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凍りのくじら
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凍りのくじらの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.72pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全166件 101~120 6/9ページ
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この小説をジャンルとして区別するなら「少し・ファンタジー」という言葉が当てはまるような気がします。 失踪したお父さんと病気で入院中のお母さん。主人公の孤高で孤独な感情がうまく表現されていると感じました。が、非現実的な世界でもあると思います。 勉強もそこそこできて、自分を慕ってくれる友だちもいて、表面上は仲良しに見えるけど、どこかで友達や家族を見下している。でも、本心では自分の居場所を見つけて心の底から笑いあいたいと思っている。これって思春期の女子なら誰もが通る道かも?って思ってしまった。実際、私がそうだったので。 ただ、この子は何がしたいんだろう??ってちょっと理解ができないシーンも多々ありました。やっぱり非現実的で「少し・ファンタジー」という言葉が当てはまると思います。 個人的にはもう少しお父さんやお母さんのエピソードを深く描いて欲しかったかな。あと、主人公の「ドラえもん」と「個性」の結びつきが弱く感じたので、「ドラえもん」が主人公の「個性」を作るきっかけとなったのであれば、そこの絆だったり結びつきをしっかり描いて欲しかったと思います。 でも、最後の方の主人公のお母さんの場面では思わず涙しちゃいまいた。お母さんのお父さんや主人公に対する気持ちのすべてがここに現れていたと思います。 ちなみに、若尾についてですが、私の身近に若尾のような人間がいるので、今後ちょっと付き合い方を改めなければ。。。。と考えされられました^^; | ||||
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心理描写がとても優れている。「少し・不在」(だったかな?)な主人公の物語。私はとても引きこまれた。前半は主人公の感情、思考がきっちり書き込まれ、後半はテレビドラマチックでとてもスピード感、緊張感がある展開。私はとても好きです。是非読んで頂きたい。好みはあるかもしれないが、読む価値はあると思います。 ただ、とても良い小説だと思いますが、他のレビューで作者自身への誹謗中傷があるのが残念です。 読む人に不快感を与える文章があるとしたら、それはレビューを書いている方も一緒だと思うのですが・・・。 | ||||
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確かに皆様が仰る通り、万人受けって言う感じでも無さそうですね。 主人公に感情移入出来なかったらそこまでだし。 でも深く読むと何か暖かいものを感じ取ることが出来ると思います。 ミステリーというよりSF.. それもいいのでは無いかと思います。 誰にでも進められる本っていう訳ではないけれど、 共感出来る人、暖かさを感じ取った人にとっては、宝物の本になると思います。 こんなに素晴らしい本をありがとうございました。 | ||||
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何をするにも冷静沈着。知能指数も高い女子高生、理帆子の周りで起こる少し不思議な物語。 日本人にはお馴染みであろうドラえもんの道具が状況を表す比喩として使われている。主人公を危機から救うアイテムもそれである。 この作品のジャンルは?と問われれば、ヒューマンSFミステリーでしっくりくるのではなかろうか。 途中からだが、私は主人公と一体となって物語に入り込んでいた。 死に逝く母親が編集した写真集に涙し、ストーカーが起こした事件に憤りを覚え、『テキオー灯』の光を浴びて力を得た。 色んな形の心が描かれた作品。一読されてみては如何。 | ||||
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終盤は涙粒がボロボロ出るシーンがありました。辻村作品、5作目ですが、登場人物が一部重なっている点が、ファン心をくすぐります。母親とのシーンと、元彼とのシーンのつながりがあまりないので、最後は強引さも感じたものの、面白かったです。 | ||||
