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月の骨
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月の骨の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.38pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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| 現実世界の主人公は美人で頭もよく、大学のバスケットのスター・プレイヤーと知り合い結婚し妊娠する。 妊娠が分るとすぐに主人公は奇妙な夢の世界を息子のペプシと放浪する。ペプシは自分で現実世界を知る前に消えた子どもの名前。旅の仲間は黒い帽子をかぶった犬のミスター・トレイシー、狼のフェリーナ、駱駝のマーシオたち。旅には目的があるようだけど主人公には知らされない。その夢を何度も何度も続けて見ることになる。 やがて月の骨を集めたペプシは、夢の中の国ロンデュアの支配者ジャック・チリと対決に向かう。 夢の中の世界は荒唐無稽で、奇妙な登場人物たちが見えない筋書きに沿って動き回る。読者も主人公と同じくどこへ導かれていくのか分らないまま物語は進んでゆく。夢と現実世界が交互に描写される。最初は戸惑っている主人公も、次第にロンデュアという世界を受け入れていく。夢の話しに理解を示す友人も出てくる。 あるときから夢が現実世界の登場人物に共有されだし、物語は結末に向かって急速に収束していきだす。そして最後には夢が現実世界を侵犯し、現実世界の登場人物に「物理的」な効果をもたらす。 物語の骨格はとりあえずこんなところ(ネタばれはしてない)。 さて、この物語を読んで人は感動をなんらかの形で受けるのだろうか。それがどのような感動であれ、評者の感想よりはましだと思われる。いろいろな意味ですぐれた物語から受けられる「感動」を、評者は覚えなかった。そして、それはどういう訳かと考えることになった。 一つにはアメリカ人の好きなジョークを面白いと思わなかったことにあるのだろう。あるいは作者がウィットとジョークだと意識しただろう箇所が効果を生まなかったからだろう(そしてその手の細工はページごとにごろごろ転がっている)。主人公の日常を構成する細部に親しめない。ジョーク、料理、オカマの友人とのあれこれ。どれも作者の恣意的な展開への違和感が読む作業につきまとって離れなかった。 もう一つは夢の中の世界ロンデュア。荒唐無稽な展開。それは不思議の国でアリスが体験するあれこれに比べて視覚化されにくく、物語の流れに乗りにくい作者の語り口とも相俟って、どこに連れていかれるか分らない「不安定さ」と「居心地の悪さ」が相乗的に読書を苛む。 物語を読む楽しさは多様だろう。個人的な経験が左右するかも知れない。それに人間関係にあるように物語とも相性があるのかも知れない。ごく率直にいって『月の骨』からは読書の楽しみを少ししか得られなかった。なるほど作者の才気は感じられる。異世界を構築する発想力に感嘆した。しかし才気も構築力も読後の内省的な作業のあとに得られるものだ。問題は読んでいる最中に、あの「わくわくするような感じ」や「次の展開を早く知りたくてうずうずする」といった至福を味わわせてくれることは最後までなかった。読みかけたからとりあえず最後まで行こう、という貧乏性的な惰性のまま最後のページに辿り着いた。 夢の世界のアモルフさ、言い換えれば自由さは作者の都合により作者の心性に親和する形をとることができる。しかしそれは読者の心性への親和性ではない。物語がアモルフであれそれが読者に感動を与えるのは、作者が読者の気持ちを上手に異世界に運ぶ、その手錬と手管の巧拙にかかっているのではないか。作者が面白いと思っても、それを独りよがりで終わらせないだけの技能が必要になる。 裏表紙には「衝撃の傑作」とある。残念ながら「衝撃」も「傑作」も読後の評価とならなかった。感動は全てではないだろう。よく書けて面白かったという感想もある。そういう意味ではよく書けていると思うし、これに似た話を読んだことがあるかと自問してもすぐには思いださない。しかし、評論家ではないから作中の美点や探す努力はする気も起らない。他の作品と比べていいとか悪いとか表することへも関心がない。 だから、読み進めていくうちに物語のトポロジーが了解出来ないまま結末に辿り着き、そして最後の行を読んで、作者から「これでお終い」とお尻を蹴られて物語の外へ「放り出された」というのが率直な感想となる。 あるいは以上の読み方は人には勧められないのかも知れない。ある人はこの物語を読み、作者の意図した通りに感動し結末に衝撃を受け、出版社の狙い通りに満足して本を閉じるのだろう。そういう自分とは違う読み方を羨ましいとは思わないけれど、読書によって楽しいひと時を過ごせたのならそれは率直によかったと思う。 次はシリーズ二作目という『炎の眠り』へと向かう。また違う感想が出てくるかも知れない。 最後にタイトルのこと。『月の骨』は「月」の「骨」ではなく「月の骨」であるということ。それは例えば『ケンタウロスの鍋掴み』でも一向に構わない。この必然性の弱さが物語の弱さに繋がっていると言えが穿ち過ぎだろうか。 | ||||
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| 世界観の説明だけで終わってしまうような内容なので個人的にはオススメはできません。 終盤でサスペンステイストの展開をみせますが、あくまで世界観の説明の中で派生した事象でしかなく、物語の骨子として活用されているものではありません。 それに並行して描かれるパラレルワールド・ロンデュアの描写は支離滅裂で曖昧すぎるため、読み進めるのが苦痛でした。 単純に奇妙な話を求める人は満足できるのかな? | ||||
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