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天女の末裔



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【この小説が収録されている参考書籍】
天女の末裔・放課後―江戸川乱歩賞全集〈15〉 (講談社文庫)

天女の末裔の評価: 4.33/5点 レビュー 3件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.33pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(5pt)

第30回目の江戸川乱歩賞受賞作家は、当時30歳!

『天女の末裔~殺人村落調査報告書~』記念すべき第30回江戸川乱歩賞受賞作。作者の鳥井氏は当時30歳。
運命に彩られた様なこの逸話ですが、作品自体も大きな運命の波に翻弄される複数の人々を描いた群像劇になっており、読み応えある作品です。ヒロインは、大学卒業後は就職もせず、家事手伝いをしている若い女性。乱歩賞史上、最も後ろ向きなキャラ達が(加害者サイド・被害者サイド共に)勢揃いしているこの『天女の末裔』は、当時も今もあまり評価が高くない作品なのですが、それがかえって閉鎖的な恩讐やヒロインのバックボーンとシンクロしていて、独特の世界観を作り出しています。
物語は、四半世紀前に発生した既に解決した殺人事件を発端に、ヒロインとその友人の青年(結局最後まで恋愛関係にはならず)が「二人の男性と一人の女性」の過去を追う内、天女信仰の村へその疑惑を向けるところから始まります。それに関連して、謎の怪死事件が。
残念ながら、確かにミステリーとしてはかなり弱い(犯人は分かっているので、主人公たちが犯人をどう追い詰めるか? までを描いた倒叙風味の物語)トリックや構成で損をしています。犯人の自白と自滅も意味不明。
ただし、一人の女性の成長談(終始うじうじしてるけど)として読めば、味わい深い小説です。

『放課後』第31回江戸川乱歩賞受賞作。日本を代表する国民的ベストセラー作家・東野圭吾誕生の瞬間です。
古典的な密室殺人。そして、そのトリックを解決した後からが本当の事件の始まりだった……
ミステリー史上最大の物議を醸し出した「動機」と「驚愕のラスト」に打ちのめされます。

なお、同時受賞作『モーツァルトは子守唄を歌わない』は、作者・森雅裕氏の許可がおりなかったらしく、全集未収録です。
むしろこの作品を収録していたら、乱歩賞全集で浮いていたかも(笑)しかし、実に面白いライト・ミステリーなのですが。
ゲラゲラ笑えるギャグが満載の傑作でした。なんでだろう?
天女の末裔・放課後―江戸川乱歩賞全集〈15〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:天女の末裔・放課後―江戸川乱歩賞全集〈15〉 (講談社文庫)より
4062738473
No.1:
(5pt)

「天女の末裔」は傑作である

「天女の末裔」
刊行当初から悪く評されることの多い作品だが、私は大好きである。悪評を目にするたびに、本当にそうなのかと読み返してみるので、もう10回以上読んでしまったが、何回読んでも、いい作品であると思う。悪評の多くは、感情的、先入観影響的、ないものねだり的、唯我独尊的であって、この本の良さをよく理解していないか、理解する気もないように思われる。作者はこの前の年に、大学の臨床心理士を辞めてフリーの売春婦となった女を主人公にした「トワイライト」(これも傑作)を書いて、乱歩賞最終候補作となっているが、各選考委員から、気取った文章、幼稚な気取り、思い上がりが鼻につく、観念的等の批判を受けて、落選の憂き目にあっている。本作では、選考委員の批判を受け入れる形で、主人公を父子家庭の、処女の、普通の、素直だが芯の強い女子大生という、多くの読者に受け入れられやすい設定とし、気取りのない、素直で、丁寧な文章で、主人公の切実な、ルーツ探し(自分探し)の物語を展開したものである。主人公の心情はよく書けていて、そのひたむきさに感情移入できる。母親である巫女の過去と現在、霊能者としての気品、思い切り、能力もよく書けている。レイプされてできた巫女の子を引き受けて、一人で育て上げてきた父親も魅力的である。また、主人公はシャーマニズム世界に生きる人間ではない(そうしなかったのは前年の反省か)が、シャーマニズム世界とそこに生きる人間が興味深く描かれていて、作品世界を広げ、深めている。トリック的には見るべきものはないが、それは今日的なミステリーの視点からはどうでもいいことだろう。意外性という点では、冒頭のシーンが、あとになって重要な意味を持ってくるところが、とてもうまい。
「放課後」
選考委員の全員が、動機がおかしい、エピソード(妻のエピソード)は不要と言っているのが面白い。しかし、今からみると、この二つは余裕綽綽の読者サービスだろう。
天女の末裔・放課後―江戸川乱歩賞全集〈15〉 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:天女の末裔・放課後―江戸川乱歩賞全集〈15〉 (講談社文庫)より
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