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僧正の積木唄
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僧正の積木唄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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第一部「僧正殺人事件2」、第二部「日本棺の秘密」、第三部「「悪魔の積木唄」、第四部「Jの悲劇」の四部構成の作品なのだが、第一部はもちろんのこと、第二部はエラリー・クイーン『ギリシャ棺の秘密』の、第三部は横溝正史『悪魔の手鞠唄』、第四部はやはりエラリー・クイーン『Xの悲劇』『Xの悲劇』(あるいは『Yの悲劇』『Yの悲劇』)を踏まえた章題であるという、なかなかに凝った作品。凝っているのはそれだけではない。金田一耕助の探偵としてのデビュー作『本陣殺人事件』にも言及されるし、それとなくクイーン『オランダ靴の秘密』への言及もあるから、そのような「仕掛け」についてどれだけ気付くことができるのか、という楽しみもある点、推理マニアにはたまらない小説であることは確かだ。その上内容はヴァン・ダイン 『僧正殺人事件』に対する物語形式の評論と受け取れる内容で、実は名探偵ファイロ・ヴァンスは「僧正殺人事件」を解決していない、というのだから期待感は増すばかりではないか。本書で指摘されたことを踏まえれば、確かに事件は解決されたようには思えない。それをあらためて解決するのが金田一耕助だというのである。横溝正史による設定でも、金田一はアメリカに滞在していた、とされているのだからどこにも無理はない。無理はないどころか、読んでいるうちに横溝作品を読んでいるような気にさえなったものだ。それにとどまらず、僧正殺人事件の舞台で、また殺人事件が起こるところから出発する物語は、太平洋戦争前夜のアメリカ社会における日本人排斥運動を背景として重苦しく展開する。それもまた金田一耕助に相応しいもののように思われる。先行するテクストを素材として自身を構築した物語としては一級品。なお少なくとも『僧正殺人事件』だけは読んでおかねばならない。 | ||||
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素直なミステリーで、そのまま話の展開にのめり込んで読み続けることが出来た。この時の山田正紀はまだ純粋なミステリーを志向していたんだろう。 ところで巻末に山田正紀スペシャルインタビューがある。ミステリーを中心にした内容であるが、今後書きたい小説として、「神狩り2を書いてから、弥勒戦争2みたいなものを書きたい」とあった。神狩り2は、刊行されたが、弥勒戦争2はいつ出るのか楽しみにしている。もう15年は経ったな〜。 | ||||
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ヴァンダインの古典的名作の僧正殺人事件を下敷きにして、金田一耕助を登場させて、第二次世界大戦前夜のアメリカを舞台にした本格ミステリー作品。 こう書くとマニアックな本格古典推理マニア受けのパロディ主体の作品かと思わせるが、そういう趣向もあるが、本作はそれだけに終わらず、当時の日系の苦難の状況や戦争のもたらす地獄の兵器の登場(まあ原爆である)まで描き切った小説としても大変読み応えのある力作に仕上がっている。 | ||||
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「僧正殺人事件」から数年後。事件の舞台となった邸で、当事者だった男が殺害された。死体の発見現場には、アインシュタインの数式が書かれた便箋が入っていた封筒が発見され、郵便受けには〈マザーグース〉の積木唄と“僧正”の署名が記されたメモが入れられていた。封筒に被害者の給仕をしていた日系人の指紋が残されていたこと――その他にも当時の社会情勢も影響し――から捜査当局はその男を逮捕。個人の冤罪であるだけでなく、日系移民コミュニティ全体にとっても、致命的な打撃となる今回の事件を収束させるため、金田一耕助が招聘されるが……。給仕の容疑を決定づけた封筒が、同時に、真相究明の重要な手がかりともなっているのが秀逸。犯人は、給仕に罪を被せるために、その封筒を用いたわけではなく、別の目的があったのです。(事件後、隣人に目撃される“怪物”の謎も巧い)また、禅僧が殺害される事件も起きるのですが、禅僧が遺したダイイング・メッセージとそれを見た犯人による偽装工作、そして、そういった作為を見抜いた上で、金田一が犯人特定のロジックを展開するといった一連の手順は、よくできていると思いました。そして、全編を貫いていた差別の構図を覆し、苦い真実を突きつけてくる結末も印象的で、ヴァン・ダインへの単なるツッコミにとどまらない重厚なテーマが内包された作品だといえます。 | ||||
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ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」の続編兼金田一耕助シリーズエピソード0!ヘミングウェイの殺し屋もコンチネンタル・オプもハメット自身も出るwもちろん、ファイロ・ヴァンスも出るが、金田一耕助との絡みは少ない。メインの探偵は金田一耕助の方です。第二次世界大戦前のアメリカでの排日運動の書き込みが素晴しい歴史ミステリーの大傑作。有名な歴史人物の話題も語られます。細かいトリックの80%は推理出来るが、私は真犯人は判らずにアッ!と驚いた。事件が解決した後のエピローグの最後の一行も素晴しい!ミステリマニア必読の書。英語で出版して、NMA賞CMA賞をとらせるべき作品。 | ||||
