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百番目の男
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百番目の男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.65pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全34件 21~34 2/2ページ
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カーソン・ライダー刑事シリーズの2作目であるデス・コレクターズ (文春文庫)が非常に完成度の高い作品であったため、 遡って1作目である本作品を読んでみました。 物語の舞台は、アラバマ州モビール市。 プロローグは、緊張しながら検死に臨む病理学者コールフィールドの描写。 この検死室内で、ある事件が勃発します。 そして、舞台はパーティー会場へ。 ここから、採用3年目の若き刑事、カーソン・ライダーが登場するのですが、パーティー終了後、事件が発生。 市内の公園で、男性の死体が発見されたのです。 死体は頭部が切断され、ある部分に意味不明な文字が書かれているという不可解な状況。 やがて、第2、第3の殺人事件が発生していきますが…。 この作品の最大の特徴は何といっても、 「なぜ死体に文字が書かれていたのか?」という謎に対する「唖然とさせられる真相」でしょう。 ミステリの愉しみの一つは、「よくこんなことを考えつくものだ」という驚きを味わうことだと思いますが、 その愉しみを味わえるのが本作品です。 本書の巻末の「謝辞」には、妻とふたりの子どもがささえになって本作品が生まれたとありますが、 作者はこのネタをどうやって家族に説明したのだろう? そんないらぬ心配をしてまうほど、「……」な真相が物語の最後に待っています。 もっとも、本作品がアイデアだけが取り柄のものではないことは、 2作目の成功が示すとおりで、小説としての完成度もなかなかのものです。 ライダー刑事の若さゆえの仕事や生い立ちに関する苦悩、新人の病理学者アヴァ・ダヴェネルとの恋物語など、 青春小説的な要素が取り入れられていて、サイコ・サスペンスなのに、爽やかな印象を持てるところは、作者の技量の高さを窺わせます。 小説としての完成度は2作目の方が上ですが、 強烈なインパクトを持った、デビュー作に相応しい作品と言えるのではないでしょうか。 | ||||
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「殊能将之の選ぶ変態本格ミステリ・ベスト5」のうちの一作。 ここで言う「変態本格」とは、殊能氏曰く〈単に変態が登場する 本格ミステリではなく、本格ミステリの醍醐味であるトリックや どんでん返しに変態性が深く関係している作品を指す〉そうです。 たしかに、本作の死体の下腹部に記されていた意味不明なメッセージの ホワイダニットは、「バカ」という以前に「変態」の発想で、とても一般人に 考え出せるものではありません(マッチョな男ばかりが犠牲者に選ばれた 理由も振るっていますw)。 けっして万人に薦められる作品ではありませんが、バカミス (変態)耐性のある方なら、読んで損はない(笑)作品です。 | ||||
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死体に施された文字の意図は何か? 若き刑事の活躍を描いたサイコ・サスペンス。 バカミスにも通じるどんでん返しが凄い!って聞いてたせいか、 あまりにも期待し過ぎていた。 でもなあ、最後の真相を知ったからといって、 俄然作品が光り輝くわけでもない。 首切り事件に、性格の異なるバディ刑事もの。 サイコな兄貴を持つ主人公。 対立する警察組織……。 その設定一つ一つがありきたりだ。 また、下手な訳のせいか、描写についても今一つ。 ライトなタッチの文体はスラスラ読めるけど、 別に洒落が効いてるわけじゃない。 チャンドラーやレナードには遠く及ばないし。 とにかく、この小説を読んでると アレやコレといった他の面白かった小説を思い浮かべてしまう。 ただ、サイコな兄貴と刑事の弟の関係は、 ちょっと感心した。 最後のエピローグでの兄貴がとった行動。 ちょっとした兄弟愛が感じられ、 全編に渡ったエグい描写も、これで清められた。 どうせなら、この兄弟を中心に書いて欲しかったけどね。 | ||||
