蟻の木の下で
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
蟻の木の下での総合評価:
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全1件 1~1 1/1ページ
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
Very nice | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
誰も責任を取らなかった理不尽な太平洋戦争への怒りと呪詛が剥き出しになった筆致は生々しく、異常な迫力がある。青春を犠牲にされた戦中世代の憤懣を描いて山田風太郎の『太陽黒点』と比較したくなる程だ。 ミステリとしても、異様な凶器トリックが単なる趣向に留まらず、プロットと必然的に融合している点は素晴らしい。題名が示唆する大戦中の凄惨な犯罪の全貌を途中で割ってしまうなど、構成の破綻が目立つ上、明確な探偵役が存在しない為、推理的なカタルシスに乏しいなどの難点はあるが、後世の作家には絶対書けない時代の証言であり、非常に熱のこもった、忘れられるには惜しい作品だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1964年第10回江戸川乱歩賞受賞作 井之頭公園内にある動物園の、羆の檻の前で、男の惨殺死体が発見された。捜査当局は、掻き切られたような傷跡から、羆の仕業であるとの見解を示す。事件は解決にみえたが、新聞記者の鹿子は、檻の付近に落ちていた新興宗教団体のバッチに興味を持ち、因果関係を探ろうとするのだった ・・・ 宗教団体の成り立ちをおううち、物語は、大戦時タイでの陰惨な出来事や、今時点の貿易にまつわる死亡事故が絡み合って複雑な様相を呈していく。いくつかの犯罪が折り重なっているが、元凶はひとつに収斂するのだが、どうにも詰め込み過ぎにのように感じる。そもそも、事件の鍵として宗教団体を取り上げた理由が分からない。当時の世相を反映しているのだろうか。 「蟻の木の下で」というタイトルの意味こそ、事件の核心となるわけで、周辺にばらまかれた事物を掘り下げてしまったゆえに、読みにくさを残してしまっているのだ。事件は連続殺人へと発展するのだが、最後の事件で、解決できていない謎が放置されてしまっているから、スッキリとはいかない。 本作品には、名探偵は存在しないため、事件の結末は手紙というかたちで提示される。時と場所を超え、今明らかになるのは、「蟻の木の下」の悲しい因縁である。物語の本筋は良いので、とっちらかった感が残念だな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
■孤独なアスファルト ★★★ 田代省吾は地方から上京し、夜学に通いながら日東グラスウールの工場で働いていた。都会への希望に溢れていた田代だったが、単調な作業に辟易し、より大きな企業への就職を夢見るようになる。夜学から大企業への就職の門戸が開けかけたとき、日東グラスウールの常務 郷司の横槍で全てご破算になってしまうのだった。憎しみに駆られる田代。ほどなくして、郷司の他殺死体が見つかる。警察は、田代の殺意の確証を得て、容疑者としてマークするようになる ・・・ 田代は、福島県郡山出身で、なまりが抜けないことから都会の中で孤独を味わっている。地方との格差があまりなくなった昨今では、この設定そのものが時代を感じさせざるをえない。孤独にさいなまれたあげく、殺人事件の容疑者として周囲から白い眼で見られる田代。この鬱屈した状況がラストに効いてくるのである。 作品そのものは、刑事たちの丹念な捜査により、真犯人のアリバイ崩していくタイプのミステリである。そこに昭和38年の世相を上手く取り込んだということになろうか。大都会の冷え切った人間関係を、地方出身者の眼を通して切り取っているのだ。事件の背景には、親子愛が垣間見えるわけだが、その愛情は他者を犠牲にすることによって成り立つという冷徹さがある。 全てが終わったときの田代のつぶやきは、空のない街で夢を追いかけた若者の苦渋が滲み出ている。残念ながら、読者がある程度の年代ではないと、共感を覚えるのは難しいかもしれない。 ■蟻の木の下で ★★★ 井之頭公園内にある動物園の、羆の檻の前で、男の惨殺死体が発見された。