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金田一耕助は戦前アメリカにいてクスリ中毒だった、という話は、ファンなら基本中の基本ともいえる設定。そのモチーフと、偶然、ちょうど同じ時期にアメリカで起きた(という設定)の、ヴァン・ダインの古典的本格推理『僧正殺人事件』を結びつけ、『僧正殺人事件』の舞台となった場所で再び起きた事件に、金田一耕助が取り組んでいく話。 推理小説という性質上ストーリーの紹介は避けるが、全体としては当時のアメリカの排日運動についてかなり詳しく描かれており、本格推理というよりは、社会派小説のような重めの雰囲気が漂う。なので、横溝正史やヴァン・ダインばりの王道・本格推理を期待して読むと、多少裏切られた気がするかもしれない。(なので☆1つマイナス)しかし、横溝正史によって語られなかった金田一耕助の過去に迫ったという意味では実に秀逸な意欲作で、推理小説ファン、金田一耕助ファンなら「外伝」として十分に楽しめると思う。ただし要注意点として、ぼやかしてはあるものの、読んでいる内に『僧正殺人事件』の結末が、なんとなくわかってしまう可能性が有るように思う。なので『僧正殺人事件』未読の人には、読了後に本書を読むことを強くお勧めする。また、金田一耕助の初期の状況を把握するために、できれば横溝正史『本陣殺人事件』も読んでおくと、より楽しめると思う。 | ||||
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マザーグースの童謡のとおりに殺人を繰り返し、世間を恐怖に陥れた世に言う「僧正殺人事件」は、ファイロ・ヴァンスの活躍で終焉を迎えたかに見えた。しかしその数年後、再び「僧正」の署名の手紙とともに、殺人事件が発生する。折りも折り、満州事変で日本に対する風当たりが強くなっているなか、容疑者として捕まったのは日系人。世論に後押しされ、ロクな捜査もしない警察に立ち向かうは、アメリカを放浪していた若き日の金田一耕助・・・、どうです、ミステリ好きならすぐにでも読んでみたくなりませんか?名作と名高いヴァン・ダインの「僧正殺人事件」ですが、本書にあるとおりシックリこないところ・納得しがたいところがあるのは確か。「僧正の積木唄」では、その納得しがたいところもキレイに解明され、そればかりでなく新しく起きた「僧正殺人事件2」のほうもなかなかよくできたミステリ、さらにさらにファイロ・ヴァンスと金田一耕助の夢の共演と、もうおいしいところだらけ。間違いなく「買い」の一冊です。満州事変勃発直後、アメリカに日系人排斥の嵐が吹き荒れている時代のことも、とても興味深く読めました。できれば「僧正殺人事件」を読んでから、こちらに手を伸ばしてください。もちろんネタばらしはされていないので、こちらからでもかまいはしませんが、おもしろさが違いますよ。ヴァンスやマーカム検事に対する見方の違いとかね。 | ||||
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マザーグースの童謡のとおりに殺人を繰り返し、世間を恐怖に陥れた世に言う「僧正殺人事件」は、ファイロ・ヴァンスの活躍で終焉を迎えたかに見えた。しかしその数年後、再び「僧正」の署名の手紙とともに、殺人事件が発生する。折りも折り、満州事変で日本に対する風当たりが強くなっているなか、容疑者として捕まったのは日系人。世論に後押しされ、ロクな捜査もしない警察に立ち向かうは、アメリカを放浪していた若き日の金田一耕助・・・、どうです、ミステリ好きならすぐにでも読んでみたくなりませんか? 名作と名高いヴァン・ダインの「僧正殺人事件」ですが、本書にあるとおりシックリこないところ・納得しがたいところがあるのは確か。「僧正の積木唄」では、その納得しがたいところもキレイに解明され、そればかりでなく新しく起きた「僧正殺人事件2」のほうもなかなかよくできたミステリ、さらにさらにファイロ・ヴァンスと金田一耕助の夢の共演と、もうおいしいところだらけ。間違いなく「買い」の一冊です。 満州事変勃発直後、アメリカに日系人排斥の嵐が吹き荒れている時代のことも、とても興味深く読めました。 できれば「僧正殺人事件」を読んでから、こちらに手を伸ばしてください。もちろんネタばらしはされていないので、こちらからでもかまいはしませんが、おもしろさが違いますよ。ヴァンスやマーカム検事に対する見方の違いとかね。 | ||||
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重厚なテーマだが軽快なテンポ,意表をつく展開やしんみりさせるラストまで,ノンストップで楽しめる。「僧正殺人事件」を読んでからの方がいいが,絶対に本家以上に面白いと思う。今年のイチ押しです。 | ||||
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あの『僧正殺人事件』に金田一耕助が挑むという。横溝正史ファンならずとも涎が出そうな設定。また第二次世界大戦前のアメリカの空気を実に巧く活用し、力業を成功させている。ストーリー展開などにはやや粗さも見られるが、ミステリファンが思わずにやりとさせられるエピソードがちりばめられていて興味深い。これは買いであろう。 | ||||
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