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裏面のあらすじにもある、「不思議な警告」というのがよく解らなかったし、少しダラダラとした展開が長いと終盤までは思っていた。 だから星は3個か2個にしようと思っていた、けれど終盤からラストまでがなかなかよかったので、4個にした。 印象にのこったのは、主人公・理帆子の成長というのもあるけれど、それ以上に元彼・若尾のほうが強い。 読んだ人で、若尾のことを悪く思わないという人はたぶんいないと思う。 自分も嫌悪感を持って見ていた。 しかし、よく考えてみると、自分にも少しあてはまる部分があることに気付いた。 特に、行動よりも先に失敗した時の言い訳を考えているところなんかは、読んでいて反省させられた。 たぶん、そんな人は結構多いのではないかと思う。 どこかのドラマで「悪の心を持たない人間はいない」という意味のセリフを聞いたことがあるが、若尾を見ていて思ったのは、「若尾を100%非難することができる人間なんていない」ということだ。 これは何も彼の行動を許せ、と言っているわけではない。 彼が犯した過ちを自分にあてはめて、反省をした方がいいんじゃないか、ということだ。 学園物のドラマが好きな人にはお勧めしたい。 きっと、何かつかむことができるだろう。 | ||||
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芯がない、というとあまりに乱暴かもしれませんが、結局何が言いたかったのかよくわかりませんでした。 まずタイトルの「凍りのくじら」は一要素の域を出ず、タイトルにするならもっと印象づけるような掘り下げが欲しかったです。 重要なキーワードである藤子・F・不二雄のエピソードやドラえもんの話も、トリビアとしては面白かったですが、それを語る主人公が影響を受けている様子が見受けられず、後半はただ単にうんちくを披露しているだけに感じました。 ドラえもんの秘密道具を使った例えや話もはっきり言って「うまいこと言ったでしょ感」が拭えませんでした。 また、少し〇〇でどこか冷めていて周りの人間を冷静に馬鹿にしている主人公。 はじめはその視点と語り口の生々しさが面白く嬉々として読んでいたのですが、話が進むにつれて 「えっ?なんでその行動?選択?」みたいなことが増えていきます。 一応内面の理由付けがされている場面もあるのですが、衝動でごまかしているような場面もあり、なんだかイマイチ主人公に共感出来ませんでした。 生い立ちや今直面している不幸な状況の背景なども、よくあると言えばよくある(もちろんフィクションの世界ですが)話だし。 最後のトリックもよくある作りで、小説を比較的読む方なら後半の途中でわかってしまうとおもいます。 なんだろう。 なにかこう全体的に中途半端でパンチがなく、だからといってしみじみと感動するわけでもなく、 いろんな要素をとりあえずちりばめて、一応落とし所を見つけて着地させました、みたいな印象を受けました。 出だしが面白かっただけに残念です。 酷評になってしまいましたが、さらにどうしても一つだけ納得できなかったことがあります。 こんなにドラえもん好きな描写されていて、漫画も映画版もチェックしている主人公が 「テキオー灯」の名前を思い出せないとかありえません。 この描写が一番がっかりしました。 | ||||
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発展途上の女の子の物語ですが、彼女なりの悲しい過去は あります。でもそれはどこにでもあるような程度。 そんな彼女の成り立ちがちょっと弱いかな、浅いかなと感 じました。そこが浅くて弱く感じるのでその後の話に説得 力がないのです。 それなりにきちんとしているのに、一方でわけのわからん 元彼を引きずっている。若さはそういう混沌としたものを 行きつ戻りつしながら過ぎていくものかもしれないけれど、 そこに一貫性がなく、中途半端だし、あまり共感できない。 周囲に起こることをただ受け入れながら、客観的に少しな んとかと評しつつ、だらだらと過ごす。ここも間延びした 感があったなあ。 そしてラスト近くで自らの行動の無責任さの結果に気づき、 やっとアクションを起こす。 そうか彼だったんだ、なるほどとは思うが、それじゃあ彼 の力がないと自立できなかったのかと... 若さゆえの未熟さを抱えた女の子の成長する姿を描いたの かもしれないが、その源泉、考え方に今ひとつ納得感がえ られなかった。 | ||||
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感動するところはもちろんありました。 でも、旧姓とはいえ自分の親と同姓同名って名前聞いてすぐに気付くよね??ってつっこみたくなりました。 『冷たい校舎の時は止まる』でも名前のトラップがあり、またこのパターンかと思いました。 | ||||
