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君たちに明日はない
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君たちに明日はないの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全105件 61~80 4/6ページ
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小説もひとつの商品である以上、売らなければならない。売るためには、誰に向けて書くのかを 明確にする必要がある。そんなことは当たり前なのだが、的の絞り方があざとすぎると鼻について しまう。小説の舞台は興味深いものだし、人物の内面描写はよく書けている部分もあるだけに、 惜しい。 一見サラリーマン向けに見えるこの小説は、実際にはホワイトカラーの女性をコアターゲットと しているのではないだろうか。 たとえば主人公の作りこみ。高校時代は不良だったのに猛勉強して筑波大学に進み、プロの ライダーを目指すも夢破れ、現在はタフな交渉を生業としている。顔はジャニーズ系が入って いて、キャバクラ嬢のような派遣のアシスタントと並んでも絵になる。以前の会社では意図的に 給料分をちょっとだけ上回る仕事だけをこなしていた。 つまり見映えがして運動神経もよく、そこそこ頭脳明晰で度胸があり、如才なく振舞えもすると いう男なのだ。 この素敵な主人公が心を寄せてくれる幸せな女性がいる。キャバ嬢のようなアシスタントではない。 40になろうかという独身の営業ウーマン・陽子だ(主人公は、昔はともかく今は熟女好きという 設定… おいおい…)。 この陽子が実際の主人公なのではないかと思う。少なくとも読み手に最も感情移入させるキャラクターと して設計されている。 自分からは何の努力もしないのに、主人公からは好きになってもらえるし、濃厚なSEXもしてもらえる。 仕事でも、リストラされかけたぐらいだから不愉快なことはあるが、業界団体や他社のエライ人は 理解者になってくれるのだ。 作り話なんだから目くじらを立てるのもどうかと思うが、ここまで特定の層への媚びが見えてしまうと 読み進めるのもつらくなる。 | ||||
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本書を手に取ったのはタイトルに惹かれたからだ。 「君たちに明日はない」・・・もちろん名作映画「俺たちに明日はない」のパロディであり、 「リストラ請負」を生業とする本書の主人公の稼業をよく表してもいる。 期待は裏切られなかった。 「リストラ」という、サラリーマンにとって人生最大の危機において表出する「人間臭さ」が、乾いたユーモアでもって語られる。 File.1の冒頭に出てくるアクの強い営業マンとの駆け引きなど、リアルでいながら得も言われぬおかしみがある。 人間のどうしようもないところを知りつつ、なお人間の「まっとうさ」を描こうとする、はっきりとした志向が本書にはある。 そのあたりが「山本周五郎賞」だったのではないか、と思う。 リストラが吹き荒れた「黄昏れた時代」に対して、作者からの「エール」である。 さて「ユーモア小説」としての本書の白眉は「File.4八方ふさがりの女」ではないかと思う。 主人公・日出子の名古屋弁が素敵だ。しかも名古屋弁が好きになるような気分で大笑いできる。オススメです。 | ||||
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現在に実在しそうな社員のリストラ会社。リストラされる方の切実な気持ちに感情移入も出来、明日を感じさせる展開もよい。 恋愛話も平行して進行していくのだが、官能小説ような描写には閉口した。 借金取りの王子も読んでみたいと思う。 | ||||
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「ワイルドソウル」には圧倒された。ああいう小説は初めて読んだ、と思った。その垣根涼介が、テレビでインタビューに答えていた。「君たちに明日はない」と、「借金取りの王子」が紹介されていた。そして手にとった。悪くはない。でも新しさがない。書かれた時から時間が経過したからだろうか?いや、違う。「ワイルドソウル」を読んでいる私は、垣根にしかない「疾走感」を期待して読んだのだ。しかし、これなら読んで一年経ったら、「あれ、あの…リストラ請負人の話は誰の本だっけ?」となるだろう。垣根でなくても書ける題材なのである。もう、あのレベルの小説は読めないのだろうか?じっくり腰を据えて、しっかりした取材に基づいた重厚さのある、エンターテイメントを、また書いてもらいたいものである。 | ||||