捜査当局は、掻き切られたような傷跡から、羆の仕業であるとの見解を示す。事件は解決にみえたが、新聞記者の鹿子は、檻の付近に落ちていた新興宗教団体のバッチに興味を持ち、因果関係を探ろうとするのだった ・・・ 宗教団体の成り立ちをおううち、物語は、大戦時タイでの陰惨な出来事や、今時点の貿易にまつわる死亡事故が絡み合って複雑な様相を呈していく。いくつかの犯罪が折り重なっているが、元凶はひとつに収斂するのだが、どうにも詰め込み過ぎにのように感じる。そもそも、事件の鍵として宗教団体を取り上げた理由が分からない。当時の世相を反映しているのだろうか。「蟻の木の下で」というタイトルの意味こそ、事件の核心となるわけで、周辺にばらまかれた事物を掘り下げてしまったゆえに、読みにくさを残してしまっているのだ。事件は連続殺人へと発展するのだが、最後の事件で、解決できていない謎が放置されてしまっているから、スッキリとはいかない。 本作品には、名探偵は存在しないため、事件の結末は手紙というかたちで提示される。時と場所を超え、今明らかになるのは、「蟻の木の下」の悲しい因縁である。物語の本筋は良いので、とっちらかった感が残念だな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
■孤独なアスファルト ★★★ 田代省吾は地方から上京し、夜学に通いながら日東グラスウールの工場で働いていた。都会への希望に溢れていた田代だったが、単調な作業に辟易し、より大きな企業への就職を夢見るようになる。夜学から大企業への就職の門戸が開けかけたとき、日東グラスウールの常務 郷司の横槍で全てご破算になってしまうのだった。憎しみに駆られる田代。ほどなくして、郷司の他殺死体が見つかる。警察は、田代の殺意の確証を得て、容疑者としてマークするようになる ・・・ 田代は、福島県郡山出身で、なまりが抜けないことから都会の中で孤独を味わっている。地方との格差があまりなくなった昨今では、この設定そのものが時代を感じさせざるをえない。孤独にさいなまれたあげく、殺人事件の容疑者として周囲から白い眼で見られる田代。この鬱屈した状況がラストに効いてくるのである。 作品そのものは、刑事たちの丹念な捜査により、真犯人のアリバイ崩していくタイプのミステリである。そこに昭和38年の世相を上手く取り込んだということになろうか。大都会の冷え切った人間関係を、地方出身者の眼を通して切り取っているのだ。事件の背景には、親子愛が垣間見えるわけだが、その愛情は他者を犠牲にすることによって成り立つという冷徹さがある。 全てが終わったときの田代のつぶやきは、空のない街で夢を追いかけた若者の苦渋が滲み出ている。残念ながら、読者がある程度の年代ではないと、共感を覚えるのは難しいかもしれない。 ■蟻の木の下で ★★★ 井之頭公園内にある動物園の、羆の檻の前で、男の惨殺死体が発見された。捜査当局は、掻き切られたような傷跡から、羆の仕業であるとの見解を示す。事件は解決にみえたが、新聞記者の鹿子は、檻の付近に落ちていた新興宗教団体のバッチに興味を持ち、因果関係を探ろうとするのだった ・・・ 宗教団体の成り立ちをおううち、物語は、大戦時タイでの陰惨な出来事や、今時点の貿易にまつわる死亡事故が絡み合って複雑な様相を呈していく。いくつかの犯罪が折り重なっているが、元凶はひとつに収斂するのだが、どうにも詰め込み過ぎにのように感じる。そもそも、事件の鍵として宗教団体を取り上げた理由が分からない。当時の世相を反映しているのだろうか。「蟻の木の下で」というタイトルの意味こそ、事件の核心となるわけで、周辺にばらまかれた事物を掘り下げてしまったゆえに、読みにくさを残してしまっているのだ。事件は連続殺人へと発展するのだが、最後の事件で、解決できていない謎が放置されてしまっているから、スッキリとはいかない。 本作品には、名探偵は存在しないため、事件の結末は手紙というかたちで提示される。時と場所を超え、今明らかになるのは、「蟻の木の下」の悲しい因縁である。物語の本筋は良いので、とっちらかった感が残念だな。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 7件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|