(短編集)
天動説
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山田正紀先生描く、時代劇版吸血鬼小説の上巻であります。 『吸血鬼ドラキュラ』以来の伝統にのっとりまして、乗員が全滅した船が見つかり、その船から吸血鬼が上陸するという展開があまりにお約束通りで素敵。 吸血鬼に挑むことになるのは南町同心の弟で、昼間はからっきし剣術はダメなのに夜になると強くなる夜型剣豪(?)のこうもり鉄太郎。別に吸血鬼との間に因縁があるわけでもなく、妖怪退治のように特別な仕事に関わっているわけでもないのにひょんなことから吸血鬼騒動に関わりを持つことに。 基本的に江戸市中で起こった怪事件に鉄太郎と岡っ引きの仙三のコンビが首を突っ込み、吸血鬼(さたん)の手下の甲賀忍者との対決で〆のパターンの繰り返し。これらの事件があまり繋がりがあるようではなく、吸血鬼の目的がまったく見えてこないのが物語の弱いところ。どうも山田先生、吸血鬼対侍のチャンバラ活劇というテーマだけを決めておいて先々の展開は考えていなかったらしく、後付けの説明が意味分かんないレベルで苦しいことになっているのであります。いろいろと物語を面白くできる要素はたくさんあったのに何だかもったいない。 二編目の「玄冶店伝奇」は歌舞伎の「切られ与三郎」をパロディ化したトチ狂った内容でして、「死んだはずだよお富さん」が本当に死んでから生き返った吸血鬼だったという展開がバカバカしくて楽しい。これ、最近の若い人には分かるのでしょうか……?(初出は昭和六十二年ですけれど) 物語は吸血鬼が江戸に飽きて蝦夷へ帰ることを決めてしまい、鉄太郎の兄の主馬、兄嫁の加津が犠牲になって、本当の戦いはこれからだ!というところで下巻に続く。 | ||||
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初刊本は、1988年、89年、角川書店刊行。 この、戎光祥出版(何かすごい)からの再刊は、イラストの再録や作者あとがき、編者解題、著作リストなどが充実していて嬉しい。 造本、装丁もよい。 生涯のテーマとして、ゲーム、そして神(だから神とのゲームだ)を追い求める山田正紀。 それとは別に、その時々の編集者の注文に応じて、どんなものでも書きこなす、ペーパーバックライターとしての山田正紀。 これは後者の作品である。 なんとも意味ありげで、その実、苦し紛れに決められたであろうタイトルに、絶妙の迫力がある。 著者もあとがきで触れている、漱石のレベルなのだ。 そして、歌舞伎などの素材を自由自在に使いこなし、たっぷりと江戸情緒を引き出してみせる。 なかなかできるもんじゃなく、まず天才の名に恥じない。 編者の日下三蔵氏も、相変わらずのすごい仕事ぶり。 最近は、合本スタイルが多いようだけど、商業的に有利ということだろうか。 | ||||
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