僧正の積木唄
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点7.00pt |
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「僧正殺人事件」を読んだばかりなので、続けて本作へ進みました。金田一耕助が「僧正殺人事件2」を解決するというWパスティーシュですが、結構面白かったです。論理的に考えて特定出来る犯人、と言う意味で本格推理では有りますが、当時のアメリカの排日感情が詳しく書かれ、社会派ミステリーの側面も強いでしょうか。金田一物の予備知識は特に要らないですが、「僧正殺人事件」を先に読む事が必須です。まあ概要見ていただくと分かる様に、万人受けする作品では無いでしょうが、ご興味があれば是非。 | ||||
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始めに山田正紀氏の作品を読むのはこれが最初です。これまで読んだことがありません。個人的にミステリ作家と認識していなかったせいですが。ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」をリスペクトした作品として気になっていました。 | ||||
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あの「僧正殺人事件」はまだ終わっていなかった?再び甦った悪魔「僧正」にアメリカ滞在中だったあの名探偵金田一耕助が挑む!二つの偉大なる先達に対するオマージュであると同時に、当時のアメリカを支配していた日系人への「反日感情」が鮮明に描かれていたのも興味深かった。それにしても、背広姿で洋装の金田一耕助って(笑) | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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第一部「僧正殺人事件2」、第二部「日本棺の秘密」、第三部「「悪魔の積木唄」、第四部「Jの悲劇」の四部構成の作品なのだが、第一部はもちろんのこと、第二部はエラリー・クイーン『ギリシャ棺の秘密』の、第三部は横溝正史『悪魔の手鞠唄』、第四部はやはりエラリー・クイーン『Xの悲劇』『Xの悲劇』(あるいは『Yの悲劇』『Yの悲劇』)を踏まえた章題であるという、なかなかに凝った作品。凝っているのはそれだけではない。金田一耕助の探偵としてのデビュー作『本陣殺人事件』にも言及されるし、それとなくクイーン『オランダ靴の秘密』への言及もあるから、そのような「仕掛け」についてどれだけ気付くことができるのか、という楽しみもある点、推理マニアにはたまらない小説であることは確かだ。その上内容はヴァン・ダイン 『僧正殺人事件』に対する物語形式の評論と受け取れる内容で、実は名探偵ファイロ・ヴァンスは「僧正殺人事件」を解決していない、というのだから期待感は増すばかりではないか。本書で指摘されたことを踏まえれば、確かに事件は解決されたようには思えない。それをあらためて解決するのが金田一耕助だというのである。横溝正史による設定でも、金田一はアメリカに滞在していた、とされているのだからどこにも無理はない。無理はないどころか、読んでいるうちに横溝作品を読んでいるような気にさえなったものだ。それにとどまらず、僧正殺人事件の舞台で、また殺人事件が起こるところから出発する物語は、太平洋戦争前夜のアメリカ社会における日本人排斥運動を背景として重苦しく展開する。それもまた金田一耕助に相応しいもののように思われる。先行するテクストを素材として自身を構築した物語としては一級品。なお少なくとも『僧正殺人事件』だけは読んでおかねばならない。 | ||||
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若い頃に「僧正殺人事件」を読んでいて、しかも横溝正史ファンときては、この作品は絶対見逃せませんでした。こちらを読まれる方は、やはり先に「僧正殺人事件」と、金田一耕助を主人公とした横溝正史作品をひとつくらい読んでおいた方がいいと思います。 ただ、今回、この作品を読むに当たって本家のヴァン・ダイン作「僧正殺人事件」を読み返しましたが、あれ?こんな話だったっけ・・?と。すでに古典の領域に入った作品なので、古臭いところや現代の目から見ると無理があるのは仕方ないですが、探偵役のファイロ・ヴァンスってこんないやなやつだったか?とか、犯人の特定もおかしいと思い、特に最後の独断は、こんなことやっちゃいかんだろ、おかしいだろ、と怒りをおぼえてしまいました。 