警視庁草紙
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警視庁草紙の総合評価:
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| 約三十年ぶりぐらいの再読。詳細はすっかり忘却していて……ああ、こんなお話だったんだ! 上巻は軽妙なタッチで独立色の強いエピソード揃いの連作でしたが、がらりと印象が変わり、明治という時代に翻弄されて、大きな流れの中に呑まれる登場人物たちの姿が前面に押し出された格好であります。重たいよお……暗いよお……。上巻ではそれぞれキャラが立っていた巡査たちもまるきりモブ扱いだし、元同心・兵四郎は警視庁からも「おっちょこちょい」と認識されてしまうというありさまで何だかいいところなし。 作者が描こうとしたのは個人の意思や力ではどうにもならない「時代」というものだったのでしょうか。 その場その場の展開は派手なのですが、「それにしてもずいぶん御都合主義な」などとメタなセリフで居直ってみせるほど都合がよくて強引な展開が続くのは呆れたものやら首を捻ったものやら。何でもお見通しといった風情の隅の御隠居さまも、深謀遠慮のようでいて案外にそうでもなく、興味本位の野次馬だったの? 何かにつけ協力的な山岡鉄舟といい、裏があるかと勘繰っていたのに説明はなし……。南町奉行所チームの存在が発覚してからも追及されない理由が「警視庁草紙があとつづかぬことになるからかの」なんてのは何なのですか。戊辰戦争の仇討のため、新政府の側について西南戦争に参戦することを選ぶ矛盾に投げかける、お千姐さんの「話が逆だとは思わない?」との言葉が一番正論でした。 上巻から引き続き、実在人物がやたらに登場するのは楽しくて、スリの吉五郎や熊坂長庵がまさか実在人物だったとは思いませんでした。高橋お伝の殺人事件にとんでもない「真相」を持ち込んだり、当時の大事件を繋ぎ合わせて、虚構の物語をひねり出してみせる手腕はお見事。 | ||||
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| 約三十年ぶりぐらいの再読。おぼろげな記憶で読み返したら……あれ、こんなお話だっけ? 文明開化の明治東京で起こるいろんな事件をめぐり、新生警視庁と旧時代の元南町奉行所メンバーが対決するといった趣向。上巻だけで9編収録の連作短編集ですが、警視庁に先んじて事件を解決する話もあり、追及させないために妨害を企てる話もあり、権力者にぎゃふんといわせるために暗躍するお話もあり、正義対悪といった単純な図式には収まらない反権力な作風でして、横暴非道な官憲に立ち向かい、在野で民衆の味方の元南町勢がすっきり事件を解決……といった展開を期待すると当てが外れるのであります。真犯人をはじめ、事件の関係者を逃すために元南町奉行所のメンバー(元奉行、元同心、元岡っ引き)があれこれと画策するエピソードが多め。 どのエピソードでも明治維新で世の中の流れから脱落した人たちが扱われていまして、明治の暗部を軽いタッチで描いてみましたという内容ですが、太平洋戦争の指導者の出自が明治維新の「負け組」ばかりだったという指摘や、桜田門外の変を経て、さっさと官軍に鞍替えした彦根藩への辛辣な書きぶりなど、反薩長史観、アンチ明治維新といった昨今の風潮とは一線を画しているのはさすが山風先生といったところでしょうか。 基本的に警視庁側は職務に忠実な公務員といった扱いでして、そちらの側に立てば(時には嫌がらせのノリで)何かとちょっかいをかけてくる元南町勢は立派な反社会分子。設立間もない警視庁にもぐりこんだ斎藤一(新選組)、今井信郎(京都見廻組)なんかも出番がありますが、一般の平巡査として登場する小説は案外に珍しいのでは? 実在したあんな人やこんな人が、大挙してちらっと登場させてみせる趣向は楽しいのですが、難をいえばそのボリュームでして、各話50ページ強でお話をまとめたため、どうしても駆け足、詰め込み過ぎの感はぬぐえず、解決も強引な印象でして、一時間ドラマのあらすじを読んだような読後感でした。収録作で出来にばらつきがございますが、どちらかといえばミステリー仕立てのお話の方が楽しめました。 | ||||
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| 黎明期の警察トップ・川路利良&その部下たちと、元江戸南町奉行&元同心による知恵比べ・騙しあいを描く、著者の明治シリーズ代表作とされる連作短編集です。 同じく川路が登場する「明治断頭台」と比べるとミステリー色は弱めで、特に上巻前半はドタバタ活劇寄りの作品が多くなっています。 しかし第7話「幻燈煉瓦街」あたりから、虚実ないまぜで奇想天外な物語に、「西南戦争」に続く史実が絡み合って俄然面白さが増してきます。 「幻燈煉瓦街」における銀座の街並みの描写は幻想的で美しいですし、最終話での気球による脱出シーンはまるでルパン三世のようで楽しく、また最終盤の抜刀隊出立場面は男たちの矜持が心に迫り、とても感動的なラストとなっていて思わず感涙してしまいます。 物語全体を通して、明治初期の人々の暮らしぶりや風俗、街並みの生々しい描写がとても魅力的です。残酷で凄惨なシーンがところどころ登場するため、女性を中心に苦手な方もいらっしゃるでしょうが、とても面白い小説なのでおすすめです。 | ||||
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| という事を信頼するスジから聞いたため読むことにしました。 以前に忍法帖は結構読んでいたのですが、明治モノを読むのは今回が初めてです。 めちゃくちゃ面白いです。 歴史に詳しくない方でも知っている、明治維新の立役者が絶妙な距離感で出ていて、 それがかえって存在感を際立たせるような演出になっています。 明治維新というどちらかというとポジティブに描かれがちな一連の出来事に対して、 倒されれる側となった幕府の下級武士たちとその家族が実際どういう状況になったのか、 本当のことは分かりませんが、これを読むとすごくリアルに感じられます。 これからほかのやつも随時読んでみようと思います。 | ||||
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| 初代警視総監川路利良を先頭に近代化を進める警視庁と元南町奉行駒井相模守、元同心、元岡っ引の知恵と力を駆使した対決。川路利良、駒井相模守、大久保利通、岩倉具視、一葉、山田浅右衛門、三遊亭円朝らを巻き込んで奇怪な事件は謎を生む。実在の人物と架空の人物が銀座煉瓦街を駆けめぐる! | ||||
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