忍法封印
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忍法帖としては最後から4番目という後期作品で、「銀河忍法帖」の続編というべき内容。 大久保長安の子を身ごもった3人のくノ一は、自分の死後、家康による一族殲滅を予測した長安の指示通り、末子おげ丸に護られて逃避行を開始する。追ってくるのは半蔵配下の甲賀衆5人と応援の甲賀忍者15人・・・。 ところが中身は、忍法帖というより“妊娠・出産・育児帖”というような内容で、肝心の忍法対決はあまり出てこないし迫力もなく、ごく薄味。この時期、著者自身が育児に忙しかったのではないかと疑うようなプロットだ。 しかし、作家・松山巌の巻末解説は読む価値がある。坂口安吾の有名なファルス論を引用して風太郎文学の本質をついている。 「風太郎の膨大な小説群こそ、実は安吾が文学に求めてやまず、“芸術の最高形式”とまで言い切った“ファルス”すなわち道化劇、笑劇ではないか」。 安吾はファルスを次のように定義している。「ここから先へ一歩踏み外せば本当のナンセンスになるという、混沌の、矛盾の、それらの最頂点において、乱痴気騒ぎを演ずるところの愛すべき怪物が、愛すべき王様が、すなわちファルスである」。風太郎忍法帖はまさにファルスだと思う。 | ||||
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江戸幕府初期の功労者・大久保長安の子をはらんだ3人のくノ一と長安の子で天才忍者・おげ丸が,服部半蔵の命を受けた甲賀忍者たちから逃げるというストーリーです。 早いうちから超絶忍法が披瀝されているので,「今回も忍法対決が楽しめるな」と期待するのですが,実は主人公の「おげ丸」の忍法は最後の最後に至るまで(しかもほんの少ししか)発揮されません。 作者の数多くの「忍法帖」と同様の期待をすると,肩すかしになるかも。 とはいえ,「敵」側の甲賀忍者たちの忍法は存分に描かれています。 本作の特徴はくノ一やおげ丸の心理描写のほうにあり,忍法対決は従たる面にとどまるといえましょう。 ちなみに「おげ丸」という耳慣れない名前も,ストーリー展開に関係しています。 | ||||
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江戸初期の怪物大久保長安をめぐる話として「銀河忍法帖」の続編に当たる。しかし史実をベースにしてよくもこれだけ荒唐無稽で突飛なストーリーを考え出すものだと感心してしまう。それがみごとに辻褄合わせされているのだ。長安の遺子を孕んだくの一3(×2)人を伊賀のエースおげ丸が、服部一族に背いて守る。追っ手は甲賀の精鋭5忍。 この作品の最大の特徴は主人公おげ丸の圧倒的な強さである。逃避行を始めるとき、恩になった服部に背く後ろめたさから自身の忍法を(刀術を除いて)使わないことを宣言する。それでも強すぎて、物語の終盤に至るまでまともな戦闘シーンが殆ど無いという異例な展開になる。そのかわり色んな立場にある登場人物の心理的な変化が細かく描写されており味わい深い。昨日まで仲間同士であった者たちが命を奪い合う関係になっていくときの心の葛藤、おげ丸に恋するくの一たちのライバル意識と母としての自覚の芽生え・・・作品全体がヒューマニズムに充ち満ちていると言ってよいだろうか。これ以上は無いというほど悲しい内容で、最後も全く救いようのないカタストロフィーであるにも関わらず、なぜか読後感はさほど暗くないのはそのためであろう。 かくしておげ丸の真の強さは、終盤まで読者に対して「封印」されるのである。封印が解かれた後は車田正美かドラゴンボールの世界である。作者の堅持してきたリアリズムすらも解禁されたような怒濤の展開で終了する。 | ||||
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