、そんな性格をしています。 なんというか、いい意味でとても人間的。自己中心的であったり、ひどく冷静だったり感情的であったり。 そういう意味ではキャラクターには非常に愛着がわきます。 そして、この著者の特に素晴らしい所はやはり終章で読者を驚かせてくれる 意外な展開が用意されていることではないでしょうか。 似たような話は確かにたくさんある気がしますが、感動的なストーリーだけでなく こういった要素でも読者を魅了することができる作家さんはそう多くないと思います。 また、常に社会問題や哲学的、教育的要素を組み込んだ メッセージ性があるという点でも是非もっと多くの人に読んでほしい作品です。 序盤ではこれは必要か…?と思うようなクドい表現や人物描写がありますが投げ出さず最後まで読むべきです。 ベタ褒めですが、ホントいい作品です。強くお勧めします。 あと、これは蛇足かもしれませんが“ドラえもん”についても改めて考えさせられました。 | ||||
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作者の写真が可愛いかったので買いました。 例えるなら「21世紀のノルウェイの森」 普通の日常を描きながら、隠し味を楽しむ感じ。 1章くらい笑える話があればよかったのに。 | ||||
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人生で初めて、読んで泣く、とゆう経験をした本。怖くて二度目が読めない、というのも初めて。 つーか、泣くの確実。おそらく、評価は二つに分かれると思います。最高と、これはちょっと、みたいな感じで。それを聞いてみるのも僕は楽しーけど。 他の人に薦めるのがちょっともったいない気もするけど、全力でお薦めします!! | ||||
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読書が好きで、色んな事に妙に達観してる理帆子に私は親近感を抱きました。分かる気がしたんです、彼女の気持ちや考え方。《ツライとか悲しぃとか寂しいとか、他人に言うもんじゃない》そういうの、分かる気がするんです。最近の私はまさに理帆子でした。『寂しい。だから構って?』こんなのカッコ悪すぎるって思ってるし、誰かを頼るなんてダサイって思ってるし。自分のことは自分でやるんだって。でも、思い出しました。これ読んで思い出したんです。たまには。たまには誰かに寄り掛かるのも必要だって。『寂しい、構って』って、そうやって誰かに訴えることも時には必要だって。それを思ぃ出したら、急に涙が出ました。止まりませんでした。 | ||||
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序盤は、高校生ながらに主人公の冷めていて達観し、人を馬鹿にしたような性格になかなか馴染めませんでした。主人公の気持ちに共感できる部分もありましたが、イラッとすることもしばしば。 ただ、中盤から最後にかけては一気でした。 主人公の性格と対比するように、周囲の人々の暖かさが描かれていて、さらに主人公が成長していく様がみてとれます。 最後には、辻村先生得意の展開も待っています。 この方の作品は、登場人物がほんとに魅力的な子が多いなあと改めて感じました。 読後はあったかい気持ちになれます。 癒されたい方にどうぞww | ||||
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2作目、「子どもたちは〜」で辻村さんにハマり、「冷たい校舎〜」を読んでからこれを手にしました。 前作を読んでそれはそれは興奮して大ファンになったので期待は十分高まっていたのですがその期待以上に満足できました。 読み始めたら止まらず、結局深夜3時か4時までかけて一気読みして、そして最後には泣きました。 辻村さんが、自分が漫画やいろんなものから感じたものをこうして表現できるのが嬉しいとかなんとかいっていましたが、まさしくこれはそのとおりでしょう。 彼女の大好きな「ドラえもん」。 本作の主人公でもある理帆子もドラえもんが好きで。 些細なことばかりが書いてあります。 些細なことが、見落とされてしまう日々に、 気づかずに人との間に距離や壁ができてしまうのでしょう。身内であれ他人であれ。 この本では、私は3人の人物が理帆子にちいさなちいさなしあわせを感じさせていると思います。 それはちいさいしあわせですが、それをきちんと受け止められたときおおきなしあわせ、心が満たされるのではないかと思います。 読んだあと、静かな波音の様に心は穏やかに満たされます。 ぜひ、一読してみてください。 | ||||
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いつものように、一気に読みました。辻村さんの作品は途中でやめるということをさせてくれません。 主人公の元彼、若尾がとにかく痛かった……。「あーそれはだめだよ」というようなことを次々とやらかしてくれる。でも、それらのダメ要素を他人事として切って捨てられないのが悲しいところ。もしかして自分もああいう風になっているのでは??と考えさせられた。自分で自分の面倒を見ることができずに、責任を他人に押し付けるっていうのは誰でも陥りやすい状況じゃないかな。誰だって辛い時は「自分のせいじゃない! あの人のせいだ!」って逃げたくなるだろう。 主人公には十分共感できる部分があると思う。人間を遠目で観察しているところも、どこか冷めているところも、自分は傍観者だという感覚も、完璧にじゃないが分かる気がする。 面白いけど、辛い。途中でやめたいけど、やめられない。 そんな作品でした。 | ||||
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少し不思議な物語。 ストーリー展開も文句なし。主人公に共感することは出来ないが、十分に理解は出来ます。 一つ一つのエピソードの作り方も非常にうまく、文学としても十分に通用する内容だと思います。 ミステリとしての要素もきっちりと盛り込んでおり、読み進む上での微妙な違和感は、最後に氷解します。 辻村深月、恐るべし。これからも非常に楽しみです。 | ||||
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理帆子が見出しているS・F(少し不思議…、。少し不完全)な部分を持っていて、それを見抜かれたくないために鎧を着ているハズ。 思春期の少女の自己愛と社会への関わり方をドラえもんの道具を使って現したのは見事だ | ||||
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読み進めていくと恐ろしいくらいに「イタイ」。 ウチがもう少し若い時分に捨ててしまった……いや、今も隠しているだけかもしれない……本質が描かれていて本当に「イタイ」。辻村深月さんの作品はとにかく感情表現、心の機微の表現が深くて豊かなので読むと心の奥底まで揺さぶられてしまう。 主人公の高校生・理帆子の性格や考え方が嫌いだという意見があるのも当然。一見して分かる理帆子の元彼・若尾の「イタイ」所よりも理帆子の方が質の悪い「イタイ」所を抱えている。 それだけにラストのカタルシスは強烈。鬱屈としていた心が一気に開放されて、目の前にぱっと広い空間が広がったような気持ちを感じさせる。 すごいですよ、これ。下手すると自分自身の鬱屈を吐露するだけの自慰小説になってしまいかねない作品……参りました。 藤子・F・不二雄さんの「ドラえもん」に登場する道具をそれぞれの章のタイトルにしていたり、それぞれの道具の説明とストーリーが微妙にリンクしていたり、SF(Sukoshi Fushigi)小説として、大事な人に「読んでみて」と薦めたい小説。……薦めたい人は大体鬱屈としているだろうから読み進めるのはウチと同じで「イタイ」だろうけどね。 | ||||
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