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人狼城の恐怖
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【この小説が収録されている参考書籍】
人狼城の恐怖の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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『人狼城の恐怖』は、ギネス記録を持つ世界最長の本格ミステリである。ということを『有栖川有栖の密室大図鑑』という本で知り、ミステリファンとしてはいつか読むときもあるだろうと買ったまま、長年放置していた。2020年春のコロナ禍によるステイホームで、やっと読んでみようという気になった次第だ。 まず正直に告白しておきたいのは、僕はミステリファンを自認しながらも、カーやルブランは別に好きじゃないし、密室殺人とか人間消失の不可能犯罪にもさほど興味がない。ついでに言えば、手品や奇術にもあまり心ひかれない。トリックよりロジック、さらにそれよりもプロット重視派なのだ。だから本当はこの作者とは趣味嗜好が合わないのだと思う。だったら読むなよ、と言われそうだが、まあ読んじゃったわけだ。 で、はたせるかな、本作はそういうもののオンパレードなのである。二階堂作品の良い読み手とは言えない僕は、ガンガン繰り出されるその手の謎にあまり心躍らされることもなく、謎解きをされても「まあ、そういうことになっちゃうんだろうな」と特に関心することもなく読了した。それよりも重箱の隅をつつくような細かい記述ミスや、無理な設定にばかり目が行ってしまった。 もちろん、圧倒的な力作であることは間違いない。作者に読ませる力があることも認めるし、乱歩の通俗小説風のサスペンス部分には手に汗握った。というわけで、一番楽しんだのは最初に読んだドイツ編かもしれない。あれは終わり方もなかなか良かったと思う。ちなみに、そのドイツ編でどうにも腑に落ちない箇所があったのだが、完結編の最後に納得のいく形で説明がされていてホッとした。 | ||||
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二階堂氏の作品は、吸血の家、地獄の奇術師、聖アウスラ修道院の惨劇、悪霊の館と本書を読んでいるが、この作品は過去全世界で書かれたミステリー(もどきも含めて)のなかでも、究極のWorst 1 に燦然と輝く迷作中の迷作である。京大のミステリ研究会が指摘したように、事件は最後の最後まで何ひとつ解決していない。厳密にはひとつふたつくらいは解決されているが、それは枝葉末節の問題でしかない。作者が「この作品は世界最長の作品になりそうです」と述べたところ、某氏が「オムニバス長編みたいなのはダメだぞ」と釘をさしたそうであるが、一部と二部は見事なまでにオムニバス長編になっているのだ! そしてロジックよりもトリックを、と力説する作者が展開するトリックは、まったく必然性のない、ありきたりの、手掛かりひとつないトリックのためのトリックなのである! そしてトリックよりもプロットを、といつの間にか主張を代えた作者の雰囲気づくりは目を見張るものがある。なんとオカルト落ちというとんでもない作品なのである!ミステリー作家を目指す人が、反面教師としての教材となる必読の迷著である! | ||||
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推理小説の奇形として日本には新本格というジャンルがある。 笠井潔および島田荘司といった、極左思想に傾倒する元左翼学生によって広まったジャンルである。 自然、このジャンルにはイデオロギー宣伝のための装置として働いてしまうという問題が常に暗い影を落とす。 また極端に限定的な視点に縛られた結果、アイデアは閉じられたサークル内でのトリッキーさを競う結果となる。 残念ながらこの娯楽小説自体も純粋にパズル的推理を楽しむものとは成っておらず 青臭い左翼学生の様な感情論に基づく社会論、文化論、人間観が造形の基となっており、それら問題から逃れられていない。 またオカルトを主流とし、全くセンスの無い引用や悪びれも無く用いられるアマチュア性については対象年齢もしくは読者層を著しく限定し、 同様の趣旨で作成されるラノベといったカテゴリに類されるジャンルのものと比して抜きん出たものは特に無い。 推理小説というのはあらゆる娯楽小説の中で、既に甚だ時代遅れのジャンルとなっているが 日本では現代に至るまで近代社会およびそれに伴う近代市民の推理小説はついに根付かなかった。 それを構成するトリックというギミックだけが抽出され、肥大化し、奇形化していったのである。 なので、いわゆる新本格に類する作品(トリック)を純粋に楽しみたいという方は、これら新本格類の作品ではなく 傑作マンガ「金田一少年の事件簿」をお薦めする。上記問題をクリアした唯一無類の純本格作品だからである。 そして本作品はこれを超える作品が新本格からは生まれないことを立体的に証明してくれる一冊としては価値があるのである。 | ||||
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