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僧正の積木唄
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僧正の積木唄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.93pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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若い頃に「僧正殺人事件」を読んでいて、しかも横溝正史ファンときては、この作品は絶対見逃せませんでした。こちらを読まれる方は、やはり先に「僧正殺人事件」と、金田一耕助を主人公とした横溝正史作品をひとつくらい読んでおいた方がいいと思います。 ただ、今回、この作品を読むに当たって本家のヴァン・ダイン作「僧正殺人事件」を読み返しましたが、あれ?こんな話だったっけ・・?と。すでに古典の領域に入った作品なので、古臭いところや現代の目から見ると無理があるのは仕方ないですが、探偵役のファイロ・ヴァンスってこんないやなやつだったか?とか、犯人の特定もおかしいと思い、特に最後の独断は、こんなことやっちゃいかんだろ、おかしいだろ、と怒りをおぼえてしまいました。 山田正紀氏がこの本で、犯人は別の人物だったのではと推理されていますが、私も同感です。 そして、この「僧正の積木唄」ですが、結論から言うと星3、5くらいでしょうか。 山田正紀氏は、落ち込んでいる時、横溝正史作品に救われたことがあるそうで、自分の作品で金田一耕助を活躍させられることが楽しくて仕方ない様子で、それがこちらにまで伝わってきます。小説の構成も、いろんな古典ミステリへのオマージュになっていてすごく凝っています。古典英米ミステリファンなら楽しくなると思います。 この第2の「僧正」事件ですが、2次大戦前のアメリカ社会で、日系人に対する差別や排斥がひどくなった頃を背景にしていて、日本人が読むのは結構つらいものがあります。重苦しい気分になってしまって、途中で何度か中断してしまいました。 日本では、アメリカは友達だと好感を持っている人が多いようですが、過去にはジャップと呼んでひどい人種差別をしていた時代があり、戦争中も東京を焼き野原にして原爆を2つも落とし、いまだにそれらを省みることも謝罪することもありません。利害が変わればまたどうなるかわからないことはおぼえておいた方がいいと思います。 個人的には、まったく違う状況設定で書いていただけたら、もっと純粋にミステリとして楽しめたような気がします。 過去の事件の関係者では、マーカム検事、ヒース刑事、それにヴァンスも少しだけ登場します。他の登場人物は金田一とそのパトロンの久保、あとは日系人がメインです。金田一の推理は、そのほとんどが勘によるものなので、ちょっと納得いかない部分もありましたが、犯人は意外な人物でした。 「僧正」と金田一ファンは読んでおいても損はないと思います。 | ||||
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