枯草の根
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昭和36年(1961年)に、当時37才の陳舜臣(1924~2015)が初めて書いた長編小説。推理小説であるのは勿論だが、自分にとってはそれ以上に、昭和ノスタルジックなミステリーロマン小説である。執筆当時の昭和36年には当たり前であった町の風景や風俗が、時を経た今だからこそ独特の香りを放つ。そして時間、空間、ともにスケールが大きく、それ故、そこに深い叙情と余韻をともなう。それが陳舜臣の小説の味だろう。味というのは、人それぞれに好みが有るので、決して万人受けはしない。それで良いと思う。 作品世界の昭和36年の神戸も、現在では大きく変わってはいるが、道路や町名など、変わらない物も有るので、それらを自分の足で訪れる事が出来るのも、陶展文シリーズの楽しみのひとつだろう。「かもめ荘」の近い穴門筋は、今も「穴門商店街」といって、JR元町駅東口の南側、鯉川筋の一本西に有る。また、桃源亭の有る「東南ビル」は架空のビルだが、そのモデルらしきビルが「商船三井ビル」といって、旧居留地の明石町筋の南端に存在する。「南京町」は、話題に出るだけで直接登場はしないが、昭和36年当時は中国風の門や建物はまだ建てられておらず、民生広東料理店や老祥記(当時、店前はトタン屋根付きの狭い路地だった)の他は中国系商店は少なく、戦後からのバラックが残り、外国人バーが建ち並ぶ裏通りの歓楽街と化しており、昭和50年代の区画整理と南京町復興事業前は、かなり治安が悪かったらしい。また、陶展文の歩く「メリケン波止場」に、メリケンパークは当時まだ存在せず、細長い突堤だけで、通船や遊覧船が停泊していた。 | ||||
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小味だが堅牢なプロットの展開とスマートなアリバイトリックの妙味、さらに探偵役の陶展文を筆頭に描かれる滋味豊かな人間模様。戦争に翻弄された犯人像の陰影が永く心に刻まれる初期乱歩賞屈指の名作である『枯草の根』の詩情。 後半の展開に腰を抜かす、陳ミステリの最高傑作である『炎に絵を』の騙しの技術。 後年の歴史小説の大作の影に隠れ、不当に語られざる著者のミステリを代表する二大長編。 | ||||
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著者のデビュー作であり、初期乱歩賞受賞作品の中でも屈指の傑作。 冒頭部におかれた一見無関係な人物群像が解決に至り、巧妙な伏線として収斂する手際は既に見事。昭和三十年代の神戸の風景や華僑社会が克明に描かれているのも興味深く、大陸的無常観を感じさせる結末も忘れ難い。 併録された短編はうち三編が単行本初収録と貴重だが、凡庸な出来栄え。しかし悠然たる陶展文の愛すべきキャラクターは充分に堪能出来る。 | ||||
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著者は昨年90歳の長寿を全うした。歴史小説家として有名だったが、デビューは推理小説で、それもいきなり江戸川乱歩賞を受賞しているので、これは読んでおかねばなるまいと思い読んだ。当時としてはかなりのレベルの作品だったのだろうが、今では正直読み継がれていくほどの出来とはいえない。人を殺す動機が甘いし、最後の告白書が長すぎる。いきなり大きな賞をとってしまったので、その後もしばらく推理小説を書くが、歴史小説に転向したのもわかる気がする。 | ||||
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『枯草の根』が歴代の受賞作の中でも格別にすぐれた作品だったという事が、選評からもうかがわれて興味深かった。 滅多に見かけない新章文子の作品ばかりか、受賞作が出なかった第六回の選評まで読むことが出来たのは、大いに得した気分。 確かに、分厚すぎて持ち歩きはしにくいだろうが…… | ||||
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