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最後近くまで「まあこんなもんか」と読んでたけど、ラストの種明かし(?)は生理的に受け入れられませんでした。 ぼくらみんな、非科学的なことは起こらない、という仮説を前提にしてコミュニケーションしてるじゃないですか、それが真理かは別として。 ありえないことをあるとしたいのなら、ファンタジーです、SFです、と明示するのが読者への礼儀でしょう。 作品は作者だけのものではないはず。読み進める読者の脳裏には、作者の提示する世界への信頼感をベースとした物語が描き出されます。 それを唐突に一方的にぶち壊して「どう?どう?びっくりした?こんなのもアリって気づかなかったでしょ?」と押し付けてくる無神経さに辟易させられます。 作者は、ミステリーにおいては作者と読者との信頼関係はいらないと思っているんでしょうか? 失礼な人だな、と思います。 | ||||
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レビューみて評価高かったので購入しました。 主人公の女子高生の目線でかかれており、 面白い人もいるとは思いますが中年親父の僕に とっては面白さがわからなく読むのが苦痛です。 女子高生の気持ちもわからなくもないですけど。 ドラえもんの道具がこういう使われ方だとは思い ませんでした。 なんとか半分ぐらい読んだのですがシンドイです。 女性向きかなと。 「ツナグ」はなかなか面白かったですけど。 | ||||
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平積みされていてあらすじが面白そうなので買いました。 ドラえもんを引っ張ってきていると書いてあったので どう絡んでくるのかなと期待していました。 前半はよくある話でラノベからエロを抜いた感じです。 最後にドラえもんのSF(すこしふしぎ)が出てくるのですが 話がまとまらないから無理やり使ったという感じが否めないです。 ドラえもんを語るのもアレですが、ドラえもんは不思議な話しですけど 納得できるものです。ですがこれはただ単に理不尽です。 秩序がなくそれが許されるなら何でもありじゃないかと思いました。 夢オチのようなものです。 作者は千葉大教育学部卒らしくて 私は千葉大工学部を目指していたので この程度なのかとかなりショックでした。 | ||||
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綺麗な本です。が、眠くなってしまう・・ わたしだけなのかもしれませんが。 何となく退屈に。 眠れない夜に読んでいました(笑) | ||||
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自分が男だからかもしれないけれど、せりふの合間に延々と綴られる主人公の 客観風の主観描写にまるで共感できず、500ページのうちの大半を占める それをほとんど読み飛ばしてもストーリーを追うことができることに最初の 30ページほどで気づいてからは、ほぼせりふだけを読んで3時間ほどで 読み終えました。他人を分類して内心ほくそ笑みながらもそれをうまく表に出せない 不器用な自分に欲求不満を感じている、そんなどこにでもいそうな引っ込み思案な ブンガク人間をターゲットにしつつも、それらを全部とっぱらってもドラマ化できるよう 計算して書いたんじゃないの?なんて思ってしまうのは、途中斜め読みしていた主観 描写からにじむ主人公の性格の悪さが伝染してしまったのかも知れません。笑 ドラえもんもまるで必要性を感じませんでした。誰もが知っていて 嫌いな人はいないものを、小説の仕掛けとして利用しているだけでは? というふうに思ってしまいました。恐らく同じようなストーリーを藤子先生なら 短編で描ききるのでは? | ||||
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本屋で作者の特集が組まれていたので、何冊か冒頭の文章を読みこれを選びました。 正直感想は、読んでいて苛々してしまったという感じです。 高校生にありがちな客観視しているつもりの"主観的な理屈"を延々と見せつけられても気分はよくないですね。 物語の成りゆきや登場人物の色付けも、ありきたりになってしまってます。 新しい感じがしないんです。読んだことあるような感じ。 文中に出てくる"司法試験を目指す"という言葉もおかしいです。司法試験はパスする事で法曹になる資格を得るものであって弁護士だけに限定されてませんよ。 全体的にありがちな表現が多く退屈でさらに主人公の特徴をうっとおしい位に色濃く出しすぎて世界観を乱してしまっている。 酷評になってしまいましたが、作者様が新たな作品作りに期待です。 | ||||