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1話ごとに深まっていく登場人物に知らず 知らずのうちに引き込まれ、気がつけば、 file3とfile5で泣きそうな感動の嵐に吸 い込まれていく当作品はまさに一級エンタ ーテイメント&人生を考えさせられる作品 である。 リストラ&転職をする側、される側の視点 に立ち、実にリアルな世界を描いている。 その登場人物達が現実に存在しているよう なリアル感は、やはり緻密な取材とテンポ のよいストーリー展開によるものだと思わ れる。 続編「借金取りの王子」も是非読んでみた いと思わせる作品。 | ||||
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凄く悪人てわけでもなく、善人てわけでもなし。 ルックスはそこそこで今を楽しんで生きている。 それなりに真剣に仕事をし、自活し、自由に過ごしている。 という主人公やら登場人物が魅力的。 なにやら楽しい小説でした。 | ||||
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リストラという社会人にとっては一番深刻な問題をサラッと解決しており、読み終わったあとの爽快感は十分に味わえます。主人公の恋愛観や人生観も織り交ぜて非常に楽しく読む事が出来ます。その分だけ読み終わった後に特に印象に残るような内容がない事に気づきます。息抜き程度に読める小説としては満点かもしれません。 | ||||
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このタイトルで想像されるようなライトノベルではありません。主人公の村上真介の勤める会社は日本ヒューマンリアクトといういわばリストラ屋、人員削減が必要な会社の委託を受けて会社側が退職させたい社員と面接を行い、転退職をすすめる企業です。本来であればその会社の人事部や総務部がやるべき仕事ですが、このような代行会社を利用した方が社内摩擦も起こりにくく、情実も入りにくいというメリットがあります。こんなビジネスが労働基準法的に許され実際に存在するのかどうか知りませんが、このアウトソーシングの世の中、いかにもありそうなビジネスモデルで、これを作品化した著者の着目点はなかなかフレッシュだと思います。 お話は各章毎に建材メーカの営業部長や企画推進の課長代理、玩具メーカの開発主任、大手銀行の為替電信部員、自動車者企業向け派遣企業のイベントコンパニオン、レコード会社のプロデューサと5種類の企業のリストラ話となっており、それぞれの企業がおかれた産業構造や、リストラが必要となった会社の事情がよく調べられているリアリティに富んだストーリーになっています。しかしながらこの書名にしても、あるいはACT1からACT5とされる横書きの目次やカバーのイラストにしても作者はあえてそうしたのでしょうが、一見ライトな感じに演出されています。別に深刻ぶった小説が好きなわけではありませんが、本書は手軽によめるビジネス小説などと一括りにされるようなもの以上の中身があります。文章も味わいは別として表現に破綻はありません。 リストラ面接対象者であった8歳年上の陽子との恋愛が各章をつなぐ縦糸として描かれており、少し描写が生臭さすぎるとの評価もあるようですが、私は小粋な都会風の映画のラストシーンのような仕上がりの本書の最後を読むと、この陽子とのエピソードは作者が最初から綿密に仕組んだ見事な起承転結になっているのだと感心しました。 | ||||
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リストラ専門の外部委託会社に勤める主人公:村上真介はリストラ対象者の面接を終えて考える。「こんな仕事のどかがいいのか,わからない・・・」そんなとき,真介は一人の8歳年上40代の女性:芹沢陽子という気の強い女性の面接を担当する・・・ 様々な会社のリストラの面接を担当しながら,主人公が自らの人生を回顧し,これからの自分の人生について考えていくと言うストーリー。この作者の他の作品に漏れない大変読みやすいものであるが,多少内容が薄いというか,物足りない感じがするのは否めない。同時期発売の新書『借金取りの王子』が続編に当たるらしいが,同作品を買ってまで読もうという気は起こらない。しかし,読みやすく面白い作品ではある。 | ||||
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状況設定、トピック、キャラはおもしろいと思うが、どの話も中途半端に終わった感があり、もの足りなかった。設定が良いだけに勿体無いと感じた。 進んで読む価値はないと思う。暇つぶしに良い一冊。 | ||||