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「百番目の男」という題名に惹かれて、思わず手にした作品。 タイトルの意味は早々に出てきます。 「あぁ、そういう意味だったのね」と、妙に納得。 主人公は、暗い過去を持つライダー刑事。 相棒のハリーは、父親的な立場とでもいうべきか、ライダーを諫めながら見守っている。 上層部の嫌がらせに対抗しながら、犯人を追い詰めて行くストーリー。 ライダーの兄が、あの「羊…」のレクターのような印象を与えます。 まぁ、レクターのような静かな狂気とは正反対ですが。 兄との会話を読んでると、それだけで「狂気」というものが背筋を這うような描写が怖い。 人間の生い立ちが、人を根底から変える恐ろしさ。 ストーリーは元より、狂気の狭間で兄弟の愛情が垣間見えてきます。 血は水よりも濃し…。 ちょっとした恋愛もはさんでありますが、サラッとしているので話的にも邪魔になりません。 何故、首を切断する意味があったのか? 体に書いた文字の意味は? 体系に拘る意味は? すべての意味が、繋がるラスト。 サイコミステリー的な意味では、成功だと思います。 コレが、デビュー作だとは…。あとがきを読むまで知りませんでした。 次作があるというので、早速手に入れたいと思います。 | ||||
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近年読んだ作品の中では最高のサイコ・サスペンスでした。 99人が同じ考え方をする中で1人だけが異なる根拠で思考する。100番目の男に必要なのは心理学(僕)か超心理学(僕の分身)か?全般的に猟奇的で陰鬱なストーリーですが、主人公「僕」の相棒のハリーのウィットでマイルド感を加味しています。そのため、とことん陰鬱になることも無く一気に読めます。 これがカーリィーの処女作とは驚きました。これだけの登場人物を扱い、全てを絡み合わせて、警察ストーリーとしてまとめるとはすごいです。なにしろ、猟奇殺人あり、出世争いあり、上司との軋轢あり、職場のもめ事あり、同性愛あり、アル中あり、精神病あり、児童虐待あり・・・。ありったけの複雑さを詰め込んで、最後にどんでん返し。1作目がこれですから、2作目は評価がシビアになりますが、さらに上をいくのか、これがピークなのか?興味深いです。 | ||||
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結論からいうとラストは衝撃的でした。 サイコ・サスペンスなんで犯人が何を意図して死体に奇怪な文字を書いたのか、普通の人には理解不能やけど、最後まで読むと犯人の恐ろしい意図が見えてきてビックリしました。 異常犯罪担当部署に配属されてるカーソンとハリーのコンビがこの事件を捜査するのですが、そこには出世争いで事件より自分の事しか見えてない上司や、アルコール中毒で悩んでる病理学者、そしてカーソンの兄であり精神病棟に入院してるジェレミーなど、事件の捜査以外にも問題が山積みの作品です。 本筋の事件の他にも様々に要素が詰まってるので読んでいてボリューム感があります。 ただスラスラって読めないのは翻訳に問題があるのかな。 少し羊たちの沈黙を意識してるところもあるけど、オリジナリティ度も高い作品なんで先は全く読めないですよ。 カーソンとハリーの2人のコンビの会話が面白いので、サイコ・サスペンスの暗い雰囲気までもが爽やかに感じる時がありました。 続編も発売されてるみたいなんで、またこの2人に会える日を楽しみにしてます。 | ||||
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一時期サイコサスペンスがブームになり、あらゆる種類のサイコサスペンス小説が出版されました。「羊たちの沈黙」がその中のベストであることは多くの人が認めるところではないでしょうか。「百番目の男」は、その「羊たちの沈黙」の二番煎じ三番煎じ的作品です。 主人公に捜査を進める上でのパートナーがいたり、ロマンスの要素があったりするのが新味と言えるかも知れませんが、そのパートナーもロマンスの相手も人間味が薄く、主人公やストーリーにとって都合のいいように動きすぎです。 アルコール中毒の人物が登場するのですが、その人物は簡単にアル中になり簡単にアル中を克服してしまいます。終盤で嵐の中、主人公がナイフを持って川に飛び込むのですが、溺れそうになった主人公が取った行動、これがほとんどマンガです。犯人の動機の設定とか要所々での盛り上げ方などは上手いのでマンガの原作ならこれでOK!なのですが小説としては新人作家のデビュー作の水準を越えるものではありません。 | ||||
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全体的には王道を行っている話ですが、細部の描写が良くできていて、中身が濃く、楽しめます。 内容は、90パーセントが、読者の予想通りになり、非常に気持ちよく読めます(悪役が没落したりとか)。また、10パーセントの意外性も所々にちりばめられていて、バランスが良いと思いました。 ただし、登場人物が多いのと、なじみのない職業がメインなので、初心者向きではありません。普段から本をよく読んでいる人には勧められる一冊です。 | ||||