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最近、この本の著者が直木賞を受賞されたそうですね。確か新聞に載っていたのですが、やはりドラえもんがお好 きなようです。 始めは表紙になんとなく魅力を感じて読み始めました。中身については、ストーリーは面白く、ドラえもんの道具 を使った表現を使う小説もなかなか無いので、斬新さを感じました。 しかし、この中の若尾という人物が登場してから、読み進むにつれて読むのがとても苦しく辛くなりました。ただ 小説の中の人物なのになぜこんな気分になったのか…それは、このキャラクターがすごく現実的に描かれていたから だと思います。私自身もこういう人間を知っています。もちろん同じ名前で全く同じ性格…というわけではありませ が、現実に若尾と同じ人間は存在しています。常に自分を正義だと信じ、正当化して、きれいごとを言い、他人を馬 鹿にする。そして、他人に何か指摘されると、何も反省もしないいままに、「確かに、俺は〜だ。」と一見分かった ような口を聞く癖に、本当に彼が言いたいことは「だが俺は〜」とまた自分を正当化しだす人物。(ちょっと分かり にくい表現ですいません。)KYというと少しズレているかもしれませんが、相手の言いたいこととズレた所で反論 してくる人、この小説にあるような人実際にあったことがあったので、読んでいる間にもとても感情移入してしまい ました。こういった人物や心情描写については本当に現実的に上手く書いていたので、すごいと思いました。 なんとなく、深くて重い作品であったと思うので、他の作品でもっとドラえもんをもっとやさしく、明るいイメー ジで登場させてくれればと思い、評価を3にしました。 | ||||
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こんなに不愉快な小説を読んだのは久しぶりである。 藤子Fのドラえもんをモチーフに連作短篇の形を取る長編であるらしいが、そのモチーフとなる秘密道具をことごとく文系女子のヤらしさの慰み物になっている。 人間観察に長け、写真家の尊敬できる父は失踪・天然の母は入院中・元カレはストーカー・恋愛相手ではないが頼れる年上の男がいて、とこれは裏返しのお姫様ものであり、設定だけは凄いが、ヒロインはクズのような女である。 つくづく島本理生のエラさが判った。 ここで扱われるドラえもんは、文系少女のネタである宮沢賢治や太宰治の現代版でしかない。 つまりタダの鏡である。 鏡なら、ただでさえアイテムと話数の多いドラえもんなら自分の都合をやたら反映できる(その認識が無い点では歌人の加藤千恵に遠く及ばない)。 なによりこのヒロインからは責任の二文字を感じない。 それはこの女に主体がないからで、主体がないから責任が取れるワケはなく、誰がティーンエイジャーの人生訓なんか聞きたがるかってぇの! 主体がないから、セックスしても子供が出来るとかは考えない。 元カレ・若尾の自己欺瞞や見得をやたら云うが、この女はこの若尾の子供を孕んだらどうするつもりだったのだろうか? どうしてそういう意識を書かずに、元カレに世界の悪を代表させてみせたり、オタク視点で見る藤子Fを見下して自分の感性だけを信じることができるのか? 全てがヒロインの都合のいいように進み、それには主体が無いから責任が取れない、とは、月並みな言葉で本当に申し訳ないが、この小説には一切他者がいないのだ。 メフィスト賞作家ということで、ここいらは例の自意識と見るべきなのだろうが、すると家族を想い消えた父も、元カレのストーキング行為も自意識の産物であり、ここでヒロインと作者は自意識にランクをつけるという差別をしている。 こういう女は死ぬべきである! 人生は言葉遊びでもないし、セックスはヒロインのための仕様でもない。 なにより私は他人を貶めて、自分を高く見せる手法を意識しないわり方にゲロを吐きそうになるが、こういう女はこういう感性というか生理的嫌悪を持っていない。 というか持てるハズがない。 それはそうだ。 こんな小説を自省もせずに370頁書けるのはその証でしかない。 なんかこの作者は人間として、とても大切なものが欠落している。 それなのに、小説賞に応募し、コンスタントに作品を発表する、その神経を疑う。 私だって、年下の女性をここ迄批判したくない。 だがこれだけ不愉快にしてくれたのなら、その理由は明記すべきと信じた。 希望とか理想とはどういう意味なのか?その言葉を使う人の理由は何か?などをこの作者は一度真剣に考えるべきである。 男遍歴や疎外への処世術など関係なく、一度真剣に考えるべきである。 | ||||
