明治十手架
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明治十手架の総合評価:
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物語の軸足がはっきりしないので、正直、あまり高評価できる作品ではありません。かといって、まったくつまらないかというと、元幕臣の主人公や、キリスト教に帰依しているヒロインなどキャラクターは魅力的で、読んで損したというほどではありません。 結局のところ、悪役に魅力が無く、その結果、全編を貫く軸となるはずの怨恨ネタに読者を引っ張る力が無かったのだと思います。そのため、ストーリーの展開が行き当たりばったりに思えることがマイナス要因だと思います。 忍者モノ、伝記モノの”次”の魅力を垣間見せる作品だと思いますが、垣間見せてくれるだけともいえる作品です。 | ||||
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明治を生きたある教誨師の回想話。上巻は割と退屈だったが、下巻はやはり盛り上がり楽しめた。人間にはそれぞれ適切な死に時がある?と言わんばかりに登場人物達を惜しげもなく散らして行く。 | ||||
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日本初のキリスト教教誨師となり、免囚保護活動を天職とした原胤昭が、幕末維新から明治15年前後までを回想し、人生を決定した事件の数々を語る。 少年与力だった原に十手術、逮捕術を教えた師の与力。その師が維新後、キリスト教徒となって囚人保護の仕事を始め、再会した原がその仕事を手伝う。その師が石川島で凶悪な看守・巡査5人組に殺され、原は遺児の姉妹とともに師の仕事を引き継ぐ・・・。 上巻の大半は、原も匙を投げるほどの矯正不能な凶悪犯罪者5人と妖人ともいうべき看守・巡査5人、そして原らの三つ巴の対立を軸に、政治的な事件やスキャンダルを絡めて展開する。 ハイライトは末尾のシーン。手を結んだ悪漢10人組の計略に落ちた姉が自決に追い込まれるが、そのとき奇跡が起きる。動揺した5人の凶悪な犯罪者の心に変化が起こる描写には異様な迫力がある。 下巻では、原と妹を亡き者にしようとする看守・巡査5人組と、改心してこれを防ごうとする犯罪者5人組の死闘が展開し、ここでも奇跡が起こる。すべてが終わったあと原は真相を知り、終生を免囚保護に捧げる決意を固め、洗礼を受けるところで回想は終わる。 天下国家の行方を左右するような冒険談ではないが、そんなことは忘れさせるほど面白い伝奇時代小説だ。特に悪人の強烈さ、悪と悪の死闘の描写は凄まじく、十分に楽しめる。 本作は風太郎作品のジャンル分けとしては当然「明治もの」になるが、キリストの奇跡が重要なモチーフであり、その意味で「切支丹もの」に分類することもできる。さらに言えば、「忍法帖」の変形と見ることさえできる。 凶悪犯罪者5人組が改心し、妖人官憲5人組に死闘を挑み、一対一の相討ちで双方が死んでいく。これはまさに忍法帖の定番パターンだ。 この「明治十手架」、その後日談ともいえる「地の果ての獄」ではキリスト教が忍法帖における忍法の役割を与えられている。作品中で何度も現れる奇跡は忍法そのものだ。 著者がどのような経緯で原胤昭という与力出身のキリスト教教誨師の存在を知ったのかはわからないが、知ったその瞬間に、二鉤(ふたかぎ)十手=十字架、そこにフォーカスした奇跡という着想を得たのだろうか? どうしたらそんなことが可能か、それが不思議だ。奇想の一言でかたづけられがちだが、風太郎の発想は人間離れしているというほかない。 | ||||
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下巻には、本編とは別に中篇短篇各一作品を収めている。 「明治かげろう俥」。 明治24年5月11日に起こった大津事件。このとき、ロシア皇太子に切りつけた巡査、津田三蔵に飛びつき倒して危機を防いだのは、一行が使った人力車の車夫だった。三人の車夫は明治政府とロシア政府から莫大な報奨金、年金をもらう身分になったが、その幸運が彼らの人生を狂わせていった・・・。 大津事件を取り上げるのに車夫に注目するという視点がいかにも風太郎らしい。人生の悲哀と空しさ、どうしょうもなさをこれでもかと描く内容は実におどろおどろしい展開で、大部分がフィクションだとは思うが、そう思わせておいて実は史実だったというのが風太郎にはよくあるので、油断がならない。この中篇でも救世軍というキリスト教関連のモチーフが現れる。 「黄色い下宿人」。 いろいろなアンソロジーに入っている有名な作品。風太郎がコナン・ドイルになり切ってホームズものを書くという趣向で、いかにも19世紀的な雰囲気をたたえた古典ミステリーに仕立てている。 眼目は、そこに留学時代の夏目漱石を登場させ、ホームズの顔色なからしめる謎解きを行わせるところだが、今でこそ当たり前のこの着想も、1953年12月の発表当時は(もう60年以上も前になる)、破天荒な奇想として読者を驚倒させたことだろう。 伝奇時代小説の典型的な成功例として記憶されるべき作品だ。 | ||||
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上巻は上巻で面白いが、「話の先が見えない」感じ。ただ、この下巻から一気におもしろくなる!そのため上巻をしっかり読んでおいて良かったと思える。 ネタばれになるのであまり書かないが、囚人たちが「笑うふりして号泣する」シーンは、不覚にも感情移入してしまい、とても感じ入った。 | ||||
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