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サイコ・ミステリーの秀作。主人公のカーソンを始めとした人物描写がいい意味で「軽い」。 ほとんどケイのような検視局長、レクターのような主人公の兄が登場する。 「えっ」と思うが、二番煎じに陥らないだけの筆の細やかさがあるので、興ざめしなかった。 恋愛も絡めているが、相手の(アル中の)監察医も魅力的。 読後感が爽やか。サイコ物の暗いヘヴィーなテイストと登場人物の爽やかさを上手にバランスとっているところが、本書の肝だと思う。 犯行動機やクライマックスの謎解きは読み応え十分で、一気に読み通せます。 続編も出版が決まっているそうで、人気のシリーズになりそうです。 | ||||
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百番目の男……百人のうちの99人が考えることとは別のことを考える男。「羊…」タイプのサイコを横軸に、主人公の生い立ち自体のサイコを縦軸に編み上げた、暗い色の生地がミステリーのベースといったところ。この表面に、警察組織内の派閥抗争、相棒や同僚たちとの信頼関係、二人の女性病理学者の半生、そして例によって恋愛、と鮮やかな色の模様をにぎやかに縫い込んでいった感じ。あと、何というか、さらに色合いでいえば、主人公の目を通してみるメキシコ湾の透明感のある海の青さが印象に残ってしまって、ストーリー本来の重苦しさをあまり感じずに済んでしまうところがある。比較的初期段階で犯人の見当がついたり、意表を突く展開がないわりに最後まで飽きずに読めたのは、そうした色合いの妙のためだったのだろうか? | ||||
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「このミステリーがすごい!」の’05年海外編で同点第6位、「週刊文春ミステリーベスト10」でも’05年海外部門で第6位にランクインしたサイコ・サスペンス。 本書の一番のポイントは、訳者があとがきで「どうです、驚いたでしょう?」と言っているように、頭部を切断した死体に刻み込まれた奇妙な文字に隠された真犯人の、一歩間違えれば“バカミス”になりかねないゆがんだ意図と、殺人を犯すにいたったインパクトのある異常な動機である。 アブノーマルな犯罪に挑むのは、モビール市警察本部<精神病理・社会病理捜査班(PSIT・ピスイット)>の若き捜査官、カーソン・ライダー。捜査は、彼のこころを病んだ兄やPSITをよく思わない市警察内部の邪魔を絡ませながら進展してゆく。 扇情的な犯罪を題材に扱っているはいるが、物語全体からはそれほど陰惨なイメージは感じられない。むしろ、みずみずしく、スピーディーで若々しいものを感じる。 それは、この犯罪のあきれるほどに常軌を逸した動機や、カーソンと相棒のハリー刑事とのアメリカンジョークにあふれた軽妙で洒脱なやり取り、新任女性検屍官をアル中から更生させようとするカーソンの心遣いや、舞台となっているメキシコ湾に面したアラバマ州モビールの大都会とは一味違う独特の南国の風土、そしてなによりもこの物語が青年捜査官カーソンの若々しい一人称の語りで綴られているところから来るのだろう。 | ||||
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あの「動機」については、「驚愕」「アホバカ」といった評判を散々目にしていたのが良くなかったかもしれません。何の予備知識もなく読んでいたら、もう少し素直に驚けたのでは。 ただサイコ・キラーの発想としては、この程度のものは案外現実にあるのではないかという気もしました。島田荘司の『斜め屋敷の犯罪』等の発想のぶっ飛び具合と比べてみても、まだまだ大人しいと思います。でも、これを実際に試しながら執筆している著者の姿を想像すると、確かにバカかも……。 小説としては、いかにも「ハリウッド型エンターテインメントの書き方」に則ったようなリアリティのない物語展開、キャラクター造形がマイナス・ポイント。直訳調であるばかりか、意味不明の熟語や「ら」抜き言葉が頻発する訳文も非常に問題があります。 | ||||
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いわゆるジェットコースターノベルで一気に読んでしまった。後から考えると少しご都合主義もあるけれど、主人公以外の登場人物を語るエピソードが生き生きとしているので、気にならない。シリーズ化を期待したい作品です。女性検察官が他作者の有名シリーズに出てきそうなキャラクターなのがご愛敬。 | ||||
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本格的な謎解きというよりは、異常者との対決が主体のミステリです。主人公やその他人物の造詣にも著者の力が感じられます。しかし、あの動機には、まいった。 | ||||
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