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辻村さんのことをなんとなく、「同世代でいい女流小説家がいる」みたいな感じで興味をもっていました。 最初は、どんな作風かつかめず、読みにくいのかな?と思っていたんですが、徐々に辻村ワールドに引き込まれました。 文章、構成がうまく、500ページもあるのに無駄な描写も無い。 小道具(ドラえもんの道具ではない)の使い方が巧く、後半の郁也へのプレゼントのDVDとか、リアリティがありますね〜。 理帆子のキャラも立ってるし、こういう微妙な心理はまだ20代だったから書けたんでしょう。 多恵と郁也の最初のシーンで、理帆子の「ナイスキャラ」発言もよかった。あれを入れることで、物語がぐっと近くになります。 ふみちゃんが気になったので「ぼくのメジャースプーン」も買いました!(笑) 最近の小説家で、これほど惹かれたのは久しぶりでした。 | ||||
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この物語は光のイメージで始まり、一筋の光に照らされて終わる。 「ドラえもん」という名作を巧みに取り入れながら、物語の作者が送るメッセージ、その優しさを繰り返し語っている。 辻村深月さんは彼女のやり方で、テキオー灯を読者に向けている。 凍りのくじらという作品が、一筋の光になったらいいという思いを受け取った。 そんなまっすぐすぎるメッセージに、理帆子というへそのまがった主人公が、絶妙なバランスを保たせていた。 まず瀬名秀明さんのあとがきに興味を惹かれ、本作を購入しました。 登場人物が皆魅力的でありながら、自分の周りにも居るような親近感を持つ人たちだった。 後半にかけてぐいぐい引き込まれ、「タイムタシン」から泣きっぱなしだった。 まさか泣く話だと思ってなかったので、やられた!という気分。 最後の章が「テキオー灯」でなく「四次元ポケット」なのが興味深い。 エピソードも読後感よくまとまっている。その上で読者に対して余白を残しておくなど、粋な計らい。 あとがきにもあるように、理帆子は共感しづらい主人公、らしいのですが・・・。 実は現代的でとても共感できる主人公。 自分の定規でしか人を計ろうとせず、それが全てだと信じている。傲慢な少女です。 偏屈な考え方の持ち主ですが、実はこの少女も周りを見渡せばどこにでもいる人物。 「周りは馬鹿だと思ってる」 「人より自分は頭がいいと思っている」 「自分には居場所がないと思っている」 これらは典型的な中学2年が陥る病気です。 本をたくさん読んでいる人に現れやすい症状。 角度を変えてみれば「オタク的稚拙さを持った少女が、他者を受け入れられるようになってゆく、心の成長が描かれた物語」 しかし大切なことは、理帆子は悪意を持たないということです。 それが彼女の本来の人柄です。 この子は人の欠点を分析しながら、そこに好きか嫌いかの区別はしません。 前半で理帆子は気づいていないが、根底には「人が好き」という気持ちがあり、それは物語全面から受け取れます。 「ドラえもん」が好きだとあえて言うことにしている所や、「ドラえもん」が好きな理由の数々。ダメな元彼とだらだらと関係を続けてしまうところは、未熟な人間らしい魅力です。 若尾に対しては甘えた考えの優しさですが、別所がいうように、その優しさを持っていることは決して悪いことではないのです。 (ただ相手のためを思って、厳しくしなければならない場面があるということ=人と向き合って生きて行くということを学んでいるのです。) この偏屈な理帆子がそのまま大人になったら、さぞ寂しい人間だろう。 周りにとっては困った人になっていただろう。 自分はオタク気質だと自負がある人は、理帆子にならないように読んでみるといいと思う。 しかし理帆子は成長する。彼女は人の優しさに気づく、自分の愚かさを知る。 自分が馬鹿にしている人たちの優しさに気付き、それを心から感謝できることはできるだろうか? 人は他人を受け入れながら成長していくのだと思いました。 | ||||
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40代男性です。 8章までは、「少女マンガのよう」「普通の恋と、ダメ男。それでは世界は変わらない。どうでもいい。」などと思いながら読みました。 途中で止めようかとさえ思いました。 しかし、9章で一気にペースチェンジ。 すごい緊張感をもちました。 そして、最後、意外な別所の真実。 ほっとさせられるエンディング。 とてもユニークで楽しませてくれた作品だと感じました。 | ||||
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