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5編の短編が収められていますが、どの話も尻切れトンボみたいに途中で終わってしまい不満です。続編で『借金取りの王子』という作品があるそうなのでそちらの方を読んでみたいと思います。 | ||||
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本小説は、五編の短編で構成されている。 その内訳は、建材メーカ、玩具メーカー、メガバンク、コンパ ニオン派遣会社、音楽プロダクションのリストラである。 主人公の村上真介は、33歳の若者でリストラを専門に 請け負う日本ヒューマンリアクト株式会社に勤めている。 話の内容は、リストラを請け負った面接官(村上)と早期 退職を受け入れざるを得ない状況に追い込まれる被面接者の 話であり、重いテーマであるリストラを小説としてうまく まとめているのに感心した。 読んでいて、被面接者がこのまま会社にすがりつくべきか、 早期退職を受け入れるべきかの選択に悩んでいる、切ない 気持ちがとても良く表現されていた。 | ||||
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初めて読んだ著者の作品。リストラ業務請負業者という発想もいいし、リーダビリティも高いのだが、奥田英朗の二番煎じではないかという思いは最後まで拭いきれなかった。 たしかに、この作品ではリストラという深刻な題材を扱っているが、お笑いの要素がかなり濃い「伊良部先生シリーズ」だって扱われている題材は現代社会が抱える深刻な問題だ。ただし、現在の同シリーズ最新作「町長選挙」は別で、これは多少悪乗りし過ぎの感があるが。 他にも書かれている方がいるとおり、こういったシチュエーションを書かせたら奥田英朗の方が巧いし、登場人物のキャラも立っている。明らかな違いは、奥田英朗の作品には直接的な性描写がなく、この作品には結構登場するといったことくらいか・・・。でもこの性描写もよくある常套句ばかりが並んでいるので興醒めしてしまう。 奥田英朗の作品を読んでいなければ評価は高かったような気もするが・・・。 | ||||
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篠田節子が解説で、こう書いている。設定部分でいかに大嘘をつくか。それが小説の面白さを決定する。しかし嘘が大きければ大きいほど、細部のリアリティーの積み重ねが重要になる。え?細部にリアリティー無いじゃん。例えばFile5のアンケート、匿名なら本音を書くって?有り得ない。有り得ないですよ。オレだって書かないよ。そして、あの結果。これは、小学生向けの道徳の教科書か?正攻法が嫌いなのではない。むしろ大好きだ。この作家には、技術が無いと僕は言いたいだけ。奥田英朗の伊良部シリーズの醜悪なパロディにしか思えない。唯一「旧友」は、悪くない。 | ||||
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「リストラ請負会社」と言われてリアリティを感じてしまったところに、昨今の我が国の世知辛さが身に沁みる。その面接官が主人公の連作短篇集なので、奥田英朗の「最悪」(講談社)みたいな「どん底の連鎖」の重圧に満たされるかと思いきや、そうではない。「人生の岐路」を間に挟んで、下す側の青年の仕事に対する真摯なひたむきさ、下される側のこれまでの来し方を踏まえた上での葛藤、不確かだけれども将来への展望に、励まされ救われる。本書の題名「君たちに明日はない」は非常に逆説的な意味を持っているのだ。どの話もハッピーエンドで終わる訳ではない。リストラを迫られる現状は何も変わらない。だが最後には、一陣の涼風が駆け抜けていくような、気がついたら世界が前向きに再構築をなされたような感じで、「よし!」と握りこぶしを固める登場人物たちに強く共感していた。ぼくも頑張ろうと思った。 | ||||
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君たちに明日はない、題名が今の時代にふさわしいリストラ問題を扱っていてすごい興味があって読んだのですが、主人公がなにか大雑把な感じで次々と面接をしてリストラを言い渡すのですが、こういう面接官の知性もあまりない落ちこぼれの人が人の人生を左右する仕事ができるのか、小説の世界だからと言ってしまえば、それだけですが、もっと面接官が深みがあってもいいのでは、全体に流れが安易で、唯一主人公がこんな仕事やっていいのだろうかと反省するところで、ほかは感激するところもありませんでした。 それと主人公の時折乱暴な投げやりの言葉も気になりました。あと、ホテルの場面で表現も遠慮したくなるような箇所があって文学か風俗かというところもすごく気になりました。 読者三者三様で見方も大きく違うでしょうが、もっと面接官としての重み、時に自分の仕事に悩み、リストラされる人にほんの少しだけ優しさの片鱗見せる、そんな物語であってほしかったです。お節介ですが、もっと深みがないとそのうち筆者が明日はない可能性がないのではと思いました。 | ||||