山田正紀氏がこの本で、犯人は別の人物だったのではと推理されていますが、私も同感です。 そして、この「僧正の積木唄」ですが、結論から言うと星3、5くらいでしょうか。 山田正紀氏は、落ち込んでいる時、横溝正史作品に救われたことがあるそうで、自分の作品で金田一耕助を活躍させられることが楽しくて仕方ない様子で、それがこちらにまで伝わってきます。小説の構成も、いろんな古典ミステリへのオマージュになっていてすごく凝っています。古典英米ミステリファンなら楽しくなると思います。 この第2の「僧正」事件ですが、2次大戦前のアメリカ社会で、日系人に対する差別や排斥がひどくなった頃を背景にしていて、日本人が読むのは結構つらいものがあります。重苦しい気分になってしまって、途中で何度か中断してしまいました。 日本では、アメリカは友達だと好感を持っている人が多いようですが、過去にはジャップと呼んでひどい人種差別をしていた時代があり、戦争中も東京を焼き野原にして原爆を2つも落とし、いまだにそれらを省みることも謝罪することもありません。利害が変わればまたどうなるかわからないことはおぼえておいた方がいいと思います。 個人的には、まったく違う状況設定で書いていただけたら、もっと純粋にミステリとして楽しめたような気がします。 過去の事件の関係者では、マーカム検事、ヒース刑事、それにヴァンスも少しだけ登場します。他の登場人物は金田一とそのパトロンの久保、あとは日系人がメインです。金田一の推理は、そのほとんどが勘によるものなので、ちょっと納得いかない部分もありましたが、犯人は意外な人物でした。 「僧正」と金田一ファンは読んでおいても損はないと思います。 | ||||
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素直なミステリーで、そのまま話の展開にのめり込んで読み続けることが出来た。この時の山田正紀はまだ純粋なミステリーを志向していたんだろう。 ところで巻末に山田正紀スペシャルインタビューがある。ミステリーを中心にした内容であるが、今後書きたい小説として、「神狩り2を書いてから、弥勒戦争2みたいなものを書きたい」とあった。神狩り2は、刊行されたが、弥勒戦争2はいつ出るのか楽しみにしている。もう15年は経ったな〜。 | ||||
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まるでごった煮のコミックノベルを読んでるみたいで、どう評価していいのだろうか。それなりに面白くはあるし、登場人物も多彩で、それだけでも楽しくはある。ただ、僧正を誰かにするという点で、様々な要素を詰め込み過ぎたが故に、読み進むに連れ、ややこしくなり消化不良を起こす。ヴァンスをこき下ろしてる割には、何の説得力も見いだせない。『僧正殺人事件』に追い付こうとするが故に背伸びし過ぎた感じがする。 ただ、アメリカ社会において抑圧された日系人のもどかしさが無念さが非常に印象的だ。ネタ的には、リナ・ターナーを愛人にする比奈博士をそのまま生かし、アーネッソン殺害の共犯者にしたほうが展開としてはストレスなくスムーズだったと思う。青野宗月もルーシー・カーコットンも比奈兄弟もナオミも意味不明のメキシコ人も必要なかった。 あまりにも登場人物が多彩過ぎて、後半に進むに連れ、プロットが曖昧に、そしてややこしくなる。黄渦論が渦巻くアメリカ社会という格好の時代背景があるので、それを中心に据えて単純な展開にしても面白かった。肝心なのは、シンプル・イズ・ベストなのだ。悲しいかな日本人は何につけても、てんこ盛りを多機能を好む。そして決まったように器用貧乏に陥る。全く、日本文化の典型の負の連鎖である。レビューでは結構評価が高く、”僧正”というタイトルに期待した自分が馬鹿だった。 やはり、金田一耕助ではヴァンスには足元にも及ばないってか。結果論で『僧正殺人事件』のアラ探しをする日本人の貧相さが垣間見えた。でも、パロディーだと割り切ってしまえば、今の日本人には受けのいい一冊かもしれない。厳しいけが、星2つ。 | ||||
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ヴァンダインの古典的名作の僧正殺人事件を下敷きにして、金田一耕助を登場させて、第二次世界大戦前夜のアメリカを舞台にした本格ミステリー作品。 こう書くとマニアックな本格古典推理マニア受けのパロディ主体の作品かと思わせるが、そういう趣向もあるが、本作はそれだけに終わらず、当時の日系の苦難の状況や戦争のもたらす地獄の兵器の登場(まあ原爆である)まで描き切った小説としても大変読み応えのある力作に仕上がっている。 | ||||
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