神曲法廷
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タイトルの通りに、ダンテの『神曲』を通底音として構成された推理小説。事件において明かされるトリック自体は実は単純で、したがって真相が明らかになったところで特に驚くようなものでもないし、そもそも物語のどこかに作者が「読者への挑戦」というページを差し挟むことができるほどは持ち札をすべて明らかにする語り口でもない。それゆえ「本格推理」という表現は決して適切ではないし、まして解説において笠井潔が述べるように「後期クイーン問題」への回答がなされているかというと、それは的外れでしかない。端的に言えば「探偵は神の立場に立つことが許されるのか」というのが「後期クイーン問題」の核心なのだが、しかしそれはつまるところ「作者は神の立場に立つことが許されるのか」という問いへと即座に回収されるはずだ。そしてその問いに対しては「当然許される」としか答えられない。なぜなら許されないわけがないから。もう少し突っ込んでいうなら「許す許さないの問題ではない」となるだろう。であるからには「後期クイーン問題」そのものが空論なのだから、回答が無意味なのは明らかだ。ただ単に「後期クイーン問題」の「一体何が問題なのか」を笠井がまったく理解していないだけである。 ところで本署に戻ると、結末に近づくにつれて「おいおい、あの事件の真相が語られてないぞ」と思いつつ読み進めていくこちらの思惑を最後の最後でとんでもないやり方で裏切ってしまう終わり方には驚愕というよりも――物語の内容に即した意味を多分に込めた上での――絶望を感じずにはいられない。この終わり方は(賞賛の意味で)卑怯だ。 | ||||
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ダンテの神曲の挿し絵と東京地裁のエントランスホールの天井をよ~く見比べてみて下さい。すると・・・山田正紀氏のメフィストフェレスの如き笑い声が・・・ | ||||
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解説で笠井潔氏が指摘しているように、本作最大の標的は「後期クイーン的問題」。 本作では、作中に「神」というメタレベルの情報を担う存在が仮構され、その「神」が、 間違いなく真である手がかりを佐伯に見せ、事件について推理させる形式が採られる ことで、一種のロジカル・タイピングとなっている、と諸岡卓真氏は指摘しています。 すなわち、 〈推理する者(佐伯)とその推理を保証する者(「神」)を分離した上で、推理を 保証する者からは推理の能力を剥奪する。偽の手がかり問題を回避しつつ、 銘探偵のアポリアを避けるための構図〉が見られるというわけです。 それにしても、“神の正義”が完遂される 本作の結末は何とも皮肉でやりきれません。 | ||||
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凄いトリックに、文庫版で約650ページ、質・量ともに申し分なし。読み応え、読み終わった後の満足感も言うことなし。様々なジャンルの小説を発表しつづけている山田正紀の、ミステリの代表作になるだろう大作です。 雰囲気作りのとてもうまい作者、本作ではダンテの神曲を下敷きにし(もちろん神曲を読んでいなくとも十分に楽しめます)、緊迫感のある異様な空気に包まれた世界とそこで起こる事件、神の声を聞いた男・探偵役の佐伯神一郎の姿を描き出していきます。などといろいろ書いてみても、この独特の世界・雰囲気は伝わらないでしょう。どうぞ読んで驚いてください。 山田正紀、すごい作家だと再確認させられました。 | ||||
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まあ、話は分かる。トリックも凄い。しかし、言いたいことがある。 これは医学書ではない。だからして医学的なことは関係ないはずだが、あまりにも不正確なので言っておく。 副腎皮質ホルモンは、効く薬である。また、医師の指示のもとにきちんと用いれば、副作用もない。これは1990年時点ですでに確立されていたことである。その後、血迷った医者まで出たために、ちまたにはステロイド被害の本が出回っているが。 私は皮膚炎でステロイドを使っているが、この話に出てくる病気についても調べてみた。不治の病ではないらしい。また、副腎皮質ホルモンは「気休めにもならない」どころか、特効薬であるとのこと。 神の意志としか思えない偶然を強調したかったのは分かるが、これ以上ステロイドに対する偏見を助長するようなことはしないでほしい。 いっそのこと、病気も自分で作ってくれれば良かったのにと思う。実在する病気を医学用語まで使って、実際と違うように書くのは、一番の反則だと思う。 | ||||
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