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第18回山本周五郎賞受賞作品。 リストラをうけおう会社「日本ヒューマンリアクト」の社員・村上真介が担当する案件と、それにかかわる人物を描いた5編の連作中編集。 精神科医伊良部と患者達のエピソードを描いた奥田英郎の「空中ブランコ」の構成と同じと書くとわかりやすいだろうか。 ひさしぶりに「一気読み」した作品である。 会社から「リストラ」を言い渡される人物達。あるものは予期し、またあるものは予期し得なかった宣告であるが、各人が当初は「リストラ」に打ち負かされながらも、徐々に消化し、解決していく様が痛快であった。「笑い」と「泣かせ」のツボをこころえた秀作である。 強いて難点をあげるとすれば、登場人物がどういう結論にいたったのかあいまいな作品がいくつかあり、この手の作品では、ミエミエデもいいから、はっきりとした結論をしめしてもらうと、私としてはすっきりした。 続編の「借金取りの王子」もお薦め。 | ||||
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なぜこれが山本周五郎賞で、これほど多くの人に評価されているのでしょうか? 最後まで読めばわかるのだろうかと、苦痛に耐えて読破したが、答えは『?』のまま。 まず、登場人物の造形が浅い。主人公の真介の底の浅さのごとく、 誰にも感情移入することができない。 特に、もう一人の主人公、陽子。仕事のできる気の強い女だが、可愛げもある、という ふうに読者に思わせたいようだが、単なる思い込みとゴリ押しで生きて来た年増女と しか思えない。真介の年上女性好みも、必然性がサッパリ感じられない。単なる 熟女好きか、マザコンの変形としか思えず、気持ちが悪い。 気持ちが悪いといえば、この作者の性描写の気持ち悪さといったらない。 汚ならしいことこのうえない。おぞましい。 作品中、繰り返し出て来る「ナマな」とか「ナマっぽい」という表現にもヘキエキ。 プロの作家が、こういう言い回しを繰り返すって、「?』。 会社小説ですから、いろいろな業界の、会社や仕事の内容については よく書かれているけれど、別にノンフィクションじゃないんですからね。 涙と笑いの希望を与える小説、なんて言われてるようだけど、私はこれを読んで 明日からの生きる気力が萎えました。うっ、思い出すと気持ち悪。。。 | ||||
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題名に惹かれて購入しました。 垣根涼介の作品は、ヒートアイランド、午前三時のルースター、ギャングスター・レッスンを読んでおりますが、これらの作品とは全く性格の違う作品です。 リストラ請負会社に勤務する「村上真介」が主人公です。 退職を勧告する側とされる側の人生模様がシリアスになり過ぎずに軽妙に描写されています。 万人受けしそうもないテーマに取り組み新境地を切り開いた事とその力量は評価すべきなんでしょうが、私は緊張感に包まれながら読み進めていく垣根涼介の従来の世界の方が好きです。 | ||||
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主人公の村上真介は、企業の人員削減を支援する会社に勤務しており、人員削減候補となっている社員と面接して中途退職を受け入れさせるのが仕事だ。 面接相手のリストラ候補社員も自分の生活がかかっているので、簡単に中途退職を受け入れるものはいない。従って、社員の過去の勤務実績、成果と失敗、不祥事、今後の昇進見込などを調べ上げて、現時点で退職するのが最善の選択であることを相手に受け入れさせるのが腕の見せ所だ。 この通り本書の扱うテーマはかなり重いが、主人公の真介や彼を取り巻く人間のキャラクターが軽いこともあり、雰囲気は妙に明るい。その一方で、真介自身も軽く生きているように見えて、それなりの挫折や過去の苦い恋人との別れがあることもさらっと描かれていたりして、この重さと軽さの微妙な兼ね合いが本書の魅力の一つだ。 自分がこのように退職勧告を受けたらどのように反応するだろうと考えながら読むと、ずしんと重くなってしまうが、そのようなことを考えずに一歩離れて読むと、様々な人間模様が巧みに描かれており、クライアントの企業も建材会社、玩具メーカー、大手都銀、大手自動車会社など様々で、業界の裏側を覗くことができるので、楽しむことができると思う。 | ||||
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